バタフライ*平山瑞穂

  • 2016/02/24(水) 07:28:19

バタフライ
バタフライ
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平山 瑞穂
幻冬舎 (2015-12-17)
売り上げランキング: 187,647

交差するはずのなかった、それぞれのままならぬ人生。
小さな勇気が奇跡の連鎖を起こす、書き下ろし群像ミステリー。

尾岸七海(13)は母の再婚相手に身体を求められていた。「この男を本当に殺したい」。島薗元治(74)は妻に先立たれ、時間を持て余している。「若い奴は全くなってない」。永淵亨(32)はネットカフェで暮らし、所持金は1887円。「もう死ぬしかないのか」。山添択(13)は級友にゴミ扱いされて不登校に。「居場所はゲームの中だけだ」。設楽伸之(43)は二代目社長として右往左往している。「天国の父に笑われてしまう」……。全く接点のなかった、困難に直面する一人ひとりの日常。誰かの優しさが見知らぬ人を救う、たった一日の奇跡の物語。


改めて、たった一日のできごとだと思うと、呆然とする。もともと何の関係もなかった人たちが、ふとした偶然から――意識的に、あるいは無意識に――関わり合い、その日一日の様相を変えていくのは、劇的であるようにも思えるが、考えてみると、誰の毎日にも必ず起こっていることなのだと気づかされる。タイトルはバタフライ効果を想起することが狙いだと思われるが、そう言うには、いささか繋がり方が偶然過ぎるところがなくもない気はする。ほんの些細な――出会いとも言えない――かかわりによって、流れというのはこうも簡単に変わっていくのかと驚かされる一冊である。

純喫茶「一服堂」の四季*東川篤哉

  • 2015/12/19(土) 17:12:52

純喫茶「一服堂」の四季
東川 篤哉
講談社
売り上げランキング: 107,958

古都・鎌倉でひっそりと営業する古民家風喫茶「一服堂」。エプロンドレス姿の美人店主は、恥ずかしがり屋で人見知り。しかし、事件となるとガラリと人が変わってしまう。動機には一切興味がない安楽椅子型の名探偵が「春」「夏」「秋」「冬」の4つの事件を鮮やかに解く、連作シリーズ!


安楽椅子と書いて、「あんらくよりこ」と読む。純喫茶「一服堂」の店主にして、安楽椅子探偵である。個人的には、客の話す猟奇殺人の内容を聞き、突如スイッチが入るときに、カップやグラスを叩き割るのは、いささかいただけない気がするが、そのギャップにやられる人もいるのかもしれない。常連客が連れてきた新しい客が常連になったりして、季節ごとの連作になっているのだが、仕掛けがさまざま配されていて工夫されている印象ではある。すでにあるこの手の物語のテイストを少しずつ寄せ集めた感がなくはないが、そこそこ愉しめる一冊ではあった。

遠い夏、ぼくらは見ていた*平山瑞穂

  • 2015/08/23(日) 17:02:34

遠い夏、ぼくらは見ていた (幻冬舎文庫)
平山 瑞穂
幻冬舎 (2014-10-09)
売り上げランキング: 372,145

十五年前の夏のキャンプに参加した二十七歳の五人がキャンプ主催者の遺言執行人に集められた。当時ある行為をした者に遺産三十一億円を贈ると告げられる。行為の内容は伏せられたまま、五人にはキャンプの詳細を思い出すことが課せられた。莫大な金への欲に翻弄されながら、各々が遠い夏の日を手繰り寄せる……。人の記憶の暗部に迫るミステリー。


