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月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言*倉知淳

  • 2021/02/19(金) 07:15:17


猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌と人柄のよさで、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない出来事も彼にかかれば、ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。悪気なさそうな侵入者たちをめぐる推理が温かな読後感を残す表題作や、電光看板に貼りつけられた不規則な文字列が謎を呼ぶ「ねこちゃんパズル」など、五つの短編を収める。日常に潜む不可思議な謎を、軽妙な会話と推理で解き明かす連作短編集。


表題作のほか、「ねこちゃんパズル」 「恐怖の一枚」 「ついているきみへ」 「海の勇者」

偶然居合わせたり、通りかかったりして小耳にはさんだちょっとした謎を、猫丸先輩が豊かな洞察力と推理力、想像力をフル回転させて解き明かすという趣向である。とはいえ、サブタイトルにもあるように、すべては猫丸先輩の妄言であり、実際にどうなのかはほぼ謎のままなのだが、なぜか妙に納得させられてしまう。それにしても、猫丸先輩は相変わらず経験値が高いのか低いのかよくわからない。そこが魅力でもあるのが、近しい人たちの振り回され感はいや増している気がする。早く次が読みたいシリーズである。

善医の罪*久坂部羊

  • 2020/12/18(金) 19:02:36


意識不明の重体で運ばれた、横川達男。主治医の白石ルネは、延命治療は難しいと治療を中止。家族の同意のもと、尊厳死に導いた。三年後、カルテと看護記録の食い違いが告発される。白石は筋弛緩剤を静脈注射したというのだ。医療業界を揺るがす大問題へと発展し、検察は彼女を殺人罪で起訴した。保身に走る先輩医師、劣等感を感じる看護師、虚偽の報道を繰り返すマスコミ。様々な思惑が重なり合い、事態は思わぬ方向へと転がって―。


事実をモデルにしたフィクションということで、まさに医療の現場、上層部の思惑、医師同士の確執、出世欲、さらにはマスコミの実態、などなど、現場の空気感がリアルに伝わってくる物語である。ルネの誠心誠意の治療や患者家族への対応には頭が下がる思いがする。それなのに、主張が全く伝わらないもどかしさと無力感といったら、読んでいるこちらも、歯噛みしながら地団太を踏みたくなるほどである。人の命にかかわることでさえ、身勝手な思惑が事実を変えてしまうこともあるのか、とやりきれなさと憤りに包まれる。公正なはずの裁判でさえ然りである。孤立無援の戦いではなかったことがせめてもの救いだろう。死にゆく者と、送る者、その間に立つものなどのことを、さまざま考えさせられる一冊だった。

生かさず殺さず*久坂部羊

  • 2020/09/18(金) 18:19:57


がんや糖尿病をもつ認知症患者をどのように治療するのか。認知症専門病棟の医師・三杉のもとに、元同僚で鳴かず飛ばずの小説家・坂崎が現われ、三杉の過去をモデルに「認知症小説」の問題作を書こうと迫ってくる。医師と看護師と家族の、壮絶で笑うに笑えない本音を現役医師が描いた医療サスペンスの傑作。


さまざまな病気を抱える認知症患者専門の病棟、人呼んで、にんにん病棟が舞台である。それだけで、一筋縄ではいかないことは想像に難くない。どんな日常が繰り広げられているのか興味が湧く。現実問題として、病気の認知症患者の身内をお持ちの方は、おそらく、こんな描写はまだまだ生ぬるいとおっしゃるだろうということも想像できる。それを踏まえてさえ、現場の壮絶さがうかがい知れる。患者本人のケアの大変さはもとより、家族の思惑が絡み、家族が複数いれば、それぞれの思惑が同じとは言えず、混乱に拍車をかける。あっちをなだめ、こっちをなだめ、さらには自分の胸の裡までなだめながら、日々ご苦労を重ねておられる病棟スタッフのみなさんには、頭が下がる。さらには、他人事と割り切って読むことができないから、なおさら気分が沈むのである。スパッと解決する方法があればどれほどいいだろう、と思わずにはいられない一冊である。

