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夢を与える*綿矢りさ

  • 2007/09/17(月) 06:50:48


夢を与える夢を与える
(2007/02/08)
綿矢 りさ

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チャイルドモデルから芸能界へ。幼い頃からテレビの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…。成長する少女の心とからだに流れる18年の時間を描く待望の長篇小説。


この平坦さは著者の意図するところなのだろうか。小説というよりも、ドキュメンタリーを読んでいるような、ただ起こったことが淡々と並べられているような印象である。誰の心の中にも深く入り込まずに、上っ面だけをさらっと撫でて通り過ぎたようで、著者が何に(誰に)焦点を当てたかったのかがよく判らなかった。

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すっぴん素顔のこのまんま*渡辺一枝

  • 2007/06/05(火) 17:00:50

☆☆☆・・

すっぴん素顔のこのまんま―私の気持ちいい毎日 すっぴん素顔のこのまんま―私の気持ちいい毎日
渡辺 一枝 (1996/04)
ベストセラーズ

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彩りの食卓のこと、大好きな着物や歌舞伎鑑賞のこと、子どもや夫との大切な生活のこと、そしてこれからの夢等、さりげない日常をたおやかに綴る。年齢を重ねるのが楽しくなる魔法の本。


あとがきには「一九九六年 節分に」と書かれているから、十一年前の一冊である。著者五十歳。

ちょうどそのときの著者といまの自分が同じ年頃ということもあるかもしれないが、あちらこちらに見られる共通点を喜び、違いを興味深く思いながら読んだ。
ご自身を、間口が広くはないとおっしゃるが、日々を慈しみ大切に暮らしていらっしゃる様子が目に見えるようであこがれでもある。

火天風神*若竹七海

  • 2006/12/20(水) 17:24:33

☆☆☆・・

火天風神 火天風神
若竹 七海 (2006/08/10)
光文社

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最大瞬間風速70メートル超。観測史上最大級の大型台風が三浦半島を直撃した。電話も電気も不通、陸路も遮断され、孤立したリゾートマンション。猛る風と迸る雨は、十数人の滞在客たちを恐怖と絶望のどん底に突き落としてゆく。そして、空室からは死体が見つかって…。殺人なのか?そして犯人はこの中に!?謎とサスペンスに満ちた傑作パニック小説。


舞台は、三浦半島の先端・剣崎に建つ高級リゾートマンション。とはいえ、建設途中でバブルが弾け、一棟が建つのみである。しかも、持ち主は知らないが、拝金主義の悪徳建設業者が手抜きで建てた建物である。
さまざまな事情を抱えた持ち主やその関係者があちこちからやってきたとき、折悪しくも 経験したこともないほど猛烈な台風が剣崎を直撃したのである。
ひとりひとりの身勝手さが次々と連鎖し、事を大きくしていく様が、時間を追い 場所を変えて迫ってくるので、歯がゆくもあり恐ろしくもある。全体を見渡して事の重大さを判っているのは読者だけであり、当事者たちはそれぞれがそれぞれの思惑で動いたり人任せにしたりしているのである。そのうちにどんどん深みにはまっていく。
死体が現れたり、管理人が血迷ったり、火が出たり。よくもこのマンションだけにあとからあとから災難が押し寄せるものだと思うが、事件の起こり方にも不自然さがないところも著者の巧いところだろう。
一年後が描かれたエピローグが救いでもある。

猫島ハウスの騒動*若竹七海

  • 2006/08/21(月) 17:31:16

☆☆☆・・

猫島ハウスの騒動 猫島ハウスの騒動
若竹 七海 (2006/07/21)
光文社

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奇妙な事件に奇矯な人々、そして猫・猫・猫・・・・・
ユーモアとシニカルを絶妙にブレンド。
コージー・ミステリの名手、若竹七海の真骨頂!!

葉崎半島の先、三十人ほどの人間と百匹を超える猫が暮らす通称・猫島。 民宿・猫島ハウスの娘・杉浦響子は夏休みを迎え、家業の手伝いに精を出す日々を送っている。 そんなある日、ナンパにいそしむ響子の同級生・菅野虎鉄が見つけてしまったのはナイフの突き立った猫の死体、いや、はく製だった!? 奇妙な「猫とナイフ」事件の三日後、マリンバイクで海の上を暴走中の男に人間が降ってきて衝突した、という不可解な通報が! 降ってきた男は「猫とナイフ」事件にかかわりがあるようだが・・・・・。 のどかな「猫の楽園」でいったい何が!? 真夏の猫島を暴風雨と大騒動が直撃する!


