増山超能力師大戦争*誉田哲也

  • 2017/07/30(日) 18:22:14

増山超能力師大戦争
増山超能力師大戦争
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誉田 哲也
文藝春秋
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ここは、超能力が事業認定された日本。いまや超能力関連の科学技術は国家レベルの重大機密情報となっている。そんななか、最先端の技術開発に携わっている人物が行方不明に。本人の意志なのか、はたまた海外の産業スパイによる拉致なのか。「面倒くさい」が口癖の一級超能力師・増山圭太郎が調査を開始すると、所員や家族に魔の手が迫る…。

超能力にまつわる機械を開発していた技術者が行方不明に。増山が調査を始めると、所員や家族に魔の手が……。大好評シリーズ第二弾。


なんだか見事にドラマにやられたようで、ずっとそのイメージで読んでしまった。ドラマの役がはまっていたということかもしれない。
今回は、いろいろな意味で危ない話が多い。命の危険さえ伴う案件だし、超能力師の存在そのものにもかかわる。そして、増山の妻・文乃、さらには娘のアリスのこれからのことにまで、危惧は広がる。また、「めんどくさいなぁ」が口癖の増山の実力を思い知らされる場面もあり、魅力はいや増すのである。増山超能力師事務所のメンバーの個性もあちこちで発揮され、ことに、唯一無能力者の事務員・朋江さんの察しの良さはかっこよすぎて惚れる。次作の主役はアリスだろうか、と心配とともに愉しみなシリーズである。

硝子の太陽 Rouge*誉田哲也

  • 2016/09/19(月) 16:38:36

硝子の太陽R-ルージュ
硝子の太陽R-ルージュ
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誉田哲也
光文社
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姫川玲子×〈ジウ〉サーガ、衝撃のコラボレーション、慟哭のルージュサイド!

祖師谷で起きた一家連続殺人の捜査本部に加わった姫川班。
有効な手がかりや証言のない難しい捜査だが、捜査一課に復帰して間もない玲子の日々は充実していた。そのはずだった……。
緻密な構成と驚愕の展開、著者渾身の二大ヒットシリーズ競演!


先に読んだ、Noirの事件と複雑に絡まり合い、日米地位協定に阻まれた過去の惨殺事件まで掘り起こしながら、物語は進み、部下を巻き込むまいとする姫川の相変わらずとも言っていい独走もあり、ガンテツとの駆け引きもあり、見せ場がたくさんあってスリリングである。女性であるということをマイナスにとらえるわけでもなく、かと言ってプラスにしきれるわけでもない姫川玲子という個性が、やはりこのシリーズにはなくてはならないと改めて感じさせられる。決して沈着冷静なわけではなく、時にエキセントリックで扱いづらくもあり、危うげでもあるのだが、それでも一度心を決めたときの強さは、誰にも負けない。菊田を始め、周りを固める男性刑事陣も、それぞれ個性的で魅力的である。悲しい結果も招いてしまったが、道筋に光が見えたのも確かである。姫川にはいつまでも闘ってほしいと思う反面、力を抜いて安らげる場ができればと望む思いも強くなるシリーズである。

硝子の太陽 Noir*誉田哲也

  • 2016/09/14(水) 17:05:16

硝子の太陽N - ノワール
誉田 哲也
中央公論新社
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沖縄での活動家死亡事故を機に「反米軍基地」デモが全国で激化した二月、新宿署の東弘樹警部補は「左翼の親玉」を取り調べることに。その直後、異様な覆面集団による滅多刺し事件が起こる。被害者は歌舞伎町セブンにとってかけがえのない男。社会に蔓延る悪意の連鎖を断ち切るべく、東とセブンの共闘が始まる!


