恋のゴンドラ*東野圭吾

  • 2017/01/28(土) 13:26:56

恋のゴンドラ
恋のゴンドラ
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東野 圭吾
実業之日本社 (2016-11-01)
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真冬に集う男女8人の運命は? あの東野圭吾が“恋愛"という永遠のミステリーに真っ向から挑む。衝撃の結末から目を逸らすな!


恋の駆け引きは、ある意味ミステリかもしれない。スノボやスキー、雪山の描写はさすがと思わされるし、個性の違う複数の男女が絡む展開は、はらはらさせられることもあるが、わざわざこれを東野さんが書かなくてもよかったかも、とは思ってしまう。まあ気楽に愉しみました、という感じの一冊ではある。

危険なビーナス*東野圭吾

  • 2016/11/17(木) 09:34:37

危険なビーナス
危険なビーナス
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東野 圭吾
講談社 (2016-08-26)
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弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である弟の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てば経つほど、彼女に惹かれていく。


複雑な家庭環境下で育ち、いまは疎遠になっている異父兄弟(伯朗と明人)の関係、かつては飛ぶ鳥を落とす勢いだった資産家の当主の危篤、遺産相続、伯朗の実の父で売れない画家だった故・一清の最後の絵、母の死の真相、いきなり現れた明人の妻・楓に知らされた明人の失踪。とても偶然とは思えないさまざまな要素がどこでどう収束していくのか興味津々で読み進んだ。進めば進むほど楓の存在が胡散臭さを増し、何の疑いも抱かずに信じきっているように見える伯朗にも疑問を抱く。さらに、サヴァン症候群という要素も加わり、物語の行方はなおさら複雑になっていく。当然、どう決着をつけてくれるのかと期待が高まるが、テレビドラマのような信じられない裏技でねじ伏せられた感が無きにしも非ずである。面白くなかったわけでは決してないのだが、もう少し要素を絞って深く描いてほしかったとも思ってしまう。著者に対する期待が大きすぎるということもあるのだろうとは思うが……。エンターテインメントとしては、愉しめる一冊だったとは言える。

ウインクで乾杯*東野圭吾

  • 2016/06/24(金) 20:16:59

ウインクで乾杯 (ノン・ポシェット)
東野 圭吾
祥伝社
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パーティ・コンパニオン小田香子は恐怖のあまり声も出なかった。仕事先のホテルの客室で、同僚牧村絵里が、毒入りビールを飲んで死んでいた。現場は完全な密室、警察は自殺だというが…。やがて絵里の親友由加利が自室で扼殺され、香子にまで見えざる魔の手が迫ってきた…。誰が、なぜ、何のために…。ミステリー界の若き旗手が放つ長編本格推理の傑作。


四半世紀近く前に書かれた作品である。細かいところで時代を感じさせられる部分もないことはないが、そのまま現代に置き換えても充分通用するところがさすがである。バラバラに散らばっているいくつものピースが、いつの間にか納まるべき場所にぴたりと納まり、真実という景色が少しずつ姿を現していく過程は、わくわくする。芝田と香子のこれからも気になる一冊である。

人魚の眠る家*東野圭吾

  • 2016/02/02(火) 13:09:08

人魚の眠る家
人魚の眠る家
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東野 圭吾
幻冬舎
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娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた―。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。


だれに寄り添って読むかで、受ける印象がものすごく変わる物語だと思う。脳死と臓器提供という重い命題と向き合うには、いささか特殊と言えなくもない状況ではあるが、一般的に言っても、両親(ことに母親)や身近な親族、つき合いのある周りの人たち、ニュースで見聞きするだけの人々、と当事者との関係性によって受け取り方も千差万別――同情的であったり、批判的であったり――であることは、想像に難くない。しかも今作では、脳死(と言い切ってしまうことはできないが)状態に押しひったのは幼い子どもであり、お金に物を言わせて親のエゴを押しつけている、と取られても致し方ない状況でもある。わたしも途中までは割とそちら寄りで読んでいたのだが、ラスト近くなって、そうとばかりも思えなくなってくるのだった。これが正解、という対応策は、おそらくこれから医療がどれだけ進歩したとしても、見つからないのだろう。ただ思うのは、周りが納得した上で穏やかに旅立たせてあげられることが、残された人たちの未来に向けてもいちばんなのではないかということである。常日頃、臓器提供の意思表示カードは携帯しているが、いざその場に自分が立ち会うことになったときに、どれだけ納得できるかは、その場に立ってみなければ判らない、というのが正直なところでもある。重すぎるテーマではあったが、ラストは爽やかささえ感じられ、この家族にはこの対応が必要だったのだと思えた一冊だった。

