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クローバー・レイン*大崎梢

  • 2012/06/30(土) 17:01:25

クローバー・レイン (一般書)クローバー・レイン (一般書)
(2012/06/07)
大崎梢

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作家=小説を書く人。
文芸編集者=小説のためになんでもする人。

老舗の大手出版社に勤める彰彦は、過去の人と目されていた作家の
素晴らしい原稿を偶然手にして、どうしても本にしたいと願う。
けれど会社では企画にGOサインが出なくて――。
いくつものハードルを越え、本を届けるために、奔走する彰彦。
その思いは、出版社内の人々に加えて、作家やその娘をも巻き込んでいく。
本に携わる人たちのまっすぐな思いに胸が熱くなる一作。


学生時代から、進路に関する挫折を知らずにここまできた編集者・工藤くんの熱意の物語である。たまたま読ませてもらったいまは注目されていない作家の原稿の素晴らしさに惚れ込み、なんとしても自社から出版したいと、さまざまな壁に立ち向かう姿が描かれており、熱い思いが伝わってきてそれだけでも感動的なのだが、この物語はそれだけではない。原稿に込められた思い、伝えたい言葉、会いたい人。作家だけでなく工藤自身の思いも絡めて描かれている切なくも強い気持ちが胸にしっかりと届いてくる。慈雨のようにしっとりと沁みこむ一冊である。

天才探偵Sen7――テレビ局ハプニング・ツアー*大崎梢

  • 2012/06/05(火) 16:53:07

天才探偵Sen⑦ テレビ局ハプニング・ツアー (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)天才探偵Sen⑦ テレビ局ハプニング・ツアー (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)
(2012/02/08)
大崎梢

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信太郎のペットがテレビ番組にでることになり、おともについてきた千たち。
しかし、名探偵のいくところに事件あり!
局内の事件にまきこまれて……。あかずのスタジオの謎にいどみます!


千くんたち小学生トリオがテレビ局で巻き込まれる事件と謎とわくわくの物語。テレビの世界の内側をちょっぴり覗けるわくわくと、怪談話に絡んだ謎解きで、対象年齢の小学校高学年には愉しい一冊だろう。ただ大人にはさすがにちょっと物足りないか。

プリティが多すぎる*大崎梢

  • 2012/02/26(日) 17:09:00

プリティが多すぎるプリティが多すぎる
(2012/01)
大崎 梢

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「なんで俺がこんな仕事を!」女の子雑誌で孤軍奮闘する新米編集者の爽快お仕事小説。


新見佳孝は四月の移動でローティーンむけのファッション誌「ピピン」の編集部に配属になった。文芸志望の佳孝は、これ以上ないほど腐り落ち込む。「なんで俺がこんな仕事を!」というわけである。編集の現場も勝手が違いすぎ、なにをどうしたらいいのかさっぱり判らず、もちろんやる気も起きない。新美南吉にちなんでかいきなり「南吉くん」と呼ばれるようになり、それにさえ閉口するばかりである。そんな南吉が、十代のモデルたちの悲喜交々の事情や健気さ、スタッフの真剣さなどを目の当たりにし、失敗を繰り返しながら、知らず知らずの内にその仕事や場に愛着を感じはじめる様子が、感動的である。南吉くん、元来真面目なのである。モデルとして活動を始めると輝きを放つ十代の女の子のように、南吉くんも見事に輝く日が来るかもしれない。いまはまだ未熟者だが、そんな期待も感じさせられる一冊である。

キミは知らない*大崎梢

  • 2011/07/30(土) 13:45:35

キミは知らないキミは知らない
(2011/05)
大崎 梢

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先生、本当のことを教えて。何で私の前に現れたの?研究者だった亡父の手帳を渡した直後、突然姿を消した先生。ほのかに想いを寄せていた高校2年の悠奈はたまらず後を追う。ところが再会したのは穏やかな先生とは別人のような鋭い眼差しの男。さらに悠奈の前に、「お迎えにあがりました」と謎の男たちが現れて―。


