天鬼越(あまぎごえ)*北森鴻 浅野里沙子

  • 2015/02/20(金) 17:10:09

天鬼越: 蓮丈那智フィールドファイルV天鬼越: 蓮丈那智フィールドファイルV
(2014/12/22)
北森 鴻、浅野 里沙子 他

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真贋など、どうでもいい。何故偽書が作られたのか。重要なのはそれだけだ。奇怪な祭祀「鬼哭念仏」に秘められた巧緻なトリック。都市に隠された「記号」の狭間に浮上する意外な真相。門外不出の超古代史文書に導かれた連続殺人――。氷の美貌と怜悧な頭脳をもつ異端の民俗学者・蓮丈那智が快刀乱麻を断つ。単行本未収録の二編に、幻のプロットに基づく書下しなど新作四編を加えた民俗学ミステリー。


表題作のほか、「鬼無里(きなさ)」 「奇偶論(きぐうろん)」 「祀人形(まつりひんな)」 「補堕落(ふだらく)」 「偽蜃絵(にせしんえ)」

急逝された北森氏が残した七割方できていたプロットをパートナーであった浅野氏が完成させるという夢のような企みによってできあがったのが本作である。もう会えないと思っていた連丈那智や内藤三國にまた会うことができ、あのクールさと鋭い洞察力を目の当たりにすることができて満足である。三國がいつもよりも認められている気がしなくもないが、それはたぶん彼の成長の証であろう。どきどきするような一冊だった。

うさぎ幻化行*北森鴻

  • 2014/02/26(水) 17:12:43

うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)
(2010/02/24)
北森 鴻

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突然この世を去ってしまった、義兄・最上圭一。優秀な音響技術者だった彼は、「うさぎ」に不思議な“音のメッセージ”を遺していた。圭一から「うさぎ」と呼ばれ、可愛がられたリツ子は、早速メッセージを聞いてみることに。環境庁が選定した、日本の音風景百選を録音したものと思われるが、どこかひっかかる。謎を抱えながら、録音されたと思しき音源を訪ね歩くうちに、「うさぎ」は音風景の奇妙な矛盾に気づく―。音風景を巡る謎を、旅情豊かに描く連作長編著者からの最後の贈りもの。


著者最後の作品である。寂しい限り。飛行機事故で突然この世を去った義兄・圭一と、うさぎと呼ばれた義妹・リツ子。うさぎ宛に残されたファイルにはいくつかの音源が入っていた。リツ子は、その音源を探す旅の途中、自分ではないうさぎの存在に気づく。北斗星やトワイライトエクスプレスといった鉄道の旅の旅情と音風景に仕込まれた謎を愉しめる物語である。ちょっぴりガリレオシリーズを思い出した一冊でもある。

ちあき電脳探偵社*北森鴻

  • 2011/03/02(水) 17:01:59

ちあき電脳探偵社 (PHP文芸文庫)ちあき電脳探偵社 (PHP文芸文庫)
(2011/01)
北森 鴻

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桜町小学校に転校してきた鷹坂ちあきは、サラサラ髪にえくぼがかわいい女の子。でも、不思議な事件に遭遇すると大変身!鋭い推理力とアクティブさで謎に挑んでいく。学校の前の桜の花が一夜にして消えた謎に迫る「桜並木とUFO事件」。あかずの創庫に出没する幽霊の正体を暴く「幽霊教室の怪人事件」ほか、ミステリーの名手が贈る、謎解きの魅力に満ちた連作推理短編集。


「桜並木とUFO事件」 「幽霊教室の怪人事件」 「ちあき誘拐事件」 「マジカルパーティー」 「雪だるまは知っている」 「ちあきフォーエバー」

1996年から97年にかけて雑誌「小学校三年生」で連載されていたものをまとめたものということで、著者唯一のジュブナイルである。
三年生向けということで、設定もキャラクターもわかりやすく、謎も小学生が身近に感じるようなものであるが、どれもきちんとミステリなので微笑ましく愉しめる。貴重な一冊である。