ラプラスの魔女*東野圭吾

  • 2015/11/12(木) 09:35:42

ラプラスの魔女
ラプラスの魔女
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東野 圭吾
KADOKAWA/角川書店 (2015-05-15)
売り上げランキング: 4,613

"円華という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、行動を共にするにつれ彼女には不思議な《力》が備わっているのではと、疑いはじめる。
同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する――。
価値観をくつがえされる衝撃。物語に翻弄される興奮。
作家デビュー30年、80作目の到達点。

これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。
そしたらこんな作品ができました。 ――東野圭吾"


手術によって機能を高められた脳による予測、遺伝的に父性を持たない者としての生き方、自然現象がもたらす脅威。それらさまざまな要素が複雑に絡み合って起こってしまった、凡人には不可解な出来事の物語である。特殊な能力を身に着けることになった謙人にとって、世界はどんなふうに見えていたのだろう。そして、自ら望んで手術を受けた円華が得たものの価値は、失ったものより大きかったのだろうか。警察やボディーガード、大学教授らを振り回しながら、謙人がたどり着き、円華が追いかけたことの、あまりの哀しさやり切れなさに胸が塞がれる思いがする。面白かったことは間違いないが、好みとしては、理詰めで解き明かしていく物語の方が好きかもしれない。果しない荒野に荒んだ風が吹く印象の一冊である。

マスカレード・イブ*東野圭吾

  • 2014/11/12(水) 12:32:41

マスカレード・イブ (集英社文庫)マスカレード・イブ (集英社文庫)
(2014/08/21)
東野 圭吾

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ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク山岸尚美と、警視庁捜査一課の新田浩介。『マスカレード・ホテル』で二人が出会う前、大学教授殺人事件の真相とは!? 新シリーズ第2弾!!ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク山岸尚美と、警視庁捜査一課の新田浩介。『マスカレード・ホテル』で二人が出会う前、大学教授殺人事件の真相とは!? 新シリーズ第2弾!!


表題作のほか、「それぞれの仮面」 「ルーキー登場」 「仮面と覆面」

短編だが、フロントクラークとして新人の山岸尚美の観察眼が捜査の役に立つという意味でキーになっている連作なので、ぶつぶつ途切れる感じがなく愉しめる。『マスカレード・ホテル』では、潜入捜査中の新田刑事の教育係なので、前作以前の物語と言えよう。それでタイトルにも「イブ」がつくのか、と納得。新田も捜査一課の刑事として、要所でいい働きをしているが、まだ尚美と知り合いではない。ホテルマンの矜持と尚美固有の観察眼が今作でも生きていてテンポよく愉しい一冊だった。

疾風ロンド*東野圭吾

  • 2014/09/16(火) 09:13:02

疾風ロンド (実業之日本社文庫)疾風ロンド (実業之日本社文庫)
(2013/11/15)
東野 圭吾

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強力な生物兵器を雪山に埋めた。雪が解け、気温が上昇すれば散乱する仕組みだ。場所を知りたければ3億円を支払え―そう脅迫してきた犯人が事故死してしまった。上司から生物兵器の回収を命じられた研究員は、息子と共に、とあるスキー場に向かった。頼みの綱は目印のテディベア。だが予想外の出来事が、次々と彼等を襲う。ラスト1頁まで気が抜けない娯楽快作。


秘密裏に開発していた生物兵器が盗まれ、とある雪山に埋めたので三億円支払え、と強迫されるが、犯人はあっけなく事故死。さあ埋められた場所はどこなのか。早く回収しないと、どれほどの被害が出るか見当もつかない。これ以上ないほどスリリングな設定で、手に汗握る展開なのだが、見当をつけたスキー場に探しに行った栗原自身がスキーが得意ではなく、早々に足を捻って戦線からリタイアする辺りから、なんとなく気が抜け、ハラハラ感が薄らぎ、真実の事情を知らずに創作を請け負ったパトロール隊員たちの活躍が清々しくもあるせいで、さらに危機感は薄れた気がする。だが、状況は二転三転し、まさに紹介分のとおりラスト1ページで思わぬ落ちに出くわすことになるのである。シリアスで気が抜けないのだが、なんとなくほのぼの感も漂う一冊である。

虚ろな十字架*東野圭吾

  • 2014/08/23(土) 16:30:56

虚ろな十字架虚ろな十字架
(2014/05/23)
東野 圭吾

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別れた妻が殺された。もし、あのとき離婚していなければ、私はまた遺族になるところだった。東野圭吾にしか書けない圧倒的な密度と、深い思索に裏付けられた予想もつかない展開。私たちはまた、答えの出ない問いに立ち尽くす。


