マカロンはマカロン*近藤史恵

  • 2017/02/07(火) 13:57:37

> more >>>

シャルロットの憂鬱*近藤史恵

  • 2017/01/29(日) 06:59:14

シャルロットの憂鬱
シャルロットの憂鬱
posted with amazlet at 17.01.28
近藤 史恵
光文社
売り上げランキング: 43,978

元警察犬シャルロットとの日常と事件をやわらかく描く、傑作コージーミステリー

シャルロットは雌のジャーマンシェパード。警察犬を早く引退し、四歳で池上家にやってきた。はじめて犬と暮らす夫妻にも、散歩などをきっかけに犬同士、飼い主同士のゆるやかな連帯も生まれてくるが、なかには不穏な事件を持ち込む者もいて──。


主役は、元警察犬のジャーマンシェパードの女の子・シャルロットである。子どもができない池上夫妻の元にやって来て、家族の一員になった。シャルロットと暮らす日々に起こる事件や不思議な出来事を池上夫妻が解き明かしていくのだが、シャルロットの反応が大いに助けになっているのである。ミステリではあるのだが、犬と暮らす日常のあれこれが、温か味を持って描かれていてほんわか気分になれる。さらに、ペットと暮らすことに関して、考えさせられることもあり、著者のペットへの愛も感じられる一冊になっている。

クララ殺し*小林泰三

  • 2016/10/04(火) 18:24:47

クララ殺し (創元クライム・クラブ)
小林 泰三
東京創元社
売り上げランキング: 101,351

大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。


『アリス殺し』の姉妹編。前作と同じく、というよりも前作以上に、要素が複雑に絡み合っており、しかもあちらの世界とこちらの世界も複雑に入り組んでいて、謎解きにかかる辺りからはことに、頭の中がグルグルしてくる。誰が誰のアーヴァタールで、誰と誰が通じているのか、さらには誰が改造されて元とは違う存在になっているのかが複雑で、解きほぐせなくなってくる。しかも、罪と罰の観念もあちらとこちらでは違うので、なにを持って解決とするのかも不確かで、いささか消化不良気味でもあり、哲学的と言ってもいいかもしれない。次々に暴かれる本体とアーヴァタールの相関関係が判ってくると、どんどん先を知りたくなる一冊でもある。

スティグマータ*近藤史恵

  • 2016/08/17(水) 18:34:06

スティグマータ
スティグマータ
posted with amazlet at 16.08.17
近藤 史恵
新潮社
売り上げランキング: 11,904

ドーピングの発覚で失墜した世界的英雄が、突然ツール・ド・フランスに復帰した。彼の真意が見えないまま、レースは不穏な展開へ。選手をつけ狙う影、強豪同士の密約、そして甦る過去の忌まわしい記憶…。新たな興奮と感動が待ち受ける3000kmの人間ドラマ、開幕!


相変わらず自転車競技のことはまったくわからないのだが、その過酷さや駆け引きの妙は、このシリーズでずいぶん味わってきた。今回は、レース以前の不穏さに取り込まれそうになるチカ(白井誓)や有力選手たちそれぞれの対応も見ものである。ただでさえ相手の真意を量りきれない世界で、レースの駆け引きとは別次元の陰謀のことにまで神経を使わなければならないとは、なんと過酷なことだろう。ただ、そんななかでも、信頼関係は確かにあって、それが報われるのを見るのはやはりいいものである。チカにベストアシスト賞を進呈したくなる一冊である。

モップの精は旅に出る*近藤史恵

  • 2016/07/01(金) 19:39:18

モップの精は旅に出る
近藤 史恵
実業之日本社
売り上げランキング: 217,701

おそうじ上手は謎解き上手――
読めば元気になれる大人気ミステリ〈清掃人探偵・キリコ〉シリーズ第5弾!

キリコは、オフィスや学校、病院に派遣される清掃作業員。
ミニのフレアにハイヒールで軽快に掃除をしながら、事件を解決する名探偵だ。
「大丈夫、世の中はお掃除と一緒だよ。汚れたらきれいにすればいい。
また、汚れちゃうかもしれないけど、また、きれいにすればいい」――
そう言ってこれまで鮮やかに謎を解いてきたキリコだが、今回の事件はかなり厄介なようで……
ハートウォーミングな連作短編ミステリ。


キリコシリーズの最新刊にして最終刊だそうである。寂しい。オフィスや学校で起きる事件のあれこれ。人間関係や、個人の秘密など、毎日掃除をするからこそ見えてくるものがある。そんなキリコだからこそ、事件の解決にひと役買えることも多くあるのである。あちこちで事件を見事に解きほぐしていくきりこだが、彼女自身にも悩みがあるのだった。そしてとうとう、夫・大介を残して旅に出てしまう。そんなキリコを信じて待ち、キリコのことを思って声をかける大介のあたたかさに胸が熱くなる。なにがあっても、二人の絆さえしっかりしていれば大丈夫、と思える。シリーズが終わってしまっても、キリコちゃんはきっとどこかでお掃除をしているのだろうと思わせてくれるシリーズだった。