東弘樹警部補と歌舞伎町セブンの物語である。姫川玲子のシリーズ(Red)とのコラボということらしいが、姫川は、ちょこっと顔を出す程度で、物語の本筋には絡んでこない。暴力シーンは何度読んでも惨たらしすぎて、途中でページを閉じたくなるし、現実にこれが許されたら空恐ろしいと思ってしまうが、陣内たちに時に肩入れしてしまうのも事実である。沖縄の基地問題に絡めた一連の事件。現地と東京の認識の差や、沖縄のもどかしさも伝わってくる。いつも途中で目を背け、読むのをやめようと思っても読み切ってしまうシリーズである。

プラージュ*誉田哲也

  • 2016/02/07(日) 17:12:03

プラージュ
プラージュ
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誉田 哲也
幻冬舎
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あるシェアハウスに住む、厄介者たちの物語。 悪と正義、法と社会、加害者と被害者……。
読む者の常識や既成概念を揺るがす、新たなエンターテイメント小説。
たった一度、魔が差した結果、仕事も住む場所も失ったサラリーマンの貴生。やっと見つけたシェアハウス「プラージュ」で、人生やり直す決意をするも、個性豊かな住人の面々に驚かされることばかりの毎日。さらに、一人の女性住人にあることを耳打ちされて……。
住人たちのそれぞれの秘密が明かされる時、新たな事件が起きる。


「海辺」という意味のプラージュという名のカフェ。その二階は、ドアのないシェアハウスになっていて、脛に傷もつ面々が暮らしている。事情はそれぞれだが、互いに詮索せず、自立に向けて一時期をそこで過ごすために、オーナーの潤子が用意した場所である。一緒に暮らすうちに、少しずつ見えてくる互いの事情、そして過去からの呪縛。罪と罰、更生と世間の目、そして何より自分の気持ち。そんな一筋縄ではいかない日々が、淡々と描かれている。なにが正しいのか、どうするのが正解なのか。それに答えが与えられることはないのかもしれないが、プラージュが寄る辺なく流れつく人々の海辺になったことは確かだろうと思われる。罪は許されないとしても、人が変わることのできる可能性は誰にも否定できるものではないのかもしれない。早いうちからずっとそこを流れていた疑問は、最後近くに解決され、予想の範囲だったが、その事実にも胸が痛む。誰にも、あしたも生きようと思えるきょうがあってほしいという思いがこみ上げてくる一冊である。

武士道ジェネレーション*誉田哲也

  • 2015/10/03(土) 07:29:17

武士道ジェネレーション
誉田 哲也
文藝春秋
売り上げランキング: 4,387

あれから六年、大学を卒業した早苗は結婚。香織は、道場で指導しながら変わらぬ日々を過ごすが、玄明先生が倒れ、桐谷道場に後継者問題が―。剣道女子を描く傑作エンタメ、六年ぶりの最新刊。


磯山さんと(特に)早苗の状況は六年前とはそれぞれ変わり、二人の関係も武士道をめぐる鍔迫り合いから、互いを思いやる大人の関係性に少しずつシフトしていて、純粋無垢な武士道魂のぶつかり合いを期待すると、不意を突かれた感じになるかもしれないが、それはそれぞれが成長しているし、立場も変わってきているのだから当然のことだろうと思う。ただ、現代の時流に物申したい著者の思いを早苗に託すのは、いささか無理があるのでは、と思わなくもない。そのためのジェフの登場?という気分にもなる。桐谷道場存続のための秘策は、ジェフでなくても成立したのではないかとも思うが、ともかく、桐谷道場にとって最善の道を歩めることになったのはよかった。付け足し感がなくもないが愉しめる一冊ではあった。

インデックス*誉田哲也

  • 2015/01/18(日) 09:08:59

インデックスインデックス
(2014/11/14)
誉田 哲也

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池袋署強行犯捜査係担当係長・姫川玲子。所轄に異動したことで、扱う事件の幅は拡がった。行方不明の暴力団関係者。巧妙に正体を隠す詐欺犯。売春疑惑。路上での刺殺事件…。終わることのない事件捜査の日々のなか、玲子は、本部復帰のチャンスを掴む。気になるのは、あの頃の仲間たちのうち、誰を引っ張り上げられるのか―。


