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濱地健三郎の幽れたる事件簿*有栖川有栖

  • 2021/02/06(土) 07:36:14


年齢不詳の探偵・濱地健三郎には、鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。新宿にある彼の事務所には、奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の強面刑事も秘かに足を運ぶほどだ。助手の志摩ユリエは、得技を活かして、探偵が視たモノの特徴を絵に描きとめていく―。郊外で猫と2人暮らしをしていた姉の失踪の謎と、弟が見た奇妙な光景が意外な形でつながる(「姉は何処」)。資産家が溺死した事件の犯人は、若き妻か、懐具合が悪い弟か?人間の哀しい性が炙り出される(「浴槽の花婿」)など、驚きと謀みに満ちた7篇を収録。ミステリの名手が、満を持して生み出した名探偵。待望のシリーズ、第2弾!


霊的なものが視える心霊探偵・濱地健三郎と、助手の志摩ユリエが活躍するシリーズ第二弾である。年齢不詳の濱地の魅力は前作と変わらないが、ユリエの助手としての有能さは増している印象である。事件解決の助けとなっていることが多い。クライアントの現れ方からして、人知を超えた何かしらの力が働いているようにも思え、依頼を引き受ける必然性が感じられたりもするのである。依頼を受けた段階で、濱地には進むべき道が見えているようにも思われ、それを検証するのがストーリーの主な流れであることも多い。今回は、タイムリミットのある難しい案件もあったが、濱地ユリエコンビに加えて、ユリエの恋人叡二の存在も助けになった。次の活躍もぜひ見たいシリーズである。

再雇用されたら一カ月で地獄へ堕とされました*愛川晶

  • 2020/12/30(水) 16:33:18


県立高校の地歴公民科教師として38年間の教職生活を終えた笹川。定年後は常勤講師として再雇用され、4月から再び教壇に立つことになったが、それからわずか一カ月後、校長から衝撃の宣告を受ける。さらに、定年後の生活を見据えて、退職金の大半をはたいて実家の大規模リフォームを実施したが、明らかな手抜き工事が見つかってしまう。同時に、妻が勤務する学童クラブには閉鎖の話が持ち上がり…。俺の「第二の人生」はいったいどうなる!?


前半は、ドキュメンタリーのようにリアルで、信じられない思いと理不尽さに胸が痛む。思わず、どうすりゃいいんだーーーー!?と叫びたくなるほどである。だが、後半は、前半の不運や不幸が、少しずつ回収され、腑に落ちなかった部分の謎も解けていって、ようやくひと息ついて、落ち着いて読み進められるようになる。主人公の笹川は、ちょうど制度の隙間に嵌まり込んだり、タイミングの悪さで損をしたり、という印象だが、救われるのは、大学生の息子を含めて家族の仲がいいことだろう。これで家族が崩壊していたら、まったくもって目も当てられないが、愚痴を吐ける場所があってほんとうによかったと思う。ラストにはそうだったのか、という胸が熱くなる展開も待っているので、人生悪いことばかりじゃないかも、と思える一冊だった。

スター*朝井リョウ

  • 2020/11/30(月) 07:27:52


「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原尚吾と大土井紘。ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応―作品の質や価値は何をもって測られるのか。私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。朝日新聞連載、デビュー10年にして放つ新世代の長編小説。


人類永遠の葛藤、ともいえるテーマである、なぜ生きるか、どう生きるか、ということを、昔ながらのこだわりを持ち続けたいという青年と、新しい世界に飛び込んでいく青年という二つの視点で描いている。だが、突き詰めれば、ひとりの人間が内包する葛藤のようにも見えてくる。何を大事に思い、何を譲らずに生きていくか。立場や年代に関わらず、生きている限り、日々選択し続けなければならない問題でもあるだろう。読みながら、又吉直樹の「火花」と共通する印象も抱いた。新しい題材を用いて普遍的なテーマを描いた一冊と言えるかもしれない。

イマジン?*有川ひろ

  • 2020/11/04(水) 13:36:26


想像力は、あるかい?
憧れの映像制作の現場に飛び込んだ、良井良助(27歳)。
聞き慣れない業界用語が飛び交う現場に戸惑う日々だが、
そこは現実と物語を繋げる、魔法の世界だった。

「必死で知恵絞って想像すんのが俺たちの仕事だ」

やがて良助は、仲間たちが作品に傾ける熱意に、
焦がれるような思いを募らせていく——。

走るしか能のない新米、突っ走る!
行き先は、たぶん未来。


「有川浩」改め「有川ひろ」の、
お仕事小説&ベタ甘ラブコメ。
涙と笑顔と元気が湧いてくる、待望の最新小説!


