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おっぱいマンション改修争議*原田ひ香

  • 2019/07/09(火) 07:41:24

おっぱいマンション改修争議
原田 ひ香
新潮社
売り上げランキング: 418,408

いまは亡き天才建築家が設計した、通称「おっぱいマンション」。立地もデザインも抜群、できた当時はあこがれの住居、いまでは、終の住処として、人気を保ち続けていた。だが、重大な問題が発覚!勃発した改修騒ぎは、建築家の娘、学生運動あがりの引退した教師、秘密を抱えた元女優、天才の右腕たちの人生を、秘密を、理想を呑み込んで―。建て替えるべきか、残すべきか。正義の審判の行方は?人生最大のお買い物は、人生最悪のドラマを生む!?


タイトルから想像するのは、住人たちのコミカルな騒動だが、実際はもっとずっと深刻な物語である。住人それぞれが終の棲家として購入し、現在も日々を過ごしているかつて最先端だったマンション。そこには住人の数だけ腎性があり、決して途中で投げ出せるものではない。そして、建築した側の関係者やその家族にもそれぞれの思いがあり、それぞれの人生があるのである。そんな中で起こった改修話は、登場人物たちそれぞれにこれまでとこれからの自分のことを考えるきっかけを与えたのではないだろうか。思い入れ、利害、諦めや希望、いろんな気持ちが絡まりあって、改修争議は混迷を深めるのだった。ものがなしく、切なく、他人事であればくすりと笑ってしまいもする一冊である。

かわたれどき*畠中恵

  • 2019/04/10(水) 16:22:02

かわたれどき
かわたれどき
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畠中 恵
文藝春秋
売り上げランキング: 18,598

かつて恋女房を亡くした江戸町名主の跡取り息子・高橋麻之助。そんな彼に、後妻とりの話がやってきたが……。人気シリーズ第七弾。


今回は、若い娘がたくさん登場して華やかではあるが、一歩間違うと一触即発の感が無きにしも非ず。とはいえ、麻之助は、相変わらずのほほんとその辺りには鈍いので、戦いは勃発せずに済んでいる。しかも、今作で、麻之助はずいぶんとまじめに役目に励んでもいる。今日も今日とて、面倒な厄介事ばかり惹き寄せる御仁である。そしてとうとう、麻之助も自らの先行きを定めたか、というラストである。親友・吉五郎のこれからも含め、次作が愉しみである。麻之助たちが大人になっていくのが頼もしいような寂しいようなシリーズである。

つくもがみ笑います*畠中恵

  • 2019/03/26(火) 20:49:58

つくもがみ笑います
つくもがみ笑います
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畠中 恵
KADOKAWA (2019-01-10)
売り上げランキング: 68,183

人から百年以上大事にされた品物は、人ならぬ、つくもがみになるという。
江戸は深川で損料屋を営む出雲屋では、主人の清次と妻のお紅、跡取りの十夜とともに、
そんなつくもがみたちが仲良く賑やかに暮らしていた。ひょんなことから、大江戸屏風に迷い込み、二百年前にタイムスリップしたり、旗本屋敷の幽霊退治にかり出されたり。
退屈しらずのつくもがみたちが、今日も大奮闘!


つくもがみシリーズ第三弾だそうである。第二弾をまだ読んでいなかったのは迂闊だった。出雲屋の跡取り息子・十夜とつくもがみたちは、今作でもあちこちに貸し出され、あるいは勝手に着いてきて、厄介事に巻き込まれることになる。だが、それ以上に、その厄介事の大本を探り当て、解きほぐして丸く収める役に立っている。さすがつくもがみ、お八つが何より好きだと言っても存外誇り高いのである。十夜の人脈も少しずつ広がり、跡取りとしての頼もしさも増してきたと言えるかもしれない。長く続いてほしいシリーズである。

DRY*原田ひ香

  • 2019/03/24(日) 16:34:07

DRY
DRY
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原田ひ香
光文社
売り上げランキング: 25,802