5歳のときに火事で父を亡くしてはいるが、ごく普通の高校生活を送っていた悠奈。ある日図書室で父の著書を手にしている数学の非常勤講師・津田先生と出会い、父のことや悠奈の名前のことやあれこれ話をするようになる。だが先生は実家の事情とかで急に学校を辞めてしまったのだった。中途半端な思いを胸に住所だけを頼りに津田の郷里を訪ねた悠奈は、とんでもないことに巻き込まれることになる。
平凡な高校生活と古からの神事にまつわる大家同士の対立や勢力争いというギャップにまず驚かされる。そして、渦中の人たちの自分の都合のいいように物事を解釈する身勝手さに呆れ、だれを信じたらいいのかわからなくなる。津田先生だけは、と思っていたのにそれさえ裏切られそうになった時の悠奈の絶望はいかばかりだっただろうか。それでも自分の頭で考えることのできる悠奈はやはり強い女の子なのだろう。ラストのその後を想像するとあたたかい心持ちになる一冊である。

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かがみのもり*大崎梢

  • 2011/04/09(土) 21:12:00

かがみのもり (BOOK WITH YOU)かがみのもり (BOOK WITH YOU)
(2011/03/19)
大崎梢

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新任の中学教師・片野厚介のもとに、担任クラスのお騒がせ男子生徒コンビによって持ち込まれた、金色に輝くお宮の写真。それは立ち入り禁止になっている神社の裏山にあったという。お宮の在処をめぐって接触してくる、怪しい組織や謎の美少女中学生。降りかかるピンチの連続のなかで、三人は幻のお宮を守れるのか!?


実家が神社で参拝の所作が美しい新任中学教師・片野厚介が主役である。先輩教師からは「なめられず、なれ合いにならず、生徒にはぴしっとのぞめ」と言われているにもかかわらず、お調子者の男子・笹井と勝又のペースにまんまと巻き込まれてしまうのだった。神社の威信、怪しい新興宗教、行方不明の信者を探す興信所の調査員、隣の中学の可愛い女子生徒、などの思惑が絡み合い、恐ろしい目に遭いながらも厚介と二人の男子は真相を見極め、いちばんいいと思われる解決へと導くのだった。途中どうなることかとはらはらさせられたが、厚介の機転がナイスだった。教師としては先が思いやられる気もするが、愉しそうな中学生活である。神聖さとお調子者の中学生とのミスマッチが絶妙な一冊でもあった。

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天才探偵Sen3-呪いだらけの礼拝堂*大崎梢

  • 2010/10/21(木) 17:01:26

天才探偵Sen〈3〉呪いだらけの礼拝堂 (ポプラポケット文庫)天才探偵Sen〈3〉呪いだらけの礼拝堂 (ポプラポケット文庫)
(2009/02)
大崎 梢

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十年に一度、名画公開の日には、悲劇が起こる―聖クロス学園の噂の日がやってきた!あやしい魔方陣に黒魔術、不安にかられた生徒たちを名探偵の鋭い推理が突く。人気シリーズ第三巻。


千くんシリーズ三作目は、小学部から高等部まである近所の私立聖クロス学園の学園祭で活躍する千・香奈・新太郎トリオである。新聞部の取材だと香奈に言われて訪れたクロ学(聖クロス学園)で、不穏な悪魔騒動に巻き込まれ、謎を解き明かすのだった。千くんが謎に関わることになったのは、保健室の万希先生がらみで相変わらず不順な動機だし、怪しいグループ・白バラ会の面々に向かって、謎は自分が解き明かすと宣言してしまう辺り生意気ぶりは健在なのだが、実際解いてしまうのだから文句は言えない。

天才探偵Sen2-オルゴール屋敷の罠*大崎梢

  • 2010/10/20(水) 18:17:51

天才探偵Sen〈2〉オルゴール屋敷の罠 (ポプラポケット文庫)天才探偵Sen〈2〉オルゴール屋敷の罠 (ポプラポケット文庫)
(2008/07)
大崎 梢

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とびきりの秀才探偵、怪奇現象に挑戦!?だれもいないはずのお屋敷で、物音と人影が―。謎をしらべるうちに、屋敷にしかけられた、大きなからくりが明らかに…!