怖い患者*久坂部羊

  • 2020/06/19(金) 09:28:21


いくつもの病院を渡り歩くドクターショッピング、快適なはずの介護施設で起こるおそろしい争い…現役医師がおくる、強烈にブラックな短編集!全5編。


「天罰あげる」 「蜜の味」 「ご主人さまへ」 「老人の園」 「注目の的」

フィクションだということは判ってはいるが、著者が現役の医師であるということもあって、事実が下地になっているのでは、と勘繰ってしまう。それほど、真に迫っていて、現実感があるということでもあるのだが、どこかで違う対応の仕方をしていれば、別の結果になったのか、それともなにをどうしても結果は変わらないのか、よく判らずに怖さが募る。医師の立場でも怖いし、患者としても怖い一冊である。

黒医*久坂部羊

  • 2020/02/10(月) 16:32:23


努力と競争を過剰にもてはやす「ネオ実力主義」が台頭し、働かないヤツは人間の屑、と糾弾される社会で、思いがけず病気になってしまった男。(「人間の屑」)気軽に受けた新型の出生前診断で、胎児の重い障害を宣告されて中絶するか悩む夫婦。(「無脳児はバラ色の夢を見るか?」)医療や技術の進歩の先に見える、幸せな人生は幻想なのか。救いなき医療と社会の未来をブラックユーモアたっぷりに描く7編で綴る作品集。


どの物語も、そう遠くない未来に実際に起こりそうで怖い。さらには、大人になり切れない大人が増えている気がしてならない昨今、医者でさえも例外ではないと、改めて気づかされて、空恐ろしくもなる。何に頼ればいいのか不安になるが、しょせん医者も人間であるということだ。ブラックすぎるユーモアで、到底笑えないが、自分の身は自分で守らねば、との思いを改めて強くさせられる一冊でもある。

オカシナ記念病院*久坂部羊

  • 2020/02/02(日) 18:41:15


離島の医療を学ぼうと、意気込んで「岡品記念病院」にやってきた研修医の新実一良。ところが先輩医師や看護師たちはどこかやる気がなく、薬の処方は患者の言いなり、患者が求めなければ重症でも治療を施そうともしない。反発心を抱いた一良は在宅医療やがん検診、認知症外来など積極的な医療を取り入れようとするが、さまざまな問題が浮き彫りになっていき―。現代の医療の問題点を通して、生とは何か、死とは何かを問いかける。著者渾身の医療エンターテインメント。


エンターテインメントとして書かなければ、さまざまな軋轢を生むだろう問題が凝縮されている。文句なく面白いのだが、その裏には、現代医療の抱える問題がうずたかく積み上げられているのだということを、改めて突き付けられる思いである。気づいていながら気づかないふりをして、医者の言うなりに検査を受け、薬を飲んでいるいまの状況を、患者側の意識改革だけで何とかするのは至難の業だろうが、少しでも立ち止まって自分の頭で考えたいと、切実に思わされる。医療関係者すべてに読んでほしい一冊でもある。

老父よ帰れ*久坂部羊

  • 2019/11/20(水) 18:41:32

老父よ、帰れ
老父よ、帰れ
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久坂部羊
朝日新聞出版 (2019-08-07)
売り上げランキング: 33,555

45歳の矢部好太郎は有料老人ホームから認知症の父・茂一を、一念発起して、自宅マンションに引き取ることにした。
認知症専門クリニックの宗田医師の講演で、認知症介護の極意に心打たれたからだ。勤めるコンサルタント会社には介護休業を申請した。妻と娘を説得し、大阪にいる弟一家とも折にふれて相談する。好太郎は介護の基本方針をたててはりきって取り組むのだが……。
隣人からの認知症に対する過剰な心配、トイレ立て籠もり事件、女性用トイレ侵入騒動、食事、何より過酷な排泄介助……。ついにマンションでは「認知症対策」の臨時総会が開かれることになった。
いったい家族と隣人はどのように認知症の人に向き合ったらいいのか。
懸命に介護すればするほど空回りする、泣き笑い「認知症介護」小説。