『偽憶』を加筆・修正し、改題したもの。文庫版のタイトルの方が、読みたい欲求をそそられる。同じ場所にいても同じものを見ているとは限らず、たとえ同じものを見ていたとしても同じように感じるとは限らない。そして、人の記憶というものは、時を経るにしたがって、自分の都合のいいようにどうにでも変えることができるのである。たとえそれが無意識だとしても。小学六年の夏に母親に薦められて参加したキャンプ。それから十五年が経って、降って湧いたような莫大な遺産話。その後亡くなった一人を除く五人の男女は、その後の生き方も現在の状況もさまざまであり、受け止め方もそれぞれであるが、なんとかそのときのことを思い出そうとする。その中で、初めは存在さえも忘れていた、故人となった志村広弥の様子が意味ありげに思い出されるのだった。遺産話の真偽は、途中の会話の中のひと言で、疑いが濃くなるが、何のための企てなのかが明らかになったとき、それまでの伏線が一本の道筋を照らし出す。と思ったのだが、それからまた展開があり、さらに人の記憶の不確かさに驚かされることになる。ラストは予想しなかったが、救われる心地がする。中盤から俄然目が離せなくなる一冊だった。

ザ・タイガース 花の首飾り物語*瞳みのる

  • 2014/02/05(水) 17:17:11

ザ・タイガース 花の首飾り物語ザ・タイガース 花の首飾り物語
(2013/11/29)
瞳 みのる

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ザ・タイガースが完全復活!花の首飾り物語

2011年12月、慶應高校教師だった瞳みのるが40年ぶりに復帰し、GS世代から熱い注目を浴びた「ザ・タイガース コンサート」。その時の大反響ぶりから、今年12月には、遂にトッポこと加橋かつみも加えたオリジナルメンバーで全国ツアーが開催されることになった。東京、大阪ではドームで開催するコンサートにもかかわらずチケットは完売状態で、今年はさらに大きなムーブメントになることは必至である。今だから話せるタイガースのデビュー当時の秘話や、これまで参加を渋っていた加橋が辿ってきた道のり、そして今回、加橋の参加でオリジナルバージョンが披露される「花の首飾り」の誕生秘話を紹介する。1968年に発表された「花の首飾り」の歌詞は一般公募されたもので、その後、多くのミュージシャンがカバーした。この曲のルーツを瞳みのるが訪ね、すぎやまこういち氏、橋本淳氏、なかにし礼氏、井上陽水氏などへのインタビューも収録した。


タイガースがデビューしたころ、わたしは小学校高学年で、GSに特別な興味はなかったのだが、タイガースはほかのグループとは少し違った特別な場所に立っているような印象がある。数あるタイガースの歌の中で「花の首飾り」が取り上げられているのは、大ヒットしたということもあり、歌詞が公募によるものだということで、歌の原点探しというミステリ風味が加味されてのことかもしれないとも思う。元の作詞者・菅原房子さんは、冬至19歳の女子学生だったが、その後の消息は不明だったのである。著者は、彼女の故郷を訪ね、さまざまな縁から現在の彼女を探し当て、電話でのインタビューを実現させた。彼女が応募した詞が元になって「花の首飾り」が生まれたことは確かなのだが、補作者のなかにし礼が作ったようなものだという見解を読んだときには、もやもやしたものが胸に広がったが、当のなかにし礼氏のインタビューを読んで、報われた心地になった。ひとつの時代を作ったタイガースの思わぬ舞台裏をのぞいたような一冊だった。

中途半端な密室*東川篤哉

  • 2012/04/19(木) 19:42:05

中途半端な密室 (光文社文庫)中途半端な密室 (光文社文庫)
(2012/02/14)
東川 篤哉

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テニスコートで、ナイフで刺された男の死体が発見された。コートには内側から鍵が掛かり、周囲には高さ四メートルの金網が。犯人が内側から鍵をかけ、わざわざ金網をよじのぼって逃げた!?そんなバカな!不可解な事件の真相を、名探偵・十川一人が鮮やかに解明する。(表題作)謎解きの楽しさとゆるーいユーモアがたっぷり詰め込まれた、デビュー作を含む初期傑作五編。


表題作のほか、「南の島の殺人」 「竹と死体と」 「十年の密室・十分の消失」 「有馬記念の冒険」

正直、「謎解き~」シリーズは、これ以上追いかけなくてもいいかな、という感じだったのだけれど、この短編集は、初期の頃の作品ということで、コミカルなタッチではあるものの、「謎解き~」シリーズほどぶっとんでいないからか、期待以上におもしろかった。ミステリ部分がしっかり立ち上がっているので、個人的にはこちらの方が好みである。表題作だけが十川一人が探偵役で、ほかは探偵役の山根敏とワトソン的な七尾幹夫のコンビが主役なのだが、彼らのシリーズならもっと読んでみたいと思わされる一冊だった。