スーツケースの半分は*近藤史恵

  • 2016/02/25(木) 07:17:46

スーツケースの半分は
近藤史恵
祥伝社
売り上げランキング: 174,981

三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで見つけた青いスーツケースに一目惚れ、衝動買いをしてしまう。
そのとき、彼女の中で何かが変わった。心配性な夫の反対を押し切り、憧れのNYへ初めての一人旅を決意する。
出発を直前にして、過去のある記憶が蘇り、不安に駆られる真美。
しかし、鞄のポケットから見つけた「あなたの旅に、幸多かれ」というメッセージに背中を押され、真美はNYへ旅立った。
やがてその鞄は友人たちへとバトンされ、世界中を旅するうちに、“幸運のスーツケース"と呼ばれるようになってゆく――。

大丈夫。一歩踏み出せば、どこへだって行ける。
NY、香港、アブダビ、パリ、シュトゥットガルト……新しい自分に出会う、切なく優しい旅ものがたり。


30歳を目前にした四人の女性、真美、花恵、ゆり香、悠子、そして、スーツケースの持ち主だった加奈子の物語である。フリーマーケットで偶然出会った青い革のスーツケースが、四人の女性たちの旅の友となり、彼女たちのなかの何かを少しずつ解きほぐして変えていくのである。物理的な旅行の様子を描きながら、実は、心の旅の物語なのではないだろうか。彼女たちの間で「幸運のスーツケース」と呼ばれるようになった青いスーツケースのもともとの持ち主の気持ちと、それを受け継いだ娘や孫娘の人生にも影響を与えていて、胸にあたたかいものが満ちてくる。人はみなそれぞれの場所で生き、極個人的な屈託を抱え、何かを乗り越えようとしながら日々を送っているのだろう。そこに現れた鮮やかな青色が、のびのびと広がる世界の象徴のようである。読み終えた後に、何かが吹っ切れる心地になれる一冊でもある。

プロフェッション*今野敏

  • 2015/10/07(水) 18:30:15

プロフェッション
プロフェッション
posted with amazlet at 15.10.07
今野 敏
講談社
売り上げランキング: 19,404

立て続けに発生した連続誘拐事件。解放された被害者たちは、皆「呪い」をかけられていた――。警視庁きっての異能集団、ここに始動!
2014年に連続ドラマ化、2015年に映画化された「ST 警視庁科学特捜班」シリーズ(「ST 赤と白の捜査ファイル」)最新刊!


キャラクタはドラマに引きずられっぱなしだった。プロファイリングがメインな捜査なので、青山翔が前面に出てくる場面が多いのだが、そのたびに頭に浮かぶ映像を修正しなければならなのがいささか鬱陶しかった(著者のせいでは全くないのだが)。事件自体は、STが出てくるだけあって癖があるものだが、サイコパスを登場させるのはどうなんだろう、とちらりと思う。大学の研究室というある意味閉ざされた場所での人間関係のややこしさは充分に堪能させてもらった。設定を愉しめれば面白く読める一冊である。

昨日の海は*近藤史恵

  • 2015/09/06(日) 13:48:58

昨日の海は
昨日の海は
posted with amazlet at 15.09.06
近藤 史恵
PHP研究所
売り上げランキング: 334,069

いつも通りの夏のはずだった。その事件のことを知るまでは……。
海辺の小さな町で暮らす高校生・光介。夏休みに入ったある日、母の姉・芹とその娘の双葉がしばらく一緒に暮らすことになった。光介は芹から、心中と聞かされていた祖父母の死が、実は「どちらかがどちらかを殺した」無理心中事件であり、ここで生きていくために事実をはっきりさせたい、という決意を聞かされる。カメラマンであった祖父とそのモデルも務めていた祖母。二人の間にいったい何が起こったのか。
残された写真が語るもの、関係者たちの歪んだ記憶、小さな嘘……。そして真相を追う光介が辿り着いた、衝撃的な事実とは……。
『サクリファイス』『タルト・タタンの夢』などで話題の著者が、海辺の町を舞台に、青年のひと夏の冒険と成長を描く、切なくてさわやかな青春ミステリー。


四国の海辺の小さな町が舞台の物語。いつもと同じ日々が続くことを疑いもしていなかった光介の家に、母の姉とその娘が同居することになった夏休み。それまでなんとなくしか知らされていなかった、写真館を営んでいた祖父母の死の秘密に迫ることになろうとは思ってもいなかった。光介は、母の夢と伯母の芹とは、祖父母のことに関して微妙な温度差があるような印象を受けるが、真相を知ってみればその理由にも頷けるのである。知りたいという欲求と、真実を口にすることが正しいこととは限らないという事実との狭間で葛藤し、光介が一歩大人になった夏の物語でもある。切ないが愛にあふれた一冊でもある。