認知症の親を自宅で介護する大変さの予備知識になる物語である。認知症を患う父親を家で看たいという長男、その家族、遠方に住む弟一家、マンションの住人たち、それぞれの立場や思いは、その立場になって考えれば、それなりにどれも納得できるものであり、だからこそ、いま自分がどの立場に立っているのかで見方が変わってくることもあるだろうと思われる。並々ならない苦労があることはよくわかるのだが、同居する家族の感じ方や、日々の不自由さがいまひとつ伝わってこなかったのが、いささかきれいごとめいて感じられる一因かもしれないとも思う。現実はとても書き尽くせないものであろうことは想像に難くないので、ある程度仕方のないことかもしれないが、認知症介護の表層をさらっと一通り描いた感が拭えないのも確かである。「自分の都合で考えず、患者本位で接すること」という心構えがわかっただけでも収穫かもしれないと思える一冊である。

妻のトリセツ*黒川伊保子

  • 2019/10/22(火) 16:37:56

妻のトリセツ (講談社+α新書)
黒川 伊保子
講談社
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いつも不機嫌、理由もなく怒り出す、突然10年前のことを蒸し返す、など、耐え難い妻の言動…。ベストセラー『夫婦脳』『恋愛脳』の脳科学者が教える、理不尽な妻との上手な付き合い方。


本来は夫に読ませるために書かれたもののようであるが、妻であるわたしが読んでもうなずける部分が多くある。だが、男性諸氏からは反発も多いだろうな、とは想像できる。あまりにも、妻中心の家庭の在り方なのである。夫のトリセツもあれば、両方を比べてそれぞれに歩み寄れることはあるかもしれない、とも思う。ともあれ、わたし自身、女性なので、納得できることが大部分ではあるのだが、男性脳の部分も結構あることがわかって興味深かった。まあ、ある意味女性を機嫌よくさせておけば、家内安全と言える、ということではあるだろう、という感じの一冊である。

作家の人たち*倉知淳

  • 2019/08/16(金) 18:19:42

作家の人たち
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倉知 淳
幻冬舎 (2019-04-11)
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押し売り作家、夢の印税生活、書評の世界、ラノベ編集者、文学賞選考会、生涯初版作家の最期…。可笑しくて、やがて切ない出版稼業―!?


出版業界の内幕暴露本である。とは言っても、多分に自虐的な要素を含むコメディ仕上げなので、遠慮なく笑えてしまうところもある。昨今の出版業界を思えば、さもありなんということも多く、このまま手を拱いていれば、いずれこうなるかもしれない、と思わせることもあって、出版業界に身を置く人たちの苦悩をも想わされる。最終章で作家の倉ナントカさんが、この世の最期に書きたくて仕方がないと切望した小説を、ぜひ読んでみたいものである。ブラックながら愉しめる一冊である。

介護士K*久坂部羊

  • 2019/02/26(火) 16:53:43

介護士K
介護士K
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久坂部 羊
KADOKAWA (2018-11-29)
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介護施設「アミカル蒲田」で入居者の転落死亡事故が発生した。高齢者虐待の疑いを持ち、調査を始めたジャーナリストの美和は、介護の実態に問題の根の深さを感じていた。やがて取材をした介護士・小柳恭平の関与を疑った美和は、再び施設を訪れる。恭平は「長生きで苦しんでいる人は早く死なせてあげた方がいい」という過激な思想を持っていた。そんななか、第二、第三の死亡事故が。家族の問題を抱え、虚言癖のある小柳による他殺ではないのか--疑念が膨らむ一方の美和だが、事態は意外な方向に展開してゆく。高齢者医療の実態に迫り、人間の黒い欲望にメスを入れる問題作!


