亀と観覧車*樋口有介

  • 2016/08/02(火) 07:30:03

亀と観覧車
亀と観覧車
posted with amazlet at 16.08.01
樋口 有介
中央公論新社
売り上げランキング: 206,030

ホテルの清掃員として働きながら夜間高校に通う涼子、16歳。家には、怪我で働けなくなった父、鬱病になった母がいて、生活保護を受けている。
ある日、クラスメイトからセレブばかりが集う「クラブ」に行かないかと誘われる。
守らねばならないものなど何もなく、家にも帰りたくない。
ちょっとだけ人生を変えてみようと足を踏み入れた「クラブ」には、小説家だという初老の男がいた。
生きることを放棄しかけている親を受け入れ、人と関わらず生きる日々を夢見てきた涼子は、自らの人生に希望を見出すことができるのだろうか――。


涼子の境遇には、同情すべき点がありすぎて、その健気さには胸が痛む。もし現実にこんなことがあったとしたら、絶対に平穏ではいられないだろうとは思うし、涼子にとってはさらに苦難が待ち受けることになるだろうとは容易に想像できるが、物語のなかでは、スズコではなくリョウコのままで、心穏やかに暮らしてくれたらいいのに、と願わずにいられない。流れる空気は、薄暗く湿ったものだが、胸のなかにはあたたかな思いが満ちているように思われる。大切にすること、されることの意味を考えさせられる一冊でもある。

少女の時間*樋口有介

  • 2016/02/10(水) 20:38:04

少女の時間 (創元クライム・クラブ)
樋口 有介
東京創元社
売り上げランキング: 53,479

月刊EYESの小高直海経由で、大森で発生した未解決殺人事件を調べ始めた柚木。二年前、東南アジアからの留学生を支援する組織でボランティアをしていた女子高生が被害にあった事件だが、調べ始めたとたんに関係者が急死する事態に。事故か殺人か、二年前の事件との関連性は果たして? 美人刑事に美人母娘、美人依頼主と四方八方から美女が押し寄せる中、柚木は事件の隠された真実にたどり着けるのか──。“永遠の38歳"の青春と推理を軽やかに贈る、最新長編。柚木草平初登場作『彼女はたぶん魔法を使う』を思わせる、ファン必読の書。


柚木草平、相変わらず女性にマメである。というか、女難の相が出ているとも、個性的な女性に囲まれる宿命にあるとも言えるかもしれない。ともかく、女性の方から近づいてくるのだから、避けようがない、といった風でもある。だが、ひとたび事件が絡むと、目のつけどころは的確であり、――そうは見えないが――意外にフットワークも軽く、見事な推理で真実に近づいていく。警察にはなかなかできない融通の利く調査で、真相にたどり着いたとしても、罪を問う義務はない。今回も、その先どうなるのかは想像するしかない。それがまた人間臭くていい。娘・加奈子との関係がこの先どうなっていくのかも気になるシリーズである。

笑う少年*樋口有介

  • 2016/01/11(月) 17:19:48

笑う少年
笑う少年
posted with amazlet at 16.01.11
樋口 有介
中央公論新社
売り上げランキング: 184,285

シングルマザーで弁護士事務所の調査員・風町サエは、安売りピザで大儲けし、今や芸能界を牛耳る小田崎貢司から依頼を受ける。自殺したアルバイト店員の両親が求める賠償金を減額したいというのだ。一方、ある人から小田崎の弱点を探るよう頼まれ―。謎に満ちた男の前半生に潜む真実とは!


風町サエシリーズの二作目である。元ヤンキーのシングルマザーで、息子・聖也にメロメロなサエが魅力的である。心に抱えている傷を隠すように元気にふるまうが、なにかの折にはちょこっと顔をのぞかせる屈託も、彼女の魅力を増しているように思う。今回は、ダブルで仕事を請け負っており、しかも小田崎という人物が依頼人でもあり、捜査対象でもあるのが複雑である。だが、聖也のための一億円貯金という目標に向かって、やり遂げてしまうのがサエのサエたるところなのである。得体の知れない小田崎のことはなかなか明らかにならないが、最後の最後に事実が明かされたときには、驚きを隠せない。後味が悪い物語ではあるが、先へ先へと興味が尽きない一冊でもある。