岩窟姫*近藤史恵

  • 2015/05/31(日) 08:52:53

岩窟姫 (文芸書)
岩窟姫 (文芸書)
posted with amazlet at 15.05.30
近藤史恵
徳間書店
売り上げランキング: 294,176

人気アイドル、謎の自殺―。彼女の死を悼む暇もなく、蓮美は激動の渦に巻き込まれる。蓮美からのいじめに悩む様子がブログに残されていたのだ。まったく身に覚えがなかったが、マネージャーにもファンにも信じてもらえず…。すべてを失った蓮美は、己の無実を証明しようと立ち上がる。「サクリファイス」シリーズの著者が描き出す、ガーリー冒険譚!疾走感×ミステリー!!


アイドルの周りで渦巻く大人の企みと、夢や希望を抱きつつも自分を殺さなければならない世界に対する絶望も抱え、本音と建て前、虚と実の狭間で、その時その時をギリギリで生きている女の子たちの姿に胸が痛み哀しみも覚える。自殺したアイドル仲間に貶められて舞台を降りざるを得なくなった主人公の蓮美は、初めは被害者としか思われなかったが、読み進めるにつれて、ある意味いちばん恵まれていたのかもしれないと思うようになった。人の思いに恵まれるということが、これほど心に安定をもたらしてくれるのだということも、改めて思わされる。ラストはいささか強引な感もなくはないが、希望の光が見えたという点では喜ばしいことなのだろう。人の心の裏表を垣間見せられる一冊でもあった。

私の命はあなたの命より軽い*近藤史恵

  • 2015/02/27(金) 17:24:43

私の命はあなたの命より軽い私の命はあなたの命より軽い
(2014/11/13)
近藤 史恵

商品詳細を見る

「どうして人の命の重さには違いがあるの?」東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。実家で何があった?明らかになっていく家族を襲った出来事とは―。『サクリファイス』の著者が「命の重さ」を描く渾身ミステリー!!


上記の内容紹介を読むまで、ミステリとは全く思わず、命を題材にした家族ドラマだと思っていた。それはともかく、同じ命でも祝福され望まれて生まれてくることもあれば、生まれ出るはるか以前に疎まれ望まれないこともある。さらに生まれることさえもできない命もあるし、生まれたとしても自ら断ってしまう命もある。本作では、そんなさまざまな状況に置かれた命の不平等を明るみに出していて、いろいろ考えさせられる。だが、いくら結婚して家を離れ、出産のために里帰りした身で、躰のことが心配だとは言え、長女にあそこまで事情を隠し続けるだろうか。いちばん気になったのは、家族の在りようだった。事情が明らかにされていく過程はサスペンスめいた一冊である。

胡蝶殺し*近藤史恵

  • 2014/08/19(火) 16:32:30

胡蝶殺し胡蝶殺し
(2014/06/20)
近藤 史恵

商品詳細を見る

歌舞伎子役と親同士の確執を描くミステリー

「美しい夢ならば、夢の中でも生きる価値がある」
『サクリファイス』で大藪春彦賞、第5回本屋大賞2位を獲得した、近藤史恵氏が長年温めてきた、歌舞伎の子役を主人公にしたミステリー。
市川萩太郎は、蘇芳屋を率いる歌舞伎役者。花田屋の中村竜胆の急逝に伴い、その息子、秋司の後見人になる。同学年の自分の息子・俊介よりも秋司に才能を感じた萩太郎は、ふたりの初共演「重の井子別れ」で、三吉役を秋司に、台詞の少ない調姫(しらべひめ)役を俊介にやらせることにする。しかし、初日前日に秋司のおたふく風邪が発覚。急遽、三吉は俊介にやらせる。そこから、秋司とその母親由香利との関係がこじれていく。さらに、秋司を突然の難聴が襲う。ふたりの夢である「春鏡鏡獅子」の「胡蝶」を、ふたりは舞うことが出来るのか…?


内容紹介にはミステリ、とあるし、ある意味ミステリと言える部分もあるが、一般的なミステリとはひと味違う物語である。梨園という一般人にはなかなか理解の及ばない世界に生きる子どもたち。いずれ名を継ぎ、大舞台に立つために、ほかの同級生たちとはいささか違った日々を送る幼い者たちであるが、親たちの思惑とは別に、彼らにも興味や喜びや悲しみがあるのである。6~7歳の子どもだからと言って侮ってはいけない。ある時は大人よりも深くものを想っているのである。俊介と秋司、そして彼らを取り巻く大人たちの後悔と希望の一冊である。

さいごの毛布*近藤史恵

  • 2014/05/25(日) 18:35:04

さいごの毛布 (単行本)さいごの毛布 (単行本)
(2014/03/26)
近藤 史恵

商品詳細を見る

年老いた犬を飼い主の代わりに看取る老犬ホームに勤めることになった智美。なにやら事情がありそうなオーナーと同僚、ホームの存続を脅かす事件の数々――。愛犬の終の棲家の平穏を守ることはできるのか?


