犯人のいない殺人の夜*東野圭吾

  • 2018/02/15(木) 16:23:28

犯人のいない殺人の夜 (光文社文庫)
東野 圭吾
光文社
売り上げランキング: 12,220

親友が死んだ。枯れ葉のように校舎の屋上からひらひら落ちて。刑事たちが自殺の可能性を考えていることは俺にもわかった。しかし…。高校を舞台にした好短編「小さな故意の物語」。犯人がいないのに殺人があった。でも犯人はいる…。さまざまな欲望が交錯した一夜の殺人事件を描いた表題作。人間心理のドラマと、ミステリーの醍醐味を味わう傑作七編。


表題作のほか、「小さな故意の物語」 「闇の中の二人」 「踊り子」 「エンドレス・ナイト」 「白い凶器」 「さよならコーチ」

1985年から1988年というデビュー間もない頃に発表された作品である。テーマ、仕掛け、構成、心情、キャラクタなど、すでにこの頃からクオリティが高くて素晴らしい。短い物語の奥に、さまざまなことを想像させられる一冊である。

マスカレード・ナイト*東野圭吾

  • 2017/11/23(木) 20:24:45

マスカレード・ナイト
東野 圭吾
集英社 (2017-09-15)
売り上げランキング: 560

若い女性が殺害された不可解な事件。警視庁に届いた一通の密告状。
犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!? あのホテルウーマンと刑事のコンビ、再び――。


マスカレードシリーズの最新作である。カウントダウンの仮装パーティ(通称マスカレード・ナイト)に、犯人が現れるという密告を受け、新田は今回もまたフロントクラークになりきって、ホテル・コルテシア東京に潜入することになる。山岸尚美はコンシェルジュに昇格し、その実力を発揮している。今回、氏原という堅物フロントマンが新田のお目付け役になり、新田がフロント業務をほとんどさせてもらえないのが、いささか物足りない。数名のいわくありげな宿泊客をマークしつつ、裏では着々と捜査を進め、ホテル業務もそれなりにこなしながらその日を待つ間、実にさまざまなことが起こり、すべてが伏線のように見えてしまう。後半になり、そのひとつひとつの謎が解かれるにつれて、いよいよ犯人が判らなくなってくる。その先の展開をわくわくしながら読み進んだのだが、犯人が判ってからの独白部分が、いささか冗長な印象なのが残念である。全体的にはとても面白かったのだが、東野作品であるが故に、ラストにもうひと工夫あったらなぁと、ついつい思ってしまう一冊でもある。

素敵な日本人*東野圭吾

  • 2017/05/23(火) 20:32:47

素敵な日本人 東野圭吾短編集
東野 圭吾
光文社 (2017-03-30)
売り上げランキング: 633

登場する人物がどこか知人に似ていたり、あなた自身にも経験のあるトラブルだったり、つい思い浮かべてしまう妄想の具現化だったり、読み心地はさまざま。ぜひ、ゆっくり読んでください。豊饒で多彩な短編ミステリーが、日常の倦怠をほぐします。


「正月の決意」 「十年目のバレンタインデー」 「今夜は一人で雛祭り」 「君の瞳に」乾杯」 「レンタルベビー」 「壊れた時計」 「サファイヤの奇跡」 「クリスマスミステリ」 「水晶の数珠」

九つの短い物語。一遍は短いのだが、興味深い要素がぎっしり詰まっている印象である。ラスト近くのどんでん返し、視点の転換、などなど、嬉しい裏切りが詰まっている。そして、胸があたたかいもので満たされもするし、しばらく余韻に浸っていたくなったりもする。気軽に読めるが、贅沢な一冊である。

雪煙チェイス*東野圭吾

  • 2017/04/21(金) 18:48:54

雪煙チェイス (実業之日本社文庫)
東野圭吾
実業之日本社 (2016-11-29)
売り上げランキング: 2,160

殺人の容疑をかけられた大学生の脇坂竜実。彼のアリバイを証明できる唯一の人物―正体不明の美人スノーボーダーを捜しに、竜実は日本屈指のスキー場に向かった。それを追うのは「本庁より先に捕らえろ」と命じられた所轄の刑事・小杉。村の人々も巻き込み、広大なゲレンデを舞台に予測不能のチェイスが始まる!どんでん返し連続の痛快ノンストップ・サスペンス。


著者お得意のスキー場が舞台である。ただ、前作のような、スキーやスノーボードのテクニックの描写はほとんどなく、スキー場が舞台である必要性は、ウェアやゴーグルで、目当ての人物が探しづらくなるということくらいだろうか。殺人事件の容疑者と目された大学生・脇坂の追われている切迫感はほとんど感じられず、その結末もいかにもあっさりしすぎな印象である。所轄刑事の小杉のある意味開き直った粋な計らいが目に留まるくらいか。期待が高い分だけいささか拍子抜けした感じではあるが、気楽に愉しめる一冊ではあるかもしれない。

恋のゴンドラ*東野圭吾

  • 2017/01/28(土) 13:26:56

恋のゴンドラ
恋のゴンドラ
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東野 圭吾
実業之日本社 (2016-11-01)
売り上げランキング: 1,414

真冬に集う男女8人の運命は? あの東野圭吾が“恋愛"という永遠のミステリーに真っ向から挑む。衝撃の結末から目を逸らすな!


