野良猫を尊敬した日*穂村弘

  • 2017/10/02(月) 16:19:52

野良猫を尊敬した日
野良猫を尊敬した日
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穂村 弘
講談社
売り上げランキング: 67,663

現代を代表する人気歌人であり、評論、エッセイ、絵本、翻訳など幅広い分野で活躍する著者による最新エッセイ集。無邪気になれなかった子供時代、何もなかった青春、そして大人になっても未だ世界とうまく折り合えない日常をユーモアを込めて描く、魅力のエッセイ62篇


相変わらず自意識過剰で、世間とほんの少しずれていて、変わる気があるんだかないんだか、変えたいんだかそのままでいたいんだかさっぱりわからない穂村さんぶりにおかしみがにじみ出ている。今作は、いままで以上に共感する部分が多くて、うれしいのか情けないのか、思わず苦笑が浮かんでしまう。読者としては、意気込むことなく穂村路線をゆるゆる歩んでいただきたいと願う一冊でもある。

穂村弘の、こんなところで。*穂村弘 荒木経惟

  • 2016/11/24(木) 07:10:53

穂村弘の、こんなところで。
穂村 弘
KADOKAWA (2016-09-29)
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誰よりも輝いているあの人たちに、いまいちどききたい。

輝いている人は、人に見せない“芯” がある。
歌人・穂村弘が贈る、いま最も活躍している41人との刺激的なトークセッション。
写真・題字:荒木経惟


資生堂の花椿に掲載された対談をまとめたものだそうである。さまざまなジャンルで活躍する人たち――雑誌の性格上か女性が多いが――と著者が向き合い、いま訊きたいことを問いかけていくという趣向。第一線で活躍している人たちは、さすがに切り返しがお見事で、それぞれのプロフェッショナル感に感心させられる。著者は今回はインタビュアーという立ち位置なので、エッセイに見られる不思議ちゃん感はずいぶん薄いが、それでも、反応する場所が独特なこともあったりして、穂村ファンにも愉しめる。荒木経惟のモノクロ写真と、それにぶつけたようなカラフルな絵の具が、各人の個性を一瞬で切り取っているようで目を瞠る。隙間時間にも愉しめる一冊だった。

鳥肌が*穂村弘

  • 2016/08/05(金) 09:40:09

鳥肌が
鳥肌が
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穂村 弘
PHP研究所
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小さな子供と大きな犬が遊んでいるのを見るのがこわい。自分以外の全員は実は……という状況がこわい。「よそんち」の不思議なルールがこわい。赤ちゃんを手渡されると、何をするかわからない自分がこわい……。
日常の中でふと覚える違和感、現実の中に時折そっと顔を覗かせる「ズレ」、隣にいる人のちょっと笑える言動。それをつきつめていくと、思わぬ答えが導き出されていく。こわいから惹かれる、こわいからつい見てしまう。ただ、その裏にあるものを知った時、もう今まで通りではいられない!?
ユーモア満載で可笑しいのに、笑った後でその可笑しさの意味に気がついたとき、ふと背筋が寒くなる。そんな42の瞬間を集めた、笑いと恐怖が紙一重で同居するエッセイ集。
カバーの触感、スピンなど、祖父江慎氏による、さらに「違和感」を増幅させる、一風変わった装丁にも注目!


まず目を引かれる、というかあれっと思わされるのは、装丁の触感である。祖父江慎氏が手掛けたと知って、なるほど、と納得した。タイトルと見事に連動していて、ほかにも仕掛けがないかと思わず探してしまう。中身は、いつもの著者である。肯かされることも多々あり、それはちょっと極端に過ぎないか、と思わされることもあり、いつもながらになかなか興味深い。その人なりの引っ掛かりポイントが、必ずあるはずで、無意識にしていることが、もしかすると非常識なのでは?とぞくっと鳥肌が立ちそうにもなる一冊である。

