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風が笑えば*俵万智 著  奥宮誠次 写真

  • 2012/05/06(日) 19:41:52

風が笑えば風が笑えば
(2012/02/24)
俵 万智

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『サラダ記念日』から25年、人生の秋を迎えた俵万智が女性として母としての今を歌う。東日本大震災後を綴る書き下ろしエッセイも収録。


写真がまずあり、そこから著者がイメージを膨らませて歌を詠む、という趣向の一冊である。日本や海外の子どもや自然の写真を通して著者が見たもの、著者の心のフィルターを通して広がる世界を堪能できる。歌にまつわる思いもエッセイとして綴られていて興味深い。著者の大切なものの一端に触れた心地の一冊である。

101個目のレモン*俵万智

  • 2007/08/08(水) 17:16:13

☆☆☆・・

101個目のレモン 101個目のレモン
俵 万智 (2001/09)
文藝春秋

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弟が結婚したり、自分は結婚しなかったり、21世紀になったり、3冊目の歌集を出したり。本や絵画や芝居への愛に満ちた最新エッセイ集。


俵万智さんの短歌は好きなのに、エッセイを読むと反発したくなるのはなぜだろう。特に恋愛が語られているときにぞわぞわと違和感が感じられてならない。どうやらあまり相性がよくないようである。

考える短歌*俵万智

  • 2005/05/01(日) 20:46:23

☆☆☆☆・


 どうすれば気持ちを正確に伝えることができるのか。
 短歌上達の秘訣は、優れた先人の作品に触れることと、
 自作を徹底的に推敲吟味すること。
 ちょっとした言葉遣いに注意するだけで、世界は飛躍的に広がる。
 今を代表する歌人・俵万智が、読者からの投稿を元に
 「こうすればもっと良くなる」を添削指導。
 この実践編にプラスし、先達の作品鑑賞の面からも、
 表現の可能性を追求する。短歌だけに留まらない、俵版「文章読本」。

                      (帯より)


新潮社の「考える人」に応募された何千という作品の中から幾つかが添削例として載せられている。
心が揺れたからこそ言葉になり、歌になる、という観点から無駄をなくし、より読者に伝わる歌を詠めるように指導がなされている。
目のつけどころ、視点の転換、言葉の用法など様々な切り口で鑑賞し、添削される。

定型に上手い具合に収まった一首ができたと思っても、もういちど徹底的に推敲してみると、別のよりよい収め方があるかもしれない、というのが印象的だった。
初心者にはとてもわかりやすい一冊だった。

トリアングル*俵万智

  • 2004/07/12(月) 12:52:38

・・・・・


年上の妻子のある男性 Mと不倫関係を続けながら 7歳年下の彼 圭ちゃんとも関係を持つ33歳の女、薫里が語る自分の話。

 Mか圭ちゃんか――と、美佳は言うけれど、
 そもそも彼らは、椅子取りゲームをしているわけではない。
 椅子は二つあるのだ。
 しかも、だいぶ離れたところに、種類の違う椅子が。
 ついでに言えば、Mの妻と私も、
 椅子取りゲームの参加者ではないだろう。
 やはり、違う場所にある二つの椅子に、
 それぞれがおさまっているのだと思う。



ゴシップには物凄く疎いので 俵万智さんが出産されたことさえ つい先日の新聞で知ったくらいなので、この作品についてのさまざまな噂を詳しくは知らない。だから 純粋に小説として読んでみることにして読み始めた。しかし、無性に腹が立って仕方がない。薫里はあまりにも私と異なる価値観の上に立ち過ぎていて 嫌悪感しか湧いてこない。薫里の8年越しの不倫相手であるM氏の人格も疑いたくなる。

物語の合間合間に挟まれた短歌は もちろん俵万智作品である。既に読んだことのあるものもずいぶんあった。この小説はあくまでも小説であってノンフィクションではないということらしいのだが そうすると 挟み込まれた歌はどういうことになるのだろうか。
フィクションとノンフィクションを混同されては著者にとっていい迷惑だろうことは充分承知しているが 百歩譲ったとしても 私には生理的に受け容れられない一冊である。