FC2ブログ

黄色い実 紅雲町珈琲屋このみ*吉永南央

  • 2019/08/15(木) 18:46:33

黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ
吉永 南央
文藝春秋
売り上げランキング: 44,138

草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の頼れる店員・久実。ついに久実に訪れた春の予感に浮き立つ店に、衝撃のニュースが。元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたと訴え出たのだ。犯人は地元名士の息子。大騒動の町で気付けば久実は浮かぬ顔で…。暴行を受けたと訴え出た元アイドル。他にも被害者が?小さな町の大事件が小蔵屋の日常を揺るがせる。


とうとう久美にも春が、とわくわくしながら進展を見守っていたのだが、降ってわいたように厭な事件が起こり、どことなく久美の様子にもわだかまりがあるような……。地元名士である大学教授の息子が、恋愛問題のもつれから、傷心で帰ってくるということで、彼の就職に際して、お草さんもひと口絡んだ経緯もあり、教授一家のあれこれも気になる。そして、段々と事の真相が、お草さんの嫌な予感の通りに明らかになっていくのだった。ものすごく後味の悪い事件ではあるが、それはそれとして、小蔵屋の商いに関するいろいろは、想像するだけで愉しく明るい心持にさせられる。お草さんのアイディアが形になったちいさなものたちが、まるで希望の光のように小蔵屋で、来る人を待っていてくれるようである。久美と一ノ瀬のこれからがどうなるのかは、まだ定かではないが、あちこちに希望が見えるようなラストで救われた一冊だった。

月とコーヒー*吉田篤弘

  • 2019/08/01(木) 18:41:22

月とコーヒー (文芸書)
吉田 篤弘
徳間書店
売り上げランキング: 87,211

喫茶店“ゴーゴリ”の甘くないケーキ。世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。トランプから抜け出してきたジョーカー。赤い林檎に囲まれて青いインクをつくる青年。三人の年老いた泥棒、空から落ちてきた天使、終わりの風景が見える眼鏡―。忘れられたものと、世の中の隅の方にいる人たちのお話です。小箱の中にしまってあったとっておきのお話、24ピース。


ほんとうに、ちょっとしたお話がたくさんたくさん詰まっている。どの物語をとっても、めくるめく出来事や波乱万丈のドラマがあるわけではないが、ひとつひとつが、その物語の主人公にとっては大切な事々なのだということが、しっかりと伝わってくる。きれいな月が出ていて、おいしいコーヒーがあれば、人生捨てたものじゃない。この世界のどこかに、今日も彼らがいるのではないかと思うと、ちょっぴりうれしい気持ちにもなれる。静かでやさしくて、実り多い一冊である。

ノースライト*横山秀夫

  • 2019/07/17(水) 18:36:34

ノースライト
ノースライト
posted with amazlet at 19.07.17
横山 秀夫
新潮社
売り上げランキング: 8,765

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに…。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた「タウトの椅子」を除けば…。このY邸でいったい何が起きたのか?


初めから終わりまで、みっしりと面白かった。装丁を見ただけで、そこはかとなく不安な気持ちにさせられ、読み始めてもその感はさらに強くなる。ブルーノ・タウトの椅子の出所を探るというのは、確かにひとつの要素ではあり、建築士としての青瀬の興味の在処でもあるのだろうが、つまるところ、そこにまつわるいくつかの家族の再生の物語なのではないかと思う。初めに抱いたそこはかとない不安は、次第に形を変え、一時は誰かの悪意を伴った不安に変わり、そして最後には、
一抹の無念さとともに、ある種の安堵と希望の種となって、物語全体を包み込むのである。大団円に向かって畳みかけるように進んでいく物語が心地好い一冊だった

本と鍵の季節*米澤穂信

  • 2019/03/03(日) 16:38:59

本と鍵の季節 (単行本)
米澤 穂信
集英社
売り上げランキング: 2,672

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。

放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!


