あぶない叔父さん*麻耶雄嵩

  • 2015/06/04(木) 16:35:15

あぶない叔父さん
あぶない叔父さん
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麻耶 雄嵩
新潮社
売り上げランキング: 68,492

鬱々とした霧が今日も町を覆っている―。四方を山と海に囲まれ、古い慣習が残る霧ヶ町で、次々と発生する奇妙な殺人事件。その謎に挑む高校生の俺は、寺の小さな離れに独居してなんでも屋を営む、温厚な叔父さんに相談する。毎回、名推理を働かせ、穏やかに真相を解き明かす叔父さんが、最後に口にする「ありえない」犯人とは!常識破りの結末に絶句する「探偵のいない」本格ミステリ誕生!!年間ミステリ・ベスト10常連の奇才が放つ、抱腹と脱力の問題作。


「失くした御守」 「転校生と放火魔」 「最後の海」 「旧友」 「あかずの扉」 「藁をも摑む」

叔父さん、一見頼りなく、見た目は怪しげではあるが、ほんとうに穏やかで、なんでも屋の仕事も丁寧にこなし、人の役に立つ好人物である。甥である優斗の相談にもいつも親身になってくれるし。だがそんな折、飛び出してくる叔父さんの打ち明け話が実は怖い。そしてそれが、各物語のオチになっている。いいのかこれで!?という感じではあるが、そこが著者らしい。叔父さん、ある意味疫病神ではないか。くくくと思わず笑ってしまう一冊である。

化石少女*麻耶雄嵩

  • 2015/01/15(木) 13:29:17

化石少女 (文芸書)化石少女 (文芸書)
(2014/11/12)
麻耶 雄嵩

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京都の名門学園に続発する凄惨な殺人事件。対するは、マンジュウガニ以上といわれるすべすべ脳みそにして、化石オタクの変人女子高生。古生物部の美形部長まりあが、一人きりの男子部員をお供に繰り出す、奇天烈推理の数々!


名門学園で次々に人が死ぬ。廃部寸前の古生物部と生徒会とのいざこざ、化石にしか興味のない美少女部長・神舞まりあと唯一の部員でありまりあの幼馴染にして、親の仕事がらみでまりあのお守り役を仰せつかって入学した桑島彰の夫婦漫才――彰が聞いたら怒り出しそうだが――のようなやりとり、といったある種コメディにもなりそうなお定まりの設定のなかで、禍々しい殺人事件が起きるのである。しかもまりあは、古生物部の宿敵である生徒会のメンバーを犯人として推理を展開するので、彰はその尻拭いをさせられることになる。さらに言えば、事件はまったくすっきり解決しないのである。だが、そういう趣向なのかと思いかけたラスト近くで、突然目を覚まされた感じである。いろんな風に愉しめる一冊でもあると思う。

さよなら神様*麻耶雄嵩

  • 2014/08/24(日) 21:08:51

さよなら神様さよなら神様
(2014/08/06)
麻耶 雄嵩

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隣の小学校の先生が殺された。容疑者のひとりが担任の美旗先生と知った俺、桑町淳は、クラスメイトの鈴木太郎に真犯人は誰かと尋ねてみた。殺人犯の名前を小学生に聞くなんてと思うかもしれないが、鈴木の情報は絶対に正しい。鈴木は神様なのだから―(「少年探偵団と神様」)。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させた神様探偵が帰ってきた。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに。


 少年探偵団と神様
 アリバイくずし
 ダムからの遠い道
 バレンタイン昔語り
 比土との対決
 さよなら、神様

前作を読んでいないが、問題なく愉しめた。愉しめたと言うには、後味はあまりよくないが。小学生の探偵団遊びかと思いきや、次々に人が死に、神様=鈴木は、探偵団の一員である俺=桑町淳にだけ犯人を教える。団長の市部始の推理力や、市会議員を父に持つ丸山一平の情報、そして不思議キャラで将来の市部の恋人を自称する比土優子の協力で、事件の真相にたどり着くのである。「俺」の事情にも驚いたが、最終章で全体像が覆されるのが、珍しく気持ち好くない。もやもやする一冊である。

あいにくの雨で*麻耶雄嵩

  • 2014/06/08(日) 10:45:14

あいにくの雨で (講談社ノベルス)あいにくの雨で (講談社ノベルス)
(1996/05)
麻耶 雄嵩

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かつて殺人があった廃墟の塔で再び殺人が! 発見者は高校生・烏兎(うと)、獅子丸(ししまる)、祐今(うこん)。死体はその事件の犯人と目され、逃亡していた祐今の父親だった。現場には、塔にむかう雪上の足跡ひとつ。そして三たび殺人は起こった。繰り返される、犯人の足跡がない密室殺人の真相は? 麻耶雄嵩、正面から雪の密室に挑戦!


