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遠慮深いうたた寝*小川洋子

  • 2022/01/08(土) 17:55:00


作家の日常が垣間見られる9年ぶりのエッセイ集!

どのエッセイも結局は
文学のない世界では生きられない
ことを告白している――小川洋子

日々の出来事、思い出、創作、手芸、ミュージカル……
温かな眼で日常を掬い取り、物語の向こう側を描く。
2012年から現在まで続く「神戸新聞」好評連載エッセイ「遠慮深いうたた寝」を中心に、約10年間に発表されたエッセイの中から厳選し、「手芸と始球式」「物語の向こう側」「読書と本と」の4章で構成する珠玉のエッセイ集。
*美しい装丁 九谷焼による陶板画・上出惠悟/デザイン・名久井直子


ときどきエッセイだということを忘れさせられるような、物語めいた世界に連れて行かれる。著者の日常が描かれてはいるのだが、著者の目を通してみた世界は、きっと細部がことにクローズアップされ、奥深くを顕微鏡で覗いたような景色なのかもしれないと、ちょっぴり思ってみたりする。同じ景色を見ても、わたしとは全く別のものが視えているのではないかという気がする。そんな著者の目を、ほんの少しだけ体験できた心地になれて、得したような気分になる。装丁の陶板画のような、滑らかな手触りも感じられる一冊だった。

そこに工場があるかぎり*小川洋子

  • 2021/03/30(火) 18:33:34


作家小川洋子氏による、おとなの工場見学エッセイ。
あのベストセラー『科学の扉をノックする』の工場版ともいえる本です。
幼いころから変わらぬ小川さんの好奇心と工場愛がじわじわ心にしみて、
今、日本のものづくりに携わる人々と、繊細で正確な数々の製品のこと、
あなたもきっと、とても愛おしく思うようになるでしょう!
<目次>
細穴の奥は深い (エストロラボ<細穴屋>)
お菓子と秘密。その魅惑的な世界 (グリコピア神戸)
丘の上でボートを作る (桑野造船)
手の体温を伝える (五十畑工業)
瞬間の想像力 (山口硝子製作所)
身を削り奉仕する (北星鉛筆)


小川さんが作った本だなぁ、という感じである。見学する工場のチョイスから、見学中の目のつけ所まで、著者の知りたい欲求にあふれていて、まるで自分が工場内を歩いて見学しているような気分になる。物を作るみなさんの熱さも伝わってきて、出来上がったものが愛おしく思えるようにもなる。愉しい見学ができた一冊である。

約束された移動*小川洋子

  • 2020/01/13(月) 16:44:36


ハリウッド俳優Bの泊まった部屋からは、決まって一冊の本が抜き取られていた。
Bからの無言の合図を受け取る客室係……「約束された移動」。
ダイアナ妃に魅了され、ダイアナ妃の服に真似た服を手作りし身にまとうバーバラと孫娘を描く……「ダイアナとバーバラ」。
今日こそプロポーズをしようと出掛けた先で、見知らぬ老女に右腕をつかまれ、占領されたまま移動する羽目になった僕……「寄生」など、“移動する"物語6篇、傑作短篇集。



さまざまなテイストの物語が集まっている。だが、これらを「移動」に注目してまとめたのは、著者ならではではの感性ではないだろうか。どの物語の主人公も、自分なりのこだわりを持っていて、それは、一般の人に比べても確固としている風に見える。世間との折り合いよりも、自分の中の規則に従って生きる人たちが描かれていて、傍から見ると不自由そうにも見えるのだが、それこそが彼らにとってのしあわせなのだろう、とも思われる。普段気づかない方向からの視点で愉しめる一冊でもある。

小箱*小川洋子

  • 2019/11/26(火) 16:44:08

小箱
小箱
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小川 洋子
朝日新聞出版
売り上げランキング: 4,153

死んだ子どもたちの魂は、小箱の中で成長している。死者が運んでくれる幸せ。
世の淵で、冥福を祈る「おくりびと」を静謐に愛おしく描く傑作。


元幼稚園の園舎に住む主人公は、死んだ子供たちの未来を入れたガラスの小箱の管理人でもある。産院は爆破され、新しい子どもはもう生まれては来ない。子どもを失った親は、その未来を小箱の中に思い描いて祈るのである。元歯科医が削り出す竪琴に、元美容師によって遺髪の弦が張られ、耳飾りとして音楽を奏でる。誰もが思いを込めたやり方で、それぞれの祈りを祈っている。とても静かで濃やかで、この上なく穏やかな心持にさせられはするのだが、その実、奥底では胸をかきむしりたくなるような何かに掻き立てられ、居ても立ってもいられなくなりそうでもある。心を鎮めながら、狂おしく苛んでいる、そんな印象の一冊である。

