ディスリスペクトの迎撃*竹内真

  • 2016/07/11(月) 19:37:43

ディスリスペクトの迎撃 (創元推理文庫)
竹内 真
東京創元社
売り上げランキング: 567,326

銀座にある文壇バー『ミューズ』の常連客、大御所ミステリー作家のサンゴ先生こと辻堂珊瑚朗。彼は不思議な事件について鮮やかに推理する、名探偵でもあった! ライバル作家が持ち込んだ、チェスセットに仕掛けられた謎を解く「チェスセットの暗号」、サンゴ先生原作のドラマをめぐって起きた、奇想天外な“誘拐"の解決に乗り出す「ポー・トースターの誘拐」など、五つの事件を収録。『ミューズ』のボーイ・了の視点から、サンゴ先生の華麗な活躍を描く、安楽椅子探偵ミステリー第2弾。


サンゴ先生シリーズの二作目。登場人物のキャラクタや、人間関係が呑み込めているので、ストーリーがすんなり頭に入ってきた。毎度毎度のサンゴ先生と藤沢敬五先生のライバル心むき出しのやりとりは、苦笑を禁じ得ないながらも、実は互いを尊重し合っているのが見て取れ、しかも、要所要所でヒントを与え合ったりもしているので、微笑ましくも思えてくる。仕掛けられる謎も、熱烈なファンがきっかけだったり、批判的な読者がきっかけだったりと、バラエティに富んでいて飽きさせない。文壇バーという場所ならではの駆け引きもあって、次が愉しみなシリーズである。

シチュエーションパズルの攻防*竹内真

  • 2016/05/06(金) 19:02:32


大学入学を機に、叔母がママを務める銀座の文壇バーでアルバイトをすることになった了。その店は、人気ミステリー作家・辻堂珊瑚朗先生ご贔屓の店だった。普段は店のホステスにちょっかいを出しながら、バーボンと葉巻を楽しむサンゴ先生だが、ひとたび不思議な謎に出合うと、鮮やかな推理をさりげなく披露する。ミステリー作家は本当に名探偵なのか?文壇バーで毎夜繰り広げられる推理ゲームと、サンゴ先生の名推理。気鋭の作家が初めて挑戦する、安楽椅子探偵ミステリー連作集。


ミステリ作家の辻堂珊瑚朗、通称サンゴ先生が、安楽椅子探偵よろしく日常の謎を解き明かす物語である。サンゴ先生のおかげで、すっかり文壇バーと化している叔母の店「ミューズ」でアルバイトすることになった了が目撃し、話を聴いた出来事を語る趣向である。ただ、謎そのものは興味深いのだが、サンゴ先生のキャラクタがありがちな印象なのが、いささか残念な気がしてしまう。もう少しバーにいるときとのギャップを見せてくれると、深みを感じられて好ましく思えるかもしれない、と勝手に思ったりもするのである。対して、叔母のミーコさんは、なにやら含むところが多そうで、魅力的である。気軽に愉しめる一冊とは言えそうである。

ホラベンチャー!*竹内真

  • 2016/04/18(月) 17:06:32

ホラベンチャー!
ホラベンチャー!
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竹内 真
双葉社
売り上げランキング: 506,055

開祖が吹いたホラ話で山を高くした褒美に、殿様から姓を賜ったという洞山家。その末裔である洞山真作は、30歳、現在無職。法事で帰省中に親戚たちに煽られ、ついベンチャー起業を宣言してしまう。でまかせだったのに「大言壮語は洞山の男の甲斐性」と、やんやの喝采を浴び、勢いのまま起業という荒波に漕ぎだすことに…。一族に語り継がれてきた数々の昔話を胸に、真作は幾多の困難に立ち向かっていくが―。戦国から平成まで縦横無尽なホラ話。痛快!エンターテイメント起業小説。


初めは、真作のダメダメ物語かと思ったが、どこまでがホラでどこからが真実かも判然としない洞山一族に伝わる先祖の逸話を織り込みながら、現在の真作のいい加減さやホラ話から、なんとなく前向きな話になり、実際に起業してしまう奮闘ぶりには思わず身を乗り出し、だがやはり、詰めの甘さの真作らしさに苦笑し、ホラ話ゆえの自由な発想に拍手しながら、真作が少しずつものになっていくのを眺めるのはとても愉しかった。きっとこれからも詰めの甘さで失敗することもあろうとおもうが、思わず応援したくなる一冊である。