恋の駆け引きは、ある意味ミステリかもしれない。スノボやスキー、雪山の描写はさすがと思わされるし、個性の違う複数の男女が絡む展開は、はらはらさせられることもあるが、わざわざこれを東野さんが書かなくてもよかったかも、とは思ってしまう。まあ気楽に愉しみました、という感じの一冊ではある。

危険なビーナス*東野圭吾

  • 2016/11/17(木) 09:34:37

危険なビーナス
危険なビーナス
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東野 圭吾
講談社 (2016-08-26)
売り上げランキング: 1,658

弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である弟の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てば経つほど、彼女に惹かれていく。


複雑な家庭環境下で育ち、いまは疎遠になっている異父兄弟(伯朗と明人)の関係、かつては飛ぶ鳥を落とす勢いだった資産家の当主の危篤、遺産相続、伯朗の実の父で売れない画家だった故・一清の最後の絵、母の死の真相、いきなり現れた明人の妻・楓に知らされた明人の失踪。とても偶然とは思えないさまざまな要素がどこでどう収束していくのか興味津々で読み進んだ。進めば進むほど楓の存在が胡散臭さを増し、何の疑いも抱かずに信じきっているように見える伯朗にも疑問を抱く。さらに、サヴァン症候群という要素も加わり、物語の行方はなおさら複雑になっていく。当然、どう決着をつけてくれるのかと期待が高まるが、テレビドラマのような信じられない裏技でねじ伏せられた感が無きにしも非ずである。面白くなかったわけでは決してないのだが、もう少し要素を絞って深く描いてほしかったとも思ってしまう。著者に対する期待が大きすぎるということもあるのだろうとは思うが……。エンターテインメントとしては、愉しめる一冊だったとは言える。

ウインクで乾杯*東野圭吾

  • 2016/06/24(金) 20:16:59

ウインクで乾杯 (ノン・ポシェット)
東野 圭吾
祥伝社
売り上げランキング: 195,647

パーティ・コンパニオン小田香子は恐怖のあまり声も出なかった。仕事先のホテルの客室で、同僚牧村絵里が、毒入りビールを飲んで死んでいた。現場は完全な密室、警察は自殺だというが…。やがて絵里の親友由加利が自室で扼殺され、香子にまで見えざる魔の手が迫ってきた…。誰が、なぜ、何のために…。ミステリー界の若き旗手が放つ長編本格推理の傑作。


四半世紀近く前に書かれた作品である。細かいところで時代を感じさせられる部分もないことはないが、そのまま現代に置き換えても充分通用するところがさすがである。バラバラに散らばっているいくつものピースが、いつの間にか納まるべき場所にぴたりと納まり、真実という景色が少しずつ姿を現していく過程は、わくわくする。芝田と香子のこれからも気になる一冊である。

人魚の眠る家*東野圭吾

  • 2016/02/02(火) 13:09:08

人魚の眠る家
人魚の眠る家
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東野 圭吾
幻冬舎
売り上げランキング: 1,189

娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた―。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。


だれに寄り添って読むかで、受ける印象がものすごく変わる物語だと思う。脳死と臓器提供という重い命題と向き合うには、いささか特殊と言えなくもない状況ではあるが、一般的に言っても、両親(ことに母親)や身近な親族、つき合いのある周りの人たち、ニュースで見聞きするだけの人々、と当事者との関係性によって受け取り方も千差万別――同情的であったり、批判的であったり――であることは、想像に難くない。しかも今作では、脳死(と言い切ってしまうことはできないが)状態に押しひったのは幼い子どもであり、お金に物を言わせて親のエゴを押しつけている、と取られても致し方ない状況でもある。わたしも途中までは割とそちら寄りで読んでいたのだが、ラスト近くなって、そうとばかりも思えなくなってくるのだった。これが正解、という対応策は、おそらくこれから医療がどれだけ進歩したとしても、見つからないのだろう。ただ思うのは、周りが納得した上で穏やかに旅立たせてあげられることが、残された人たちの未来に向けてもいちばんなのではないかということである。常日頃、臓器提供の意思表示カードは携帯しているが、いざその場に自分が立ち会うことになったときに、どれだけ納得できるかは、その場に立ってみなければ判らない、というのが正直なところでもある。重すぎるテーマではあったが、ラストは爽やかささえ感じられ、この家族にはこの対応が必要だったのだと思えた一冊だった。