金魚鉢の夏*樋口有介

  • 2014/07/10(木) 12:45:58

金魚鉢の夏金魚鉢の夏
(2014/06/20)
樋口 有介

商品詳細を見る

社会福祉の大胆な切り捨てで経済大国に返り咲いた近未来の日本。警察の経費削減で捜査を委託された元刑事の幸祐は、夏休み中の孫娘・愛芽と共に、老婆の死亡事件が起こった山奥の福祉施設を訪れる。単なる事故死で片づけるはずが、クセのある施設の人々と接するうちに幸祐の刑事根性が疼きだして…ノスタルジックな夏休みの情景に棄てられた人々の哀しみが滲む傑作ミステリ。


生活保護が廃止され、刑務所の数が減らされ、北硫黄島への流刑制度などというものができ、消費税は廃止されている。北朝鮮は日本の三か所にミサイルを落とし、中国は沖縄に上陸しようとしている。そんな想像に難くない状況の近未来が舞台なので、それだけでわずかに戸惑う。そんな時代の福祉施設で老婆が階段から転落死した事故、あるいは事件の捜査にやってきた退役刑事の幸祐と夏休みで遊びに来ていて運転手を買って出た大学一年の孫娘・愛芽である。単なる事故で処理して、愛芽を草津温泉にでも連れて行こうという目論見は崩れ、次から次へと面倒事に巻き込まれていく幸祐である。高校に通わせてもらっている由季也と父の殺人を目撃して以来声を失った中学生の蛍子のこと、厚労省からきている所長の山本夜宵とのほの甘いひととき。なにもない狭い村の狭い人間関係の中で、これほどの事件が連鎖しているとは俄かには信じがたいようなことが、芋蔓式に暴き出されていく。真相はこのまま闇に葬られてしまうのだろうか。由希也と蛍子のこれからが心配になる一冊である。

風の日にララバイ*樋口有介

  • 2013/11/26(火) 18:52:11

風の日にララバイ (ハルキ文庫 ひ 1-3)風の日にララバイ (ハルキ文庫 ひ 1-3)
(2013/09/14)
樋口 有介

商品詳細を見る

殺された有名宝石店の美人社長は五年前に別れた元妻だった――。佐原旬介は学者くずれのシングルファザー。バナナの自動皮むき機を発明したり金魚の品種改良にとり組んだりと、気楽な人生を送っている。しかしそんな中年ニートでも母を失った愛娘の悲しみは座視できず、にわか探偵としての事件の捜査をはじめる。旬介の前に登場する謎めいた美女や魅力的な女子大生、そして昔の女たち。やがて事態は思わぬ方向へ・・・・・・。中年探偵・柚木草平の前駆けをなす〈幻のシリーズ〉、待望の新装版。


シリーズ化されずに柚木草平に取って代わられてしまったということだろうか。キャラクター設定は確かに似ているので、シリーズを両立させるのはやはり難しかったのだろう。ただ、佐原旬介も何かに倦んで世を拗ねているようでありながら、娘の亜由子も家政婦のお松さんも大事にしているところが好感を持てる。そして、お松さんがなかなか魅力的である。お松さんにジュエリー青山を任せてみたかった。著者らしいテイストの一冊である。

風景を見る犬*樋口有介

  • 2013/09/27(金) 14:02:55

風景を見る犬風景を見る犬
(2013/08/05)
樋口 有介

商品詳細を見る

青春ミステリーの異才・樋口有介が初めて沖縄の「今」を題材にして書下ろした長編小説。
暑熱にうだる那覇市の旧赤線街で起きた二つの殺人事件に遭遇した高校3年生の青春は、一気に泡立ってしまう。


著者には珍しく沖縄が舞台である。住んだことがないので実際は判らないが、南国ならではの怠惰さや、田舎――ことに島であるという――ながらの閉塞感やプライバシーのなさ、沖縄の歴史的な文化や価値観などが、気負いなくリアルに描かれていると思う。そういう本土にはない特殊さの中で事件は起こり、高校生の香太郎は否応なく巻き込まれていくのである。初めは単純な構図と思われていた事件自体も、香太郎や柑奈――これまたいわくつきである。というかいわくつきでない人物がいないくらいであるのだが――の勘と分析(?)によって意外な道筋に導かれ、最後の最後に驚かされることになるのである。こういうのはとても好み。青春の光と影のような一冊である。