狂乱廿四孝*北森鴻

  • 2009/10/13(火) 16:50:59

狂乱廿四孝狂乱廿四孝
(1995/09)
北森 鴻

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両足両手を切断してなお舞台に立ち続けた名立女形、澤村田之助、その周辺で起こる連続殺人の謎を追う時代ミステリの秀作。第六回鮎川哲也賞受賞作。


江戸から明治になってまもなくの歌舞伎界とその周辺の物語。著者のデビュー作でもある。
病のために両足を切断してなお舞台に立ち続ける田之助太夫と、それを可能にするための裏方の涙ぐましい苦労が引き金になった出来事の顛末とも言える。実在の人物も数多登場する中、探偵役を務めるのが、蝋燭問屋の娘でありながら、守田座の座付き作者・河竹新七に弟子入りしている16歳の峯だというのも洒落た趣向である。
物語自体には、幾分冗長さも感じられるが、のちのいくつもの作品に繋がる要素が垣間見られて興味深い。

虚栄の肖像*北森鴻

  • 2008/11/21(金) 18:23:09

虚栄の肖像虚栄の肖像
(2008/09)
北森 鴻

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墓前での奇妙な花宴で依頼されたのは、肖像画の修復。報酬は、桜を活けた古備前というが…。表題作ほか全3篇を収録した、ミステリー連作短篇集。花師と絵画修復師、2つの顔を持つ佐月恭壱シリーズ第2弾。


表題作のほか、「葡萄と乳房」 「秘画師遺聞」。

『深淵のガランス』の続編である。
銀座で花師を営み、その一方で絵画修復師としても名を馳せる佐月恭壱(さつき きょういち)の元には、曰くつきの依頼がたびたび舞いこむ。それも偶然を装って巧まれたりもするのである。佐月の腕の確かさの証でもあるのだが、そのたびに佐月は怪しげな成り行きに巻き込まれることにもなるのである。読者としては、その巻き込まれ方が面白いともいえるのだが。
前作で登場した、朱健民・明花親子、前畑善次郎、若槻らに加え、今作では、佐月が大切に思う人がキーパーソンとして登場し、珍しく佐月の心を揺らすのも見所である。
人の思惑が一枚の絵の中に封じ込められている様は、芸術作品というよりも、人間の煩悩の縮図を見るようにも思えてくるのである。

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なぜ絵版師に頼まなかったのか*北森鴻

  • 2008/07/08(火) 18:30:58

なぜ絵版師に頼まなかったのかなぜ絵版師に頼まなかったのか
(2008/05/22)
北森鴻

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憧れの帝都でドイツ人医師の給仕となった葛城冬馬。文明開化で新しい風が吹く帝都で、謎めいた事件が…。日本をこよなく愛するお雇い外国人・ベルツ先生とその弟子・葛城冬馬が、奇妙な事件の数々に挑む。


表題作のほか、「九枚目は多すぎる」 「人形はなぜ生かされる」 「紅葉夢」 「執事たちの沈黙」

どこかで聞いたことのあるようなタイトルたちである。ふざけた物語かと思いきや、物語自体はいたって真面目である。ベルツ先生の徳利が花瓶にしか見えないとか、お猪口が煮物椀にしか見えないとか、内掛けを部屋着にしているとかいう尋常ならなさはあるものの・・・。
明治維新とときを同じくして生まれた冬馬は、十三歳のときにベルツ先生の書生として、帝都にやってきた。そして、先生のもとに持ち込まれたり、先生が出会った事件や謎を、探偵役として調べ解き明かすようになるのである。
ベルツ先生や、先生の下に集まってくる外国人たちのひと癖もふた癖もあるキャラクターと、維新間もない帝都の風物が物語りにのどかだが騒々しい雰囲気をもたらしていて興味深い。
十三歳から二十二歳になる間の冬馬の成長ぶりもみどころである。