放課後はミステリーとともに*東川篤哉

  • 2011/11/10(木) 07:42:50

放課後はミステリーとともに放課後はミステリーとともに
(2011/02/18)
東川 篤哉

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鯉ケ窪学園高校探偵部副部長・霧ケ峰涼の周辺には、なぜか事件が多い。
校舎から消えた泥棒、クラスメ-トと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動――
解決へ意気込む涼だが、ギャグが冴えるばかりで推理は発展途上。
名推理を披露するのは探偵部副部長なのかそれとも? ユーモア学園推理の結末は?


タイトルどおりの高校が舞台の学園物である。探偵役は霧ケ峰涼。探偵部の副部長である。だが、積極的に推理し、謎解きをしているというよりは、いつも巻き込まれ、誰かが披露した推理の穴を上手い具合に塞いでいるように見えなくもない。切れ者というよりも、愛すべき探偵役といったところだろうか。それにしても事件が多い高校である。という一冊。

19分25秒*引間徹

  • 2011/04/06(水) 16:55:23

19分25秒19分25秒
(1994/01)
引間 徹

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埋立地に誕生した人工の街を舞台に、夜な夜などこからともなくあらわれては消えていく謎の競歩選手と主人公を軸に、小気味よいテンポで、読む者を駆り立てる爽快な物語。


就職も決まった大学四年生男子が主人公である。ある日公園で、ものすごい速さで歩いている男と出会った。男の左膝から下はサイボーグのような義足だった。それが主人公と競歩の出会いだった。彼は、どういうわけか目が離せない男と張り合うように競歩にのめりこんでいくのだった。得たものよりも失ったものの方が多いことを自覚しながらも、止められない衝動によってトレーニングを重ねる姿は、まるで何かに取り憑かれたようにも見えるが、清々しくもある。出会いの妙と静かな衝動を感じさせられる一冊である。

密室に向かって撃て!*東川篤哉

  • 2011/01/09(日) 16:44:50

密室に向かって撃て! (カッパ・ノベルス)密室に向かって撃て! (カッパ・ノベルス)
(2002/10)
東川 篤哉

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烏賊川市の外れ、鳥ノ岬にある十条寺食品社長宅に銃声が轟いた。撃たれたのは、偶然居合わせた「名探偵」鵜飼杜夫。失われた銃声の謎と「衆人環視の密室」に、鵜飼とその弟子が挑む。書下ろし長編推理小説。


烏賊川市シリーズ第二弾である。砂川警部と志木刑事、そして探偵・鵜飼杜夫と弟子になってしまった戸川流平が、烏賊川市の名士・十条寺家で起こった殺人事件に挑む。コミカルな筆致ながら、伏線は冒頭からすべて綿密に張り巡らされており、頼りないことこの上ないイメージの鵜飼探偵の推理力も意外や意外なかなかのものなので、はっとさせられること度々である。キャラクターのコミカルさとミステリの内容の充実度とのギャップがいい感じの一冊である。

謎解きはディナーのあとで*東川篤哉

  • 2010/12/23(木) 19:06:40

謎解きはディナーのあとで謎解きはディナーのあとで
(2010/09/02)
東川 篤哉

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執事とお嬢様刑事が、6つの事件を名推理!

