すべての怒りは水のごとくに*灰谷健次郎

  • 2005/01/10(月) 08:51:39

☆☆☆・・


 怒りを怒りとしてではなく、
 すべての怒りを海にそそぐ水のごとくに、
 未来を見すえて語ったその静けさが、
 わたしたちの胸を深く、そして強くたたく。

                           (帯より)


新聞・雑誌等に寄せたものをまとめた一冊である。
著者が人間のほんとうのやさしさや、ありようについて、思うところ・影響を受けたことごとを書き綴っている。
「すべてのものに神が宿る」という自然崇拝の心を万人が抱くことができたなら、この世にないがしろにされるべきものはなにもなくなり、差別とも諍いとも遠い世界も夢ではないかもしれない。命を粗末にしないことが身に染みるなら、家庭教育も 学校教育も自ずから変わってくることだろう。

天の瞳 あすなろ編*灰谷健次郎

  • 2004/05/03(月) 20:03:07

☆☆☆☆・


倫太郎たちの中学一年時代のことに終始するあすなろ編。

それほど困難が多いのである。特に学校でのことが。
生きていく上で何が悪いかと言って 無気力・無関心ほど何の実にもならないことはないのだ、ということを今更ながら思わされる。何かに引っかかったら ほんの少しでも動くこと、それが引っかかりを解消するための小さな一歩になるのだ。動かない内から諦めてはいけない。
しかし 言うは易し、なのである。多くの人々――もちろん私をも含めて――にとっては それが。

倫太郎たちはこれからどんな風に成長し どんな大人になり どんな子育てをするのか、楽しみである。

天の瞳 成長編 ⅠⅡ*灰谷健次郎

  • 2004/04/19(月) 19:35:09

☆☆☆☆・


倫太郎たちは 中学生時代の真っ只中に。
対立する非行グループの乱闘騒ぎやあんちゃんの入院、と次から次へと心を痛める出来事が待ち受けている。その時その場で 出来事と向き合って解決策を探る倫太郎たち四人組と大人も含めたまわりの人びと。

成長編の最後では 中学の問題に声を上げる人たちも出てきたり 信頼できる人との新しい出会いもあり、先が見えないながらも進展を予感させるものがある。起こったことを他人事にせず自分のこととして一生懸命に考える、そして自分にできることを少しずつ行動に移していく。言うは易し行うは難し、だが すべてはそこから始まるのだとも言えそうである。
つくづく 人は一人で生きているのではない、ということを思わせられるのである。

天の瞳 少年編 ⅠⅡ*灰谷健次郎

  • 2004/04/18(日) 19:33:51

☆☆☆☆・


小学校を卒業し 中学に入学した倫太郎たち。
そこでもまたまたこれまで以上の理不尽が彼らを待ち受けている。

人間関係もより複雑になり 話し合いの予知さえ許されない体制とのせめぎあいや 「不良」という名をお与えられている先輩たちとの関わり方を 彼らなりに真正面から受け止め悩む中学時代が始まったのだ。
親としての芽衣や潤子の葛藤も 小学生時代のそれとは格段に違っている。
これからどんな風に倫太郎たちが立ちはだかる壁を打ち破っていくのかが興味深い。
続く成長編も楽しみである。

天の瞳 幼年編 ⅠⅡ*灰谷健次郎

  • 2004/04/14(水) 19:31:56

☆☆☆☆・


 可能性のかたまりが、ここにひかり輝いている。
 破天荒な行動力、自由闊達な心が生み出した倫太郎の魅力を描く。

                        (帯より)

小瀬倫太郎と彼を取り巻く人びととの 長い長い時間を描いた大河小説。
まずは 保育園入園から小学校高学年までの 幼年編。

倫太郎の生きる力の源はなんだろう――と考えてみる。
初めて出会った大人の彼に向かう心積もりが 天性のものを認め伸ばしてこうなったのだろう。
子供を産み育てるとき こうありたい、というあれこれが この作品にはいたるところに散りばめられている。それは自分の身に引き比べると 痛いことでもある。
自分を飾らないこと、自分に正直であること、物事を広く見ること、目を逸らさないこと。
たくさんの大切なことを胸の中に投げてくれる作品である。
この先 少年編・成長編・あすなろ編 と 読み進めていきたい。