北沢藍は職場の上司と不倫して、二人の子供を置いて家を出た。十年ぶりに実家に戻ると、男にだらしない母と、お金にがめつい祖母がうら寂しく暮らしていた。隣に住む幼馴染の馬場美代子は家族を見送り、今は祖父をひとりで看ている。介護に尽くす彼女は、孝行娘とあがめられているが、介護が終わったその先はどうやって生きていくのだろうか。実は、彼女の暮らす家には、世間を震撼させるおぞましい秘密が隠されていた。注目の作家初のクライムノベル。


タイトルに込められたいろいろな意味を知るにつれ、やるせない思いがどんどん募る。負のスパイラルにはまり込むと、無意識のうちに思考回路の一部が切断されたようになり、これほどまでに選択肢が狭められるのだろうか、と気が重くなる。だが、読み進めていくうちに、だんだん藍や美代子の心の動きがわかってくると、その時選ぶ道はそれが最善のような気がしてきてしまうから恐ろしい。罪に手を染めるきっかけなんて、ほんの一回の歯車のずれだけなのかもしれないとさえ思えてくる。胸の中を冷たい風が吹き抜けるような一冊だった。

常設展示室*原田マハ

  • 2019/02/24(日) 18:41:51

常設展示室: Permanent Collection
原田 マハ
新潮社
売り上げランキング: 3,103

パリ、NY、東京。世界のどこかに、あなたが出会うべき絵がきっとある。その絵は、いつでもあなたを待っている。人生の岐路に立つ人たちが辿り着いた世界各地の美術館。巡り会う、運命を変える一枚とは――。故郷から遠く離れたNYで憧れの職に就いた美青は、ピカソの画集に夢中になる弱視の少女と出会うが……(「群青 The Color of Life」)ほか。アート小説の第一人者が描く、極上の6篇。


ピカソの「群青」、フェルメールの「デルフトの展望」、ラファエロの「マドンナ(聖母)」、ゴッホの「薔薇色の人生」、マティスの「豪奢」、東山魁夷の「道」という六つの絵画にまつわる六つの人生のドラマの物語である。人それぞれ、さまざまな人生のひとコマに寄り添う一枚の絵。それがもたらす一筋の光やささやかな救い。そんなものがにじみ出てくるような愛おしさを感じる。一枚の絵によって、次に出す一歩の向きが、ほんのわずかずれることで、先の人生が変わってくることもあるのかもしれないと思わされる一冊でもあった。

ギリギリ*原田ひ香

  • 2019/01/03(木) 19:18:10

ギリギリ
ギリギリ
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原田 ひ香
KADOKAWA/角川書店 (2015-09-30)
売り上げランキング: 781,094

女性管理職として仕事に没頭する瞳。前夫の一郎太が過労死した寂しさをまぎらわすかのように、同窓会で再会した脚本家の卵の健児と再婚した。瞳と健児のもとには、一郎太の母親や不倫相手から細々と連絡があり、相談に乗ったり、一郎太の不在を嘆いたりしている。ある日、瞳はゴミ箱のなかから健児が書いた脚本の草稿を見つけ、自分が選んだ道に疑問を感じるようになるが…。


瞳の心情と健児の心情が交互に語られる。大切な人を亡くしたり、脚本家としてなかなか芽が出ない不甲斐なさを抱えていたり、お互いに頼りあってはいるが遠慮もある瞳と健児である。そこに、亡くなった前夫・一太郎の母の静江さんの存在や、一太郎の不倫相手だったという冴子さんの存在が入り込んできて、さらに素直なだけではいられなくなるのだった。何となく流れで再婚してしまったが、どことなく危うい地盤の上に立っているような不安定さが始終つきまとっていて、読む者にもどかしさを感じさせる。互いに必要としているのに素直になり切れず、かといって、はっきり問いただすこともできずに抱え込んだものは、日々積もり積もってはけ口をなくすのである。二人が前に進むには、こうするしかなかったのだろうか。切なさの残る解決でもある。とはいえ、思わず苦笑してしまうこともあったりして、軽快に読める一冊ではある。