密室ミステリなのだが、学園ものとしても愉しめる物語である。主人公の高校生烏兎(うと)と、親友同士のようでいて、一風変わった関係に見える獅子丸や祐今(うこん)との日々。塔で起きた過去と現在の殺人事件にかかわるのはもちろん、学校内での秘密の活動でも、三人のそれぞれ違った個性が際立っている。一見いちばん癖がなさそうに見える烏兎の鋭い着眼点と、気づいてしまった故の葛藤が切ない。なかなか愉しませてくれる一冊である。

貴族探偵対女探偵*麻耶雄嵩

  • 2013/11/14(木) 16:55:29

貴族探偵対女探偵貴族探偵対女探偵
(2013/10/25)
麻耶 雄嵩

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「貴族探偵」を名乗る謎の男が活躍する、本格ミステリーシリーズ第2弾!
今回は新米女探偵・高徳愛香が、すべてにおいて型破りな「貴族探偵」と対決! 期待を裏切らない傑作トリックの5編収録。


シリーズ化されたのか、と思ったら、今回は女探偵との対決である。高名だった師匠亡き後を引き継いで探偵をしている高徳愛香が主に推理を繰り広げているので、一見彼女が主役のように見えるのだが、最後の最後に(使用人が)見事な推理を披露して逆転するという趣向である。一作目よりも貴族探偵の態度が鼻につく気がするのは、愛香を弄んで愉しんでいるように見えなくもないからだろうか。前作よりもスマートさに欠けるようには思われる。愛香の推理もいいところまで行くのだが、まだまだ詰めが甘く、いいところをことごとく貴族探偵に持って行かれてしまうのが可哀想でもある。彼女が精進して、師匠を超えるのを見たいので、次回作からも出て来てくれると嬉しい。次も愉しみなシリーズである。

貴族探偵*麻耶雄嵩

  • 2011/08/16(火) 17:08:48

貴族探偵貴族探偵
(2010/05/26)
麻耶 雄嵩

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本格愛好家へ贈る、ディテクティブ・ミステリーの傑作!!

自らは推理をしない「貴族」探偵、登場。

推理などという〈雑事〉はすべて、使用人任せ…。
「趣味」探偵の謎の青年が、生真面目な執事や可愛いメイド、巨漢の運転手などを使い、難事件を解決する。
知的スリルに満ちた本格ミステリー!

麻耶雄嵩5年ぶりの最新刊。

――著者コメント――
『貴族探偵』は一作目から足かけ十年を要して完成した短編集です。
十年の間に本格ミステリーに対する作者の考えや嗜好もいくらか変わり、結果的に様々な傾向を持った作品集になりました。
そんな変わった部分、逆に何も変わっていない部分を楽しんでいただけたらと思います。


さるやんごとないお家柄の青年が趣味で探偵をし、自らを「貴族探偵」と名乗って箔押しの名詞まで持っており、自らは麗しい女性の相手をするばかりで推理はすべて使用人任せ、という設定だけ見るとコメディのようであるが、実際は本格ミステリなのである。そして使用人たちの推理の腕前は見事なもので、充分愉しめる。この貴族探偵のキャラクターが鼻につかないのは、やはり育ちのよさということなのだろうか。ときどき現実的に鋭いことをつぶやいたりもするのが魅力的でもあるのだ。いささか煙に巻かれたような気分にならないでもないが、愉しい趣向の一冊である。