千くんシリーズの二作目。
とびきり頭はいいが協調性がなく変わり者、という小学六年の千くん(渋井千)だが、新太郎と香奈と今回は転校してきたばかりで謎の持ち込み主でもある麻美と一緒に行動しているのを見ると、それほどの変人でもない気がする。子どもらしいとは言えないが…。
麻美の亡くなったひいおばあさんが住んでいたお屋敷で夜ごとオルゴールの音色が聞こえ、誰もいないはずの屋敷の中でふわっと白い影が動くのが見えた、という麻美からの相談を受けて調査に乗り出した千くんたちである。調べるうちに、ひいおばあさんの絹子さんの貴重なオルゴールのコレクションに関するよからぬ噂についても知り、屋敷全体のからくりや、オルゴールにまつわる想いも解き明かすことになる。謎解きとオルゴールの知識と両方愉しめる一冊である。

背表紙は歌う*大崎梢

  • 2010/10/15(金) 06:35:22

背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)
(2010/09/11)
大崎 梢

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地方の書店の動向をなぜか必要以上に気にする営業マン、訪問予定の作家を気にする曰くありげな書店員……。愉快な他社の営業マンたちに助けられながらも、出版社営業の新人・井辻智紀は奮闘する。《出版社営業・井辻智紀の業務日誌》第二弾!


表題作のほか「ビターな挑戦者」 「新刊ナイト」 「君とぼくの待機会」 「プロモーション・クイズ」

井辻くんシリーズ第二弾。
すでに読み終えた方々が「えーっ!?」と叫ぶ理由がわかった。受賞者は一体???知りたい。そして今回も成風堂が要所で登場したのもうれしい。井辻くんは相変わらず他所の出版者の営業さんたちに「ひつじくん」と呼ばれるたびに「井辻です」と言い直しているが、悩みどころも対応もすっかり一人前の営業さん振りである。そんな井辻くんの親身で実のこもったやさしさが絡まった糸を解きほぐす一助になっているのだと思う。いいとこだらけの吉野先輩を越える日もきっと近い、と思わされる一冊である。長くつづいて欲しいシリーズである。

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ねずみ石*大崎梢

  • 2009/10/17(土) 13:40:47

ねずみ石ねずみ石
(2009/09/18)
大崎 梢

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祭りの夜には、ねずみ石をさがせ。かなう願いは、ひとつだけ―。中学一年生のサトには、四年前のお祭りの記憶がない。恒例の子供向けイベント「ねずみ石さがし」の最中に、道に迷って朝まで行方しれずだったのだ。同じ夜、村ではひとつの惨殺事件が起こっていて、今でも未解決のまま。交錯する少年たちの想いが、眠っていたサトの記憶に触れたとき、事件は再び動き始める。瑞々しい青春推理長編の最新作。


殺人事件のあった祭の年から四年経ったいまになって、事件の真犯人捜しに新たな動きが出たのは何故なのか。そこから考え初めていたら、果たして真相に気づくことができただろうか。おそらくできなかっただろう。
中学生の少年たちの友情の物語であれば、舞台となった神支村ももっと明るく爽やかな雰囲気だったのだろうが、殺人事件にまったくの無関係ではいられない忌まわしさが、物語全体を薄暗く重苦しい空気に包みこんでいる。大人の身勝手さが子どもたちに暗い顔をさせるのはとても胸が痛む。
やるせなさはどうすることもできないが、ラストには希望も仄見える。屈託のない少年時代を取り戻せるとは思えないが、乗り越えて欲しいと節に願う。

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スノーフレーク*大崎梢

  • 2009/06/27(土) 13:45:45

スノーフレークスノーフレーク
(2009/02/27)
大崎 梢

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「溶けない雪の欠片を見にいこう」その約束を果たせないまま、死んでしまった幼なじみ・速人。六年後、高校卒業を控えた真乃は、彼とよく似た青年を見かける。ほんとうは生きているのかもしれない。かすかな希望を胸に、速人の死にまつわる事件を調べ始めた真乃だったが―!?函館の街を舞台に描いた青春ミステリー。