介護の現場や実態について、考えざるを得ない物語である。わたし自身は介護の経験がないので、実際のところはまるで解っていないとは思うが、想像するだけでも、一時も気を抜けず、手も抜けない現状の苦労の大変さは壮絶なものだということは判る。入居者の相次ぐ不審死に関わったのでは、と疑われる若い介護士・小柳恭平の真実はどこにあるのだろう。親切で、骨身を惜しまずよく働き、入居者の人気者であるという一面もあり、虚言癖があるという面も持つ彼の言葉は、どこまで真実なのだろう。そして、彼が目指しているのは何だったのだろう。判らないことだらけで答えは見つからないのだが、たくさんのことを考えさせられたことだけは確かである。読んでいて気が重くなるが、目を背けてはいけない一冊だと思う。

ドッペルゲンガーの銃*倉知淳

  • 2018/12/25(火) 19:22:08

ドッペルゲンガーの銃
倉知 淳
文藝春秋
売り上げランキング: 174,939

女子高生ミステリ作家(の卵)灯里は、小説のネタを探すため、
警視監である父と、キャリア刑事である兄の威光を使って事件現場に潜入する。
彼女が遭遇した奇妙奇天烈な三つの事件とは――?

・密閉空間に忽然と出現した他殺死体について「文豪の蔵」

・二つの地点で同時に事件を起こす分身した殺人者について「ドッペルゲンガ-の銃」

・痕跡を一切残さずに空中飛翔した犯人について「翼の生えた殺意」

手練れのミステリ作家、倉知淳の技が冴えわたる!
あなたにはこの謎が解けるか?


謎解きよりも何よりも、まず設定に目を惹かれる。警視監の息子で警部補だが、陽だまりのタンポポのようにのほほんとしている大介と、高校生ながらミステリ作家の卵の灯里(あかり)のコンビが、不可解で不思議で謎に満ちた事件現場に赴き、関係者から事情を聴いて謎解きをするのである。だがそれだけではなく、実際謎解きをするのは、また別の人物(?)であり、あまりにも無理やり感満載であるにもかかわらず、なんかあるかも、と思わせてしまうのが著者のキャラクタづくりの妙なのかもしれない。ともかく、不可思議な事件の謎は解かれ、警視庁での大介の株は上がるのだから、文句はない。愉しく読める一冊である。

豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件*倉知淳

  • 2018/08/07(火) 18:17:06

豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件
倉知 淳
実業之日本社
売り上げランキング: 108,126

戦争末期、帝國陸軍の研究所で、若い兵士が倒れていた。屍体の周りの床には、なぜか豆腐の欠片が散らばっていた。どう見ても、兵士は豆腐の角に頭をぶつけて死んだ様にしか見えなかったが―?驚天動地&前代未聞&空前絶後の密室ミステリの真相は!?ユーモア&本格満載。猫丸先輩シリーズ最新作収録のミステリ・バラエティ!


表題作のほか、「変奏曲・ABCの殺人」 「社内偏愛」 「薬味と甘未の殺人現場」 「夜を見る猫」 「猫丸先輩の出張」

猫丸先輩は、相変わらずユニークでとらえどころがなく、そのくせちゃ~んと事件の真相を解き明かしてしまう。すばらしいのだが、なんだかそうは思えないところも相変わらずである。猫丸先輩はこうでなくっちゃ。それ以外の物語は、まじめに考えていいものか、いささか迷ってしまうような意表を突く愉しさ満載である。ワクワクする一冊だった。

皇帝と拳銃と*倉知淳

  • 2018/06/28(木) 09:11:03

皇帝と拳銃と
皇帝と拳銃と
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倉知 淳
東京創元社
売り上げランキング: 449,964

計画は練りに練った。ミスなどあるはずがなかった。それなのに……いったいどこに落ち度があったというのだ!? 犯罪に手を染めた大学教授、推理作家、劇団演出家らの前に立ち塞がる、死神めいた風貌の警部の鋭利な推理。〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ倉知淳初の倒叙シリーズ、4編を収録。