映画やドラマなど、映像を創る仕事場が舞台である。主人公は、映像制作会社・殿村イマジンの頼まれ助っ人(のちにスタッフ)の良井(いい)良助。彼の成長物語でもある。これまで映像化された作品を思わせるような撮影現場もあり、懐かしさも感じられて、なおさら想像力が広がる。強面の殿村や、先輩たちの、格好つけたり何気なかったりするひとことが、なんとも胸に沁みて、何度うるっとさせられたことか。この現場に限らず、人生なにごとも想像力が大切だなぁ、と改めて実感させられる。文句なく愉しめる一冊だった。

汚れた手をそこで拭かない*芦沢央

  • 2020/11/01(日) 16:17:13


平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。元不倫相手を見返したい料理研究家…始まりは、ささやかな秘密。気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。取り扱い注意!研ぎ澄まされたミステリ5篇。


「ただ、運が悪かっただけ」 「埋め合わせ」 「忘却」 「お蔵入り」 「ミモザ」

初めはほんの小さな出来心、保身、思いやり、といった小さなほころびだった。それが、もがけばもがくほど広がり、とうとう修復不可能なところまでいってしまう。その家庭の心象風景や、自身で感じられる周囲の景色の変化が恐ろしくて、興味深い。思わず次の展開を待ち望んで引き込まれてしまう。こんなはずじゃなかったが、これはすべて自分の罪なのだろうか、と自問するとき、人は、本性をさらけ出すのかもしれない。他人事ではない恐ろしさをはらんだ一冊だった。

高座のホームズ 芝浜の天女*愛川晶

  • 2020/10/21(水) 07:31:55


天女のように美しく、質素で健気な若い妻。その完璧な笑顔の裏に隠された秘密とは!?テレビやラジオで落語が大人気だった、賑やかなりし昭和五十年代。女に金に、そして芸の道に悩める噺家たちが、今日も探偵・林家正蔵(のちの彦六)の住む長屋へとやってくる。笑いと人情にあふれた無類の落語ミステリー第四弾。


いつもながら、安定して面白い。今回は、鏡楽師匠の飼い猫・黒兵衛に絡む騒動と、鏡治の美しすぎる妻に絡む謎とき物語である。さらっと読み流していた要素が、巡り巡って謎を解くカギになったりしていて、うかうかしてはいられない感じである。もちろん、どれも落語と密接にかかわっていて、お見事としか言いようがない。神楽坂界隈の雰囲気とも合わせ、粋を感じられる一冊でもある。

修羅の家*我孫子武丸

  • 2020/08/17(月) 16:36:21


簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。


後半の視点の転換によって、いろいろ納得できる部分もあったが、それにしても、終始おぞましい。人間の欲と、恐怖による支配、そしてそれによる無感動が引き起こすさらにおぞましい事々。どれをとっても、誰もが加害者であり誰もが被害者でもあるように見える。だが、誰にも同情はできない。ラストは、一種の救いなのかもしれないが、それで済ませてしまっていいのか、という疑問も残る。とにかくおぞましいの一言に尽きる一冊だった。

発注いただきました!*朝井リョウ

  • 2020/08/01(土) 19:05:00


有名企業からの原稿依頼に直木賞作家はどう応えるのか。「これが本当のお仕事小説だ!」無理難題(!?)が並ぶ発注書→本文→解説の順で20編を収録!


さまざまな企業から、キャンペーン用などとして依頼され、広報誌などに掲載された文章が集められている。企業によってさまざまな趣旨や執筆枚数の依頼がまず冒頭に掲げられ、それに応える形で著わされた文章が続き、最後に、「お疲れさまでした」と称するまとめや反省、執筆時の苦労話などが配されている、という楽しい趣向であり、著者のしたたかさも伺える一冊でもある。

終電の神様*阿川大樹

  • 2020/05/24(日) 18:28:09


父危篤の報せに病院へ急ぐ会社員、納期が迫ったITエンジニア、背後から痴漢の手が忍び寄る美人―それぞれの場所へ向かう人々を乗せた夜の満員電車が、事故で運転を見合わせる。この「運転停止」が彼らの人生にとって思いがけないターニングポイントになり、そして…あたたかな涙と希望が湧いてくる、感動のヒューマン・ミステリー。