口笛の上手な白雪姫*小川洋子

  • 2018/03/07(水) 16:39:22

口笛の上手な白雪姫
口笛の上手な白雪姫
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小川 洋子
幻冬舎 (2018-01-25)
売り上げランキング: 10,567

たとえ世界中が敵にまわっても、僕だけは味方だ。


公衆浴場で赤ん坊を預かるのが仕事の小母さん、
死んだ息子と劇場で再会した母親、
敬愛する作家の本を方々に置いて歩く受付嬢、
ひ孫とスパイ大作戦を立てる曽祖父——。
不器用で愛おしい人々の、ひたむきな歩みが深く胸をうつ。

あなただけの〈友〉が必ず見つかる。静謐で美しい傑作短編集!


表題作のほか、「先回りローバ」 「亡き王女のための刺繍」 「かわいそうなこと」 「一つの歌を分け合う」 「乳歯」 「仮名の作家」 「盲腸線の秘密」

どの物語も、世界の端っこの隅っこに、ともすれば打ち捨てられ、人々から忘れ去られてしまいそうな事々を、興味津々に見つめる目線が見えてくるような印象である。ほんの狭い一画を切り取っていながら、想像の世界は果てしなく広がり、どこへでも行ける気分にさせられる。そして必ず、胸のどこかをチクリと刺され、ハッとするのである。しあわせに暮らしましたとさ、の先の白雪姫のことなど、想ってもみなかったが、胸にすとんと落ちてくる。いままで見えていなかったことが、ほんの少し哀しくなるような一冊でもある。

不時着する流星たち*小川洋子

  • 2017/04/05(水) 18:14:43

不時着する流星たち
不時着する流星たち
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小川 洋子
KADOKAWA (2017-01-28)
売り上げランキング: 1,881

たくらみに満ちた豊穣な世界文学の誕生!
盲目の祖父は、家中を歩いて考えつく限りの点と点を結び、その間の距離を測っては僕に記録させた。足音と歩数のつぶやきが一つに溶け合い、音楽のようになって耳に届いてくる。それはどこか果てしもない遠くから響いてくるかのようなひたむきな響きがあった――グレン・グールドにインスパイアされた短篇をはじめ、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー、ローベルト・ヴァルザー等、かつて確かにこの世にあった人や事に端を発し、その記憶、手触り、痕跡を珠玉の物語に結晶化させた全十篇。硬質でフェティッシュな筆致で現実と虚構のあわいを描き、静かな人生に突然訪れる破調の予感を見事にとらえた、物語の名手のかなでる10の変奏曲。


さまざまな場所のさまざまな時間を束の間旅する心地に浸れる物語たちである。ひとつの物語が終わる度に、物語が生まれるのに影響を与えた人物が紹介されているのだが、その影響の受け加減がまた絶妙で、思わずうなる。物語のエッセンスが胸に沁みこんでくるような一冊である。

琥珀のまたたき*小川洋子

  • 2015/11/23(月) 16:51:34

琥珀のまたたき
琥珀のまたたき
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小川 洋子
講談社
売り上げランキング: 25,126

魔犬の呪いで妹を失った三きょうだいは、ママと一緒にパパが残してくれた別荘に移り住む。そこで彼らはオパール、琥珀、瑪瑙という新しい名前を手に入れる。閉ざされた家の中、三人だけで独自に編み出した遊びに興じるなか、琥珀の左目にある異変が生じる。それはやがて、亡き妹と家族を不思議なかたちで結びつけ始めるのだが……。


アンバー氏と私のふれあいのなかで、アンバー氏が過ごしてきたいささか浮世離れした不思議な日々が語られる。常軌を逸した母親の児童虐待の話し、と言ってしまえば身もふたもないのだが、そのひどく外界から隔絶された毎日の中で、三姉弟は母の留守中に自分たちで遊びを作りだし、豊かな情感を育んでもおり、世間的に見れば歪んだ形ではあるが、母から愛情も注がれて暮らしていたのである。彼らがしあわせだったのか不幸せだったのかは、他人には何とも言えず、彼らにしかわからないことなのだろう。なにもないがとても豊かで、冷え冷えとしながらあたたかな印象の一冊である。

いつも彼らはどこかに*小川洋子

  • 2013/07/27(土) 16:45:30

いつも彼らはどこかにいつも彼らはどこかに
(2013/05/31)
小川 洋子

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この世界が素晴らしいのは動物たちがいるから――震えるような感動を呼び起こす連作小説。たてがみはたっぷりとして瑞々しく、温かい――ディープインパクトの凱旋門賞への旅に帯同することになる一頭の馬、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバー、村のシンボルの兎、美しいティアーズラインを持つチーター、万華鏡のように発色する蝸牛……。人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ、優しさを、新鮮な物語に描く小説集。