にょにょにょっ記*穂村弘 フジモトマサル

  • 2015/10/16(金) 12:32:02

にょにょにょっ記
にょにょにょっ記
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穂村 弘 フジモト マサル
文藝春秋
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元気さの単位を考えたり毛布の中の見つからない穴を探したりと、日々順調に妄想と詩想の間をさまよい歩く穂村弘。日記という日常の記録が、言葉の鬼才の脳内を通りぬけ、ぴかぴかに結晶、ビザールかわいい一冊に。本作から共著者となったフジモトマサルの漫画も増量です。


もちろん相変わらず文句なく面白い。そしてなんだか前作よりも頷く場面が多くなった気がして、自分――いままでこれが自分だと思っていた自分――のことがちょっぴり信じられなくなったりもする。でも嬉しい。フジモトマサル氏の絵と相まって、穂村ワールド、ますますほのぼのしている印象の一冊である。

蚊がいる*穂村弘

  • 2014/09/06(土) 16:35:17

蚊がいる (ダ・ヴィンチブックス)蚊がいる (ダ・ヴィンチブックス)
(2013/09/13)
穂村弘

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日常生活の中で感じる他者との感覚のズレ、居心地の悪さ、「ある」のに「ない」ことにされている現実……なぜ、僕はあのとき何も云えなかったのだろう。内気は致命的なのか。自称“ふわふわ人間"穂村弘のあたふたっぷりに共感しつつ、その鋭い自分観察と分析は、まさに“永久保存用"の納得感。
フリーマガジン『L25』で連載していた「蚊がいる」、読売新聞「○○のマナー」、週刊文春「かゆいところがわからない」、文芸誌『GINGER L.』の「この辺に埋めた筈」などの人気連載に、ピース・又吉直樹との対談を加えて刊行。
装丁=横尾忠則


折しもデング熱騒動のさなかの現在、いささか物騒なタイトルではある。だがもちろん、デング熱とは露ほどの関わりもない。相変わらず全開のほむほむ節が小気味よい。肯ける部分が多いのはいいことなのかどうなのかは別として、ついつい、そうそう、と膝を打つことも多い。世渡り下手なすべての人に勇気を与える一冊である。ピースの又吉さんとの対談も、うっすらとテンションが低くて好みである。

人魚猛獣説 スターバックスと私*穂村弘

  • 2014/04/30(水) 16:49:06

人魚猛獣説―スターバックスと私人魚猛獣説―スターバックスと私
(2009/12)
穂村 弘

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人気歌人・穂村弘がスターバックスの謎に迫る。


2008年のクリスマスにスターバックス コーヒー ジャパンのWebサイトで連載した「スターバックス三十一文字解析」に加筆・修正して、一冊にまとめたものだそうである。
一般から募ったスターバックスについての短歌や、熱く語られたコメント欄の内容などを織り交ぜながら綴られる、スターバックスと著者の関係など。いつもの自意識過剰気味の反応も微笑ましいが、ある種、スターバックスあるあるのようでもあって、自分にも当てはまることがたくさんあって笑ってしまう。いますぐスターバックスに行ってみたくなる一冊である。

君がいない夜のごはん*穂村弘

  • 2011/06/22(水) 16:50:04

君がいない夜のごはん君がいない夜のごはん
(2011/05/25)
穂村 弘

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今日も真夜中のキッチンで私は電子レンジの「あたためスタート」ボタンを押す。 人気歌人・穂村弘の「食べ物」をテーマにした異色エッセイ集! 料理ができず、味音痴で、飲食店にひとりで入れない……、という著者の奮闘する姿に 思わずニヤリとさせられるものの、「自分もそうかも??」と我が身を振り返ってしま うこと必至です!


