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蕎麦ときしめん*清水義範
- 2008/10/14(火) 17:10:26
![]() | 蕎麦ときしめん (1986/11) 清水 義範 商品詳細を見る |
読者はパスティーシュという言葉を知っているか?これはフランス語で模倣作品という意味である。じつは作者清水義範はこの言葉を知らなかった。知らずにパスティーシュしてしまったのだ。鬼才野坂昭如をして「とんでもない小説」と言わしめた、とんでもないパスティーシュの作品の数々、じっくりとお楽しみを。
表題作のほか、「商道をゆく」 「序文」 「猿蟹の賦」 「三人の雀鬼」 「きしめんの逆襲」
さすが清水義範!と言うしかない一冊である。名古屋人である著者による――と言ってしまってはいけないのかもしれないが――名古屋論がまさに痛快である。著者にしか書けないだろうとも思われる。ミステリの仕掛けとはまたひと味違った清水流の仕掛けが愉しめる。思わず名古屋に行ってみたくなる。
ソロモンの犬*道尾秀介
- 2008/10/13(月) 17:58:29
![]() | ソロモンの犬 (2007/08) 道尾 秀介 商品詳細を見る |
さっきまで元気だった陽介が目の前で死んだ。愛犬はなぜ暴走したのか? 飄然たるユーモアと痛切なアイロニー。青春ミステリー傑作
物語がはじまった。なにやら不穏な状況の舞台上に登場人物が次々と現れ、回想場面を挟みながら、過去に起こった事件を解き明かしていく物語である。・・・・・とずっと思いながら読んでいた。しかしあるところまでくると・・・・・。
こういう仕掛けに引っかかると思わずうれしくなってしまう。主役は秋本なのだが、事件を直接知らない間宮先生が、脇役ながら探偵役としていい味を出している。学生からは、見かけや行動に問題ありという評価のようだが、気配りもなかなかのように見受けられた。興味深いキャラクターである。
絶叫城殺人事件*有栖川有栖
- 2008/10/11(土) 16:53:59
![]() | 絶叫城殺人事件 (新潮エンターテインメント倶楽部SS) (2001/10) 有栖川 有栖 商品詳細を見る |
黒鳥亭、それがすべての始まりだった。壷中庵、月宮殿、雪華楼、紅雨荘…。殺人事件の現場はそれぞれ、独特のアウラを放つ館であった。臨床犯罪学者・火村英生と作家・有栖川有栖のふたりが突きとめた、真相とは。そして、大都市を恐怖で覆い尽くした、猟奇的な連続殺人!影なき殺人鬼=ナイト・プローラーは、あの“絶叫城”の住人なのか!?本格推理小説の旗手が、存分に腕を振るった、傑作短編集。
表題作のほか、「黒鳥亭殺人事件」 「壺中庵殺人事件」 「月宮殿殺人事件」 「雪華楼殺人事件」 「紅雨荘殺人事件」
あとがきによると、各作品のタイトル「〜〜殺人事件」の〜〜の部分に建物の名を入れることと、殺人事件が夜起きること、というふたつのことを決めて書かれたそうである。
犯罪社会学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の立ち位置もいつもながら味わい深い。
そして、『絶叫城殺人事件』のなかで、有栖が火村を評して言う言葉に深くうなずかされるのだった。
・・・・・まだ抗弁する余地がありそうな犯人が、彼に推理をぶつけられてにわかに崩れ落ちてしまうこと。いくら火村の指摘に理があろうと、死に物狂いでもがきそうな場面でも、犯人たちの多くは思いがけず脆かった。何故ああなるのか?――拠り所を突かれたからだ。どんな犯罪にも、そこさえ見逃してくれたら、と犯人が祈っている急所があるのではないか。火村の目はそこで焦点を結び、「お前が嫌なのは、こうされることだろう」とばかりに光を当てて犯罪者を射ち落とす。私にはそう思えるのだが。