支那そば館の謎*北森鴻

  • 2008/03/30(日) 16:58:12

支那そば館の謎支那そば館の謎
(2003/07/18)
北森 鴻

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元広域窃盗犯にして寺男の有馬次郎と、穏やかな相貌と鋭い観察眼をあわせもつ住職の二人が、みやこ新聞の自称「エース記者」折原けいや、京都府警の碇屋警部と共に難事件の謎に迫る! 京の風情と人情と、密やかな悪意と。傑作本格推理!
誰も知らないミステリアス京都をご案内します。


表題作のほか、「不動明王の憂鬱」 「異教徒の晩餐」 「鮎躍る夜に」 「不如意の人」 「居酒屋 十兵衛」

一度も捕まった事のない元広域窃盗犯・有馬次郎が探偵役のシリーズである。泥棒に肩入れするのもなんだが、有馬次郎の冷静さと勘のよさは魅力的である。のどかな寺男としての「僕」と、かつての裏稼業の思考回路である「俺」との外からはうかがい知れないスイッチの切り替えが、なんともいえず小気味よい。そして、大悲閣の住職の含蓄のあるひとことサジェスチョンがなんとも味わい深いのである。
コメディタッチながら、しっかりとミステリであり、人情物語でもあり、おいしい料理をも味わえる――文字でだけだが――お得な一冊である。

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香菜里屋を知っていますか*北森鴻

  • 2008/03/25(火) 22:01:51

香菜里屋を知っていますか香菜里屋を知っていますか
(2007/11/29)
北森 鴻

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ビア・バー香菜里屋は、工藤マスターの料理とともに事件の謎が解決する店。常連たちが語る言葉から、突然たたまれた香菜里屋と、その名の由来、そして若かりし頃の工藤の過去の秘密が明かされる。シリーズ完結編。


表題作のほか、「ラストマティーニ」 「プレジール」 「背表紙の友」 「終幕の風景」

完結編だなんて信じたくない気持ちである。工藤が出す料理をもう味わうことができないなんて、ぽつりぽつりと語る工藤流の謎解きをもう聞くことができないなんて。そして、一癖も二癖もありながら味のある常連客たちの集いの仲間に入ったような心地を味わうことが叶わなくなるなんて。
それでも香菜里屋は店をたたみ、工藤の行方は遥として知れないのである。
連作のラストに配された表題作では、雅蘭堂の越名集治も、冬狐堂の宇佐見陶子も、東敬大学の蓮丈那智もが登場し、香菜里屋の最後の謎を解くのである。
それでもやはり、香菜里屋はなくなり、工藤はいなくなってしまったのである。
いつか常連客の誰かが、どこか遠い土地でふらっと入ったビアバーで、工藤と師匠である親父の娘・香菜に会うことがあるだろうか。そんな日が来るといいのに、と切に思う。

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親不孝通りディテクティブ*北森鴻

  • 2008/03/19(水) 17:26:08

親不孝通りディテクティブ親不孝通りディテクティブ
(2001/02)
北森 鴻

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高校時代の「鴨ネギコンビ」、博多っ子のテッキとキュータ。ぴったり息の合った二人だが、なぜだかヤバイ事件に首を突っ込む羽目になるんだなあ…。ちょっぴりセンチメンタルなハードボイルド・ストーリー6編を収録。


表題作のほか、「セヴンス・ヘヴン」 「地下街のロビンソン」 「夏のおでかけ」 「ハードラック・ナイト」 「センチメンタル・ドライバー」

俺・鴨志田鉄樹とオレ・根岸球太が交互に語る物語であり、交互に語ることで彼らのキャラクターが互いに際立せ合っている。
後に書かれた『親不孝通りラプソディー』は1985年、彼らの高校時代の物語で、あまりにもハチャメチャ過ぎて疲れ気味だったが、本作はもっとずっと落ち着いて愉しめる。とは言っても、キュータのおっちょこちょいぶりは相変わらずで、被らなくてもいい被害に遭ったりもするのだが、それはそれで適度なスパイスになっている。
そう考えると、若い頃の無茶苦茶あってこその現在の彼ら、ということにもなるのだろうか。