「帯同馬」 「ビーバーの小枝」 「ハモニカ兎」 「目隠しされた小鷺」 「愛犬ベネディクト」 「チーター準備中」 「断食蝸牛」 「竜の子幼稚園」

動物でつなぐ連作短編集。どんなふうにどんな動物が登場するのか、ちょっぴりどきどきする。なにせ、著者の世界に棲む動物たちなのだから。生身の動物とは限らず、動物が主体であるわけでもないのだが、それは見事に、まさに「いつも彼らはどこかに」圧倒的な存在感を持っているのである。懐かしいような、切ないような、愛しいような、哀しいような、近しいような、理解しがたいような、不思議な感覚とともにある一冊である。

ことり*小川洋子

  • 2013/01/15(火) 17:07:36

ことりことり
(2012/11/07)
小川 洋子

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12年ぶり、待望の書き下ろし長編小説。
親や他人とは会話ができないけれど、小鳥のさえずりはよく理解する兄、
そして彼の言葉をただ一人世の中でわかるのは弟だけだ。
小鳥たちは兄弟の前で、競って歌を披露し、息継ぎを惜しむくらいに、一所懸命歌った。
兄はあらゆる医療的な試みにもかかわらず、人間の言葉を話せない。
青空薬局で棒つきキャンディーを買って、その包み紙で小鳥ブローチをつくって過ごす。
やがて両親は死に、兄は幼稚園の鳥小屋を見学しながら、そのさえずりを聴く。
弟は働きながら、夜はラジオに耳を傾ける。
静かで、温かな二人の生活が続いた。小さな、ひたむきな幸せ……。
そして時は過ぎゆき、兄は亡くなり、 弟は図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて持ち歩く老人、文鳥の耳飾りの少女と出会いながら、「小鳥の小父さん」になってゆく。
世の片隅で、小鳥たちの声だけに耳を澄ます兄弟のつつしみ深い一生が、やさしくせつない会心作。


人知れずひっそりと――鳥籠を両腕で抱くように――亡くなっていた「小鳥の小父さん」の描写で物語は静かに幕を開ける。その後に続くのは、5歳のときから、家族と暮らし、ポーポー語と彼が名づけた言葉でしか話さない七歳年上のお兄さんと暮らし、小鳥の小父さんと呼ばれるようになり、静かであたたかな生を終えるその日までのあれこれが、丁寧に語られているのである。それは、お兄さんが毎週水曜日に決まって買っていたポーポーキャンディーの包み紙を、一枚一枚根気よく糊付けして作った小鳥のブローチのように、さまざまな色の層が重なり合ってできたひとつの形のようにも思われる。こんなしあわせの形があってもいいな、と一抹の寂しさ哀しさとともに、ほっと安堵の息をつくような一冊である。

最果てアーケード*小川洋子

  • 2012/08/18(土) 16:34:02

最果てアーケード最果てアーケード
(2012/06/20)
小川 洋子

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ここは、世界でいちばん小さなアーケード―。愛するものを失った人々が、想い出を買いにくる。小川洋子が贈る、切なくも美しい記憶のかけらの物語。


とてもとても著者らしい物語である。これぞ小川洋子の世界、という趣。どことも知れぬ最果てにある見過ごしてしまいそうなアーケードの入り口を潜ると、そこには、きらきらと煌めくような大切なあれこれがぎゅっと凝縮されて詰まっているのである。大切な時間、大切なもの、大切な気持ち、大切な人、それらのかけがえのない思い出が、とても丁寧に扱われているのである。ここにある一風変わった店のチョイスも、なんと著者らしいことだろう。それらがなんと普通にひっそりとそこにあることだろう。心がしんとするような一冊である。

人質の朗読会*小川洋子

  • 2011/04/27(水) 18:36:16

人質の朗読会人質の朗読会
(2011/02)
小川 洋子

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遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは人質たちと見張り役の犯人、そして…しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。


何より設定が突飛である。地球の反対側のとある国で遺跡めぐりをしていた日本人観光客が反政府ゲリラの襲撃を受け人質になった。救出作戦もむなしく人質は全員犯人が仕掛けたダイナマイトの爆発によって死亡した。そんな哀しい事件のあとで公開された、人質たちが自ら書いた話を朗読する声による彼らの物語なのである。年齢も性別も立場もばらばらな人質たちの語る話は、ごく個人的なことでありながら静かで深いところへと分け入るような共通の雰囲気を持ち、聴く者の胸にまっすぐに入ってくるのである。語られる題材も語り口もさまざまなのに、人質であるという運命の下で語られるからなのかどれもとても大切なことのように思われて、胸がしんとするのである。静かで厳かで滋味深い一冊である。