食べものにまつわるほむほむ節あれこれである。「むふふ」となったり、「ニヤリ」となったり、「ふむふむ」と感心したり、「そうそう」と首肯したり忙しい。が、どれもすこぶるたのしくて困る。おそらく他人が見たら反応が怪しすぎることだろう。うなずくことが思いのほか多かったのは喜ぶべきなのだろうか。新たな発見がある、・・・・・・かもしれない一冊。

ぼくの宝物絵本*穂村弘

  • 2011/05/04(水) 11:16:17

ぼくの宝物絵本 (MOE BOOKS)ぼくの宝物絵本 (MOE BOOKS)
(2010/04)
穂村 弘

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国内外の名作絵本、約70冊をオールカラーで解説・収録。


名作絵本であるのは間違いないだろうが、ことに穂村さんのお気に入りの絵本紹介、といった趣の一冊である。
目を留める箇所や惹かれる点に穂村テイストたっぷりなのが嬉しくもある。そうかそうか、こんなところに、と思いながら読み、ときにくすりと笑い、ときにふぅむと感心してうなずく。絵本マニアらしい一冊である。

絶叫委員会*穂村弘

  • 2010/11/11(木) 16:45:49

絶叫委員会絶叫委員会
(2010/05)
穂村 弘

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町には、偶然生まれては消えてゆく無数の詩が溢れている。不合理でナンセンスで真剣で可笑しい、天使的な言葉たちについての考察。


「そこに引っかかりますか」とか「そうそうそこには引っかかりますよね」とか、ついつい著者と会話するように読んでしまう。著者ならではのツボはなんとはなしに「ふふふ」と笑ってみたくもなる。名前の読めないお坊さんの「ぬーんぬーん」では思わず声をだして笑った。真面目に取り上げれば取り上げるほど可笑しみに満ち、あるところでは無条件に笑い、またあるところではなんとはなしにもの悲しくなったりもする。そんな言葉と気持ちがあふれる一冊である。

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もしもし、運命の人ですか。*穂村弘

  • 2009/02/20(金) 17:24:33

もしもし、運命の人ですか。 (ダ・ヴィンチ・ブックス)もしもし、運命の人ですか。 (ダ・ヴィンチ・ブックス)
(2007/03)
穂村 弘

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間違いない。とうとう出会うことができた。運命の人だ。黙々と働く昼も、ひとりで菓子パンをかじる夜も、考えるのは恋のこと。あのときああ言っていたら…今度はこうしよう…延々とシミュレートし続けた果てに、「私の天使」は現れるのか。


穂村弘パワー炸裂である。
ただし、著者のパワーは、短歌以外では炸裂するほどに裡に籠もって妄想となるようなのであるが・・・。そういう意味で、とても著者らしい一冊である。パワフル(?)な穂村弘が愉しめます。

にょっ記*穂村弘

  • 2006/07/13(木) 06:53:57

☆☆☆☆・

にょっ記 にょっ記
穂村 弘 (2006/03)
文藝春秋

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他人の日常って、ほんとうに奇妙なもの。ましてや鬼才ホムラヒロシともなれば…。くすくす笑いとハイブロウな後味のウソ日記。挿絵はフジモトマサルのひとこま漫画。『別冊文芸春秋』連載に加筆して単行本化。


図書館の順番、待って待ってやっと手元にやって来た。
そこここで「くすり」「にやり」「ぷっ」と思わずいろんな風に笑ってしまう一冊である。
笑ってしまいながら、底に流れるひんやりとした哀しみにも似たなにかに触れて はっとしたりするのである。笑いっぱなしではいられない。
ウソ日記、と銘打たれているが、きっとみんなホントじゃないかと密かに思っている。
 

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現実入門*穂村弘

  • 2006/04/21(金) 17:39:06

☆☆☆☆・



ほんとうにみんなこんなことを?