図書室のキリギリス*竹内真

  • 2013/08/18(日) 16:32:30

図書室のキリギリス図書室のキリギリス
(2013/06/19)
竹内 真

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バツイチになったのを機に、職探しをはじめた詩織。
友人の紹介で学校司書に採用されるが、彼女にはある特殊な能力があって……。
本に込められた思いと謎を読み解くブックミステリー。


資格も経験もないのに、県立高校の図書館で学校司書の仕事につくことになった詩織。故あって突然辞めた前任者の引継ぎ手引書を片手に奮闘するうちに、図書委員や図書館に出入りする生徒たちと一緒に、「居場所」を作っていくのだった。本にまつわるちょっとした謎ときも織り交ぜられており、生徒たちの本に対する愛情や、知らなかった本の魅力にも触れられて、愉しい一冊だった。詩織に残留思念を読み取る力があるという設定は、なくてもよかったのでは、と思わなくもなかったが。

風に桜の舞う道で*竹内真

  • 2006/05/02(火) 17:20:34

☆☆☆☆・



予備校の特待生寮・桜花寮で1990年4月からの一年間を過ごした10人の一浪生の物語と、10年後の2000年の彼らの生き様の物語。
親の意向で早稲田の文学部を目指してはいるものの 明確な志向性を持てずにいるアキラの目を通して語られる十年前と現在である。
そもそもあれから十年後のいま桜花寮で共に過ごした仲間の消息を尋ねたり連絡をとって会ったりすることになったのは、リュータが死んだという噂が耳に入ったからだった。リュータの消息を追うために、当時の仲間と接触するたびに十年前が鮮やかに浮き上がってくるのである。
あの場所で、あの一年間に、あの仲間たちと過ごしたからこそ いまの自分が在るのだと、30歳を目前にした十年後にそれぞれが思えるなんて、なんてしあわせなことだろう。
個性的なメンバーが揃う中、アキラのポジションは意外と大事だったのではないかと思う。

自転車少年記*竹内真

  • 2005/09/19(月) 21:37:13

☆☆☆・・



昇平と草太の爽やか少年・青春物語である。
4歳の昇平は、自転車に乗れるようになった日に、勢い余って急坂を滑り降り、坂の下の草太の家の生垣に突っ込み 庭に投げ出される。
そして、庭で遊んでいた同い年の草太と隣りのひとつ年上の奏ちゃんに出会うことになる。すべての物語はここからはじまったのだった。
無口で物静かな草太。人懐っこく誰にでも好かれる昇平。まったく違う性格の二人が、自転車を介して繋がりを深めるのだが、自転車に対する関わり方はまたそれぞれなのである。
たぶんお互いに尊敬し憧れ、負けまいと思い、相手の喜びを喜びながら、時には共に、また時には離れて成長してゆく。
二人の人生にとって自転車は切り離せない存在であり、何かを決めるときには必ず自転車に乗っていたのだ。
歩く道や出会う人は違っても、自転車に乗っている限り帰る場所は同じなのだろう。
風ヶ丘のあの急な坂道が、いつでも二人の帰る場所なのだ。
彼等は、共にときを過ごす周りの人たちをも巻き込んで静かに熱く 自転車の上でものを思い決断をしながらこれからも生きていくのだろう。

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図書館の水脈*竹内真

  • 2005/04/22(金) 20:32:59

☆☆☆・・



村上春樹さんの『海辺のカフカ』のトリビュートとして書かれた作品なのだとか。

前半の構成も、『海辺のカフカ』と同じように、章ごとに交互に一人称を替えて進んでゆく。ただしこちらは、割と早い時期に双方が出会い 行動を共にするのだが。

『海辺のカフカ』を読んでいなければ 必ず読んでみたくなるだろうし、読んでいれば 一緒に旅を愉しめる。

他にもさまざまな本が紹介されていて、興味をそそられる。

水を伝って誰かと誰かが何かを感じあうように、本を読めば その中に流れる水脈から遠い誰かとつながれるかもしれない と、思わせられる。

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