原稿零枚日記*小川洋子

  • 2010/09/08(水) 16:39:14

原稿零枚日記原稿零枚日記
(2010/08/05)
小川 洋子

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「あらすじ」の名人にして、自分の原稿は遅々としてすすまない作家の私。苔むす宿での奇妙な体験、盗作のニュースにこころ騒ぎ、子泣き相撲や小学校の運動会に出かけていって幼子たちの肢体に見入る…。とある女性作家の日記からこぼれ落ちる人間の営みの美しさと哀しさ。平凡な日常の記録だったはずなのに、途中から異世界の扉が開いて…。お待ちかね小川洋子ワールド。


全篇に渡り、至るところ隅々まで小川洋子が敷き詰められている。それはまさに光の届かぬ森の奥のしんと湿った冷たい場所に人知れず増えつづける苔のようである。著者の紡ぎ出す物語はどうしてこうも、匂いや手触りまでありありと感じさせるのだろう。自在に大きさを変えて小川洋子ワールドに潜りこんだような読書タイムである。ページを閉じても現実に戻るのに一瞬の間が生じる一冊である。

カラーひよことコーヒー豆*小川洋子

  • 2010/05/06(木) 16:39:34

カラーひよことコーヒー豆カラーひよことコーヒー豆
(2009/11/26)
小川 洋子

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連載分24本+書き下ろし5本から一貫して伝わってくるのは、スポットライトが当たる人の周縁で密やかに、でもしっかりと生きる人々への、深い愛と感謝の気持ち。装丁・装画は『ミーナの行進』も手がけた寺田順三氏


とてもやさしい一冊だった。著者のお人柄と心持ちのやさしさが、ページのいたるところからゆらゆらと立ちのぼってきて、何度もじんわりと目頭を熱くさせられた。はしっこで生きる者のひとりとしてもたいそう励まされる一冊でもある。

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猫を抱いて象と泳ぐ*小川洋子

  • 2009/09/12(土) 14:03:25

猫を抱いて象と泳ぐ猫を抱いて象と泳ぐ
(2009/01/09)
小川 洋子

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伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。触れ合うことも、語り合うことさえできないのに…大切な人にそっと囁きかけたくなる物語です。

もしどこかで、8×8のチェック模様を見かけることがあったら、
その下をのぞいてみて下さい。
猫を抱いた青年が一人、うずくまっているかもしれません。
とても小さな青年です。でも彼の描く詩は、象のように深遠です。
あなたがその詩を読み取り、繰り返し胸によみがえらせてくれたとしたら、
これほどうれしいことはありません。
そのことが何より、彼の生きた証となるのですから。
                    小川洋子


あるひとりの小さなチェスプレーヤーの物語である。
唇の皮がつながったまま生まれてきたので、産声を上げることもできず、切り離されたときに移植された脛の皮膚のせいで、成長するにつれて唇に脛毛が生えてきたが、それ以外は11歳のままの大きさの青年の物語である。
彼は広い外の世界をほとんど知らず、一生をチェスと共に生き、狭い場所にいながらにして、チェスを通して宇宙よりも広いところへ旅をしつづけたのだった。登場人物のひとりひとりが、とても素晴らしく尊敬するに値する人々であるのに、みな一様に謙虚なのが尚素晴らしい。
とても静かで、包容力があり、無限の広さと自由があり、そしてとてもひっそりとして寂しく、愛にあふれた一冊だった。

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夜明けの縁をさ迷う人々*小川洋子

  • 2007/11/18(日) 17:10:25


夜明けの縁をさ迷う人々夜明けの縁をさ迷う人々
(2007/09)
小川 洋子

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風変わりな曲芸師と野球少年の友情、放浪の涙売りの恋、エレベーターで生まれたE.B.の生涯、作家だった祖父の形見をめぐる老嬢の話…。世界の片隅に息づく人々に灯りをともす9つの物語。『野生時代』掲載を単行本化。


「曲芸と野球」「教授宅の留守番」「イービーのかなわぬ望み」「お探しの物件」「涙売り」「パラソルチョコレート」「ラ・ヴェール嬢」「銀山の狩猟小屋」「再試合」

実にピンポイントな視点で対象を見つめる物語たちである。クラフトエヴィング商會が紡ぐ物語にも似た匂いを持つが、そこはやはり小川さん、もっともっと核心を突く冷たさに満ちている。しかも、その冷たさには比類ないほど熱い思いが籠められていたりするのである。読み始めると目が離せなくなる。

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