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深淵のガランス*北森鴻

  • 2008/03/18(火) 17:25:49

深淵のガランス深淵のガランス
(2006/03)
北森 鴻

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花師と絵画修復師、二つの顔を持つ男・佐月恭壱。画壇の大家・長谷川宗司の孫娘から、曰くつきの傑作の修復を依頼された佐月は、パリの町並の下に隠されていた別の絵に気が付くが…。


表題作のほか、「血色夢」

花師にしろ絵画修復師にしろ、仕事師というのはなんと因果なものであろうか。己に与えられた仕事の真の芯まで知り尽くさずにはおられない業とでもいうようなものにまといつかれているようである。それでも、手を引くことができないばかりか、突き詰めなければ己の心が許さないのである。それが善であれ悪であれ。
絵画という一見明らかなものにも、隠された裏の意図や作為がこれほどまでに塗り込められているということにも驚かされ、また、修復作業の大胆さと繊細さ、裏に隠されたそれぞれの思惑にも興味は尽きない。

#ガランスとは赤(茜色)のこと

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闇色(あんしょく)のソプラノ*北森鴻

  • 2008/03/14(金) 12:58:19

闇色のソプラノ闇色のソプラノ
(1998/09)
北森 鴻

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夭折した童謡詩人・樹来たか子の「秋ノ声」に魅せられたものは、何故破滅の匂いのする真実に近付かなければならないのか。神無き地遠誉野を舞台に、戦慄の殺人事件。驚愕のトリック。不思議な擬音の正体は!?そして幽明境を異にした奇跡とは!?ミステリ界注目の大型新鋭が放つ書下ろし長編本格推理。


大学生の桂城真夜子は、友人以上恋人未満の男友達・洲内一馬のアパートで偶然見つけた「JANARIYA-SHU」という手製の同人誌に掲載されていた樹来(きらい)たか子の童謡詩に魅せられ、卒論のテーマにすることした。まさにこのことが、秘められた謎の箱の蓋を開くきっかけとなって物語が流れ始めるのである。
樹来たか子の早すぎる死の真実を解き明かすことはもちろん、ある種の不思議な場所である東京の西の端に位置する遠誉野(とよの)市に吸い寄せられるように集まり、絡み合う人間関係を解き明かすことにも興味は向かうのである。偶然のように起こる事件としてのあの点も、またあの点も、いずれは面となるべくして配されたひとつひとつの点であったのだ。偶然を装った必然の巧みさには舌を巻くばかりである。

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ぶぶ漬け伝説の謎*北森鴻

  • 2008/03/12(水) 17:31:41

ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー (裏京都ミステリー)ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー (裏京都ミステリー)
(2006/04/20)
北森 鴻

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知る人ぞ知る裏(マイナー)な名刹・大悲閣千光寺に、今日も珍妙な事件が持ち込まれる。元裏世界の住人にして寺男の有馬次郎とマイナー新聞の自称「エース記者」折原けい、自称「裏京都案内人」のスチャラカ作家・ムンちゃんが、難事件の謎を追う!?誰も知らないミステリアス京都と、古都ならではの謎解きの妙味、たっぷりとご堪能ください。


表題作のほか、「狐狸夢」 「悪縁断ち」 「冬の刺客」 「興ざめた馬を見よ」 「白味噌伝説の謎」という六つのコメディタッチの連作ミステリ。
大悲閣の寺男――かつては京都の町を荒らした泥棒だったという――有馬次郎の元には、昔の稼業故かどうかは判らないが面倒ごとがたびたび舞い込む。持ってくるのは、新聞記者の折原けいやスチャラカ作家のムンちゃんこと水森堅――よく知っている方を連想させられますね――であり、有馬自身はいい加減うんざりなのだが、謎解きに繰り出すことになるのである。
そんなこんなな裏(マイナー)京都にまつわる六つの謎解きの物語である。
有馬が顔を出す店の出すお酒や料理が垂涎物なのは著者らしいし、大悲閣の住職の的を射た渋いひとこともピリリと引き締めるのに役立っている。