姫川玲子シリーズである。所轄でも相変わらず周りに迎合せず煙たがられてもいる玲子だが、直感とも言える捜査をして成果はあげている。傷を負った心を宥めきれずに肩肘張って生きる姿もすっかり板についた印象である。ただ、かつての仲間たちとのような関係性はどこへ行ってもなかなか望めない。毎日のように起こる事件に当たる様子も常に玲子らしくてわくわくするのだが、最後の最後にあの人が登場したときにはなぜか涙が出てきた。これはぜひ本部に復帰してのちも読みたいものである。まだまだ続いてほしいシリーズである。

ケモノの城*誉田哲也

  • 2014/07/05(土) 13:58:10

ケモノの城ケモノの城
(2014/04/18)
誉田 哲也

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ある街で起きた監禁事件。保護された少女の証言に翻弄される警察。そんな中、少女が監禁されていたマンションの浴室から何人もの血痕が見つかった―。あまりにも深い闇に、果たして出口はあるのか?小説でしか描けない“現実”がここにある―。圧倒的な描写力で迫る衝撃のミステリー。


眉を顰めずには読めない描写が随所に出てきて、何度も本を閉じたくなった。こっち系の誉田作品はいささか苦手ではあるが、真相を知りたい欲求が今作では嫌悪感に勝ったと言える。起こっていることが尋常ではないにもかかわらず、渦中の人たちが、犯人を含めてなぜか静かに見えてしまう。それが恐怖のあまり服従せざるを得ないという感じでもなく、精神の根幹から支配され尽くしているといった印象で、そうなる原因をも知りたくなる。こんなことは小説のなかだけのことだと思いたいが、それに近い事件が実際に起きていることを考えると、なおさら背筋が凍る心地である。行われていることそのものよりも、それをしている人間の在りように震えがくる一冊である。

武士道エイティーン*誉田哲也

  • 2014/02/18(火) 17:04:05

武士道エイティーン武士道エイティーン
(2009/07)
誉田 哲也

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高校時代を剣道にかける、またとない好敵手。最後の夏、ふたりの決戦のとき。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、いよいよ天王山!わたしたちは、もう迷わない。この道をゆくと、決めたのだから。


シリーズ完結編らしい。「武士道シックスティーン」は読んだ気がしていたのだが未読だった?そうだったかなぁ……?読んでいないとしても、キャラクタに親しみを感じるのはなぜだろう。女子高生と武士道という、一見相容れないような両者が見事にマッチして、気持ちの好い青春物語になっている。現代の多くの女子高生とは似ても似つかなそうな彼女たち――ことに磯山香織――だが、進路の悩みや友人との関係の悩みは共通するところもあり、愛おしくもなる。桐谷道場の過去や、福岡南高校剣道部の顧問・吉野先生の過去が挟み込まれているのも興味深く、物語の奥行きを深く濃くしている。まさに痛快青春エンターテインメントといえる一冊である。

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Qros(キュロス)の女*誉田哲也

  • 2014/02/04(火) 17:02:19

Qrosの女Qrosの女
(2013/12/12)
誉田 哲也

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「週刊キンダイ」芸能記者の矢口慶太は、CMで話題沸騰中の美女「Qrosの女」の正体を探るが、核心に迫る情報を得られない。ようやくCMで彼女と共演した俳優・藤井涼介のネタを仕入れたので、先輩記者の栗山にサポートしてもらい、藤井の自宅を張り込む。すると「Qrosの女」とおぼしき人物を発見!それは偶然?それとも仕組まれた罠?芸能記者、ブラック・ジャーナリスト、そしてヤクザも!?ネット情報に踊らされながら、思惑が交錯し、驚愕の真相へ。