同じ状況下で起こっているさまざまな出来事、それぞれの人々の状況と影響、ドミノ倒しのように、ひとつの出来事がいろいろな連鎖を生むのが興味深い。ひとつひとつの短編は、一話完結の物語として読め、全体を通してみると、あちこちでリンクしたり循環したりしていて、ある種バタフライ効果のような面白さもある。次はどう繋がっていくのだろうという期待感もあって、愉しく読める一冊だった。

憑神*浅田次郎

  • 2020/05/02(土) 13:34:40


時は幕末、処は江戸。貧乏御家人の別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった!とことん運に見放されながらも懸命に生きる男の姿は、抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。傑作時代長篇。


文武両道に秀でており、人柄も申し分ないのに、不運につきまとわれているような彦四郎だが、ある日、河原で朽ちかけていた祠に手を合わせたばかりに、さらに厄介なものに憑かれてしまう。貧乏神、疫病神、死神、という何とも豪華な(?)ラインナップであるが、これがなんとも人情味があって微笑ましかったりもしてしまうのだが、災厄はしっかり身に降りかかり、難儀する。ただ、宿替えなどという奥の手を使い、なんとかかんとか乗り越えていくのもまた一興。彦四郎のキャラクタの魅力と、周りの人たちの魅力、そして、時代の変化と武士の葛藤。さまざまなものが織り込まれて充実した一冊になった。

昭和稲荷町らくご探偵 高座のホームズ みたび*愛川晶

  • 2019/12/18(水) 06:59:19


真打ち昇進を目前に控えた二つ目・佃家花蔵が、高座で[犬の目]を口演中に、酔客に片眼を殴打される災難に。花蔵の兄弟子・傳朝と梅蔵は長年の不仲を改め、花蔵のために一緒に協力し、花蔵を援助することを誓う。ところがその直後、今度は傳朝が夜道で暴漢に襲われる……。二つの事件の裏には、思いもよらぬ謎が隠されていた。名探偵・八代目林家正蔵の推理がまたもや冴え渡る、痛快落語ミステリー第三弾!文庫書き下ろし。


シリーズ中、最もやりきれない事件である。真打傷心を目前にした落語家の人生を決めてしまう事件なのである。本人はもちろん、周囲の受けた衝撃は計り知れない。兄弟子の梅蔵が、稲荷町の師匠や、馬八師匠の名推理から事件の謎に迫り、その後の自らの対応に苦悩しつつも精進していくという物語なのだが、その顛末が、後年の思い出語りのようにして語られる、という入れ子構造になっているところが、なんとも絶妙である。あまりに凄惨な事件だっただけに、被害者・花蔵や兄弟子梅蔵のその後の人生が重く迫るのだが、この趣向故に、温かみのある物語に昇華しているという印象である。文句ない傑作と言える一冊だと思う。

監禁探偵*我孫子武丸

  • 2019/12/13(金) 16:54:12


下着を盗もうと、憧れの女性の部屋へ忍び込んだ山根亮太。
ところが、そこには女性の死体が…!
しかし亮太は警察に通報できない。
なぜなら彼は、自室に美少女「アカネ」を監禁しているからだ。
翌日、死体を発見した警察は、殺人事件の容疑者として亮太を徐々に追い詰めていくが……
(第一話 山根亮太)

轢き逃げに遭い、重体で搬送された少女。
“神の手"を持つ天才外科医に奇跡的に命を救われるが、目を覚ますと記憶喪失に。
「アカネ」と刺繍されたハンカチだけが身元に繋がる手がかりだった。
やがて、看護師飛び降り事件や幽霊騒ぎが発生。
事件に強い関心を示す少女「アカネ」の勘の鋭さに気づいた研修医・宮本伸一は……
(第二話 宮本伸一)

美しき少女「アカネ」――彼女の正体は天使か、悪魔か デビュー30周年をむかえた新本格のレジェンドが、同名人気コミック原作を自ら小説化。
言葉だからこそ表現可能な新しい物語が誕生!
人間心理の歪みに迫る、驚愕のミステリ! !