「913」 「ロックオンロッカー」 「金曜に彼は何をしたのか」 「ない本」 「昔話を聞かせておくれよ」 「友よ知るなかれ」

高校生の図書委員男子二人が探偵コンビとなって、図書室に持ち込まれる謎を解き明かしていく物語である。どれもいささかほろ苦く、完全なるめでたしめでたしというわけではないのだが、その余韻が好ましくもある。探偵コンビにいまはまだある溝のようなものの正体が何なのか、そして、それが埋まる日が来るのか。次作が愉しみな一冊になった。

あること、ないこと*吉田篤弘

  • 2018/08/16(木) 08:54:09

あること、ないこと
あること、ないこと
posted with amazlet at 18.08.15
吉田 篤弘
平凡社
売り上げランキング: 100,301

世界を繙く事典、探偵譚、他の惑星から来た友人、思い出深い食堂や音盤、長い置き手紙──虚実の出会う場所を描く美しい物語の数々。


タイトルの通り、まさしくあること、ないことがぎっしりと敷き詰められた、一枚の美しい絨毯のような印象である。あることとないこととの境も曖昧で、すべてが詩のようでもあり、心象風景のようでもある。著者の作品に触れるたびに思うことだが、一瞬で遠くへ旅して戻ってくるような心地の一冊である。

おやすみ、東京*吉田篤弘

  • 2018/07/28(土) 18:30:56

おやすみ、東京
おやすみ、東京
posted with amazlet at 18.07.28
吉田篤弘
角川春樹事務所
売り上げランキング: 24,983

この街の夜は、誰もが主役です。都会の夜の優しさと、祝福に満ちた長篇小説。


内容紹介には、長篇小説とあるが、濃密につながった連作短編のような趣である。描かれるのは、午前一時辺りの出来事である。人々が寝静まる深夜に、働く人たちがいて、それぞれにさまざまな思いを抱えて、何かを探している。そんな人たちが、次々につながり、誰かを、何かを見つけて、あるいは見つけられて、つながっていくのを見るのは、とても興味深く、なんだかページのこちら側でもうれしくなってしまう。夢なの現なのか、次第に曖昧になってくるようでもある一冊でもある。

花ひいらぎの街角*吉永南央

  • 2018/03/30(金) 18:28:35

花ひいらぎの街角 紅雲町珈琲屋こよみ
吉永 南央
文藝春秋
売り上げランキング: 26,095

北関東の小さな町で、珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」を
営むおばあさん、お草さん。
彼女の周囲にあたたかく描かれる人間の営み、日常に
ふと顔をのぞかせる闇が読むものをグイグイ引き込む大人気シリーズ第6弾。

秋のある日、草のもとに旧友の初之輔から小包が届く。中身は彼の書いた短い小説に、絵を添えたものだった。
これをきっかけに、初之輔と再会した草は、彼の苦しかった人生を元気づけるために、彼の短編を活版印刷による小本に仕立て贈ることにした。この本を作るために小さな印刷会社と関わり、個人データに遭遇。行き詰まる印刷会社を助けることに。草の働きによって、印刷会社周辺の人々の記憶までもが明るく塗りかえられてゆく。


お草さんの優等生過ぎないキャラクタが相変わらず好ましい。悟りすましておらず、人間臭くて、失敗することも後悔することも日々数えきれないほどあり、それでも周りの人たちや、小蔵屋の客たちに解決のヒントをもらい、助けられて、前向きに気分を立て直して生きている。そんな姿に親近感を覚える。今回も、厄介ごと満載だが、愉しみなことや心躍ることもたくさんあり、お草さんの毎日は忙しい。久美ちゃんのこれからのこともあれこれ気になる。次作ではそのあたりも何か進展があるといいな、とひそかに思う。読むたびに小蔵屋を訪れてみたくなるシリーズである。

金曜日の本*吉田篤弘

  • 2018/01/30(火) 16:54:38

金曜日の本 (単行本)
金曜日の本 (単行本)
posted with amazlet at 18.01.30
吉田 篤弘
中央公論新社
売り上げランキング: 168,033

仕事が終わった。今日は金曜日。明日あさっては休みで、特にこれといった用事もない。つまり今夜から日曜の夜まで、子どものころの「放課後」気分で心おきなく本が読める!
――小さなアパートで父と母と3人で暮らした幼少期の思い出を軸に、いつも傍らにあった本をめぐる断章と、読書のススメを綴った柔らかい手触りの書き下ろしエッセイ集。


小さいころの篤弘少年の姿が目に浮かぶようである。舞台の袖の黒い幕の間が好きだったり、端っこが好きだったりと、クラスの中では浮いていたかもしれない少年の、それでも自分の興味の赴くままに、目をキラキラさせて夢中になる姿が目の前に現れるようである。著者にこの少年時代があったからこそ、いまわたしたちは著者の物語世界を愉しむことができるのだと思わされる一冊である。