幼いころから家族とうまくいかず、自分に価値を見いだせないまま世間と折り合えずにいた智美は、友人の紹介で老犬ホームに住み込みで働くことになる。さまざまな事情で飼えなくなった老犬たちの終の棲家となる老犬ホームで、智美はオーナーの麻耶子や同僚の碧、そしてそれぞれの飼い主の事情でここにいる犬たちに接し、求められることで、少しずつ自分を確立していく。犬たちのこと、人間関係のこと、いろいろ考えさせられる物語である。必要とされることの重みとあたたかさを感じさせられる一冊である。

アリス殺し*小林泰三

  • 2013/11/11(月) 16:43:44

アリス殺し (創元クライム・クラブ)アリス殺し (創元クライム・クラブ)
(2013/09/20)
小林 泰三

商品詳細を見る

複数の人間が夢で共有する〈不思議の国〉で次々起きる異様な殺人と、現実世界で起きる不審死。驚愕の真相にあなたも必ず騙される。鬼才が贈る本格ミステリ。


タイトルに惹かれて読んでみた。不思議の国のアリスの世界で起こる殺人事件の物語かと単純に思っていたら、さにあらず。現実世界――それさえ確固としたものとは思えなくなるのだが――と、夢のなか(たぶん)の世界とが複数の人々によって共有され、奇妙にリンクしているのである。夢の世界の物語などと侮っていると、あまりにもグロテスクに過ぎる殺人事件の描写が何度も現れるので、具合が悪くなりそうでもある。覚悟して読んだ方がいい。余談だが、物の解らない人に何かを説明するときのイライラ感も充分すぎるほど味わえる。自業自得とは言え、あまりにも惨い一冊である。

土蛍【猿若町捕物帳】*近藤史恵

  • 2013/07/09(火) 16:52:20

土蛍 猿若町捕物帳土蛍 猿若町捕物帳
(2013/06/19)
近藤 史恵

商品詳細を見る

業の深い男たち。見捨てることも、許すこともできぬ女たち。

長屋の差配人の殺し。芝居小屋で見つかった変死体。そして、青柳屋の遊女・梅が枝も巻きこまれた吉原の火事……。
背後にある男女の相剋を、同心・玉島千蔭はどう解きほぐすのか?
好評シリーズ最新作!


表題作のほか、「むじな菊」 「だんまり」 「はずれくじ」

玉島千蔭のシリーズである。千蔭をはじめとして、父の後添いのお駒、小者の八十吉、役者の巴之丞、遊女の梅が枝など、みな一様に情が厚い。そしてどこか頑固であるので、時に伝わるものも伝わらなかったりするのが歯がゆくもある。だが、そのおかげで、救われる者がいたりもするので興味深い。人と人というものは、むずかしくも面白いものだと思わされる一冊である。

> more >>>

キアズマ*近藤史恵

  • 2013/05/13(月) 14:10:15

キアズマキアズマ
(2013/04/22)
近藤 史恵

商品詳細を見る

決して交わるはずのなかった、俺たち。喪失を超えるように、ただ走り続ける――。命をかける覚悟? 誰かを傷つける恐怖? そんなもの呑み込んで、ただ俺は走りたいんだ。ひたすらに、自分自身と向き合うために。助けられなかったアイツのために――。一年間限定で自転車ロードレースに挑むことになった正樹。「サクリファイス」シリーズ4作目、新たな舞台は大学自転車部! ファン待望の最新長編小説。

【キアズマ/chiasma】減数分裂の前期後半から中期にかけて、相同染色体が互いに接着する際の数か所の接着店のうち、染色体の交換が起こった部位。X字形を示す。(三省堂・大辞林)


競技としての自転車に乗ることになろうとは夢にも思っていなかった岸田正樹。大学入学間もない通学路で思わぬ事故に遭い、期間限定で自転車部に入部することになってしまった。それからの一年間の物語である。著者は、自転車レースに出たことがあるのではないかと疑いたくなるほど、走っているときの風や音や自分の躰の状態、疾走感や恐怖、高揚感などがリアルで、上り坂では読みながら脚が重くなり、ふくらはぎがパンパンに張ってくる心地になるほどである。さまざまなものを抱え、自転車にかける思いはそれぞれだが、走るのが好きだというその一点での繋がりは、おそらくなによりも心強いのだろう。その後の彼らを見てみたくなる一冊である。