死刑制度を題材にした物語である。ひとり娘をほんのわずかな油断から無残に殺され、その後別れた夫婦のその後の人生と、その先で別れた妻が見舞われた殺人事件。行きずりの犯行と思われていた殺人事件に、元夫は見過ごせない偶然を発見し、思いもかけない真相にたどり着く。その過程で、関わりのある人々の死刑に対する想いがそれぞれに主張されるが、著者自身が何らかの答えを出しているわけではない。正論は正論で存在し、当事者になればまた違った切望も発生するだろう。考えれば考えるほど堂々巡りのように同じところを行ったり来たりすることになるが、考えることが大切なのかもしれない。命の大切さと償いのことも考えさせられる一冊である。

祈りの幕が下りる時*東野圭吾

  • 2014/01/21(火) 18:53:07

祈りの幕が下りる時祈りの幕が下りる時
(2013/09/13)
東野 圭吾

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悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが…。


加賀恭一郎シリーズである。今回も、加賀は単独で歩き回り、真実に迫る要素を集めてくるのだが、決して独断専行というわけではなく、いつも以上に従兄弟の松宮の補佐的な立ち位置で、松宮を立てているのが目につく。いままでは松宮が加賀にくっついて歩いている感が否めなかったが、ずいぶん成長したもので、今後は加賀のいい相談相手になるだろうと思わせてくれる。加賀がなぜ日本橋所にこだわり続けるかという疑問に答えも出たし、わだかまりのあった母親との経緯もすっきりさせることができて、読者も加賀と一緒に一歩前に進める気がする。犯した罪が消えることはないが、根っからの悪人がいないのが、かえって切なく哀しくやりきれない。読み応えのある一冊だった。

夢幻花*東野圭吾

  • 2013/07/17(水) 17:06:34

夢幻花(むげんばな)夢幻花(むげんばな)
(2013/04/18)
東野 圭吾

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黄色いアサガオだけは追いかけるな―。この世に存在しないはずの花をめぐり、驚愕の真相が明らかになる長編ミステリ。


プロローグがいきなり通り魔殺人事件。だが、本編に入るとまるで別の物語のようで、あの事件がこの先どうつながってくるのだろう、と嫌でも興味をかきたてられる。本編では、秋山家のことが語られる。梨乃の従兄・尚人が自殺し、梨乃の祖父・秋山周治が殺される。そのことを調べる内に、まるで無関係に見えていた点と点がつながり、事件は急展開を見せるのである。次々と点がつながり始め、一枚の絵になっていくにつれて、背筋がぞくぞくする思いに駆られる。ここもこんな風に繋がってくるのか、という感じである。気高くも哀しいほど責任感の強い一族ゆえの物語でもあるかもしれない。惹きこまれる一冊だった。

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禁断の魔術 ガリレオ8*東野圭吾

  • 2013/04/25(木) 20:28:22

禁断の魔術 ガリレオ8禁断の魔術 ガリレオ8
(2012/10/13)
東野 圭吾

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湯川が殺人を?「自業自得だ。教え子に正しく科学を教えてやれなかったことに対する罰だ」。ガリレオシリーズ初の完全書き下ろし。

『虚像の道化師 ガリレオ7』を書き終えた時点で、今後ガリレオの短編を書くことはもうない、ラストを飾るにふさわしい出来映えだ、と思っていた著者が、「小説の神様というやつは、私が想像していた以上に気まぐれのようです。そのことをたっぷりと思い知らされた結果が、『禁断の魔術』ということになります」と語る最新刊。
「透視す」「曲球る」「念波る」「猛射つ」の4編収録。ガリレオ短編の最高峰登場。


上記タイトルの読みは「みとおす」「まがる」「おくる」「うつ」と、ガリレオシリーズ独特のものである。だが、タイトルだけでこれからどんな物語が始まるのかなんとなくだが想像できる。最後の「猛射る」はなかなか想像がつかなかったが、哀しくもあり苦しくもある物語だった。湯川にとっても、犯人にとっても、そして読者にとっても。湯川先生に関しては、思うことがいろいろあるが、もうこうなったらこの湯川像を受け入れるしかないのだろう。また神さまが下りてきて、今作を超える湯川先生の活躍が見られることを願わずにはいられないシリーズである。