むすびつき*畠中恵

  • 2018/10/25(木) 19:20:37

むすびつき しゃばけシリーズ17
畠中 恵
新潮社
売り上げランキング: 11,306

箱根に出かけた病弱若だんなの身に、一体何が? 累計800万部を超える「しゃばけ」シリーズ最新刊! 自称「若だんなの生まれ変わり」という死神が、三人も長崎屋に乗り込んできちゃった! その上、前世の若だんなに会ったことがあると言い出す妖が続出? 前世の若だんなって、いったいどんな人だったの~? 妖は長い時を生きる。けど、人はいずれ……。だけど、みんなと一緒なら、明日へ行ける! 大人気シリーズ第17弾。


まず驚きは、もう17作目ということである。若だんなや妖たちともずいぶん長いお付き合いになったものである。今作でも若だんなは寝付いたり、具合が悪くて湯治に行ったりしているが、留守の間にとんでもない人たちが訪ねてきたり、前世での結びつきを感じさせられる出来事が起こったりと、相変わらず平穏な暮らしは続かないのである。そんな中でも、若だんなは、妖たちや兄やたちがいつも周りにいてくれるからこその幸せをしみじみと噛みしめるのである。それにしても、一太郎が健康になる日は来ないのだろうか。いい加減寝付かないようにしてあげてほしいと願ってしまうシリーズである。

復讐屋成海慶介の事件簿*原田ひ香

  • 2018/08/30(木) 07:52:28

復讐屋成海慶介の事件簿
双葉社 (2015-12-16)
売り上げランキング: 83,492

男に騙され、会社も辞める羽目になってしまった元OLの神戸美菜代は、凄腕の復讐屋がいるという噂を聞きつけ、その男、成海慶介の事務所を訪ねる。が、お金がないこと、社会的信用がないことを理由にけんもほろろに追い返されてしまう。諦めきれない美菜代は弟子入りを志願、押しかけ秘書として成海の事務所で働きだすが――。


本作の前に読んでいた桑潟幸一准教授(クワコー)のダメダメぶりに引きずられて、成海も同類のような先入観で読み始めてしまったことを、まずは成海氏に謝らなければならない。これといって働いていないようには見えるが、それにはちゃんと理由があり、結果として依頼人の心を安らかにする手助けになっている。なかなかやるではないか。ひょんな成り行きから実質の弟子になっている美菜代も思いのほか役立っているようで、好感の持てるコンビだと思う。ぜひ次の展開を見たいので、シリーズ化をお願いしたい一冊である。

三千円の使いかた*原田ひ香

  • 2018/08/23(木) 16:09:58

三千円の使いかた (単行本)
原田 ひ香
中央公論新社
売り上げランキング: 17,860

24歳、社会人2年目の美帆。貯金に目覚める。29歳、子育て中の専業主婦、真帆。プチ稼ぎに夢中。55歳、美帆・真帆の母親、智子。体調不良に悩む。73歳、美帆・真帆の祖母、琴子。パートを始める。御厨家の人々が直面する、将来への不安や人生のピンチ。前向きに乗り越えたいからこそ、一円単位で大事に考えたい。これは、一生懸命生きるあなたのための家族小説。「8×12」で100万円貯まる?楽しい節約アイデアも満載!


御厨家の主に女三世代の生き方術あれこれである。節約術が多くを占めるが、人生の岐路における選択術や、人間の価値の見極め方、自分の人生への責任の持ち方、などなど、琴子さんの年の功的アドバイスが腑に落ちるし、格好いい。三世代、それぞれ置かれた状況や立場は違うが、誰もが一生懸命に日々を生きているのが何より好感が持てる。愉しい読書タイムを過ごせた一冊である。

5時過ぎランチ*羽田圭介

  • 2018/08/10(金) 18:28:39

5時過ぎランチ
5時過ぎランチ
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羽田 圭介
実業之日本社
売り上げランキング: 244,431

ガソリンスタンドのアルバイト、アレルギー持ちの殺し屋、写真週刊誌の女性記者。日々過酷な仕事に臨む三人が遭遇した、しびれるほどの“時間外労働”!芥川賞作家・羽田圭介だから書ける、限りなく危険なお仕事&犯罪小説!


