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夢見る黄金地球儀*海堂尊

  • 2010/07/10(土) 16:52:42

夢見る黄金地球儀 (ミステリ・フロンティア)夢見る黄金地球儀 (ミステリ・フロンティア)
(2007/10)
海堂 尊

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首都圏の端っこに位置する桜宮市に突如舞い込んだ1億円。その名も「ふるさと創生基金」。だがその金は黄金をはめ込んだ地球儀に姿を変え、今では寂れた水族館にひっそり置かれているだけとなった――はずだった。が、ある日を境にトラブル招聘体質の男・平沼平介の日常を一変させる厄介の種へと変貌する。
8年ぶりに現れた悪友が言い放つ。「久しぶり。ところでお前、1億円欲しくない?」
かくして黄金地球儀奪取作戦が始動する。二転三転四転する計画、知らぬ間に迫りくる危機。平介は相次ぐ難局を乗り越え、黄金を手にすることが出来るのか。『チーム・バチスタの栄光』の俊英が放つ、驚愕のジェットコースター・ノベル!


  プロローグ  黄金地球儀は深海の夢を見る 1988年のある日
  第一部  召集令状 2013年・晩夏
  第二部  強奪作戦
  第三部  返却作戦
  エピローグ  カリフォルニアの青い空 二年後・2015年のある晴れた日


桜宮市が舞台であり、バチスタシリーズでお馴染みの人物も登場するのだが、医療エンターテインメントではない。ミステリで味付けされたコメディといったところだろう。だが、主人公・平介と相棒ともいえるガラスのジョーの関係は、バチスタのグッチー先生と白鳥さんそのままである。途中からはガラスのジョーの役割さえも想像できてしまうが、それもまたお約束、だろう。基本的にはドタバタ劇だが、平介の父・豪介が素晴らしくカッコイイ!気楽に愉しめる一冊である。

極北クレイマー*海堂尊

  • 2010/02/27(土) 17:13:30

極北クレイマー極北クレイマー
(2009/04/07)
海堂 尊

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『週刊朝日』大好評連載小説の単行本化。現役医師で医療エンターテインメント街道を驀進する著者の最新作。赤字5つ星の極北市民病院に赴任した外科医・今中を数々の難局が待っていた。不衛生でカルテ記載もずさん、研修医・後藤はぐーたらだし、院長と事務長は対立している。厚生労働省からの派遣女医・姫宮は活躍するが、良心的な産婦人科医はついに医療事故で逮捕された。日本全国各地で起きている地域医療の破綻を救えるのは誰か?


現実の事件や出来事を下敷きにした物語なのだが、実際に、病院がこれに近い状況に陥いることがあるというのが信じられないし、信じたくない。自治体の破綻も然りである。
小説としては、姫宮の活躍――に見えないとしても――は胸がすくし、志を捨てずに懸命に自分の職務を全うする意志の姿は清々しい。同じ時期に桜ノ宮市ではバチスタ裁判が行われ、速水部長は、救急救命センターで自分を貫いていると思うと、感慨もひとしおである。
海堂尊氏と言えば医療ミステリ、と思っていたのだが、内容紹介にあるように、医療エンターテインメントだと思うと、バチスタ以来のミステリ色のなさにも頷ける。

イノセント・ゲリラの祝祭*海堂尊

  • 2010/02/17(水) 06:53:38

イノセント・ゲリラの祝祭イノセント・ゲリラの祝祭
(2008/11/07)
海堂 尊

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映画化、テレビドラマ化もされた第4回『このミス』大賞受賞作の『チーム・バチスタの栄光』は累計320万部突破、続編の『ナイチンゲールの沈黙』も 140万部を突破し、驚異の新人と謳われる海堂尊。彼の原点でもある「田口・白鳥シリーズ」の最新刊がいよいよ登場です! 今回の舞台は厚生労働省。なんと、窓際医師の田口が、ロジカルモンスター白鳥の本丸・医療事故調査委員会に殴り込み!? グズグズな医療行政を田口・白鳥コンビは変えることができるのか……。1年半ぶりに戻ってきた彼らの活躍にご期待ください。


海堂尊氏と言えば医療ミステリ、という先入観があるが、本作はミステリではない。日本の医療にまつわる問題提起小説とでも言えばいいだろうか。単純に誰かと誰か、どこかとどこかの対決という図式ではなく、医療現場、更生労働省、法医学会等が入り乱れて、それぞれの主張を声高に叫んでいるようである。本作は、医療を次の段階へと動かす物語の導入のような印象を受ける。登場人物のアクの強さは、さらに増強されているようである。