ラプラスの魔女*東野圭吾

  • 2015/11/12(木) 09:35:42

ラプラスの魔女
ラプラスの魔女
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東野 圭吾
KADOKAWA/角川書店 (2015-05-15)
売り上げランキング: 4,613

"円華という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、行動を共にするにつれ彼女には不思議な《力》が備わっているのではと、疑いはじめる。
同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する――。
価値観をくつがえされる衝撃。物語に翻弄される興奮。
作家デビュー30年、80作目の到達点。

これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。
そしたらこんな作品ができました。 ――東野圭吾"


手術によって機能を高められた脳による予測、遺伝的に父性を持たない者としての生き方、自然現象がもたらす脅威。それらさまざまな要素が複雑に絡み合って起こってしまった、凡人には不可解な出来事の物語である。特殊な能力を身に着けることになった謙人にとって、世界はどんなふうに見えていたのだろう。そして、自ら望んで手術を受けた円華が得たものの価値は、失ったものより大きかったのだろうか。警察やボディーガード、大学教授らを振り回しながら、謙人がたどり着き、円華が追いかけたことの、あまりの哀しさやり切れなさに胸が塞がれる思いがする。面白かったことは間違いないが、好みとしては、理詰めで解き明かしていく物語の方が好きかもしれない。果しない荒野に荒んだ風が吹く印象の一冊である。

マスカレード・イブ*東野圭吾

  • 2014/11/12(水) 12:32:41

マスカレード・イブ (集英社文庫)マスカレード・イブ (集英社文庫)
(2014/08/21)
東野 圭吾

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ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク山岸尚美と、警視庁捜査一課の新田浩介。『マスカレード・ホテル』で二人が出会う前、大学教授殺人事件の真相とは!? 新シリーズ第2弾!!ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク山岸尚美と、警視庁捜査一課の新田浩介。『マスカレード・ホテル』で二人が出会う前、大学教授殺人事件の真相とは!? 新シリーズ第2弾!!


表題作のほか、「それぞれの仮面」 「ルーキー登場」 「仮面と覆面」

短編だが、フロントクラークとして新人の山岸尚美の観察眼が捜査の役に立つという意味でキーになっている連作なので、ぶつぶつ途切れる感じがなく愉しめる。『マスカレード・ホテル』では、潜入捜査中の新田刑事の教育係なので、前作以前の物語と言えよう。それでタイトルにも「イブ」がつくのか、と納得。新田も捜査一課の刑事として、要所でいい働きをしているが、まだ尚美と知り合いではない。ホテルマンの矜持と尚美固有の観察眼が今作でも生きていてテンポよく愉しい一冊だった。

疾風ロンド*東野圭吾

  • 2014/09/16(火) 09:13:02

疾風ロンド (実業之日本社文庫)疾風ロンド (実業之日本社文庫)
(2013/11/15)
東野 圭吾

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強力な生物兵器を雪山に埋めた。雪が解け、気温が上昇すれば散乱する仕組みだ。場所を知りたければ3億円を支払え―そう脅迫してきた犯人が事故死してしまった。上司から生物兵器の回収を命じられた研究員は、息子と共に、とあるスキー場に向かった。頼みの綱は目印のテディベア。だが予想外の出来事が、次々と彼等を襲う。ラスト1頁まで気が抜けない娯楽快作。


秘密裏に開発していた生物兵器が盗まれ、とある雪山に埋めたので三億円支払え、と強迫されるが、犯人はあっけなく事故死。さあ埋められた場所はどこなのか。早く回収しないと、どれほどの被害が出るか見当もつかない。これ以上ないほどスリリングな設定で、手に汗握る展開なのだが、見当をつけたスキー場に探しに行った栗原自身がスキーが得意ではなく、早々に足を捻って戦線からリタイアする辺りから、なんとなく気が抜け、ハラハラ感が薄らぎ、真実の事情を知らずに創作を請け負ったパトロール隊員たちの活躍が清々しくもあるせいで、さらに危機感は薄れた気がする。だが、状況は二転三転し、まさに紹介分のとおりラスト1ページで思わぬ落ちに出くわすことになるのである。シリアスで気が抜けないのだが、なんとなくほのぼの感も漂う一冊である。

