眠る馬*雨宮町子

  • 2008/03/07(金) 17:33:16

眠る馬眠る馬
(1999/06)
雨宮 町子

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サラブレッド誘拐!方法は?目的は?競馬界を舞台に交錯する、大学紛争での惨劇、日本中を震撼させたあの迷宮入り事件、さらにはIRAの影…。人気ジョッキーが探り当てた驚愕の真実とは。空前絶後の一大ミステリ。


どういうわけか集中力がつづかずに、ストーリーが上滑りして通り過ぎていったような感じである。
登場人物のキャラクターが頭のなかに描ききれず、特に主人公で語り手で、探偵役でもあるジョッキーの有田の人となりを上手く想い描くことができなかったのがいちばんの理由かもしれない。
だれもが知っている昭和のあの大事件までをも関連づける必要があったのかどうかということにも首を捻ってしまう。
読み手の状態によるものかもしれないが、いささか散漫な印象で読み終えた。

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死霊の跫(あしおと)*雨宮町子

  • 2006/10/14(土) 17:30:46

☆☆☆・・

死霊の跫 死霊の跫
雨宮 町子 (2001/11)
双葉社

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きょう、あなたは、とりかえしのつかない時間を生きる。いつか、みんな、帰らぬ人となる。「高速落下」、「いつでもそばにいる」、「Q中学異聞」他3篇を収録した、心ふるえる人生の最後を描いた物語集。


何かが変だ、なにか違和感がある。日常の中のそんなことをうっかり見逃したばかりにその後に訪れる恐ろしい事々。あるいは、そんな心の僅かなひび割れに忍び入ってくる禍々しいなにか。じりじりとじわじわと蝕まれていく目に見えない恐怖。そしてそれが目に見えるようになったとき、それはすでに何もかもが手遅れになったあとなのだ。
出来事の外側から第三者の口で語られる事々が、次第に真実の山を形作っていく過程が恐ろしい。

骸の誘惑*雨宮町子

  • 2006/02/16(木) 18:04:49

☆☆☆・・



第2回新潮ミステリー倶楽部賞受賞

誘い込み、搾り取り、骨抜きにして、するりと姿を晦ます女。
次なるターゲットを求め、闇の中で眼を光らせている女。
ノルマをこなしながら美しく着飾って巷を浮遊する女。
でもあなたは、けっして幸せではないはず。
もしかすると、本当はもう骸となって、男たちに甘い幻を見せているのかも・・・・・。

現代という名のベールの下に隠れ棲む恐怖を描く、心理サスペンスの傑作!
  ――帯より


最近急速に勢力を広げている予備校の古文の講師である結城可那子は、ある夜、事情があって憎むようになった父からの電話を受ける。9歳離れた弟の東吾がバイクで事故を起こして死んだというのだ。可那子はその夜彼女の部屋へ行っていいかと電話してきた東吾を、忙しいからと言って断ったのだった。
事故の状況を信じられない可那子が調べてゆくうちに、ひとりの女の名前が浮かび、そして同じ女を探している氷室という男に出会い気が進まぬまま協力することになった。さらに調べを進めると自己啓発の名のもとに行われるセミナーに行き着き、しかもそのセミナーの責任者は可那子の勤める予備校とも関係があったのだった。

冒頭の可那子が東吾の事故死の知らせを受けた辺りでは、まったく別の物語を想像していたのだが、それは見事に裏切られた。それにしては、可那子の東吾の行動に寄せる疑いのなさが強すぎる気もしないでもないのだが。
出口琴音という同じ女を探す男・氷室周平と出会い、可那子にとって彼はなくてはならない存在になってゆくのだが、その過程にも首をひねりたくなることも少なからずある。それだけ氷室の懐が深かったといえばそうなのだろうが。
人の心理の脆さを巧みに突く自己啓発セミナーを扱ったところは興味深かった。その腐った連鎖を止めることは容易ではないということもラストの節でよくわかる。

私鉄沿線*雨宮町子

  • 2006/02/05(日) 21:35:03

☆☆☆・・



元警視庁警視の父と、息子の現職刑事が捜査コンビを組んだ!?

東急世田谷線上町駅近くのマンションで起きた29歳の既婚女性墜死事件は、自殺の様相を濃くしていた。世田谷中央署の蔵前一郎刑事の相談を受けた元警視庁警視の父親は、自分が被害者の恩師に成りすますことを提案。頼りない息子に指図しながら捜査を進めるうち、同じマンション内の意外な交友関係が浮上する・・・・・(『三か四か』)。
など、私鉄沿線在住の人間たちの錯綜した関係が織りなす六つの事件!
 ――文庫裏表紙より


上記の東急世田谷線 上町が舞台の『三か四か』のほか、
小田急線 豪徳寺が舞台の『一三七二』
東急新玉川線 桜新町が舞台の『チカチカ』
小田急線 経堂が舞台の『モモ子』
京浜急行空港線 糀谷が舞台の『六つのアザレア』
京王線 仙川が舞台の表題作『私鉄沿線』 の6つの物語。

蔵前一郎刑事(32歳)は相棒の刑事や野良猫にまで 密かに≪マノビ≫とあだ名をつけられているような風貌であり、性格も姿形を裏切らないのだった。
事件があると 退職した 元警視の父に相談に行き 甘いものをつまんでいるような具合であり、≪デカ根性が抜けない≫父の方が、事件の謎を解くのだった。いつまでも現役のつもりで事件に関わる父と、いつまで経っても頼りなく当てにされていない息子という蔵前親子のでこぼこコンビ振りも微笑ましい。

6つの物語には、蔵前親子が関わったという以外にも 気づかないほどほんの僅かずつ重なる部分があり、筋にはまったく関係はないのだが 面白い。

殺される理由(わけ)*雨宮町子

  • 2005/11/11(金) 14:15:21

☆☆☆・・



 こんなミステリーが読みたかった!!
 コンゲームあり、犯人探しあり、アリバイ崩しあり!
 軽やかでウィット溢れる本格推理連作集。
 気鋭が描く隣人たちの五つの罪!

 週末に毛利家に宿泊した八人の男女。
 下宿人の新人小説賞受賞を祝ってささやかなパーティーが催されたのだ。
 翌朝、客のひとりが撲殺死体で発見された。
 凶器は中庭の傘立てに立て掛けてあった金属バット。
 容疑者として被害者の大学時代の友人が逮捕された。
 だが、真犯人はこの中にいる!
              (帯より)

表題作のほか
なぞなぞ・猫多夫人はしゃべり過ぎ・911・六の字屋敷

P区の区立図書館のパートとして少ない報酬をもらい、足りない分をときどき元の職場である三歩一の興信所の調査員として浮気調査などの≪やわらかい仕事≫をして稼いでいる早乙女亮介が主に探偵役として捜査(調査?)するのである。
図書館で惚れてしまった女性の身に起きたいざこざとか、家庭教師先の家族に起こった事件などを。

図書館で働きながら探偵をすることのギャップや、いつもあまり気乗りがしない風でいながら、話を聞いただけでほぼ真相がわかってしまうという鋭さが 亮介に好感を抱かせる。
調査員の雇い主としての三歩一は75歳という年齢にもかかわらず好色であり、亮介にその手の≪やわらかい仕事≫をさせて愉しんでいる節もある。しかし、彼もまた安楽椅子探偵なのだから侮れない。
ミステリのあれもこれもが愉しめる一冊である。