明治・妖モダン*畠中恵

  • 2017/08/11(金) 16:41:29

明治・妖モダン
明治・妖モダン
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畠中 恵
朝日新聞出版 (2013-09-06)
売り上げランキング: 19,356

「江戸が終わって20年。妖たちが、そう簡単にいなくなると思うかい?」煉瓦街が広がり、アーク灯が闇を照らす銀座に、ひっそりと佇む巡査派出所。そこに勤務する原田と滝は、“かまいたち”に襲われた者や、瞬く間に成長を遂げる女の子の世話など、不思議な対応に追われてばかり。それらは、とてもこの世のものとは思えず…。摩訶不思議な妖怪ファンタジー。


第一話 煉瓦街の雨  第二話 赤手の拾い子  第三話 妖新聞  第四話 覚り 覚られ  第五話 花乃が死ぬまで

このシリーズの一作目だが、読んでいなかっただろうか(なぜか読んでいなかったようである)。ただでさえ忙しい銀座の巡査、滝や原田のところには、きょうも事件が押し掛けてくる。近所の牛鍋屋・百木屋の主・百賢、常連客のお高や赤手を巻き込んで、解決したり、余計にややこしくしたりと大忙しである。江戸から明治に替わって二十年。華やかな表の顔を見せる銀座の煉瓦街も、一歩裏手に入れば、妖しい雰囲気も流れている。まだまだ人と妖が近くに居た時代の、ちょっと不思議な日常の物語である。二作目から読んだからこそ判りやすい部分もあったかもしれない。この先も愉しみなシリーズである。

ひとめぼれ*畠中恵

  • 2017/07/22(土) 16:28:10

ひとめぼれ
ひとめぼれ
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畠中 恵
文藝春秋
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札差の娘と揉めて上方へ追いやられた男。その思わぬ反撃とは(「わかれみち」)。盛り場で喧伝された約束が、同心一家に再び波紋を呼び起こす(「昔の約束あり」)。麻之助の亡き妻に似た女にもたらされた三つの縁談の相手とは(「言祝ぎ」)。火事現場で双子を救った麻之助は、新たな騒動に巻き込まれる(「黒煙」)。行方不明の男を探すため、麻之助は東海道へと旅立とうとする(「心の底」)。沽券が盗まれた料理屋から、一葉が消えてしまったのは何故か(「ひとめぼれ」)。いつの世も思い通りにならない、人の生死と色事。泣きたいときほど泣けない、「まんまこと」ワールド、慟哭の第六弾。


相変わらずにお気楽者ではあるのだが、町名主見習いとしてのお役目をしっかりやろうという自覚は増々確かなものになっているように見える麻之助である。そのときはっきり判らなくとも、何か心に引っかかるものをそのままにせず、さまざまな方向から考えを巡らせる知恵もあり、なかなかに頼もしいところもあるのである。今作では、清十郎の妻・お安や、丸三の女房・お虎、そして吉五郎の許嫁・一葉といった女性陣が知恵を働かせて活躍する機会が多かったのも嬉しいところである。みんな少しずつ大人になり、一人前の仕事をするようになっていくのだとなにやら感慨深い。麻之助にもしあわせがやってきますように、と祈らずにはいられない。次も愉しみなシリーズである。

まことの華姫*畠中恵

  • 2016/12/19(月) 07:11:04

まことの華姫
まことの華姫
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畠中 恵
KADOKAWA (2016-09-28)
売り上げランキング: 155,519

人形遣い月草と姫様人形お華の迷コンビが江戸の事件を快刀乱麻!

江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――

姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。
六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。
二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。
そして明らかになる語り部・月草の意外な過去……

心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。
しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて……
快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド!


表題作のほか、「十人いた」 「西国からの客」 「夢買い」 「昔から来た死」

両国の見世物小屋で腹話術の話芸を見せる月草と木偶人形のお華、そして、小屋を仕切る地回りの山越親分の娘のお夏が繰り広げる物語である。真実を語ると噂される木偶人形の華姫は、月草に操られていることを思わず忘れるほど生きているように見える。客たちは、まことの華姫と呼び、華のまことの言葉を聞きたがる。噂を聞きつけて遠国からやってくる者もいて、月草がいくら否定しても噂は広まるばかりである。月草の事情、華姫の由来、夏の屈託など、さまざまな要因が絡み合い、そこに持ち込まれる謎と相まって、なにやら独特の雰囲気が醸し出される。月草と華姫はこれからどうなるのか。たのしみなシリーズになりそうな一冊である。