ミステリ界に新たなヒーロー誕生! 主人公は、国立署の新米警部である宝生麗子ですが、彼女と事件の話をするうちに真犯人を特定するのは、なんと日本初!?の安楽椅子探偵、執事の影山です。
彼は、いくつもの企業を擁する世界的に有名な「宝生グループ」、宝生家のお嬢様麗子のお抱え運転手です。本当は、プロの探偵か野球選手になりたかったという影山は、謎を解明しない麗子に時に容赦ない暴言を吐きながら、事件の核心に迫っていきます。
本格ものの謎解きを満喫でき、ユーモアたっぷりのふたりの掛け合いが楽しい連作ミステリです。


第一話 殺人現場では靴をお脱ぎください
第二話 殺しのワインはいかがでしょう
第三話 綺麗な薔薇には殺意がございます
第四話 花嫁は密室の中でございます
第五話 二股にはお気をつけください
第六話 死者からの伝言をどうぞ


大富豪・宝生家の令嬢の麗子は国立署の警部である。そして直属の上司の風祭は中堅自動車メーカー・風祭モータースの御曹司。なにかと出自をひけらかす風祭と違い、麗子が宝生家の令嬢だと言うことは警察でもほんの一部しか知らず、彼女自身も隠している。だが、仕事が終わるや否や執事の影山が運転するリムジンが近くまで迎えに来て、麗子はそこでお嬢様に戻るのである。このわかりやすい設定とキャラクターがどたばた喜劇そのもので笑ってしまうが、面白い。執事の影山の人を食ったような慇懃無礼さもなかなかである。彼が見事な推理を披露する得意げな顔が目に浮かぶようである。大掃除の合間にも気軽に愉しめる一冊である。

密室の鍵貸します*東川篤哉

  • 2010/12/02(木) 17:02:23

密室の鍵貸します (カッパ・ノベルス―カッパ・ワン)密室の鍵貸します (カッパ・ノベルス―カッパ・ワン)
(2002/04)
東川 篤哉

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その日、烏賊川市立大学映画学科の四年生・戸村流平は、二つの死への嫌疑をかけられた。大学の先輩である茂呂耕作と、元彼女の紺野由紀。流平は、由紀の死に関しては完璧にアリバイがあるのだが、それを主張できない。なぜなら、由紀が死んだ夜、流平は鍵のかかった茂呂の部屋で、彼の死体を発見していたから…。緻密な構成と大胆なトリック、飄々とした筆致。極上の本格推理デビュー作。


コメディタッチの軽妙さで物語は進み、登場人物たちもコミカルな描かれ方をしているのだが、核を成す事件のありようは至って真面目な本格ミステリであり、そのギャップを含めて愉しめる一冊である。真犯人の動機が読み解かれたときには気が抜けたが、だからこその周到さだったのだと言うこともできるのかもしれない。

殴られた話*平田俊子

  • 2010/10/12(火) 16:38:07

殴られた話殴られた話
(2008/11/05)
平田 俊子

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こんなに痛いのは、殴られたからじゃない! ピアニストの椎名と不倫関係にある「わたし」だが、彼には他にも女がいる・・。息が詰まるほどのディテール。一人称ならではの効果が、作品の完成度を高めている。


表題作のほか、「キャミ」 「亀と学問のブルース」

ぐだぐだぐずぐずと重い話である。それなのになぜか厭な気分にさせられることはない。女は哀しい。それに比してこれらの物語に出てくる男は一様に不甲斐ない。ご都合主義のいいとこ取りでいつも逃げ腰である。どうして彼女たちはこんな男に、とだれもが思うのだろうが、男と女というのはことほどさように厄介なものなのである。という一冊である。

スロープ*平田俊子

  • 2010/04/16(金) 11:10:45

スロープスロープ
(2010/01/30)
平田 俊子

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心の深みから湧き上がる言葉で紡がれた物語さかをのぼるように、さかのぼる時と心。「言葉」と「言葉」が繋がり、重なり、踊りながら、物語を紡いでいく。詩人ならではのリズムを底に秘めた絶好小説世界。


独特の雰囲気を持つ一冊である。物語だと思って読んでいると、エッセイのようでもあり、また覚書のようでもあり、読み進むうちにまた物語に戻り、エッセイにつづく。坂道を下っていたらいつのまにか上っていたような、無意識のうちに騙されたような心地にさせられもする。いろんなところに坂はあり、傾斜がついていればそれは坂である。物理的に、心情的に、さまざまな坂のことが書かれているのは確かである。

私の赤くて柔らかな部分*平田俊子

  • 2009/09/27(日) 16:44:22

私の赤くて柔らかな部分私の赤くて柔らかな部分
(2009/07/31)
平田 俊子

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失恋の痛みをかかえ、私はある日突発的に旅に出る。終着駅に辿りついた私は、帰るきっかけを失って……。生きることのよるべなさと虚実ないまぜのマジカル世界。言葉の魔術師・平田俊子の新境地!