虚ろな十字架*東野圭吾

  • 2014/08/23(土) 16:30:56

虚ろな十字架虚ろな十字架
(2014/05/23)
東野 圭吾

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別れた妻が殺された。もし、あのとき離婚していなければ、私はまた遺族になるところだった。東野圭吾にしか書けない圧倒的な密度と、深い思索に裏付けられた予想もつかない展開。私たちはまた、答えの出ない問いに立ち尽くす。


死刑制度を題材にした物語である。ひとり娘をほんのわずかな油断から無残に殺され、その後別れた夫婦のその後の人生と、その先で別れた妻が見舞われた殺人事件。行きずりの犯行と思われていた殺人事件に、元夫は見過ごせない偶然を発見し、思いもかけない真相にたどり着く。その過程で、関わりのある人々の死刑に対する想いがそれぞれに主張されるが、著者自身が何らかの答えを出しているわけではない。正論は正論で存在し、当事者になればまた違った切望も発生するだろう。考えれば考えるほど堂々巡りのように同じところを行ったり来たりすることになるが、考えることが大切なのかもしれない。命の大切さと償いのことも考えさせられる一冊である。

祈りの幕が下りる時*東野圭吾

  • 2014/01/21(火) 18:53:07

祈りの幕が下りる時祈りの幕が下りる時
(2013/09/13)
東野 圭吾

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悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが…。


加賀恭一郎シリーズである。今回も、加賀は単独で歩き回り、真実に迫る要素を集めてくるのだが、決して独断専行というわけではなく、いつも以上に従兄弟の松宮の補佐的な立ち位置で、松宮を立てているのが目につく。いままでは松宮が加賀にくっついて歩いている感が否めなかったが、ずいぶん成長したもので、今後は加賀のいい相談相手になるだろうと思わせてくれる。加賀がなぜ日本橋所にこだわり続けるかという疑問に答えも出たし、わだかまりのあった母親との経緯もすっきりさせることができて、読者も加賀と一緒に一歩前に進める気がする。犯した罪が消えることはないが、根っからの悪人がいないのが、かえって切なく哀しくやりきれない。読み応えのある一冊だった。

夢幻花*東野圭吾

  • 2013/07/17(水) 17:06:34

夢幻花(むげんばな)夢幻花(むげんばな)
(2013/04/18)
東野 圭吾

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黄色いアサガオだけは追いかけるな―。この世に存在しないはずの花をめぐり、驚愕の真相が明らかになる長編ミステリ。


プロローグがいきなり通り魔殺人事件。だが、本編に入るとまるで別の物語のようで、あの事件がこの先どうつながってくるのだろう、と嫌でも興味をかきたてられる。本編では、秋山家のことが語られる。梨乃の従兄・尚人が自殺し、梨乃の祖父・秋山周治が殺される。そのことを調べる内に、まるで無関係に見えていた点と点がつながり、事件は急展開を見せるのである。次々と点がつながり始め、一枚の絵になっていくにつれて、背筋がぞくぞくする思いに駆られる。ここもこんな風に繋がってくるのか、という感じである。気高くも哀しいほど責任感の強い一族ゆえの物語でもあるかもしれない。惹きこまれる一冊だった。

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禁断の魔術 ガリレオ8*東野圭吾

  • 2013/04/25(木) 20:28:22

禁断の魔術 ガリレオ8禁断の魔術 ガリレオ8
(2012/10/13)
東野 圭吾

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湯川が殺人を?「自業自得だ。教え子に正しく科学を教えてやれなかったことに対する罰だ」。ガリレオシリーズ初の完全書き下ろし。

『虚像の道化師 ガリレオ7』を書き終えた時点で、今後ガリレオの短編を書くことはもうない、ラストを飾るにふさわしい出来映えだ、と思っていた著者が、「小説の神様というやつは、私が想像していた以上に気まぐれのようです。そのことをたっぷりと思い知らされた結果が、『禁断の魔術』ということになります」と語る最新刊。
「透視す」「曲球る」「念波る」「猛射つ」の4編収録。ガリレオ短編の最高峰登場。


上記タイトルの読みは「みとおす」「まがる」「おくる」「うつ」と、ガリレオシリーズ独特のものである。だが、タイトルだけでこれからどんな物語が始まるのかなんとなくだが想像できる。最後の「猛射る」はなかなか想像がつかなかったが、哀しくもあり苦しくもある物語だった。湯川にとっても、犯人にとっても、そして読者にとっても。湯川先生に関しては、思うことがいろいろあるが、もうこうなったらこの湯川像を受け入れるしかないのだろう。また神さまが下りてきて、今作を超える湯川先生の活躍が見られることを願わずにはいられないシリーズである。