内容紹介のとおり、まさに青春ミステリである。登場人物も、題材も舞台も、申し分ない程「青春!」である。
それでもそこにあるのは、ただ明るく切ないだけの物語ではなく、幼なじみの急死を心の底から信じきれないが故に、一歩前へ踏み出せずにいる少女の哀しみと、それを取り巻くさまざまな想いがあるのだった。そして思ってもみなかった真相を知った驚きと納得、仄見える明るい予感にほっとするのだった。

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夏のくじら*大崎梢

  • 2009/01/16(金) 19:02:05

夏のくじら夏のくじら
(2008/08)
大崎 梢

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都会から高知にやってきた大学生・篤史は、従兄弟から強引に本場・よさこい祭りに誘われる。衣装、振り付け、地方車、鳴子。六年ぶりに復活する町内会チームは、どこよりも熱い。南国高知、真夏の風は、空から海へと吹き抜ける。一途な思いを秘めて、踊る青春群像。


篤史は東京で家族と暮らしていたが、高知大学に入学が決まり、祖父母や従兄弟が住む高知へやってきた。従兄弟の多郎に強引に誘われて、よさこい祭りに参加することにさせられてしまったのだが、みんなの熱意と祭りの熱気の中にいるうちに、次第に自分も燃えてくるのだった。
篤史が高知に来たのには実はある理由があったのだった。四年前、成り行きから参加したよさこいのときに、メダルをくれた年上の女性を探し、自分が取ったメダルをあげること。中学生のころほのかな恋心を抱いたが、それきり会うことが叶わなかった彼女との約束なのだった。
祭りの準備のあれこれ――衣装、音楽、振り付け、地方車の飾りつけ、参加者集め、タイムスケジュール、ほかにも山ほど――の大変さ、祭り本番に向けていやが上にも高まる興奮。期待と不安、自信のなさや自負。そんなよさこい祭り自体の熱気に、ほとんど手がかりがないと言ってもいいような女性探しというミステリの要素が加わって、ただ汗と涙の感動物語というだけではない、ほろ苦くて甘い物語にもなっていて、とてもバランスがよく、じんわりあたたかい一冊だった。

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平台がおまちかね*大崎梢

  • 2008/08/26(火) 21:41:44

平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)
(2008/06)
大崎 梢

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自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら、何故か冷たくあしらわれ、文学賞の贈呈式では受賞者が現れない…。波瀾万丈の日々を奮闘する、新人出版社営業部員・井辻くんのハートフル・ミステリ。


表題作のほか、「マドンナの憂鬱な棚」 「贈呈式で会いましょう」 「絵本の神さま」 「ときめきのポップスター」
その間に、「新人営業マン・井辻智紀の一日1-5」が挟み込まれている。

書店員さんたちに評判のよかった前任者・吉野さんの後任として、とりたてて秀でたところのない――と自分で思っている――井辻智紀がアルバイトから正社員に登用された。ほかの出版社の営業マンたちと、時に競い、時に協力し合って書店やその周辺で起こる謎を解き明かしていく。吉野先輩には敵わない、といつも思っている井辻くんだが、この一冊が終わるころにはキャラの濃い営業マン仲間にもしっかり溶け込み、書店員さんからも信頼されつつあって、頼もしくすら見えてくる。
成風堂書店の多絵ちゃんを匂わせるエピソードが出てくるのも、思いがけず懐かしい人の消息を聞いたようでうれしい。

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天才探偵Sen―公園七不思議*大崎梢

  • 2008/01/11(金) 07:04:33

天才探偵sen公園七不思議 (ポプラポケット文庫 63-1)天才探偵sen公園七不思議 (ポプラポケット文庫 63-1)
(2007/11)
大崎 梢

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テストはいつも満点。成績は学年一。診断テストも決まってトップ。他人はぼくのことを天才という。みんなにいわれてしかたなく探偵することになったけど、ぼくが本気になったら解けない謎はない!