おおあたり*畠中恵

  • 2016/10/19(水) 16:52:11

おおあたり
おおあたり
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畠中 恵
新潮社
売り上げランキング: 2,537

そろそろ跡取りとしての仕事を始めたいんだ!そのためには、この妙薬を飲むしかー。病弱若だんなの切実な願いは叶うの?兄や達の心配っぷりも絶好調なシリーズ最新刊。


一太郎、相変わらず寝付いております。でも、早く店の仕事をきちんとこなして父の助けになりたいという思いは日に日に募っているようである。仁吉とと佐助が長崎屋に来ることになった、一太郎・5歳の頃の物語も差し挟まれ、いつもとはいささか趣が違う印象でもある。親友の栄吉のお菓子も相変わらず上手にならず、それが思わぬ展開になったりもする。栄吉には辛いこともあり、一日も早く一人前の菓子職人にしてやりたいものだと願ってしまう。そしてなにより、一太郎に少しでも自信を点けさせてあげたいものである。なんとかならないものかとやきもきする一冊でもある。

若様とロマン*畠中恵

  • 2016/07/08(金) 20:12:27

若様とロマン
若様とロマン
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畠中 恵
講談社
売り上げランキング: 80,290

一見平和そうに見える明治の世の中に、不穏な空気が漂いはじめていた。
数年以内に”戦争”が始まるかもしれない――。成金のひとり、小泉琢磨は、戦へと突き進む一派の意向をおさえるべく、動いていた。が、このままでは開戦派のやりたいようになってしまう、そう懸念した琢磨は、今いる仲間以上に人を集めようと考える。そしてその秘策がなんと、「若様たちのお見合い」だったのだ!
お見合いをさせ、縁組みをし、開戦派に対抗する同士を増やそうというその魂胆、果たして?!
若様組シリーズ最新作、ついに登場!


今回の若様たちは、降って湧いたようなお見合い話に翻弄される。そして翻弄されつつも、その折々に現れる謎をなんとかかんとか解き明かしてしまう。戦争の足音がひたひたと近づいているという背景もあり、軍がらみの事件もあったり、沙羅の決断が早まったりとあちこちに影響も出てくる。若様組の道もさまざまだが、みんなにしあわせになってほしいと思わされるシリーズである。

うずら大名*畠中恵

  • 2016/01/17(日) 17:08:12

うずら大名
うずら大名
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畠中 恵
集英社
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正体不明の“大名"と泣き虫の村名主が江戸を揺るがす難事件に挑む!

若き日に同じ道場に通った貧乏武家の部屋住み・有月と百姓の三男・吉也。
金もなく、家にも町にも居場所がなく、この先どうやって生きていけばいいのかと
悩む日々を共に過ごしてきた。
時は流れ、吉也は東豊島村の村名主となり吉之助と改名。
ある日、大名家へ向かう途中に辻斬りに襲われるが、
「御吉兆ーっ」という鳴き声とともに飛び込んできた白い鶉とその飼い主であるお武家によって命を救われる。
お武家の正体は、十数年ぶりに再会した有月だった。
涼やかな面で切れ者、剣の腕も確かな有月は大名を自称するが、どう見ても怪しく謎めいている。
そんな有月と勇猛果敢な鶉の佐久夜に振り回されながら、吉之助は江戸近隣で相次ぐ豪農不審死事件に巻きこまれていく。
一つ一つの事件を解決するうちに、その背景に蠢く、江戸城を揺るがす恐ろしい陰謀が明らかになり――。
新しい畠中ワールドの幕開けとなる、痛快時代小説の誕生です!