外科医 須磨久善*海堂尊

  • 2009/12/29(火) 16:52:57

外科医 須磨久善外科医 須磨久善
(2009/07/23)
海堂 尊

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“海堂ワールドの新展開、外科医の謎に迫る。” 世界的権威の心臓外科医はいかにして誕生したのか。旧弊な学界から若くして認められるため、どんな奇策をとったのか。現役医師作家にしか書けない、医者の秘密。


小説かと思って読み始めたのだがそうではなかった。『チームバチスタの栄光』を著すきっかけになったとも言える、外科医中の外科医・須磨久善氏の人物伝とでもいう一冊だったのである。
越境者の中の破境者として、心臓外科とそれ以外の外科、そして内科との間に厳然と立ちはだかる壁を乗り越えると同時に壁を突き崩して、技術の交流を実現させ、外科医としてとるべき道を歩み続けてきた須磨医師の魅力が充分に伝わってくる。こんな神さまのような人がほんとうに存在するのだろうか、と疑いたくなるほど神々しく見える。こんな医師がいてくれるなら、心臓外科の未来は明るい、と文句なく思わせてくれる一冊である。

ブラックペアン1988*海堂尊

  • 2009/07/24(金) 16:48:15

ブラックペアン1988ブラックペアン1988
(2007/09/21)
海堂 尊

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医師国家試験受験後、合否判定を待ちながらも「東城大学医学部付属病院」の研修医となった世良雅志。世良が入局したのは教授の佐伯清剛が頂点に君臨している総合外科教室「佐伯外科」、そんな佐伯外科に入局して3日目、世良は帝花大学からやってきた新任の講師・高階権太と遭遇する。高階は食道自動吻合器「スナイプAZ1988」を引っ提げ、手術の在り方に一石を投じ波紋を呼び、周囲の反感を抱かせるのだった。また「佐伯外科」には「オペ室の悪魔」と呼ばれる万年医局員の渡海征司郎がおり、世良は高階や渡海との関わりの中で医師として成長していく。
だが佐伯も立候補した病院長選挙の時期、渡海と佐伯の因縁を巡る事件が起こった。


いまからほぼ二十年前、1988年の東城医大である。
馴染みの登場人物の若き日の姿や、現在の姿の源となるようなエピソードも興味深い。そして何より印象深いのは、「命を救う」ことにかける真剣さである。性格がそれぞれ違うように、手術のやり方も違い、手術に臨む心がまえも人の数だけあるが、救える命の炎を消さない、という覚悟は共通していて、それぞれのスタンスでその一点に向かう様子に神々しささえ覚える。緊張感漂う一冊だった。

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ジーン・ワルツ*海堂尊

  • 2009/06/15(月) 10:08:02

ジーン・ワルツジーン・ワルツ
(2008/03)
海堂 尊

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桜宮市・東城大学医学部を卒業、東京・帝華大学に入局した32歳の美貌の産婦人科医、曾根崎理恵―人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。顕微鏡下人工授精のエキスパートである彼女のもとに、事情を抱えた五人の妊婦がおとずれる。一方、先輩の清川医師は理恵が代理母出産に手を染めたとの噂を聞きつけ、真相を追うが…。


現代にも未来にも問題を山と抱える産科医療をめぐる物語である。そして結果として、『医学のたまご』の曽根崎薫の出生をめぐる物語でもある。
身を挺して産科医療の現状を少しでもよい方へ向かわせようとする曽根崎理恵の情熱が胸を熱くする。加えて、熱い気持ちで奮闘しているにもかかわらず――だからこそかもしれないが――理恵の計算され尽くした根回しの見事さで、他人から冷徹な魔女(クール・ウィッチ)と呼ばれる理由がわかるような気がする。
この物語のラストこそが、産科医療の未来への初めの一歩になるのだろう。

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ジェネラル・ルージュの凱旋*海堂尊

  • 2009/05/31(日) 13:45:08

ジェネラル・ルージュの凱旋ジェネラル・ルージュの凱旋
(2007/04/07)
海堂 尊

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 桜宮市にある東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が大量吐血で緊急入院した頃、不定愁訴外来の万年講師・田口公平の元には、一枚の怪文書が届いていた。それは救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという、匿名の内部告発文書だった。病院長・高階から依頼を受けた田口は事実の調査に乗り出すが、倫理問題審査会(エシックス・コミティ)委員長・沼田による嫌味な介入や、ドジな新人看護師・姫宮と厚生労働省の“火喰い鳥”白鳥の登場で、さらに複雑な事態に突入していく。
 将軍(ジェネラル・ルージュ)の異名をとる速水の悲願、桜宮市へのドクター・ヘリ導入を目前にして速水は病院を追われてしまうのか……。そして、さらなる大惨事が桜宮市と病院を直撃する。