隻眼の少女*麻耶雄嵩

  • 2011/02/24(木) 06:58:14

隻眼の少女隻眼の少女
(2010/09)
麻耶 雄嵩

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古式ゆかしき装束を身にまとい、美少女探偵・御陵みかげ降臨!因習深き寒村で発生した連続殺人。名探偵だった母の跡を継ぎ、みかげは事件の捜査に乗り出した―。


  第一部 1985年・冬  第二部 2003年・冬

スガル様が龍の首を切り村を救った、という古来からの言い伝えによって崇められている「スガル」の継承に絡んだ連続殺人事件。自殺しにきた種田静馬はたまたまそのときに居合わせ、同じ宿にいた探偵・御陵(みささぎ)みかげの助手見習いとして事件の解決に立ち会うことになったのだった。第一部だけでミステリとしては充分完結しているのである。第二部がなければごく普通の新本格ミステリなのである。が、18年後を描いた第二部が後ろに置かれたことによって、おそらく誰も想像だにしなかったとんでもないことになっている。「そんな…」と絶句する一冊である。

蛍*摩耶雄嵩

  • 2009/01/31(土) 21:07:30

螢 (幻冬舎文庫)螢 (幻冬舎文庫)
(2007/10)
麻耶 雄嵩

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オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。そんな中での四日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。嵐の山荘での第一の殺人は、すぐに起こった。


曰くつきの山奥の館に肝試し合宿にやってきた大学生六人。その夜、彼らの先輩でもある館の主が殺された。折りしも嵐のような集中豪雨のさなか、麓との唯一の連絡路である橋は決壊し、館の電話はすべて線が切られていた。密室とも言える舞台の出来上がりである。
思わぬミスリードがあるのだろうと、心して読み進んだが、比較的早い段階でたどり着いた予想がほとんど裏切られないストーリー展開で、かえって拍子抜けしてしまった。
館の元々の持ち主・作曲家の加賀蛍司の奇行や、それを上回るとも言える殺人鬼ジョージの所業には、目を背けたくなる心地だったが、物語自体には、もう一捻りあって欲しかったように思う。

木製の王子*麻耶雄嵩

  • 2007/06/17(日) 16:40:57

☆☆☆☆・

木製の王子 木製の王子
麻耶 雄嵩 (2000/08)
講談社

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比叡山の山奥に隠棲する白樫家は、一点に収斂(しゅうれん)する家系図を持つ“閉じられた一族”。その奇矯な屋敷が雪で封印された夜、再び烏有(うゆう)は惨劇を見た。世界的な芸術家・宗尚(むねなお)の義理の娘、晃佳(あきか)の首がピアノの鍵盤の上に置かれていたのだ。関係者全員に当てはまる精緻なアリバイ。冷酷で壮絶な論理だけが真相を照らす!


名探偵・木更津も解にたどり着くことができないのでは・・・?と思わせられた物語だった。それは杞憂に終わったが、それでも流された血はかなりなものになってしまった。
作中何度も出てくるアリバイ崩しの思考過程はさながら時刻表トリックを解くかのように細かく、そのあまりの正確さゆえの不自然さをも白樫家が白樫家である所以として利用してしまう著者の着想には恐れ入る。
安城のこれからの人生が翳らないことを祈りたい。

鴉*麻耶雄嵩

  • 2007/06/14(木) 11:33:47

☆☆☆・・

鴉
麻耶 雄嵩 (1997/09)
幻冬舎

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瑠璃色の香気が立ち昇る、天才の所業。弟・襾鈴(アベル)の失踪と死の謎を追って、地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允(カイン)。襲いかかる鴉の大群。四つの祭りと薪能の儀式。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき殺害現場。連続殺人。人殺しの手に現れるという奇妙な痣。盲点を衝く大トリック。村を支配する大鏡の正体。ふたたび襲う鴉。そして、メルカトル鮎。逆転と驚愕の大結末が待っている。


舞台は、地図にも載らず、現代から取り残されたようにひっそりと存在する村。そこは絶対神としての大鏡によって統べられている。しかし、単に長閑なだけではなかったのである。人の在るかぎりは・・・・・。
旧約聖書に由来すると思われる珂允(カイン)と襾鈴(アベル)の名に象徴される兄弟の確執が時代を超えて絡まりあっているのに気づいたとき、兄にとって謎は身の内にあったのだと思わされる。業の深い物語である。
メルカトルの現れ方がまた場にも物語にもまったく不似合いに見えるが、彼の出自はこんなところにあったのかと興味をそそられる。まったく不思議な存在である。