畠中さんのシリーズもののキャラクタはどれも好いなぁ。今回も、見目麗しいが、すでに隠居の身で一見ふらふらしているように見える有月さんといい、大名家にお金を貸すほどの豪農であり名主でありながら、相変わらずに泣き虫の吉之助といい、出来過ぎでないところが親近感を持たせてくれて、物語をより近しく感じさせてくれる。そして何よりタイトルにもなっている、有月さまの巾着鶉の佐久夜の賢さと愛らしさが群を抜いている。あちこち手を回し、綿密に調べ、罠を張って犯人をおびき出し、事件を解決する手腕も見事だが、佐久夜の活躍も見逃せない。たのしみなシリーズになること間違いないと思わされる一冊である。

明治・金色キタン*畠中恵

  • 2015/12/22(火) 19:35:12

明治・金色キタン
明治・金色キタン
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畠中 恵
朝日新聞出版
売り上げランキング: 8,206

にぎやかなキャラクター達の織りなす楽しさ、軽妙さに加え、恐ろしい妖の要素で背筋がぞくっともさせられる、「明治・妖モダン」シリーズ絶好調の第2弾!
明治21年の東京・銀座。巡査の滝と原田は、日々持ち込まれる事件や相談事の解決に奔走する熱血漢コンビ。だがこの二人と仲間たち、時折何やら人間離れした「妖(あやかし)」の姿をも見せるのです……!?
不忍池の競馬場、女学生と結婚事情、頼母子講+宗教的な集まりなどなど、明治の風俗がたっぷり楽しめる、1話完結の痛快な謎とき短篇集。さらに全編を通して、廃仏毀釈によって消えた寺と仏像の大きな謎もドラマチックに描かれる会心作です。


明治の銀座の派出所の巡査・滝と原田、そして彼らがたびたび顔を出す百木屋に集う面々が、巻き込まれ、持ち込む事件とその顛末の物語である。ただいささか常と違うのは、どうやらこの面々、銀座で普通に暮らしてはいるのだが、ただならぬ者たちであるようなのである。その辺りの可笑しさ、痛快さも興味深く、舞台が現代ではこうは上手くいかなかっただろうと思われて、江戸から明治に替わりはしたが、まだまだ一歩踏み入れば江戸の色の濃い混沌とした時代ゆえの大らかさも見て取れて、物語に深みを出している印象を受ける。あまりにも世の中が変わり過ぎて、なにが起こっても驚かず受け容れてしまえそうな時代だったのかもしれないと想像したりもしてしまう。事件も廃仏毀釈がらみで、祟りだのなんだのと混沌としているのもこの時代らしい。これも長く続いてほしいシリーズである。

なりたい*畠中恵

  • 2015/09/19(土) 06:59:07

なりたい
なりたい
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畠中 恵
新潮社
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来世で何になりたいか苦悶中の若だんな! 神様に気に入られる答えは見つかるの~? 許嫁も決まった病弱若だんなは仕事を覚えたくて仕方がない! 渋る兄や達を説き伏せて働いたものの、三日で寝こんじゃった。寝ながらできる仕事を探すことになったけど、悪戦苦闘。しかも消えた死体を探せとか、猫又の長を決めろとか、おまけに神様まで……。長崎屋の離れは今日も事件でてんてこまい! シリーズ第十四弾!


「妖になりたい」 「人になりたい」 「猫になりたい」 「親になりたい」 「りっぱになりたい」

店表に出ては離れで寝込み、寝込んではせっせとまた寝込む若旦那・一太郎である。許嫁も決まり、人と同じように働きたいという思いは日増しに強くなるが、躰が言うことを聞いてくれず、なんとか寝ていても人の役に立てることはないかと思案するのである。そんな折、神さまたちから出された宿題は、なにになりたいか考えること。何かになりたいあまり事を起こした人たちと関わり、謎を解き明かしていくうちに、一太郎は自分の心の奥の望みを自覚するのである。何とも切なく愛おしく、若旦那にはぜひ健康になってほしくもあり、寝付いたままで知恵を絞るのを見たくもあり、複雑な思いにとらわれるのである。いつまでも応援したいシリーズである。

まったなし*畠中恵

  • 2015/07/21(火) 12:42:49

まったなし
まったなし
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畠中 恵
文藝春秋
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江戸町名主の跡取り息子・麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・清十郎と、堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、大好評連作短篇シリーズの第5弾!
今回の密かなキーワードは実は「女難」。独身で嫁取りの話がひきもきらない清十郎ですが、いったいその理由は? 未だ妻を亡くした悲しみが癒えない麻之介、養子に入った家で年齢の離れた許婚のいる吉五郎、そして彼らの親友で大金持ちの金貸し丸三とその妾のお虎。いずれも清十郎の運命の人が現れることを願っているが、様々な障害や思わぬ事件に巻きこまれ……。