『ナイチンゲールの沈黙』と、時を同じくするパラレルワールドのような物語である。
通常、物語はある一面から描かれており、読者にとってはそれだけがすべてになってしまいがちだが、両方を読むことによって、物事の複雑さや煩雑さを思い知らされることにもなる。病院はさまざまな意味でまさに戦場である。
本書ではなんと言ってもジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)こと、ICUの速水部長の辣腕と比類ないキャラクターが注目される。
田口先生も相変わらず厄介ごとに巻き込まれててんてこ舞いしているし、白鳥のマイペースさも同様である。東城大学医学部のそうそうたる顔ぶれが一堂に会す場面もあって、壮観である。それぞれの思惑と、それを上回る速水の救急救命にかける熱さの対決が興味深い。
看護師や医師たちのキャラクターがそれぞれ秀逸であり、それぞれが確かにプロなので、尊敬する。姫宮さえもなにやら愛おしく思える。
読み応えのある一冊だった。

ナイチンゲールの沈黙*海堂尊

  • 2009/04/26(日) 17:18:38

ナイチンゲールの沈黙ナイチンゲールの沈黙
(2006/10/06)
海堂 尊

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東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。


東城医大シリーズというのか、桜宮シリーズというのか、このシリーズをなぜか時間を遡って読むようなめぐりあわせになってしまったが、それはそれであとからいろいろ納得できることもあり興味深い。
本作は、看護師・小夜の、レティノの患者・牧村瑞人の、伝説の歌手・水落冴子の、それぞれの負っている闇が、東城医大病院という場所に集まってしまったために起こった事件の物語であろう。
田口・白鳥コンビの息もぴったり(!?)で、田口先生が田口先生らしくて好感がもてる。
実力派看護師たちの存在感も見応えがある。

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螺鈿迷宮*海堂尊

  • 2009/04/21(火) 10:47:27

螺鈿迷宮螺鈿迷宮
(2006/11/30)
海堂 尊

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この病院は、あまりにも、人が死にすぎる――
日本の医療界を震撼させた「バチスタ・スキャンダル」から一年半。その舞台となった東城大学に医学生として通う天馬は、留年を繰り返し既に医学の道をリタイア寸前だった。ある日、幼なじみの新聞記者・葉子から、碧翠院桜宮病院に潜入できないかと依頼を受ける。東城大学の近隣病院である桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院であり、終末医療の最先端施設としてメディアの注目を集めていた。しかし、その経営には黒い噂が絶えないという。天馬は葉子の依頼を受け、看護ボランティアとして桜宮病院に通い始める。そのうちに、奇妙な皮膚科医・白鳥と看護師・姫宮と出会うことになり……。


舞台は桜宮市、東城医大と並々ならぬ縁のある桜宮病院である。
蝸牛のような威容(異様?)を誇る桜宮病院にかかわる人々の思いやシステムの光と闇を探り出すべく潜入した落ち零れ医学生・天馬大吉が、自らも翻弄されながら――多分に無自覚のうちに――核心に迫っていくスリルがたまらない。
そして、部外者だった天馬の、この一連の物語との意外なつながりを知るに至って、縁(えにし)の抗いがたい不思議さを思わされるのである。
ラストに不穏さを残した一冊でもある。

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医学のたまご*海堂尊

  • 2009/04/07(火) 13:34:46

医学のたまご (ミステリーYA!)医学のたまご (ミステリーYA!)
(2008/01/17)
海堂 尊

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僕は曽根崎薫、14歳。歴史はオタクの域に達しているけど、英語は苦手。愛読書はコミック『ドンドコ』。ちょっと要領のいい、ごくフツーの中学生だ。そんな僕が、ひょんなことから「日本一の天才少年」となり、東城大学の医学部で研究をすることに。でも、中学にも通わなくちゃいけないなんて、そりゃないよ……。医学生としての生活は、冷や汗と緊張の連続だ。なのに、しょっぱなからなにやらすごい発見をしてしまった(らしい)。教授は大興奮。研究室は大騒ぎ。しかし、それがすべての始まりだった……。ひょうひょうとした中学生医学生の奮闘ぶりを描く、コミカルで爽やかな医学ミステリー。


落ちこぼれの中学生が、ちょっとしたズルのせいで日本一の潜在能力の持ち主ということになってしまい、医学部で研究をすることに・・・・・。
大学の教授の俗物ぶりや、振り回される(カオルも含めた)研究室のメンバーたちの日常も興味深いが、マサチューセッツにいるゲーム理論の研究者である父とのメールでのやりとりが、なんと言っても面白い。遠く離れてはいるが、父の気持ちが、いつもカオルに寄り添っていることがとてもよく伝わってきて心地好いのである。そして、各章のタイトルにもなっている格言のような父の言葉が、真理をついていてひときわ印象深い。
中高生向けに書かれた一冊のようであるが、ぜひ、つづきを読んでみたい。

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