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共犯マジック*北森鴻

  • 2008/02/21(木) 17:21:07

共犯マジック共犯マジック
(2001/07)
北森 鴻

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人の凶兆・不幸のみを予言する、謎の占い書「フォーチュンブック」。読者の連鎖的な自殺を誘発し、回収騒ぎにまで発展したこの本を、松本市のとある書店で偶然入手した、七人の男女。彼らは、運命の黒い糸に搦めとられ、それぞれの犯罪に手を染める。そして知らず知らずのうち、昭和という時代の“共犯者”の役割を演じることに…。錯綜する物語は、やがて、驚愕の最終話へ―!!連作ミステリーの到達点を示す、気鋭・北森鴻の傑作最新長篇。


最終話である表題作のほか、「原点」 「それからの貌」 「羽化の季節」 「封印迷宮」 「さよなら神様」 「六人の謡える乙子」という連作。

すべては、第一話に出てくる不幸のみを予言するという謎の占い書「フォーチュンブック」に纏わって始まったのだった。
長野県松本市のある書店に平積みされていた七冊のフォーチュンブックが、それにかかわった人々のその後に暗い影を落とし、しかも、昭和のあの時期日本中を震撼させ、いまもなお古びずに記憶に刻まれている複数の事件をひとつに結びつけてしまうことになったのである。
ただの点だと思っていたものが、次々に結ばれて一本の線になる様は、まさにタイトルどおりの「共犯マジック」である。お見事。

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屋上物語*北森鴻

  • 2008/02/18(月) 17:14:41

屋上物語 (ノン・ノベル)屋上物語 (ノン・ノベル)
(1999/04)
北森 鴻

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老若男女が憩う空中の楽園―デパートの屋上では、毎日のように不思議な事件が起こる。自殺、殺人、失踪、そして奇妙な落とし物…。しかしここには、何があっても動じない傑物がいた。うどん店の主、人呼んでさくら婆ァだ。今日もまた右往左往する客や警備員を濁声で一喝するや、彼女は事件の核心へと斬り込んでいく。それにしても何故こんなに怪事件が頻発するのか。さくら婆ァとは何者なのか…。推理界の奇才が“屋上”を舞台に紡ぐ、空前の長編連鎖ミステリーの快作。


「はじまりの物語」 「波紋のあとさき」 「SOS・SOS・PHS」 「挑戦者の憂鬱」 「帰れない場所」 「その一日」 「楽園の終わり」

探偵役はデパートの屋上のスタンドのうどん屋の店主・さくら婆ァであり、事件の中心は屋上を訪れるさまざまな人々である。しかし、それを語るのは人ではない。あるときは稲荷大社の狐様であり、またあるときは年季の入った観覧車だったり、ベンチだったり、屋上自身だったりする。人と言葉を交わすことはできないが、彼らは屋上の出来事をだれよりもよく知っているのだった。
さくら婆ァさんと興行師の杜田との遠慮のない掛け合いが絶妙で、物語にリズム感を与えていて小気味よい。

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メビウス・レター*北森鴻

  • 2008/02/14(木) 20:25:16

メビウス・レターメビウス・レター
(1998/01)
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注目の新人が放つ書き下ろし叙述ミステリ
これこそ《あっ》と言わせるミステリである
連続する放火と殺人の謎!過去からの手紙が高校生殺人事件の封印を解き放った。

前作『狐罠』で真保裕一の“取材力”に挑戦した作者が、今度は折原一の“驚愕”に挑戦してみせた。前作がそうであったように、第一人者の塁を摩す試みは、見事に成功したと言っていい。メビウスの輪の中に仕掛けられた巧妙な罠と大どんでん返し――この打っちゃりに感嘆の声を上げない読者は、まずいないはずだ。これこそ《あっ》と言わせるミステリである。北森鴻の確かな、そして豊かな才能に、最大級の拍手を贈りたい。――文芸評論家 茶木則雄


偶然と必然とが複雑に絡み合い、事実と真実とがそれぞれのなかで異なる感情を形作る。
一体どこが始まりだったのか。まさにメビウスの帯のようにくるりと裏返って別の場所に放り出されるような心地の一冊である。
これでもかというほど騙され、それならこうか、と思えばまた騙される。最初から最後まで騙され通しの読書タイムだった。

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