今回は、清十郎の嫁取り話に絡んだトラブルのあれこれである。麻之助は、自らにとっても他人事ではないだろうに、友の嫁取りに奔走している。そして、清十郎の縁談がこんなに周囲に影響を及ぼすものだということに改めて驚かされる。清十郎の亡き父の後添え・お由有の縁談、引いてはその子・幸太の行く末にまで。結局は清十郎も待ったなしで身を固めることになったわけだが、これからも悪友三人、清十郎の妻・お安にときには手綱を締められながら、江戸の町を飛び回るのだろうと想像が膨らむのである。次は麻之助の番だろうか。後を引くシリーズである。

えどさがし*畠中恵

  • 2015/03/09(月) 17:07:47

えどさがし (新潮文庫)えどさがし (新潮文庫)
(2014/11/28)
畠中 恵

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時は流れて江戸から明治へ。夜の銀座で、とんびを羽織った男が人捜しをしていた。男の名は、仁吉。今は京橋と名乗っている。そして捜しているのは、若だんな!?手がかりを求めて訪ねた新聞社で突如鳴り響く銃声!事件に巻き込まれた仁吉の運命は―表題作「えどさがし」のほか、お馴染みの登場人物が大活躍する全五編。「しゃばけ」シリーズ初の外伝、文庫オリジナルで登場。


表題作のほか、「五百年の判じ絵」 「太郎君、東へ」 「たちまちづき」 「親分のおかみさん」

長崎屋は登場するが、若旦那・一太郎は名前しか出てこない。そんなシリーズ外伝である。文句なく愉しめ、わくわくハラハラさせてくれる。表題作はことに、ここで終わるか!?というところで終わっていて、思わずうなってしまう。続きが知りたい。時が脈々と流れていることを改めて感じさせられる一冊でもある。

すえずえ*畠中恵

  • 2014/08/16(土) 16:37:46

すえずえすえずえ
(2014/07/31)
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な、なんと、病弱若だんなが遂に嫁取りだってぇ!? お相手は、いったい誰なの~? 上方で大活躍した若だんなの評判を聞きつけ、仲人たちが長崎屋に押しかけてきちゃった! けれど結婚したら、仁吉や佐助、妖たちとはお別れかもしれない。幼なじみの栄吉にも何かあったみたいだし……。いつまでも、皆で過ごすこの日々が続くと思っていたのにな――ハラハラな新展開にドキドキのシリーズ第13弾!


もう13作目なのか、と改めて感慨深い。若だんなの一太郎も、相変わらず寝付いてはいるが、それでもずいぶん踏ん張りがきくようになった印象である。上方なんて遠方へも出かけられるようになって、しかも帰ってすぐには寝付いていない。これはずいぶんな進歩ではないか。そして、現金なもので、そんな若だんなの活躍をいち早く聞きつけた仲人たちから、降るように縁談が持ち込まれるのである。ここで、妖を近しいものとする一太郎が嫁を取ることのむずかしさが浮かび上がってきて、それぞれの立場からの想いに鼻の奥がつんとする。でもなんとなくうまくまとまりそうな成り行きで、ひとまずほっと安心もするのだった。この先もいつまでも続いてほしいシリーズである。

たぶんねこ*畠中恵

  • 2013/08/26(月) 16:32:58

たぶんねこたぶんねこ
(2013/07/22)
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病弱若だんなが兄やと交わした五つの約束とは? 累計580万部「しゃばけ」シリーズ最新作! えっ、若だんなが大店の跡取り息子たちと稼ぎの競い合いをすることになったってぇ!? 長崎屋には超不器用な女の子が花嫁修業に来るし、幼なじみの栄吉が奉公する安野屋は生意気な新入りの小僧のおかげで大騒ぎ。おまけに幽霊が猫に化けて……。てんやわんやの第十二弾の鍵を握るのは、荼枳尼天様と「神の庭」!


