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金魚のうろこ*田辺聖子
- 2007/06/27(水) 17:29:51
☆☆☆☆・ 恋人・連美の新しいママに心ひかれるぼく。目からうろこが落ちるような体験をした…表題作。 金魚のうろこ
田辺 聖子 (1992/06)
集英社
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現実的な年上の人。超ワガママな可愛い恋人…。
ぼくが積む、愛と人生のレッスン。7つの愛の短編集。
表題作のほか、「見さかいもなく」「魚座少年」「ぬるっ」「やさしくしないで」「カクテルのチェリーの味は」「愛のそば」
三十を少し過ぎた年頃でシングルの女性を主人公にした七つの物語である。
若い娘と違って、ある程度処世術も身につけ、自分というものの身の程を知った上で恋をする彼女たちは、マエムキでカッコよく そしてカナシイ。生きることの(男と女の)可笑しみをゆったりと味わうような粋が感じられる。
苺をつぶしながら*田辺聖子
- 2006/01/31(火) 17:29:56
☆☆☆・・ 苺をつぶしながら、私、考えてる。 男の社会革命家と女の人生革命家のちがいは、男は赤眼を吊って、しゃかりきになるが、女は、
新・私的生活
女の幸福って、何かしら?
結婚? 試してみたけど、違うみたい。
もう、私、焦らない。楽しく生きてみるわ!
離婚した女のささやかで自由な暮らしを描きながら、女と男の理想的距離を考える傑作長編小説。 ――帯より
前回書いた『私的生活』の続編である。
『私的生活』では結婚している三年間が主に描かれていたが、こちらでは、離婚してからの暮らしぶりや、幸福感の変化などが描かれている。
結婚時代を振り返って「服役中」だったと言い放ち、一人暮らしを謳歌する乃里子なのだった。
乃里子の豊かな幸福感が読む側にもじわりと伝わってくるようで、羨ましくなるほどである。
大阪弁で語られているというのが、とても重要なポイントなのだろうと思われる。もしも標準語で語られていたとしたら、まったく違う物語になっていたかもしれない。
たとえば、江國香織さんの書く恋愛物語と 描かれている内容はそれほど違っているとは思えない。しかし、雰囲気はこれほどガラリと変わるのである。
どちらが良いとか悪いとかではなく、乃里子の物語はやはり大阪弁だからこそ乃里子の物語なのだろう。
また、直接筋には関係ないが、なるほど、と頷かされたのは、
「ニヤリ」
と笑って革命するのである。
というフレーズである。
私的生活*田辺聖子
- 2006/01/29(日) 17:29:45
☆☆☆・・
昭和五十一年発行というから、30年も前の作品である。
なのにまったく色褪せていない。何故だろうと考えてみたら、風物がほとんど描かれていないのである。タイトルからも伺えるように、「私的生活」が描かれているからなのだ。家の中で、家庭の中で、家族の中で、夫婦の間のあれやこれやが全てなのだ。外のことが描かれているときでさえ、それは乃里子の気持ちであり、極私的な部分として描かれているのである。
そしてやはりいちばんに言えるのは、男女のありようがいつの時代でも変わらないということなのだろう。
ジョゼと虎と魚たち*田辺聖子
- 2005/05/24(火) 21:31:31
☆☆☆・・
ジョゼと虎と魚たち
表題作のほか、
お茶が熱くてのめません・うすうす知ってた・
恋の棺・それだけのこと・荷造りはもうすませて・いけどられて・
男たちはマフィンが嫌い・雪の降るまで
様々な恋の形、愛の姿。
エロティックな大人の女たちが、それぞれの物語の中で、それぞれに恋をする。女たちは、自分のことをよく知っていて、純粋でしたたかだ。
本くに子さんのふくよかな女性のイラストが味わい深い。
どこかにひとつあるほくろがえもいわずエロティックである。
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