ひとつ灯せ*宇江佐真理
- 2008/10/08(水) 17:21:23
![]() | ひとつ灯せ―大江戸怪奇譚 (2006/08) 宇江佐 真理 商品詳細を見る |
山城河岸の料理茶屋「平野屋」の隠居・清兵衛は53歳。家督をゆずったものの、暇をもてあまし、伊勢屋甚助の誘いで「話の会」という集まりに顔を出し始めた。作り話でない怖い話を持ち寄って酒を酌み交わし……。
江戸の四季折々に語られる人情あふれる、宇江佐版・百物語。
表題作のほか、「首ふり地蔵」 「箱根にて」 「守」 「炒り豆」 「空き屋敷」 「入り口」 「長のお別れ」
年齢も職業もさまざまな人たちが月に一度集まって自分が見聞きした不思議な話を披露する。この話の会に、料理茶屋・平野屋の隠居・清兵衛もひょんなことから参加することになった。
不思議な話を聞きあうだけでなく、次第に不思議な出来事を相談されたりもするようになり、会の面々は怖い思いもすることになるのである。言い伝えられる怪談ではなく、実際に誰かの身に起こったことであるというのが、怖さを募らせ、のめりこませる要因にもなったのだろうか。
ただ、出来事そのものは、すべてがすっきり解決されるという風でもなく、仕舞いには会も散会し、会の面々が次々に亡くなっていくのがいささか腑に落ちなくもある。
ぬばたま*あさのあつこ
- 2008/10/06(月) 18:13:45
![]() | ぬばたま (2008/01) あさの あつこ 商品詳細を見る |
あの夏の日、山へ入らなければ、ぼくたちの運命は変わらなかっただろうか。けれど、彼は山に呼ばれてしもうた…。死にゆく者の無念と生きぬく者の苦しみ。山々を舞台に描いた、怖ろしくも哀しい4つの物語。
四つの寂れゆく故郷と緑と山と、その場所に根源を持つ人の物語。
人間の弱さや悪意、秘めておきたい暗部などが、自ずから暴かれていくような不穏さが漂っている。山という神とも魔ともつかないものが棲みついていそうな場所を舞台にしたからこそのおどろおどろしさでもある。
「山に呼ばれる」という科学的には根拠がないであろうことも、理屈抜きで受け容れてしまえそうな雰囲気に満たされていて恐ろしい。
二つの月の記憶*岸田今日子
- 2008/10/06(月) 13:38:53
![]() | 二つの月の記憶 (2008/01/18) 岸田 今日子 商品詳細を見る |
かけがえのない
快楽には
少しの独のある
ユーモアと
不思議な愛と
エロスが必要です。
今日子さんを
そのまま
食べて下さい。 佐野洋子
表題作のほか、「オートバイ」 「K村やすらぎの里」 「P夫人の冒険」 「赤い帽子」 「逆光の中の樹」 「引き裂かれて」
現実の時間を生きていると思っていたら、いつの間にかどこからか夢のなかに入り込んでしまったような心地の物語たちである。しかもその内容はといえば、安らかで穏やかな夢物語ではなく、どこか不穏で不安定で、胸のどこかに引っかかるようなものばかり。なのに、読者はいつの間にか岸田今日子ワールドに誘われ、包み込まれている。
明るい物語を暗いトーンで描いたような、あるいは逆に、暗い物語をパステルトーンで描いたような、据わりの悪さが魅力といえるかもしれない。
床下仙人*原宏一
- 2008/10/05(日) 20:40:12
![]() | 床下仙人 (1999/09) 原 宏一 商品詳細を見る |