七月七日に亡くなった信頼する上司のお別れの会が九月九日にあった。彼に会えるかもしれないと来てみたが、会えるはずもなく、まなみはふらりと会場を抜け出し、そのままふらりといつも乗らない電車に乗った。たまたま降り立った知らない町は、なにもかもが見知らぬもので頼りなかったが、駅から離れたステーションホテルの一室をなかなか立ち去ることができなくなるのだった。
お子様ランチが主なメニューの上田食堂の上田宇枝、ホテルのフロントマン八十八(やどや)、その弟の照穂、犬が吠える店。寄る辺ない町で、行きずりの女から少しずつ変容しながら、まなみは自分の中の何かをあきらめ、何かと折り合いをつけられたのだろうか。
現実と妄想のあわいを行ったり来たりするような、ふわふわとした心許なさと、赤をモチーフにしたむき出しの痛みとが、ときに痛く苦しく、ときに心地好く感じられる不思議な味わいの一冊だった。

さよなら、日だまり*平田俊子

  • 2009/09/18(金) 18:37:46

さよなら、日だまりさよなら、日だまり
(2007/07)
平田 俊子

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用意周到な占い師(♂)と、ミステリアスな友達(♀)。浮気性の夫と、占いなんか信じないはずだった「わたし」。4人が仲よくなればなるほど、どこか不安になる―。ある晩をさかいに、それは現実のものとなった。野間新人賞受賞後の最新小説。


律子は夫とふたり暮らし、子どもはまだいない。雑誌やPR誌に原稿を書く仕事をしているが、最近物足りなさを覚えるようになっていた。そして、夫の浮気をほんの少し疑ってもいた。
そんなとき、仕事関係の知人の祝賀会で女優で歌人のユカリと知り合い、夫の愚痴をぶちまけてしまう。ユカリは、よく当る占い師を知っていると言い、さっそく須貝と引き合わされたのだったが・・・・・。
知り合いだとか、友人だとか思っていると、なんとなく噛み合わないところがあっても見過ごしてしまったりすることがある。そんな風に巧妙に近づかれ、親しくなって、いつの間にか騙されていることにも気づかずにいる。その結果、とんでもないことになり、初めて目が醒めるのである。しかしそのときはもう遅い。引き返すポイントは無数にあったのに、ことごとく素通りしてしまう律子(と夫)がもどかしくてたまらなかった。そんなむなしさを感じさせる一冊だった。

密室は眠れないパズル*氷川透

  • 2008/11/06(木) 13:54:02

密室は眠れないパズル密室は眠れないパズル
(2000/06)
氷川 透

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エレベーターの前で胸を刺された男は「常務に、いきなり刺された」と、犯人を名指しして絶命した。“殺人犯”は、エレベーターで無人の最上階へ向かうところを目撃される。電話は不通、扉も開かない。ビル内には犯人を含めて九人だけ。犯人はなぜ逃げようとせず、とどまっているのか―。やがて最上階のエレベーターは下降を始めた。そして扉が開く。そこには、背中を刺され、血まみれで息絶えた常務が倒れていた。―いったい誰が、いかなる方法で殺したのか。常務が犯人ではなかったのか。積み重ね、研ぎすました論理の果てに行く着くのは八人の中の一人。新鋭が読者に挑戦する正統派長編本格推理。


著者が出会った事件の経緯を小説にする、という形式である。なので、著者=氷川透が登場し、最終的には探偵役も務める。
犯人は、割と早い時期からなんとなく目星がついてしまったが、さまざまな可能性を提示し、ひとつずつ潰していく過程が面白かったし、犯人自身にそれを認めさせるための氷川の謎解き場面も、自信がありそうななさそうな微妙なスタンスが好ましかった。

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