京都で考えた*吉田篤弘

  • 2018/01/23(火) 16:25:28

京都で考えた
京都で考えた
posted with amazlet at 18.01.23
吉田篤弘
ミシマ社
売り上げランキング: 80,406

答えはいつもふたつある。京都の街を歩きながら「本当にそうか?」と考えたこと―。


著者が京都の街を歩きながら考えたつれづれである。ここにいながら、そこを想うような、ここに存在しながら、心はここではない場所を旅するような、そんな物語を編み出す著者の思考回路の一端に触れられた思いがして、思わず頬が緩んでしまう。境界が好きだという著者が生み出す物語だからこそ、読者を旅する心地に誘ってくれるのだとわかる。とても興味深い一冊だった。

ブランケット・ブルームの星型乗車券*吉田篤弘

  • 2017/05/30(火) 13:36:06

ブランケット・ブルームの星型乗車券
吉田 篤弘
幻冬舎 (2017-03-09)
売り上げランキング: 13,511

ようこそ、毛布をかぶった寒がりの街へ
クラフト・エヴィング商會の作家による、ここではない、どこかの街の物語。

本好きのための酒屋「グラスと本」、
別れについて学ぶ「グッドバイ研究所」、
春の訪れを祝う「毛布を干す日」……。
寒い季節にぴったりの、ブランケットで包まれたような温もりいっぱいの一冊。


ブランケット・シティの新聞社<デイリー・ブランケット>紙の専属ライターのブランケット・ブルーム君(27歳)のコラムを軸に構成された一冊である。さまざまな場所に赴き、さまざまな出来事を拾い集めて書かれたコラムは、ブランケット・シティの小さな小さな欠片たちがぎゅっと詰まっていて愛おしくなることこの上ない。読みながら、ときどき目を閉じて、静かに想像を巡らせると、知らず知らずにブランケット・シティの街角にたたずんでいるような心持ちになっている。手には、星型の乗車券が握りしめられているのである。静かで穏やかでしあわせな気分に満たされる一冊である。

まひるまの星--紅雲町珈琲屋こよみ*吉永南央

  • 2017/04/01(土) 16:58:49

まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ
吉永 南央
文藝春秋
売り上げランキング: 181,796

コーヒーと和食器の店「小蔵屋」の敷地に、山車蔵を移転する話が持ち上がった。祭りの音が響く真夏の紅雲町で、草は町全体に関わるある重大な事実に気づく―日常の奥に覗く闇にドキリとする、シリーズ第5弾。


今回は、お草さんにとって、苦い思いも多い物語になった。母と鰻屋の清子との確執が自分の代にも影響を及ぼし、断絶したままなのをどうにかしたいと思いながら、断絶の理由も聞けぬままできょうまで来てしまっていた。そんなところに、小蔵屋の敷地に山車蔵を移転する話が持ち上がり、自らの引退時期など諸々の事々を鑑みて、小蔵や以外の移転先と目星をつけたのが、清子の鰻屋の前の工場跡地であり、そこから話がややこしくなっていく。鰻屋の息子の滋と嫁の丁子や娘の瞳との関係や、草の亡き母への思いなども絡めて、心にかかることの多いこのごろになっている。小蔵屋に流れるゆったりとした時間の心地好さと、お草さんの優等生過ぎないキャラクタが好ましい。身体を大切にして、いつまでも小蔵屋を続けてほしいと願うシリーズである。

いまさら翼といわれても*米澤穂信

  • 2017/01/25(水) 17:05:38

いまさら翼といわれても
米澤 穂信
KADOKAWA (2016-11-30)
売り上げランキング: 530

累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)

時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。


表題作のほか、「箱の中の欠落」 「鏡には映らない」「連峰は晴れているか」 「わたしたちの伝説の一冊」 「長い休日」

相変わらず、やらなくていいことはやらないというモットー通りに生きている折木奉太郎ではあるが、今作では、そうなった理由も明かされ、熱を帯びた彼の姿も時折見ることができて、大人になっていることを思わされもする。それぞれの章で謎の中心にいる人物は、それぞれにその世代なりの大変な思いを抱えていることは確かなのだが、人が死なないというのはこんなにも安らかに読み進められるのかと、改めてほっとさせられる。生きているといろんな壁にぶつかり、これほど高い壁はほかにはないと思い込んでしまいがちだが、大抵のことは振り返れば乗り越えられているのだと思う。彼らもひとつずつ壁を乗り越えて大人になっていくのだろうと、感慨深く読んだ。彼らの関係が変わらずに在ってほしいと思う反面、少しずつ変わっていくのだろうなと思わずにはいられない一冊である。