「家の中に変な男が棲んでいるのよ」妻の訴えを、おれは一笑に付した。念願のマイホームに入居して二カ月、そんなバカなことがあってたまるか!長距離通勤で疲れているおれをからかわんでくれ!だが出張から帰宅したある日、おれは我が目を疑った。リビングで、妻と子が得体の知らない長髪、髭面の男と談笑しているではないか。いったい、誰なんだ、この“仙人”みたいな野郎は!?(表題作より)不況、リストラ、家庭不和…現代ニッポン人が抱える悩みを、注目の異才が風刺と諧謔で鮮やかに捌いた新奇想小説。
表題作のほか、「てんぷら社員」 「戦争管理組合」 「派遣社長」 「シューシャイン・ギャング」
家の床下に棲み着く男の正体は・・・、記録にはあるが記憶にない社員がやったこと、男社会と闘う女たち、派遣社長を契約した会社の未来はどうなる、押しかけ靴磨きの少女と失業男の関係は・・・。どれも着想が面白い。一歩踏み外したら、あり得ないと笑ってはいられないような危うさも感じさせられて背筋が寒くなることもあった。知らず知らずのうちに本末転倒していないかどうか、ときどき我が身を省みた方がいいのかもしれない。
義弟*永井するみ
- 2008/10/04(土) 16:31:24
![]() | 義弟 (2008/05/20) 永井 するみ 商品詳細を見る |
克己と彩は血の繋がりのない義理の姉弟。成人した今、克己の彩に対する感情は、姉以上のものになっていた。そんな中、彩の不倫相手が彼女の職場で急死する。助けを求められた克己は、彼女を守るため遺体の処理をするのだが……。克己の抑えられない破滅的な衝動、男性を受け入れられない彩の秘密。それぞれの心の闇を描く、衝撃の問題作。
タイトルから想像したよりも、どうしようもない泥沼の物語ではなくてよかった。単なる不倫物語でもミステリでもなく、期せずして姉弟になってしまったふたりの葛藤の物語、というようなニュアンスの物語である。姉と弟それぞれが、相手に対する想いを胸にしまって、「ひとり」として生きようともがく姿が切なさを誘う。ふたりの本当の人生は、このラストのまたその先にこそあるのだろうと思われる。語られない物語のなかでは、ふたりの人間としてありのままに生きて欲しいと願う。
裁判員法廷*芦辺拓
- 2008/10/01(水) 17:29:49
![]() | 裁判員法廷 (2008/02) 芦辺 拓 商品詳細を見る |
ある日、あなたのもとに届いた1通の「呼出状」。それがとんでもない日々の始まりだった…。二転三転する評議、そして事件の真相は。裁判員制度の仕組みや公判の流れがわかる、史上初の裁判員ミステリー。
「審理」 「評議」 「自白」というタイトルで、三つの事件が扱われている。
事件はどれも殺人事件だが、タイトルからも判るように、切り口がそれぞれ違う。裁判員の感情の動きや考える道筋なども描かれていて、裁判員制度の入門書としても読めそうである。有罪無罪だけでなく、量刑をも判断する裁判員の目線で読むことになるので、ミステリとしてもいつもと視点が変わって興味深い。ただやみくもに当て推量してはいけないような心持ちにさせられるから不思議である。
現実の問題としてその場に座ることになったら、きちんと見聞きして適切な判断が下せるのかどうか、はなはだ心許なくもある。
陽だまりの偽り*長岡弘樹
- 2008/09/28(日) 21:25:03
![]() | 陽だまりの偽り (2005/07) 長岡 弘樹 商品詳細を見る |
最近、物忘れがはげしいことを気にしている郁造。息子の嫁から預かった現金を落としてしまったが、どこで落としたのかも覚えていない。ボケ老人のレッテルを貼られることを恐れ、郁造はある行為に踏み切る。果たして、その先に待ち受けていたものは…(表題作「陽だまりの偽り」)。5つの心模様を端正に描いたミステリー短編集。小説推理新人賞作家、注目のデビュー作。
表題作のほか、「淡い青のなかに」 「プレイヤー」 「写心」 「重い扉が」