表題作のほか、「運命の銀輪」 「恋人たちの汀」 「吊られた男と語らぬ女」

まずは、刑事のコンビの風貌に目を惹かれる。まるで死神のような中年刑事と、現役モデルも真っ青なイケメン若手刑事なのである。しかもその名前は、乙姫と鈴木。出会った人は必ずと言っていいほどその風貌と名前のギャップに、一瞬志向が停止する。そしてこの死神乙姫は、感情の読めない立ち居振る舞いも死神にぴったりなのだが、事件現場における着眼点には目を瞠るものがある。一点のミスも犯していない自信を持つ犯人をじわじわと追い詰め、ついに退路を断った時、初めから疑っていたことを明かすのであるが、その際の犯人の驚きと虚脱感は想像に難くない。映像化にも向きそうな一冊で、愉しみなシリーズである。

院長選挙*久坂部羊

  • 2017/10/15(日) 06:51:07

院長選挙
院長選挙
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久坂部 羊
幻冬舎 (2017-08-24)
売り上げランキング: 3,505

国立大学病院の最高峰、天都大学医学部付属病院。その病院長・宇津々覚が謎の死を遂げる。「死因は不整脈による突然死」という公式発表の裏では自殺説、事故説、さらに謀殺説がささやかれていた。新しい病院長を選ぶべく院長選挙が近く病院内で開かれる。候補者は4人の副院長たち。「臓器のヒエラルキー」を口にして憚らない心臓至上主義の循環器内科教授・徳富恭一。手術の腕は天才的だが極端な内科嫌いの消化器外科教授・大小路篤郎。白内障患者を盛大に集め手術し病院の収益の4割を上げる眼科教授・百目鬼洋右。古い体制の改革を訴え言いにくいこともバンバン発言する若き整形外科教授・鴨下徹。4人の副院長の中で院長の座に就くのは誰か?まさに選挙運動の真っ盛り、宇津々院長の死に疑問を持った警察が動き出した…。


ミステリ要素がちょっぴり入ったコメディという趣である。大学病院の院長選挙をコメディ化したらこうなるだろうという、まさにお手本のようなドタバタぶりで、院長候補の医師たちの俗物ぶりに、思わず顔を背けたくなるほどである。同じ医師として、著者はよくここまで書けたと逆に感心する。途中ほんのちょこっと、それぞれの俗物医師たちの日ごろの努力や本業における手技の確かさにも触れられているが、実際の医療現場ではこの部分が大多数だと信じたい。ミステリ部分は、付け足し感がどうしても否めないのがいささか残念ではある。医師あるある的に愉しめる一冊ではある。

カラダはすごい! モーツァルトとレクター博士の医学講座*久坂部羊

  • 2017/07/28(金) 19:04:07

カラダはすごい! モーツァルトとレクター博士の医学講座 (扶桑社新書)
久坂部 羊
扶桑社 (2017-04-30)
売り上げランキング: 69,856

ようこそ、ミステリアスな医療の世界へ――。
本講座では、モ-ツァルト、レクター博士、手塚治虫、ドストエフスキー、芥川龍之介、ゴッホ、デビットボウイなど、文学や映画、芸術を切り口に人体の不思議を紐解いてゆきます。
レクター博士に脳ミソを喰われても痛くないってホント? モーツァルトの耳はヘン? 「医療商人」にダマされない方法とは?
面白くて眠れなくなるカラダのトリビアが満載です!


医師であり、作家でもある著者だが、外科や麻酔科の経験もあり、外務省の医務官として海外赴任したこともあり、高齢者の在宅医療にも携わり、大学で講座を持つなど、医学に関する様々なキャリアをお持ちである。そんな実体験を踏まえて、身体のしくみや成り立ちから、医療や健康志向に関する「あるある」といったものまで、多岐にわたって触れられているので、小説ではなくいわば実用書なのだが、飽きることなく愉しめる。ある意味、雑学講座のようでありながら、実際に自分が直面した時の判断に役立ちそうな気もするのである。興味深い一冊だった。