ヒワマン日和*吉永南央

  • 2016/11/07(月) 07:19:14

ヒワマン日和
ヒワマン日和
posted with amazlet at 16.11.06
吉永 南央
光文社
売り上げランキング: 193,410

「事件」の裏にある別の顔が、ヒワマンによって暴かれる。

離婚、出世、殺人……。人生の綻びに戸惑い、苦悩する人々が、ふとしたきっかけで出会った黒ずくめの女性・日和満。自らをヒワマンと呼ぶ彼女と、時を重ねて行く中、新たな希望を見いだす人々の様を描く、新次元のミステリ!


「殺人日和」 「転職日和」 「痴漢日和」 「離婚日和」 「逃走日和」

ヒワマンこと日和満(ひわみちる)は黒ずくめで細長く切れ長の目をしている。事件が起きる臭いをかぎ分ける能力があるかのように、何かが起こりそうな現場にさりげなく現れ、するっと当事者のそばに忍び寄って未然に防ぎ、しかもいかにも自然に事の本質を解き明かしてしまう。そしていつの間にか、ヒワマンにまつわる人たちを遠く近く繋げてしまう不思議な存在でもある。大胆なのか繊細なのか、無神経なのか思いやりに満ちているのか、暗いのか明るいのかよくわからないところもまた魅力なのかもしれない。ともかく一度会ったら着いていきたくなってしまいそうなのである。大きなキャリーバッグひとつであちこちへ赴き、しばらく棲みついてはまたどこへともなく去っていくヒワマンである。寂しくはないのかなあと思ってしまうのも、ヒワマンにとっては迷惑なのかもしれない。次はどこへ行って何を解き明かすのか、もっともっと見てみたい一冊である。

台所のラジオ*吉田篤弘

  • 2016/07/22(金) 16:50:22

台所のラジオ
台所のラジオ
posted with amazlet at 16.07.22
吉田篤弘
角川春樹事務所
売り上げランキング: 83,027

昔なじみのミルク・コーヒー、台所のラジオと夜ふけのお茶漬け、江戸の宵闇でいただくきつねうどん、子供のころの思い出のビフテキ…。滋味深く静かな温もりを胸に灯す12の美味しい物語。『ランティエ』連載を単行本化。


さまざまな場所、さまざまな状況で、台所に置いたラジオを聴く――あるいは聞くともなく聞く――時間。ラジオのなかで話す人の声と、その声を耳にした人たちとが、ひとつになるほんの一瞬があるのかもしれない。いろんな場所にあるそれぞれ別の台所に、ぽつんと置かれたラジオと、そこから動き出す情景が目に見えるようである。実に現実的なようであって、ほんの少しばかりのずれのなかに迷い込んだような、吉田ワールドが堪能できる一冊である。

放課後スプリング・トレイン*吉野泉

  • 2016/05/26(木) 19:47:41

放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)
吉野 泉
東京創元社
売り上げランキング: 102,572

四月のある日、私は親友から年上の彼氏を紹介され、同席していた大学院生の飛木さんと知り合う。彼は、天神に向かう電車で出会った婦人の奇妙な行動や、高校の文化祭でのシンデレラのドレス消失騒動など、私の周りで起こる事件をさらりと解き明かしてみせる不思議な人だった。「飛木さん、どうしたら謎が解けるようになりますか?」福岡を舞台に贈る、透明感溢れる青春ミステリ。


舞台は福岡。しばらく住んでいたことがあるので、馴染み深く、まずそこから興味をそそられた。日常の謎を探偵役が解き明かす物語であり、主人公は高校生女子。だが、探偵役は知り合ったばかりの大学院生で、親友の彼の友人、飛木さんである。なかなか珍しい状況ではないだろうか。しかもこの飛木さん、ずいぶんシャイな印象なのだが、よく食べる。人の三倍は軽くいきそうなのである。その辺のミスマッチも魅力的。そんな彼が解き明かす謎は、いかにも高校生らしく、トラブルではあるものの青春という感じで、これもいい。そしてなにより、解き明かし方に愛があるのがいちばん好ましい。明かされた後のことまでちゃんと考えたうえで発言している飛木さん、素敵である。文章もヘンに凝ることなく、さらりとしているのが読みやすくていい。さらに最後に飛木さんに告白した名前の謎が、さすがである。なるほどーー。二人の今後も気になるし、続きも読みたい一冊である。