どの物語も、ラストにどんでん返しが待っている。現実の、というよりも胸のなかで起こるどんでん返しが多く、それで一気にそれまでのことが腑に落ちたりもする。切なくもあり、あたたかくもあり、登場人物本人には不本意であったとしても、読者としては悪い気分ではない。さりげなく上手いと思う。
こどものころにみた夢
- 2008/09/28(日) 09:02:53
![]() | こどものころにみた夢 (2008/06/10) 角田 光代島本 理生 商品詳細を見る |
人気作家12人による「夢」の「絵本」! 怖い夢、儚い夢、おもらしの夢? 角田光代、島本理生、西加奈子、阿川弘之、堀江敏幸、穂村弘、高橋源一郎他、豪華作家陣が美しい絵とと共に綴る「夢」の物語。
「男」・・・・・角田光代・著/網中いづる・絵
「ガラスの便器」・・・・・石田衣良/松尾たい子
「さよなら、猫」・・・・・島本理生/鯰江光二
「水の恵み」・・・・・阿川弘之/木内達朗
「タイムリミット」・・・・・辻村深月/吉田尚令
「ヘビ」・・・・・西加奈子/西加奈子
「ふたり流れる」・・・・・市川拓司/いとう瞳
「ハントヘン」・・・・・堀江敏幸/中村純司
「雲の下の街」・・・・・柴崎友香/田雑芳一
「衣がえ」・・・・・長野まゆみ/望月通陽
「おしっこを夢から出すな」・・・・・穂村弘/ささめやゆき
「さらば、ゴヂラ」・・・・・高橋源一郎/しりあがり寿
タイトルのとおり「こどものころにみた夢」というキーワードによってつながる一冊である。
夢というとらえどころのない、しかし深層心理に深く根ざしていると思われる不思議な現象が、実にさまざまに描かれていて興味深い。語られる夢の内容はさまざまなのだが、どこか共通の雰囲気も感じられるのは、夢というものの持つ自由なようでいて支配することのできないもどかしさ、に由来するのだろうか。
借金取りの王子*垣根涼介
- 2008/09/26(金) 14:17:26
![]() | 借金取りの王子 (2007/09) 垣根 涼介 商品詳細を見る |
村上真介はリストラを請負う会社に勤めるサラリーマン。昨日はデパート、今日はサラ金、明日は生保に乗り込んで、泣かれたり、殴られたり。相性バッチリの恋人陽子は恐ろしく気の強い女で、すんなり結婚とはいかないし、真介の前には難題山積み。だけど明日は来る――。他人事でないリストラ話に思わず涙。働く人必読の面白小説!
「File1. 二億円の女」 「File2. 女難の相」 「File3. 借金取りの王子」 「File4. 山里の娘」 「File5. 人にやさしく」
リストラ請負会社社員・村上真介シリーズの二作目(『君たちに明日はない』の続編)。
一作目で登場人物のキャラクターは掴めているので、読者もすんなりとリストラのための面接に臨むことができる。そして、リストラといっても、企業の事情によってさまざまなのだと改めて知る。面接のあとで描かれるそれぞれの被面接者の事情が切実で、思いもよらない事実がわかったりして興味をそそられる。
村上と恋人陽子の関係が、ちょっぴり危ういか、とやきもきさせらる場面もあったが・・・・・。
女性に関する村上のあの自信はどこからくるのだろう。もう少し格好悪くてもいいのでは、と思わなくもない。
つづきをもっと読みたい。
深泥丘奇談(みどろがおかきだん)*綾辻行人
- 2008/09/24(水) 17:03:11
![]() | 深泥丘奇談 (幽BOOKS) (2008/02/27) 綾辻行人 商品詳細を見る |
誰も見たことのない「綾辻行人の世界」
京都の奥には、何かが潜んでいる・・・。深泥丘病院の屋上で見た幻鳥、病院の地下へと続く階段、痛む歯、薄れゆく街の記憶・・・作家である「私」がみた日常が一瞬にして怪談に変わるとき、世界は裏の顔を表す!