<人物紹介>
渋井千:さつき小始まって以来の天才六年生。弱点は大人のきれいな女の人。
香奈:千の幼なじみ。おしゃべり大好きしっかり者。
信太郎:千の幼なじみ。王子さまのような見た目で気が弱い。
マナミ:香奈を姉のようにしたう、五年生。
敦也:マナミの兄。腕力じまんで妹想い。
万希先生:保健室の先生。千のあこがれの人。
美幌沢和人:フリーライター。


小学生三人組の探偵ごっこなのだが、少し違うのは、リーダー格の千が天才的な頭脳を持っていること――ちょっとコナンっぽい。ゆえに、探偵ごっことはいえ実にしっかり手順を追って、想像力と推理力を働かせて謎を解いてしまうのである。
万希先生にメロメロなのを隠しもせずににやけてしまうところがまた完璧すぎる冷たい天才少年ではなく好感が持てたりもする。
著者初の児童書ということで、千君たちと同年代の少年少女の人気者になりそうである。

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片耳うさぎ*大崎梢

  • 2007/09/07(金) 10:33:12


片耳うさぎ片耳うさぎ
(2007/08)
大崎 梢

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奈都は小学校6年生。引っ越してきた父の実家は、古くて大きなお屋敷で、しかも不吉な言い伝えがあるという。弱った奈都が頼ったのは、ひとりの謎めいた女子中学生だった…。優しい読後感が嬉しいミステリー長編。


父の仕事が上手くいかずに住んでいた家を追い出されるようにして父の実家である田舎のお屋敷に引っ越してきた蔵波奈都(なつ)。ただでさえ心細いのに、今度は母までもが実家の母(奈都の祖母)が具合が悪いからと泊りがけでお見舞いに行ってしまった。大きなお屋敷でひとりぼっちになることを思って授業にも身が入らない奈都に、隣の席の一色祐太は「姉ちゃんに相談してみれば?」と言う。そして紹介された中学生の美少女・さゆりが、母が帰るまで蔵波家に泊り込んでくれることになったのだが・・・。

とびきりの美少女ながらちょっと不思議なところのあるさゆりに引っ張られるようにして、蔵波家の中を探検して歩く奈都だったが、知らず知らずに蔵波家の謎の核心部分に近づいていく。幼いときの夢うつつの記憶が、なにやら恐ろしそうな謎解きにやわらかな光を与えているのが印象深い。
奈都という存在がなければもしかすると永遠に解かれずにいたかもしれない蔵波家の謎は、人びとの胸のわだかまりをも溶かして、奈都を本当の意味で蔵波屋敷の子どもにしたのだろう。
さゆりと奈都の冒険物語に次はあるだろうか。

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サイン会はいかが?*大崎梢

  • 2007/06/18(月) 17:36:11

☆☆☆☆・

サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ
大崎 梢 (2007/04)
東京創元社

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同一書籍に四件の取り寄せ依頼。ところが連絡を入れると、四人が四人ともそんな注文はした覚えがないと・・・・・。(「取り寄せトラップ」)
「ファンの正体を見破れる店員のいる店でサイン会を開きたい」――若手ミステリ作家のちょっと変わった要望に、名乗りを上げた成風堂だが・・・・・。(「サイン会はいかが?」)
駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかりものの書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵のコンビが、書店に持ち込まれる様々な謎に取り組んでいく。
短編五本を収録した本格書店ミステリ、好評シリーズ第三弾!


上記に紹介したもののほか、「君と語る永遠」「バイト金森君の告白」「ヤギさんの忘れもの」

相変わらずに忙しそうな成風堂書店が舞台である。書店員さんたちの気苦労や心配り、体力勝負の職場風景を垣間見た心地であり、書店にいるときの自分がどんな客だっただろうか お仕事の妨げになっていなかっただろうか と思い返してみたりする。
杏子さんはいつもどおりにしっかりと仕事をこなし、多絵ちゃんはもうすっかり書店探偵として周りから期待され、しっかりそれに応えている。書店ならではの不可思議な謎が次々に目の前に現れるのだが、見事に答えを見つけ出し、事件解決のその後にまで思いをめぐらして解決するあたたかな心配りにとても好感が持てる。
じんとしたりほろりとさせられたり、先を知りたいが読み終えてしまいたくはない、いつまでも読みつづけたい一冊である。

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