ファストファッションの一大ブランド「Qros(キュロス)」のCMに出ている美女は、名前も素性も謎に包まれている。それ故話題が話題を呼び、巷では彼女の噂で持ちきりである。ネットでももちろん、目撃情報や噂がまことしやかに書き込まれているが、次第にエスカレートし、ストーカーまがいの者が出たり、盗撮する者が現れたりし始める。そんな彼女を巡って、業界人たちの思惑も様々で、あちこちで駆け引きや取引が行われもする。本人の戸惑いや困惑と、一般人の無責任な噂話、そして彼女を取り巻く業界の思惑が三つ巴になっていて、興味を惹きつけられる。ラストでは真犯人も暴き出され、思ってもいなかった落としどころにすとんと落ち着くのだが、人間の欲の深さや恐ろしさをも感じさせられる。ネットと人間の怖さを思い知らされる一冊でもある。

ブルーマーダー*誉田哲也

  • 2013/09/15(日) 16:50:34

ブルーマーダーブルーマーダー
(2012/11/17)
誉田 哲也

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あなた、ブルーマーダーを知ってる?この街を牛耳っている、怪物のことよ。姫川玲子。常に彼女とともに捜査にあたっていた菊田和男。『インビジブルレイン』で玲子とコンビを組んだベテラン刑事下井。そして、悪徳脱法刑事ガンテツ。謎めいた連続殺人事件。殺意は、刑事たちにも牙をむきはじめる。


姫川玲子シリーズの六作目。今回も何とも言い難く惨い場面が続出するが、その動機にはやるせなく哀しくなる。姫川が菊田に対する想いに否応なく区切りをつけなければならないことにもなり、その先のことも気になる。ガンテツの身勝手さは相変わらずながら、人間らしい慮り(なのだろう)も見受けられるようになり、警察という社会の中の姫川は、守られていると言えなくもない。過去をどう振り切り、これからどう生きていくのか、興味深いシリーズである。

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増山超能力士事務所*誉田哲也

  • 2013/08/15(木) 08:54:57

増山超能力師事務所増山超能力師事務所
(2013/07/16)
誉田 哲也

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ちょっとおかしな新シリーズ始動!
いまや事業認定された超能力で、所長の増山ほか、能力も見た目も凸凹な5人の所員が、浮気調査や家出人探しなど依頼人の相談を解決!


また先が愉しみなシリーズの始まりである。こういうの、肩が凝らなくていい。まず設定からして超能力なので、読み始める前から適度に力が抜けて、物語に浸れるのもいい。基本はドタバタでコミカルなのだが、実は人間物語でもあり、お仕事物語でもあり、心温まるふれあい物語でもあったりするので、どんどん惹きこまれてしまう。探偵し事務所の面々もそれぞれ一長一短が判りやすくて、それぞれのこれからが愉しみである。すでに早く次を読みたいシリーズである。

ドンナ ビアンカ*誉田哲也

  • 2013/08/01(木) 16:50:35

ドンナ ビアンカドンナ ビアンカ
(2013/02/18)
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恋に墜ちたことが、罪だったのか。恋愛捜査シリーズ「ドルチェ」感涙必至の極上長編。41歳の純粋な男と27歳の儚い女。二人の不器用な恋愛が犯罪を導いたのか――? 中野署管内で身代金目的の誘拐事件が発生した。被害者は新鋭の飲食チェーン店専務の副島。提示された身代金は二〇〇〇万円。練馬署強行犯係の魚住久江は、かつての同僚・金本と共に捜査に召集される。そして、極秘裏のオペレーションが始動した。


魚住久恵シリーズ。魚住らが捜査する身代金目的誘拐事件の捜査の様子と、酒屋の配達員・村瀬の恋愛をめぐる物語が交互に語られるという趣向だが、両者の時系列が少しずれているのが、興味をさらに掻き立てられる。魚住は、際立った活躍をするわけではないが、彼女の直観が捜査の進展に一役買っているのも、好感が持てる。村瀬と瑶子も、別の出会い方をしていたら、こんな回り道をすることもなかったのに、と切ない思いにもなる。不器用で真摯な一冊である。

