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麦本三歩の好きなもの 第二集*住野よる

  • 2021/04/03(土) 07:26:18


後輩、お隣さん、合コン相手ーー 三歩に訪れる色んな出会い 図書館勤務の20代女子・麦本三歩の あいかわらずだけどちょっと新しい日々 住野よるが贈る、心温まる日常小説シリーズ 待望の最新刊!


相変わらずの三歩である。身近にいたらイラっとさせられることが多そうだが、これほどでなくても、実際にありそうなこともたくさんあって、共感できるところもあり、職場の図書館では、なんだかんだ言っても愛されキャラである。先輩や、今回できた後輩に守られながら、それに甘んじることなく、自分の失敗に落ち込み、(次に生かされるかどうかは別として)反省し、前向きに努力しようとする姿勢には好感が持てる。その頑張りは、他人から見ればまだまだ足りないかもしれないが、三歩にとっては死に物狂いなのだということも伝わってきて、応援したくなる。少しずつ大人になっていく三歩をもっと見たいシリーズである。

麦本三歩の好きなもの*住野よる

  • 2019/06/12(水) 09:11:00

麦本三歩の好きなもの
住野 よる
幻冬舎 (2019-03-07)
売り上げランキング: 6,564

朝寝坊、チーズ蒸しパン、そして本。好きなものがたくさんあるから毎日はきっと楽しい。図書館勤務の20代女子、麦本三歩のなにげない日常。


麦本三歩(むぎもとさんぽ)、好き嫌いが分かれそうだなぁ、と思わされる女の子である。この天真爛漫の塊のようなキャラにイラっとさせられる人にとっては、三歩の存在は、目障りでしかないだろう。一方、ほのぼのと感じられる人にとっては、なんとも可愛らしく、守ってあげたいような気持にさせられるだろう。三歩自身は、自分に自信を持っているわけでもなく、天然キャラを作っているわけでもなく、どうしたら怒られず、人に迷惑をかけず、好きな物事を好きなように受け入れて日々を過ごしていきたいと思っているだけなのである。読者も、なにかの結果を求めるのではなく、ありのままの三歩の日常を覗き見する気分で読めばいいのかもしれない、たぶん。個人的には、あまりお友だちになりたいタイプではないのだが、本のなかの三歩は結構好きかもしれない、と思える一冊だった。

京大少年*菅広文

  • 2010/07/20(火) 16:55:28

京大少年京大少年
(2009/11/25)
菅 広文

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ベストセラー『京大芸人』に続く、 待望の自伝的小説第2弾!
ロザン菅が描く、IQ芸人・宇治原ができるまで!

幼稚園入園以前から「賢かった」宇治原の目から見た大人たち。
優秀であるがゆえに、常に違和感を抱いていた宇治原の内面に、
相方大好き芸人の菅が突っ込みながら「宇治原ができるまで」を描く。


序章
1章「京大と府大ってどっちが賢いん?」
2章 オーディションに受かったメンバー同士の戦い
3章 金玉綱引きとふんどしゲーム
4章 京大少年
5章「高性能勉強ロボ」ができるまで
6章 僕らの小学校時代
7章 宇治原包囲網と卒業文集
8章 「高学歴コンビ」の仕事
9章 大人になってからの勉強法
10 章 京大卒芸人
終章


ロザンという芸人コンビが現在の位置に落ち着くまでのあれこれが、ことに宇治原さんの幼少時からの「賢さ」にからめて語られている。仲が好いふたりなのだろうということが文章からも行間からも感じられてあたたかい気持ちになる一冊でもある。そして、勉強に限らないと思うが、成果を出すには、自分で自分に合ったやり方を見つけ、それを実践することがいちばんなのだということがよく判る。人真似や押し付けでは決して成功しないだろうと。

カフェ・コッペリア*菅浩江

  • 2009/02/20(金) 13:22:35

カフェ・コッペリアカフェ・コッペリア
(2008/11)
菅 浩江

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人間とAIの混合スタッフが、おいしい珈琲とともに恋愛相談に乗ってくれるカフェ・コッペリア。客のひとりが恋してしまったのは果たしてAIだったのか?―理想の恋に惑う若者たちを描いた表題作、アロマペットを手に入れたOLのせつない日常「リラランラビラン」、最先端美容室のヘアケア技術が招いた意外な顛末「エクステ効果」ほか、すこし未来のささやかで切実な人間模様をつづる七篇。『永遠の森 博物館惑星』『五人姉妹』につづく最新作品集。


上記のほか、「モモコの日記」 「言葉のない海」 「笑い袋」 「千鳥の道行」
いまよりも少し科学も技術も進歩した近未来。SF風の味つけがされてはいるが、ヒトの情動はいまとなんら変わることなく、ときとして愚かにさえも見える動きをするのである。
便利で軽快で、しかしともすると味気なくなりそうな近未来社会。それを作るのは人間であり、一方で、乱すのもまた人間なのだと思い知らされる。そして、その乱れが好もしい一冊だった。