表題作のほか、「跡取り三人」 「こいさがし」 「くたびれ砂糖」 「みどりのたま」

きょうもきょうとて律儀に寝付いている若だんなの一太郎である。そして相も変わらず七面倒くさい厄介ごとに巻き込まれ、あちらへこちらへと走り回っている。そんな若だんなだが、今回は、厄介ごとの巻きこまれ方がいままでとはいささか違うような気がするのである。いままではいやおうなく巻き込まれてしまった感じが強かったが、今回は、人の行く末を思いやって自ら厄介ごとを引き受ける姿勢がみられるような気がするのである。ただ寝付いているだけではなく、ずいぶん大人になったものだと感慨深い。なにより驚いたのは、若だんなってお酒が飲めるんだ、ということである。兄やたちも止めないところを見ると、普通に飲めるようである。大人になったんだなぁ。それでも躰は強くならないものか、と思わされる一冊でもある。

つくもがみ、遊ぼうよ*畠中恵

  • 2013/07/07(日) 17:00:42

つくもがみ、遊ぼうよつくもがみ、遊ぼうよ
(2013/03/27)
畠中 恵

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江戸は深川。僅かな賃料と引き替えに、何でも貸し出す損料屋の「出雲屋」には、つくもがみという妖怪と化した古道具たちがたくさん!威張りんぼうで、そのくせ友情にあつく、噂話にお茶や焼き芋、いたずらが大好き―主夫婦・お紅と清次のひとり息子十夜と幼なじみの子供らは、つくもがみたちと様々な大騒動を繰り広げ、健やかに成長していく―。


表題作のほか、「つくもがみ、探します」 「つくもがみ、叶えます」 「つくもがみ、家出します」 「つくもがみ、がんばるぞ」

『つくもがみ貸します』の続編だが、人間とはしゃべらぬという掟を破って、今作では子どもたちと話もすれば遊びもし、はたまた一緒に事件を解決までしてしまう。つくもがみはやはりこの方が親しめて愉しい。子どもたちが大きくなってきて、分別ができ、つくもがみを無闇に扱わなくなったことも大きいのだろう。十夜、市蔵、こゆりの三人組とつくもがみたちの今後も愉しみな一冊である。

ときぐすり*畠中恵

  • 2013/06/21(金) 18:13:14

ときぐすりときぐすり
(2013/05/29)
畠中 恵

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やんちゃ二人に堅物ひとり。麻之助・清十郎・吉五郎が江戸は神田で活躍する。傷心のなか、町名主名代のお役目はどうにか務めている麻之助。揉めごと諍い悩みの相談、いつもの裁定の仕事をするうちに、過ぎた時間がいつしか薬となってゆく…。新展開の『まんまこと』ワールド、感動の第四弾!


麻之助、清十郎、吉五郎トリオもすっかりお馴染みになった四作目である。今回の麻之助は、なにやらばかに忙しそうである。あとからあとから厄介事が舞い込み、しかも、なんだかんだと言いながら、躰を張って解決へと努力しているのである。それでもまだお気楽だ、いい加減だと言われるのだから可哀想な気さえしてくる。麻之助の忙しさの理由のひとつは、愛妻・お寿ずと愛娘・お咲を亡くした空虚を埋めようという町名主である父の計らいもあるのだが、麻之介も口には出さないが、きっとわかっていることだろう。幼馴染三人の絆の強さも相変わらずで――それ故の行き違いなどもあるが――何よりも心強い。高利貸しの丸三がいい味を出していた一冊でもある。

けさくしゃ*畠中恵

  • 2013/01/25(金) 21:32:11

けさくしゃけさくしゃ
(2012/11/22)
畠中 恵

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版元の山青堂です。超超超目利きな、今で言う編集者です。旗本のお殿様・高屋彦四郎様(通称彦さん)を戯作者にスカウトしたのは、このあたし。最初は渋っていたけど、彦さん、どんどん戯作の虜になっていきました。けど、人の心を強く動かすものには、お上が目をつけるのが世のならい。命をおびやかされるかもしれぬ。しかし、戯作を止められないのだ。なんて、かっこいいこと言ってる場合じゃありませんから、彦さん。はて、この顛末や如何に!?―お江戸の大ベストセラー作家の正体は、イケメン旗本だった!?「しゃばけ」シリーズ著者によるニューヒーロー誕生。


いつもの畠中ワールドとはいささか趣を異にするせいか、物語に馴染むのに時間がかかったように思う。しかも、肝心の主人公・彦さんのキャラクターがいまひとつスッキリと頭のなかに立ち上がってこないのである。妻の勝子命で病弱なイケメン、なのだが、どちらの方向にも中途半端な気がしてしまうのは、わたしだけだろうか。彦さんが巻き込まれた事件を劇作(けさく)に仕立てる内に謎を解き明かすという趣向は目新しく、興味を惹くが、もう少しインパクトが欲しい気がしてしまってもったいない。彦さんに愛着が湧けばのめりこめそうな一冊ではある。

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