猿の悲しみ*樋口有介

  • 2013/01/17(木) 07:30:39

猿の悲しみ猿の悲しみ
(2012/09/24)
樋口 有介

商品詳細を見る

殺人罪で服役8年、独身、16歳不登校の息子あり。職業:弁護士事務所の美脚調査員風町サエ32歳。ついでに命じられた殺人事件の調査。歪んだ愛の発端は34年前に遡る―口は悪いが情に厚い。著者渾身の長編ハードボイルド。


美人で美脚の前科持ちシングルウーマンの主人公で、それが弁護士事務所の裏仕事を請け負う調査員だなんて、すぐにでもドラマになりそうな設定である。かなりきわどい調査もこなす主人公・風町サエであるが、息子・聖也に向ける愛情は半端ではない。無理難題をこなしながらもいつも聖也の元に早く帰りたいと思い、一緒に食べる夕食のことを考えるのである。ハードボイルド一辺倒ではない、甘々の母の顔がそこここに覗くギャップもまた魅力なのである。ぜひシリーズにしてほしい一冊である。二丁目のうらぶれたバーの片隅にいた草介さんは、もしかするとあの柚木草介だろうか。

夏の口紅*樋口有介

  • 2012/11/28(水) 17:03:01

夏の口紅 (文春文庫)夏の口紅 (文春文庫)
(2009/07/10)
樋口 有介

商品詳細を見る

十五年前に家を出たきり、会うこともなかった親父が死んだ。大学三年のぼくは、形見を受け取りに行った本郷の古い家で、消息不明の姉の存在を知らされ、季里子という美しい従妹と出会う。一人の女の子を好きになるのに遅すぎる人生なんてあるものか…夏休みの十日間を描いた、甘くせつない青春小説。


改めて上記の内容紹介を読んで、たった十日間の出来事だったのか、とその内容の濃さに驚かされる。礼司にとって、この十日は、おそらくこれからの生き方をも変える十日となったことだろう。顔も覚えていない父親の死の知らせ、父の義理の娘・季里子との出会い、存在さえ知らなかった姉を探すこと。降って湧いたような難題が、これでもかというくらい礼司に襲い掛かってくる。律儀に――礼儀正しくと言ってもいいかもしれないが――クリアしようとする礼司も、あちこちに迷惑をかけっぱなしだった父同様、たしかに少々変わっているのかもしれない。だが、そのことによって、父の生きてきた道と、残したものを知ることができ、意外に憎めない思いとともに受け止めることができるようになったのかもしれない。奇を衒ったところは何もないが、みっしりと詰まった一冊である。

雨の匂い*樋口有介

  • 2012/01/16(月) 19:05:29

雨の匂い雨の匂い
(2003/07)
樋口 有介

商品詳細を見る

癌で入院中の父親と寝たきりの祖父の面倒を一人でみる村尾柊一。彼は善意より殺意を必要とした…。あの日、雨が降っていなければ、誰も殺されなかった。必死だけど可笑しくて、実直ゆえに我がままで、優しいくせに傷つける―デビュー15周年を迎えた樋口有介の真骨頂、とにかく切ない物語。


自宅で寝たきりの祖父の世話をし、癌で余命三ヶ月と告げられた父を病院に見舞い、ご近所さんに頼まれた塀塗り仕事は丁寧にこなし、バイと先ではきちんと仕事をし、行きつけの店ではシュウちゃんだけが正常(まとも)な客だと言われる。大学は休学しているが、なんと感心な青年だろうと誰もが思う。いちばんまともに見えて、その内実は・・・・・。静かに淡々と、音もなく呼吸をするように物語が進んでいくのが怖いほどである。柊一の乱れのなさに身震いが起きそうになる。誰か、すっぽり包み込めるほど大きな愛で柊一のことを羽交い絞めにしてやって!と祈らずにはいられない。静かで怖い一冊である。

