季節の記憶*保坂和志

  • 2005/03/29(火) 14:21:26

☆☆☆・・


 「ともかく細部がいい。日常の会話の中に
 骨の太い哲学が溶け込んでいる」  池澤夏樹氏

                      (帯より)


たしかに、池澤氏の言葉のとおり、なんでもない日常の細かな描写はとてもよく描かれていると思う。ゆらゆらと情景が浮かび立つように思える。
そして、登場人物たちのほとんどが、自分のことを「虎の威」を借りない「狐」として、ちゃんとあるがままに捉えていることにも好感が持てる。
しかし、以前の保坂作品の際にも書いたように、ときどき地の文があとからあとから繋がっていくのが どうにも好きになれない。
出発する時に予想していたのと微妙に着地点が変わっていくような気分になるのが、なんだか言い含められているように思えてしまうのだ。
それが作者の狙いなのだとしたら、何を狙っているのかちょっとわたしには解らない。

全体のトーンは好きなのだが。

この人の閾(いき)*保坂和志

  • 2005/03/11(金) 13:55:44

☆☆・・・
この人の閾(いき)

表題作の他、東京画・夏のおわりの林の中・夢のあと。

 「遊びにおいでよ」――
 時は静かに流れ、“日常”は輝いている!

 芥川賞受賞作
          (帯より)


はっきり言って、よくわからなかった。
文章は――特に『東京画』において――メリハリがなく冗長に思えるし、内容も、≪描かれている≫というよりは≪書かれている≫だけだという気がする。
私とは相性がよくなかったようだ。