タイトルから、もっとほのぼのとした物語かと思いきや、なんとも過酷なお仕事ものがたりだった。とはいえ、ただのお仕事ものがたりと思ったら大間違い。過重労働、時間外労働、など、危ない仕事の現場がぎっしりと詰まっているのだった。GSを舞台にした『グリーンゾーン』では、著者が三か月くらい実際にバイトでもしたのではないかと思わせるような、詳細な業内容が描かれていて、車のことは全くわからないながら、その忙しさは充分すぎるほど伝わってきた。さらに、『内なる殺人者』と『誰が為の昼食』は全く別の物語かと思ったのだが、緩やかにつながっていて、最後の最後でそういう落ちになるのか、と納得させられる構成になっていて、二度おいしい気分になれる一冊でもある。

スイート・ホーム*原田マハ

  • 2018/06/18(月) 16:40:24

スイート・ホーム
スイート・ホーム
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原田 マハ
ポプラ社 (2018-03-08)
売り上げランキング: 53,860

香田陽皆(こうだ・ひな)は、雑貨店に勤める引っ込み思案な二十八歳。
地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、腕利きだけれど不器用なパティシエの父、
明るい「看板娘」の母、華やかで積極的な性格の妹との四人暮らしだ。
ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず……。(「スイート・ホーム」)
料理研究家の未来と年下のスイーツ男子・辰野との切ない恋の行方(「あしたのレシピ」)、
香田一家といっしょに暮らしはじめた〝いっこおばちゃん〟が見舞われた思いがけない出来事(「希望のギフト」)など、
稀代のストーリーテラーが紡ぎあげる心温まる連作短編集。


タイトルそのままの物語である。あまりにも理想的すぎると言われればその通りではあるが、素直な気持ちで読めば、心の奥から洗われる心地になること請け合いである。故郷の町を、そこに住む人たちを、そして何より我が家を大切にいとおしく思う気持ちにあふれていて、こちらまであたたかい気持ちになる。とはいえ、暮らしていく中には、いろいろと悩みも出てくるのだが、それさえも、周りの人たちのひと言や、ちょっとしたおせっかいで解決していく。人と人との程よい距離感がたまらない。やさしい気持ちになれる一冊である。

失踪.com 東京ロンダリング*原田ひ香

  • 2017/12/16(土) 16:35:16

失踪.Com 東京ロンダリング
原田 ひ香
集英社
売り上げランキング: 264,916

事故物件に住み部屋をロンダリング(浄化)する人材を斡旋する相場不動産。ある時から、なぜかその関係者が次々と相場不動産を離れていく。背後に妨害工作の動きを察知し、調査を始めた仙道は、とある事実を突き止める。相場と共に、巨大勢力と戦おうと立ち上がった仙道が決断したこととは…。


事故物件のロンダリングと失踪者探し。どちらも社会の裏側を見据える仕事である。相場と仙道の二人が扱った案件に関わった人たちが、後半、次々といささか怪しげな感じになってくる辺りで、何か大きな力を感じるが、弱小会社にそこまでするか、と思わなくもない。それを除けば、人間の屈託が絶妙に描かれていて惹きこまれる一冊だった。

東京ロンダリング*原田ひ香

  • 2017/12/13(水) 17:11:48

東京ロンダリング
東京ロンダリング
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原田 ひ香
集英社
売り上げランキング: 84,836