楽園*樋口有介

  • 2012/01/08(日) 17:25:18

楽園 (中公文庫)楽園 (中公文庫)
(2011/11/22)
樋口 有介

商品詳細を見る

南太平洋上の島国に、大量のプラスチック爆弾が持ち込まれた疑いが生じる。その直後、反政府主義者の男が衆人環視のなかで爆死した…。余命半年の大統領とその後継者争い、CIAの干渉。あふれる光と限りない時間、そして永遠に繰り返されるはずだった“平穏”な生活から、人々はなにを得てなにを失ったというのか。


香山二三郎氏の解説にもあるが、著者名を隠して読んだらおそらく樋口有介氏の作品とは思わなかっただろう。南太平洋の島国で繰り広げられる――大多数の島民には迷惑以外のなにものでもないであろう――外から入ってきた人々による文明と経済と政治的策謀などなど。そして、それに乗じて甘い汁を吸おうと画策する少数の者たちの思惑。そんな事々に、見過ごされがちだった島民たちが蜂起した。ほんとうの豊かさとは、ほんとうのしあわせとは何かを問いかけられるような一冊である。

刑事さん、さようなら*樋口有介

  • 2011/08/22(月) 17:04:57

刑事さん、さようなら刑事さん、さようなら
(2011/02/24)
樋口 有介

商品詳細を見る

――この手が汚れても、かまわないと思った。―― 首を吊った警官、河原で殺された風俗ライター。 二人をつなぐ“女A”を追い続ける警部補が行き着いたのは、 寂れた歓楽街の焼き肉屋だった。 「善人の罪科」と「悪人の正義」が交錯する、美しくも哀しき愛の物語。 警察組織の歪みに迫る最新書き下ろしミステリー


警察組織の歪みに迫る、と紹介文にはあるが、それほどのものではないのではないかと思いながら読んでいた。馴れ合いと隠蔽体質と裏金の問題を並べて見せただけのように思えたのだ。だが、ラスト近くで事件の根っこにあるものが次々に判ってくると、そんな印象は一気に消し飛んだ。警察官の自殺、殺された風俗ライター、焼肉点竹林(トリム)、風俗嬢たち。まさに瞬く間に思ってもみなかったつながり方をするのである。タイトルの意味もここにきて腑に落ちる。やるせなさ過ぎる。いぶし銀のような一冊である。

片思いレシピ*樋口有介

  • 2011/05/11(水) 17:19:49

片思いレシピ片思いレシピ
(2011/04/21)
樋口 有介

商品詳細を見る

学習塾内での殺人、巨大猫とカラス軍団の決闘!?そして淡い恋。あの柚木草平の愛娘・加奈子ちゃんのほほ笑ましくも、爽やかな探偵行。娘を持つすべての父親に贈る、著者渾身のミステリ。柚木草平シリーズ番外編。


番外編、愉しい。柚木草平の娘の加奈子ちゃんの大人を評する的確さに目を瞠る。とても小学生とは思えない。あの親だからこうなってしまったのかと思えば、いじらしくもある。今回柚木は加奈子ちゃんとの電話での会話と裏方でしか登場しないが、締めるところはしっかり締めているようで、ちょっぴり頼もしくも思える。そして何より印象的なのは、登場人物たちのキャラクターが少しずつ標準からずれていて、しかもそのずれ方がそれぞれ少しずつ別の方向に向いているということである。それなのに全体として見ると妙にしっくり調和してしまうのだからなんとも不思議なのである。柚木草平シリーズとは別に、加奈子ちゃんシリーズをぜひつづけていただきたいと思わされる一冊である。

窓の外は向日葵の畑*樋口有介

  • 2010/12/05(日) 16:53:57

窓の外は向日葵の畑窓の外は向日葵の畑
(2010/07)
樋口 有介

商品詳細を見る

青葉樹(あおばしげる)は東京の下町にある松華学園高校の二年生。幼馴染の真夏にバカにされながらも、江戸文化研究会に所属している。その部長である高原明日奈と副部長の佐々木信幸が、夏休み、相次いで失踪した。それを聞いて乗り出してきたのが作家志望の元刑事である樹の父親。どうも、息子のクラブの事件以上に、顧問の美人教師・若宮先生に興味があるらしいのだが…。『ぼくと、ぼくらの夏』の著者が原点に帰って描き上げた、青春ミステリの新たなる名作。