コミックの原作があるとは全く知らなかったが、それが物語の興味を削ぐことはない。ひょんなことから連れ帰った少女が、こんなにも物語の核心にいる存在だとは、初めはまったく思わず、その奔放なのか作為的なのか読めないキャラクタに翻弄される。だがしだいに、彼女の賢さが見えてくると、ストーリーの先に新たな展開が望めそうな期待感で興味が募る。はたして、彼女の存在は大きいが、その分なぞも多すぎる。二話目でそれが解消されるかと思いきやそうはいかず、ラスト近くまで真相が見えてこないのがわくわく感をそそる。少女のビジュアルと、抱えるものの重苦しさとのギャップが哀しくもあるが、ほんの少し明日が見えたのではないかと思わされる一冊でもあった。

真実への盗聴*朱野帰子

  • 2019/06/16(日) 16:57:31

真実への盗聴
真実への盗聴
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朱野 帰子
講談社
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結婚して間もない七川小春は、勤め先のブラック会社を退職した。高齢化が進み年金負担が激増する社会で、小春は寿命遺伝子治療薬「メトセラ」を開発したアスガルズ社の採用に応募する。
じつは小春は19年前に受けた遺伝子治療の副作用で、聴覚が異常に発達していた。その秘密を知るアスガルズ社の黒崎は、「メトセラ」の製品化を阻もうとする子会社に、小春をスパイとして派遣する。


はっきりと時代は書かれてはいないが、どうやら近未来の物語のようである。遺伝子治療、年金破綻、格差拡大、極端な少子高齢化、そして、サプリメントのように気軽に服用できるという触れ込みの延命薬の実用化。どの要素も、本当にすぐそこまで迫ってきているような恐ろしさが、足元からひたひたとせり上がってくるような気がする。人としての幸せとはなんだろう、と考えさせられてしまう一冊である。

駅物語*朱野帰子

  • 2019/05/31(金) 16:34:42

駅物語
駅物語
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朱野 帰子
講談社
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「大事なことを三つ言っとく。緊急時は非常停止ボタン。間に合わなければ走れ。線路に落ちたら退避スペースに入れ」 酔っ払う乗客、鉄道マニアの同期、全自動化を目論む副駅長に、圧倒的な個性をもつ先輩たち。毎日100万人以上が乗降する東京駅に配属された若菜は、定時発車の奇跡を目の当たりにし、鉄道員の職務に圧倒される。臨場感あふれる筆致で駅を支える人と行き交う人を描ききった、書き下ろしエンターテインメント!


東京駅の舞台裏、という感じの物語である。電車が定時にやってきて、何事もなく目的地に到着する、という普段気にも留めないことの裏側に、これほどたくさんの人の努力や苦労や緊張や覚悟があるのだということに、改めて感謝したくなる。なんて過酷な仕事なのだ、という思いとともに、責任と誇りをもって業務にあたっている駅員さんたちの姿に敬意を表したくなる。一方、そんな彼らも普通の人。プライベートな悩みも屈託もあり、人間関係の煩わしさに悩まされたりもするのだが、日々少しずつ、相手の立場に立ち、相手を慮ろうとする姿勢も見られるようになり、じわじわとなくてはならない存在になっていくのである。何かあった時に、頼りたいと思う仲間がいることに胸が熱くなる。駅員さんウォッチを目的に東京駅に行きたくなる一冊である。

TIMELESS*朝吹真理子

  • 2019/05/29(水) 09:56:19

TIMELESS
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朝吹 真理子
新潮社
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空から死は降ってこない。降ってくるとしたら、それは――。芥川賞受賞から七年、待望の新作長篇。恋愛感情のないまま結婚し、「交配」を試みるうみとアミ。高校時代の広島への修学旅行、ともに歩く六本木、そこに重なる四百年前の土地の記憶、いくつものたゆたう時間。やがてうみは妊娠、アミは姿を消す。――二〇三五年、父を知らぬまま17歳になった息子のアオは、旅先の奈良で桜を見ていた……。待望の芥川賞受賞後第一作。


独特の雰囲気のある作品である。物語全体にごく薄い斜がかかっているような、触れられそうで触れられず、届きそうで届かないような、なんと話のもどかしさが充満している。さらには、あらゆる感覚が曖昧で、現在なのか過去なのか、自分なのか他人なのかも時としてまじりあう。同じ場所に、薄紙を重ねるように時間が降り積もって現在に至り、ある時ふとしたきっかけで底が抜けて、薄紙の裂け目から過去の時間に落ちていくような感覚である。そして、過去の自分とは無関係な事々との近さに比して、身近なにいる人との関係がとても頼りなく感じられもする。読みながら、薄い羽衣のようなものに絡めとられていく心地になる一冊である。