物語の舞台は、作者が生まれ育ち、現在も居を構える古都・京都を彷彿させる町。語り手である「私」の家は「町の東地区、北寄りの山ぎわ」「紅叡山の麓のあたり」にある。物語の始まりは、晩春の黄昏時。自宅から少し離れた「深泥丘」周辺を散策していた語り手は、突如烈しい眩暈に襲われ、行く手に見かけた「医療法人再生会 深泥丘病院」を訪れる。そこは入院設備も整った、古びた四階建ての小病院だった。一話目の「顔」は、精密検査を勧められ短期入院することになった語り手が、病院内で奇怪なモノを目撃する話。「ちちち……と、最初はそう聞こえた。――ような気がした」という特徴的な冒頭の一節といい、妖しげな病院が舞台となっている点といい、主人公を見舞う記憶の混濁といい、綾辻行人版『ドグラマグラ』。 ところが二話目の「丘の向こう」に至って、物語のパースペクティヴは俄然、一挙に拡がりを見せる。深泥丘の向こう側に散策の足を伸ばした語り手は、そこに鉄道の線路が走っていることを知り愕然とする。帰宅後、妻にその話をすると、それは「Q電鉄の如呂塚線」であり、終点にある如呂塚遺蹟を見物に、二人で出かけたこともあると指摘され、語り手の困惑はさらに深まってゆくのだ。いにしえの水都の幻影が顕ちあらわれる「長びく雨」、歯科治療をめぐり作者一流の生理的恐怖描写が冴える「サムザムシ」、微妙にクトゥルー神話を彷彿させて心弾ませる「開けるな」、京都名物・五山の送り火が、シュルレアリスム絵画さながらの幻視の光景へ一変する傑作「六山の夜」、秋祭りの夜に病院で開催される奇術ショーの奇怪な顛末を描く「深泥丘魔術団」、語り手の自宅周辺に謎の生き物が出没する「声」……自宅と病院を楕円の両極とする語り手の散策=夢幻彷徨が、驚異と幻想の地誌学とでも称すべき光景を開示し、謎めいた世界観の全貌が、精妙な手つきで明らかにされてゆく――本連作に秘められた奇計は、未だその片鱗を覗かせたばかり。(推薦文・・東雅夫)
著者初の怪談集、ということである。が、そこは綾辻行人である。著者のテイストがたっぷり行き渡った綾辻流怪談とでも言ったらいいのではないかと思う。
語り口は妖しさ満載のミステリと同じく、思わせぶりで、時空を自在に行きつ戻りつする感じであり、それが一層、現実ならざる浮遊感を物語りに与えている。
眩暈に悩まされる作家の主人公の、自らが立っている場が根底から揺らぐ不安と心許なさが、そのまま物語の雰囲気になっているのも巧みである。
このあとつづく、綾辻流怪談にも期待したい。
天下り酒場*原宏一
- 2008/09/22(月) 20:04:47
![]() | 天下り酒場 (祥伝社文庫 は 8-2) (2007/10) 原 宏一 商品詳細を見る |
経営不振の割烹居酒屋『やすべえ』の店主ヤスは、ある人物を雇って欲しいと常連客に頼まれた。それはなんと、片倉という県庁の役人。居酒屋に天下った片倉は元役人の事務能力を発揮、食材の一元管理と仕入れの効率化で店を黒字に転じた。勢いにのった片倉はヤスに店舗拡大を唱え始めるが・・・・・。(表題作より)
『床下仙人』でブレイクした著者が放つ、現代日本風刺小説!
表題作のほか、「資格ファイター」 「居間の盗聴器」 「ボランティア降臨」 「ブラッシング・エクスプレス」 「ダンボール屋敷」
何かにのめりこむと憑かれたようにてとことんのめりこみ、限度を超えてどうにもならなくなる。常に物足りなさを抱え、夢中になれるものを見つけると藁にもすがる気持ちで周りが見えなくなる。病的ともいえる現代人の姿がユーモアとともに辛らつに描かれていて、可笑しくも哀しい一冊である。
君たちに明日はない*垣根涼介
- 2008/09/20(土) 16:55:16
![]() | 君たちに明日はない (新潮文庫 (か-47-1)) (2007/09/28) 垣根 涼介 商品詳細を見る |
「私はもう用済みってことですか!?」
リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、なぜかこの仕事にはやりがいを感じている。建材メーカーの課長代理、陽子の面接を担当した真介は、気の強い八つ年上の彼女に好意をおぼえるのだが・・・・・。
恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気沸き立つ人間ドラマ。山本周五郎賞受賞作。
「File 1. 怒り狂う女」 「File 2. オモチャの男」 「File 3. 旧友」 「File 4. 八方ふさがりの女」 「File 5. 去り行く者」
リストラ請負会社の一社員・村上真介、33歳をキーにした連載短編集である。
リストラ請負会社というものが実際にあるのかどうか判らないが、社内で手に負えない、あるいは差しさわりがあって手をつけられないリストラという名のクビ切りのための面接をするのが村上の仕事である。
白痴的美女の川田美代子を隣に置いて、真介はきょうも様々な会社へと出向く。
リストラという厳しい現実の一場面とそこから派生する諸々を、茶化すことなく、さりとて悲惨さを前面に出すこともなく軽快な、しかも人情味あふれるタッチで描いていて好感が持てる。
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