シゲルと父の視点で交互に語られる物語。単なる青春物語ではなく、登場人物それぞれがさまざまな複雑な事情を抱え、偶然と見せかけた必然によって導かれ絡め取られてしまったような一連の事件である。探偵役であるシゲルとその父にも屈託があり、ものごとを斜めに見る癖がついているように見えるのは彼らにとっては不幸なことなのかもしれない、と思ったりもするがどうなのだろう。向日葵などという思い切り明るいタイトルの割には屈託の多い一冊であるが、それがまたたまらなく魅力的でもある。

捨て猫という名前の猫*樋口有介

  • 2009/07/18(土) 08:00:40

捨て猫という名前の猫 (創元クライム・クラブ)捨て猫という名前の猫 (創元クライム・クラブ)
(2009/03)
樋口 有介

商品詳細を見る

「秋川瑠璃は自殺じゃない、そのことを柚木草平に調べさせろ」若い女の声でかかってきた月刊EYES編集部への奇妙な電話は、そう言って切れた。それは一週間前に、“女子中学生が飛降り自殺”と新聞で小さく報じられた事件だった。誰もが羨む美少女に、何があったのか―。事件を洗い直す柚木草平は、ある真実を探り出す。調査のために訪ねるのは、美少女に美女ばかりの青春私立探偵シリーズ。


三軒茶屋の雑居ビルの屋上からだれもが羨む美少女が飛び降り自殺した。一週間後に月刊EYESにかかってきた一本の電話で、柚木草平はこの件を調べることになり、調査の結果、電話の主をつきとめた直後、彼女は殺されてしまう。
相変わらず美女に弱く、懐はさみしく、しかもハードボイルドを気取る柚木であるが、視点を据えるポイントは確かである。柚木の予想を裏切らない形で次々に判明する事実と、繋がる人間関係に、やりきれなさは加速する。愚かなのは少女たちなのか、あるいは大人たちなのか。哀しすぎる一冊である。

木野塚佐平の挑戦*樋口有介

  • 2009/02/10(火) 18:28:00

木野塚佐平の挑戦木野塚佐平の挑戦
(2002/02)
樋口 有介

商品詳細を見る

国民的な人気をほこる村本啓太郎総理が57歳の若さで急死した。日本の今後を憂える私立探偵・木野塚氏の周囲に、総理が推進する政策を阻止したい勢力による暗殺らしい、という不穏な噂が駆けめぐる。気がつくと、こんな重大事件の真相調査に巻き込まれていた木野塚氏の運命や如何に!私立探偵・木野塚氏の推理が冴える(?)書き下ろし大爆笑ハードボイルド。


シリーズの二作目らしい。

木野塚佐平氏の略歴
 一九XX年、東京生まれ。荻窪産業大学卒業、三十五年間警視庁経理課に勤務。退官後新宿五丁目に「木野塚探偵事務所」を設立。秘書券助手の梅谷桃世とともに、金魚誘拐事件、犬の一目惚れ事件等、難事件を解決。荻窪の自宅に見合い結婚の婦人と二人暮らし。


人気の現職総理の急死により、世間にはさまざまな憶測や思惑が乱れ飛ぶ。そんな折、木野塚佐平はたまたま(?)引き受けた仕事をきっかけに、政治の中枢を揺るがしかねない出来事にかかわることになるのだった。
起こっていることは、国の一大事であり、政治の中枢にかかわるものなのだが、木野塚の俗物振りがあまりにも甚だしく、事件の緊迫感はどこへやら であり、そのギャップがなんともいえない。解決を見たのも、いわば桃世の根回しと行動力の賜物と言う気がしなくもないが、木野塚もほんの時々冴えた推理を見せたりもするので、単なる猿回しで終わらずにいる。
桃世の苦労もいかばかりかとも思われるが、このふたり、案外絶妙のコンビかもしれない。

> more >>>