痾(あ)*麻耶雄嵩

  • 2007/06/09(土) 16:40:15

☆☆☆・・

痾
麻耶 雄嵩 (1995/05)
講談社

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大破局(カタストロフィ)のショックで部分的記憶喪失に陥った如月烏有(きさらぎうゆう)は、寺社に繰り返し放火して回復を企る。だが焼け跡には必ず他殺死体が発見され、「次は何処に火をつけるつもりかい?」との脅迫状が舞い込む。誰が烏有を翻弄しているのか? 烏有に絡む銘探偵メルカトル鮎の真の狙いは? ミステリに遊戯(ゆげ)する若き鬼才の精華!


前作『夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)』を読んでいないのだが、その続編になる物語のようである。メルカトル鮎シリーズとでもいうのだろうか。
前作の恐ろしい体験の記憶を失くした如月烏有は、割り切れない気分のまま正社員に登用もされて日々を暮らしている。そんな中で起きる連続放火殺人事件である。この事件を通して烏有の記憶が戻るのか、と期待しながら読んだのだが、どうもそうではない。デビュー作で連続殺人の犠牲になったメルカトル鮎も登場するが――デビュー作と本作は時系列順ではなかったようだ――この銘探偵はどうも、自分では真相を見抜いていながら 警察に協力して事件を解決しようという気は持ち合わせていないようである。風貌だけでなく 一風変わった探偵である。
物語自体も少しばかり掴みどころがない感じである。

翼ある闇*麻耶雄嵩

  • 2007/06/04(月) 17:01:17

☆☆☆☆・

翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件 翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件
麻耶 雄嵩 (1991/05)
講談社

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首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇はすでに始まっていた。2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。島田荘司、綾辻行人、法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。

魅力的な謎、破天荒なトリック、緻密な論理、奇矯な人物、衒学趣味、毒に満ちたユーモア、意外な解決…。およそ思い付く限りの本格ミステリのエッセンスが、この小説には濃密に詰め込まれている。


私立探偵・木更津が古城で起きる殺人事件の謎解きに馳せ参じる前半は、本格ミステリの王道をいく綾辻ワールドの踏襲か、と思いつつ読んだのだが、自らの推理に行き詰まりを感じた木更津が山に籠もるという唐突な展開の後、なんとメルカトル鮎の登場である。木更津に対抗するように自らの推理を披露したメルカトル鮎であり、真打登場か と思わせられたのだが、それも一瞬のこと。意外な展開が待っている。
死体はどんどん増えていき、期待は面白いように何度も裏切られるのだが、最後の最後に思ってもいなかったサプライズが待っているのだった。
読者も登場人物もミステリと信じて進んできたのに、ただひとりの人物にとってはこれはサスペンスだったのである。なんということだろう!

まほろ市の殺人 秋*麻耶雄嵩

  • 2006/06/04(日) 09:00:17

☆☆☆・・

まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事 まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事
麻耶 雄嵩 (2002/06)
祥伝社

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闇雲(やみくも)A子と憂鬱(ゆううつ)刑事

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「早く乗せて!」非番の刑事天城憂の車に、女性が乗り込んできた。真幌市在住の有名なミステリー作家闇雲A子だった。この春から十一件も連続して殺人事件が発生している。その「真幌キラー」をA子は追っていたのだ。死体の耳が焼かれ、傍には必ず何かが置かれている。犬のぬいぐるみ、闘牛の置物、角材・・・・・。真幌市を恐怖のどん底に陥れる殺人鬼の正体とは?
  ――文庫裏表紙より


倉知淳さんの「春」、我孫子武丸さんの「夏」に続く「秋」である。
「夏」の項で、真幌市の規模が意外と大きいのでこれだけの事件が起きても不思議はないか、というようなことを書いたが、やはり事件は起こりすぎである。今回の連続殺人――しかも被害者は十人を超えている――の合い間(?)に春や夏にも殺人事件が起こっているのである。

しかも今回の犯人は!!

真幌市恐るべし!

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