虚像の道化師--ガリレオ7*東野圭吾

  • 2012/11/17(土) 17:03:04

虚像の道化師 ガリレオ 7虚像の道化師 ガリレオ 7
(2012/08/10)
東野 圭吾

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東野圭吾の代表作、「ガリレオシリーズ」の最新短編集。
ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。その場にいた者たちは、男が何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りたと証言し、教祖は相手に指一本触れないものの、自分が強い念を送って男を落としてしまったと自首してきた。教祖の“念”は本物なのか? 湯川は教団に赴きからくりを見破る(「幻惑(まどわ)す」)。突然暴れだした男を取り押さえようとして草薙が刺された。逮捕された男は幻聴のせいだと供述した。そして男が勤める会社では、ノイローゼ気味だった部長が少し前に自殺し、また幻聴に悩む女子社員もいた。幻聴の正体は――(「心聴(きこえ)る」)。大学時代の友人の結婚式のために、山中のリゾートホテルにやって来た湯川と草薙。その日は天候が荒れて道が崩れ、麓の町との行き来が出来なくなる。ところがホテルからさらに奥に行った別荘で、夫婦が殺されていると通報が入る。草薙は現場に入るが、草薙が撮影した現場写真を見た湯川は、事件のおかしな点に気づく(「偽装(よそお)う」)。劇団の演出家が殺された。凶器は芝居で使う予定だったナイフ。だが劇団の関係者にはみなアリバイがあった。湯川は、残された凶器の不可解さに着目する(「演技(えんじ)る」)。
読み応え充分の4作を収録。湯川のクールでスマートな推理が光る、ガリレオ短編集第4弾。


そうか、ガリレオシリーズは著者の代表作、という位置づけなのか。映像の力、ということだろう。いつまでも、当初の湯川先生のイメージにこだわっていてはいけないのだろうということはわかっているが、どうにも釈然としない心持ちになってしまうのも確かなのである。それは置いておくとして、物語としては、さまざまな要素が盛り込まれていて愉しめた。ただ、湯川先生が社会生活にだんだん適応してきたのか、変人ぶりが薄れつつある気がして、それが少しさみしくもある。草薙刑事に期待しつつ、次回作もたのしみに待ちたいシリーズではある。

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ナミヤ雑貨店の奇蹟*東野圭吾

  • 2012/06/13(水) 21:33:54

ナミヤ雑貨店の奇蹟ナミヤ雑貨店の奇蹟
(2012/03/28)
東野 圭吾

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夢をとるか、愛をとるか。現実をとるか、理想をとるか。人情をとるか、道理をとるか。家族をとるか、将来をとるか。野望をとるか、幸せをとるか。あらゆる悩みの相談に乗る、不思議な雑貨店。しかしその正体は…。物語が完結するとき、人知を超えた真実が明らかになる。


 第一章 回答は牛乳箱に
 第二章 夜更けにハーモニカを
 第三章 シビックで朝まで
 第四章 黙祷はビートルズで
 第五章 空の上から祈りを

ナミヤ雑貨店のシャッターの郵便受けと牛乳箱は未来と過去に繋がっている。不思議な設定だが、すんなり納得できてしまうのは、さまざまな点がどんどんつながり、ひとつの輪になっていく見事さゆえだろうか。登場人物の誰ひとりとしてその輪の中に入っていない人はいなく、ひとつひとつの小さな出来事がすべて別の出来事とつながっている。時間と空間を超えて、人が人のことを深く真剣に考える真摯さと熱意、それに対する感謝と恩返しの心の温かさが、いたるところにあふれている。
著者には珍しいファンタジーである。こういう東野さんも好きだと思わされる一冊である。

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聖女の救済*東野圭吾

  • 2012/04/23(月) 19:36:39

聖女の救済聖女の救済
(2008/10/23)
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男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。湯川が推理した真相は―虚数解。理論的には考えられても、現実的にはありえない。


ガリレオシリーズである。
ドラマの、湯川=福山がどうも腑に落ちなくて、それを想定して書かれているような後続作品を読む気になれずにいたのだが、やはり手が出てしまったのだった。福山、柴咲コンビに見えてしまうのは仕方がないとしても、それ以外はさすが東野さんだった。よくこんなトリックを考えついたものである。読み進めるほどに、新たな局面がちらちらと姿を現すので、目が離せなくなる。内海の動物的勘や、草薙の恋(?)心も、物語に面白みを増すスパイスになっている。タイトルも秀逸な一冊である。

歪笑小説*東野圭吾

  • 2012/03/10(土) 17:15:59

歪笑小説 (集英社文庫)歪笑小説 (集英社文庫)
(2012/01/20)
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新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身近は事件がいっぱい。ブラックな笑い満載!小説業界の内幕を描く連続ドラマ。とっておきの文庫オリジナル。


小説業界の内幕を暴露する!というとなにが飛び出すかといささか身構えもするが、基本的なスタンスは真面目なのだろうと思う。小説を生み出す小説家はもちろん、編集者や彼らを取り諸々の事情や実情を、面白おかしく――しかもブラックに――描いているが、そこには小説に対する愛が感じられる。東野さんの本音もちらちら見え隠れする一冊で興味深くおもしろい。
そして、目次にわざわざ「巻末広告」と載っているのはなぜだろうと思ったが、なるほどそういうことだっがか、と最後まで愉しませてもらった。