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幸せの条件*誉田哲也

  • 2012/10/02(火) 16:52:41

幸せの条件幸せの条件
(2012/08/24)
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新燃料・バイオエタノール用にコメを作れる農家を探してこい!突然の社長命令を受け、片山製作所・伝票整理担当の梢恵は、縁もゆかりもない長野の農村へ。ところが行く先々で「コメは食うために作るもんだ。燃やすために作れるか」と門前払い。さらには農業法人「あぐもぐ」の社長・安岡に、「まずは体で一から農業を知れ」と一喝され、これまで興味も知識も皆無だった農業に取り組むことに。そこで初めて農家が抱える現実を思い知るが…。彼氏にも、会社にも見放された24歳女子。果たして、日本の未来を救う、新しいエネルギーは獲得できるのか?農業、震災、そしてエネルギー問題に挑む感動の物語。


お気楽に行き当たりばったりで生きてきた24歳の女の子のお仕事成長物語、と言ってしまえばそうなのだが、それだけではない奥の深さがこの物語にはあるように思う。東日本大震災と、福島第一原発の事故の波紋、そこから注目されるようになった燃料問題。日本の農業の現状とも絡め、これからの日本人の進む道、ということまで考えさせられる物語になっている。片山社長が、バイオエタノールを作る機械を結構簡単に作ってしまい、改良まで短時間でやってしまうのは、あまりの早業の気がしなくもないが、自分のことをも将来のあれこれをも真剣に考えることの大切さと、人と人との信頼の力強さが感じられ、思わず下腹に力が入るような一冊だった。

あなたの本*誉田哲也

  • 2012/03/16(金) 17:33:01

あなたの本あなたの本
(2012/02/24)
誉田 哲也

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憧れの都会で流されるままに暮らす女の血脈。深き森で暮らす原始人たちの真実。ごく普通の男子中学生の前に現れた天使の目的。父の書斎で発見した一冊の本に翻弄される男の運命。天才スケート美少女を見守り続ける少年の淡い初恋。すべてを手に入れたミュージシャンが辿り着いた場所。警視庁新宿署新宿六丁目交番に勤務する諸星巡査長の意外な日常―引き込まれるストーリー、予想外な結末を、堪能せよ。


表題作のほか、「帰省」 「贖罪の地」 「天使のレシート」 「見守ることしかできなくて」 「最後の街」 「交番勤務の宇宙人」

色とりどりの物語である。いろんなテイストが愉しめる。じんわりと胸を温めてくれたり、切なくさせてくれたり、きゅんとなったりと、読者が抱く感情も物語によってさまざまである。だがそれは、ラスト直前までの話。捻じれているのである、どの物語も。捻じれ方もそれぞれで、タオルを絞るようにぎゅっと捻じれていたり、掌を返すように軽やかに捻じれていたりする。好きで在る。ラストで必ず、そうきたか、と思わせてくれる一冊。

レイジ*誉田哲也

  • 2012/01/05(木) 17:09:25

レイジレイジ
(2011/07/13)
誉田 哲也

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音楽の才能は普通だが、世渡り上手なワタル。才能に恵まれるも、孤独に苦しみ続ける礼二。少年から大人へ―男たちのロック魂が交差する音楽青春エンターテインメント。


ひと言で言ってしまえば、レイジとワタルの青春成長物語、ということだろう。だが、レイジのロックに向かう姿勢のあまりのストイックさと、自分嫌いのひどさ、ワタルの理想と自信のなさとレイジに対する屈託が、そのときどきのほかのメンバーや周囲の人々を巻き込んで物語をおもしろくしている。無駄な回り道をして、落ち着くべき場所に落ち着いたようにも見えるが、そこに落ち着くためにはすべてが必要な道程だったのだろう。自分を認め、他人を認めて生きていくことのむずかしさと素晴らしさを見せてくれた一冊である。