現実生活が大の苦手の著者が、編集者のサクマさんのキラキラした瞳にだまされて(?)40年余りの人生で経験したことのない現実に挑戦して それについて原稿を書くことになったのだった。
献血だとか、占いだとか、はとバスだとか、健康ランドだとか、初めてのことにおっかなびっくり挑戦してみる著者と、なにやら嬉しそうなサクマさん。
そして、度々現われる著者の空想(というか妄想)に 何度もくすりと笑わせられる。

でもこれって、結婚にいたるまでの準備&デート報告&おのろけ?と思ってしまったのはわたしだけだろうか。
運転免許証を確認してみたらほんとうに天使だったかな?

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本当はちがうんだ日記*穂村弘

  • 2006/01/02(月) 17:23:03

☆☆☆・・


今はまだ人生のリハーサルだ。
本番じゃない。
そう思うことで、私は「今」のみじめさに耐えていた。
これはほんの下書きなんだ。
いつか本番が始まる。
そうしたらものすごい鮮やかな色を塗ってやる。
塗って塗って塗りまくる。
でも、本番っていつ始まるんだ?
わからないまま、下書き、下書き、リハーサルと思いつづけて数十年が経った。
・・・・・後略               (あとがきより)

                             


人生には多かれ少なかれ「自分はこんなはずじゃない」と思うことがあるのではないだろうか。
「これは本来の自分ではない。自分はもっとやれるはずだ」と思うことで、実際にやれるようになることもあるだろう。しかし、何をどう思おうとやれっこないことだってある。なれっこないものだってある。
そんな格好悪いことばかりを書き連ねた一冊である。
しかしなぜか うしろ向きの負のイメージはないのだ。微笑ましいとさえ思えてしまう。それこそが著者の人柄なのかもしれない。

本当はちがうんだけれど、何がどうちがうんだろう。そしていつちがわなくなるのだろう。
人がみな立ち止まらないところで暫し立ち止まってしまうと、何がなんだかわからなくなる。かも。

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もうおうちへかえりましょう*穂村弘

  • 2005/11/24(木) 17:43:18

☆☆☆・・



 白馬に乗ったお姫様はまだ?
 スギタニが、ふっと顔をあげて、「お前とつきあうと
 女の子はブスになるよな」と云った。ぎくっとする。
 胸がどきどきしてくる。腹は立たない。やっぱり、そうか、と思う。

 正義の味方はもういない。金利はまったくゼロに近い。
 高度成長期に育ち、バブル期に青春を過ごした41歳独身歌人は、
 デフレとスタバとケータイに囲まれて、ぼろぼろの21世紀を生きている。
 永遠の女性は、きらきらした「今」は、いつ目の前に現われるのか?

                               (帯より)


歌人・穂村弘のエッセイ。
初めて会う人に、よく言われるという
「意外と背が高いんですね」あるいは「意外と痩せているんですね」
小太りな印象の文章を書く(?)著者の胸の中からあふれ出た あのときこのときのあれこれ。
押しも押されもしない若い短歌の牽引者たる著者のちょっと気弱な素顔を覗きみた心持ちがする。

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Linemarkers*穂村弘

  • 2004/05/04(火) 20:04:22

☆☆☆・・


――ラインマーカーズ――

 歌が沢山入った本です。
 大学生のときに初めてつくった歌からさっき台所でつくった歌まで。
 全てのなかから四〇〇首を選んで一冊にまとめました。
 甘い歌。
 悲しい歌。
 くすぐったい歌。
 優しい歌。
 痛い歌。
 どこからでも開いて、眺めたり、口ずさんだり、忘れたり、
 思い出したりして貰えると嬉しいです。

                       (あとがきより)

ラインマーカーで描かれた表紙からしてポップである。
けれども ポップであるということは 軽いということではない。
見つめる目 を持った方だと思う。
歌人でも俳人でも詩人でも 言葉を紡ぐ人たちに共通しているのは 見つめる目・感じる心・切り取る感覚が鋭くしかも優しい ということではないだろうかと思う。
[穂村先生]と呼ぶべきなのだろうけれど つい[ほむほむ]と呼びかけてしまいそうになる感じも怖いけれど嬉しい。