内田りさ子、32歳。わけあって離婚。戻るべき家を失い、事故物件に住むことを仕事にした彼女。失意の底、孤独で無気力な毎日を過ごしていた―。移り住む先々で人と出会い、衝突しながら、彼女は何を取り戻したのか。東京再生、人生再生の物語。


初めのうちは、主人公のりさ子が、自分の不貞で離婚してすべてを失ったとは言え、とにかく暗く、覇気がなく、自信もなく、一生部屋に籠っていそうな雰囲気で、先が心配になるほどだった。だが、行く先々で出会う人たちに少しずつ影響を受け、ほんの少しずつだが、本来の自分を取り戻していく様子に、(まだまだもどかしい部分が多いが)多少なりともほっとさせられる。いつの日か、作り笑いではない自然な笑顔ができるようになればいいと、願ってしまう。この先が知りたくなる一冊である。

人生オークション*原田ひ香

  • 2017/09/11(月) 18:35:20

人生オークション
人生オークション
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原田 ひ香
講談社
売り上げランキング: 1,612,216

不倫の果てに刃傷沙汰に及んでしまい、謹慎中のりり子叔母さん。就職が決まらずアルバイトをする私は、気分転換にと、一人暮らしを始めた叔母の様子を見に行くことに。そこで目にしたのは、トラック一台分はある、大量のダンボール。処分に困った二人はそんな「お荷物な過去」をせっせとオークションにかけてゆくが…。“欲しいもの”を手放していく叔母と、“欲しいものが欲しい”私。世代も生き方も異なる二人を鮮やかに描く、ちょっとしたご縁のハナシ。


示談にこそなったが、不倫の果てに相手の妻を刺して逮捕されたりり子叔母さんは、親族のもてあまし者となり、元夫が送りつけてきた大量の荷物に埋もれるようにして、無気力にただそこにいた。就活に失敗し、アルバイトだけでぶらぶらしている瑞希に白羽の矢が立ち、りり子叔母さんの様子を見に行く役目を押しつけられた。段ボールの山の中には、ほとんど使っていないブランド品もたくさんあり、瑞希は渋るりり子を説得してオークションに出してみることにしたのだった。予想以上の高値がついたり、梱包して発送したり、オークション特有の言葉遣いに違和感を覚えたりしながら、荷物は少しずつ減り、口座の残高は少しずつ増え、それなりに愉しむようにもなっていった。初めはりり子を敬遠していた瑞希だったが、事件の真実や、りり子の胸の裡を知るにつれ、義務感だけではない気持ちが芽生えてくるのだった。自分のことは、解っているようで解っていない。なにが足りなくて、なにが過剰なのか、ほんとうはどうしたいのか、などなど、人間というものの不思議を考えさせられる一冊でもある。

アノニム*原田マハ

  • 2017/08/27(日) 13:48:23

アノニム
アノニム
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原田 マハ
KADOKAWA (2017-06-02)
売り上げランキング: 20,493

ジャクソン・ポロック幻の傑作「ナンバー・ゼロ」のオークション開催が迫る香港。建築家である真矢美里は七人の仲間とともにオークション会場へ潜入していた。一方、アーティストを夢見る高校生・張英才に“アノニム”と名乗る謎の窃盗団からメッセージが届く。「本物のポロック、見てみたくないか?」という言葉に誘われ、英才はある取引に応じるが…!?ポロックと英才、ふたつの才能の出会いが“世界を変える”一枚の絵を生み出した。痛快華麗なアート・エンタテインメント開幕!!


素人の目で単純に見れば、愉快痛快でもあり、プロ集団の仕事の見事さに目を瞠る物語ではあるが、美術関係者の目から見たらどうなのだろうか、といささか心配にもなってしまう。これほどまでに堂々と手際よく、名だたる名画が贋作にすり替えられているとしたら、まったく何を信じればいいか心もとないことこの上ない。だが、純粋にエンターテインメントとして読めば、これほどワクワクドキドキ愉しめて、スカッとする物語もないだろう。愉しい読書タイムを過ごせる一冊だった。