葉崎シリーズ最新刊。 事件を捜査するのはお馴染み駒持警部。
舞台は、人間よりも猫のほうが幅を利かせているような猫の楽園・猫島。
虎鉄が浜で怪しい猫のぬいぐるみを見つけたのがすべての事件のはじまりだった。 覚せい剤アレルギーの駒持警部はやたらと派手にくしゃみをしているし、響子の大叔父がかかわったという 十八年前の三億円事件までなにやら関係がありそうなのである。
新米警官の七瀬晃が、自覚しているかどうかはさておき、結果的には大活躍しているのが、なにやら微笑ましく好感が持てる。
猫も含めると登場人物(猫)のなんと多い物語であることか。
それにしても、響子と虎鉄の間に、修学旅行でいったい何があったのかが気になる。

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八月の降霊会*若竹七海

  • 2006/05/24(水) 18:47:34

☆☆☆・・



震える夜、すべての魂が・・・歪められる。
足を踏み入れたときから、いや、招待状を見たときからか。
この妙な感じは何処から来るのだろう。この家から、それともこのなかの誰かからだろうか・・・。真夏の山荘を舞台に真実と嘘がからみ合う、異色の書き下ろし長編ミステリー。
  ――帯より


富士山の近くの山荘で降霊会をするという水屋征児からの招待状を受け取ったのは、一見するとほとんど あるいは何の接点もないかに見える人々だった。だが受け取ったそれぞれが、何がしかの違和感を抱いて 結局は招きに応じて山荘に集まることになる。
そこで起きるのは、自らの過去の罪の告白であり、殺人であり、昔この山荘で起こったことの謎解きであり、いまとの関連の謎解きでもあるのだった。

舞台装置や設定は、なにやら綾辻行人テイストである。思わせぶりな台詞やあちこちに散らばるヒントなど。物語自体は綾辻作品よりもかえって不条理感が強いかもしれない。なのに雰囲気がおどろおどろしくならないのは作者の違いによるものだろう。
ミステリというよりも、ホラーやファンタジーの気配たっぷりの一冊だった。

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名探偵は密航中*若竹七海

  • 2005/08/26(金) 17:10:55

☆☆☆・・



 戦前、海外旅行の主流は客船でした。日本から欧州まで、
 人々は一か月以上もかけ、いくつもの港を経由して
 のんびりと運ばれていったのです。そんなのどかな時代の、
 のどかなはずの客船に、たまたま名探偵、猫、じゃじゃ馬お嬢さま、
 賢いメイド、女冒険家に悪戯小僧、おまけに宝石泥棒や殺人者、
 といったとんでもない乗客たちが乗りあわせてしまった・・・・・。
 本書はそんな設定を楽しみながら書いた、優雅でのんき、しかもてんやわんやの
 <オムニバス・昭和初期・船・トラベル・ミステリ>です。
 船酔いに気をつけて、お楽しみください。
        (「著者のことば」より)


7つの連作集。
それぞれの物語で事件が起こり、解決されてゆくのだが、その様子をまとめるように、旅行記の下書きとして 龍三郎が兄に宛てて送った手紙がそれぞれの物語の最後につけられている。
事件テンコ盛りの船旅が終わり 読者もやっとひと息ついたところで、それがまた最後の最後の謎解きの落ちにつながるのだから、作者のサービス精神はとてつもない。

それにしても、こんなメンバーで二か月近くを過ごさなければならないとしたら、事件が頻発して飽きることがない、などと笑ってはいられないだろう。

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スクランブル*若竹七海

  • 2005/07/23(土) 17:28:08

☆☆☆☆・




はじまりは披露宴会場。
高校の同級生だった、彦坂夏見・貝原マナミ・五十嵐洋子・宇佐晴美・沢渡静子・飛鳥しのぶが揃っている。そのうちのひとりは新婦として。

彼女たちはいま31歳。披露宴の会場に居ながら15年前の高校時代に心だけタイムスリップしている、という仕掛けで、15年前の事件のことがそれぞれが各章の主役になりながら語られていく。章ごとにつけられたタイトルはどれも卵料理の名前。
スクランブル→ボイルド→サニーサイド・アップ→ココット→フライド→オムレット。
何か意図があるのだろうか。
なんとなく、混沌としていた15年前の事件が、6人にそれぞれ語られることによって、だんだん少しずつ形をなしていき、最後にオムレットという形にまとまるのかな、という気もする。まったく見当違いかもしれないが。

事件のことを書きながら、エスカレーター式の女の園に在りながらそこに馴染めず、居場所を求める彼女たちの苦難の物語でもあり、さまざまに愉しめる。

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心のなかの冷たい何か*若竹七海

  • 2005/07/12(火) 12:58:22

☆☆☆・・
心のなかの冷たい何か




「社内に観察者がいる」という謎めいた言葉を遺し、自殺未遂した友人。
 鬼気迫る手記に慄然としながら、敢然と真相を追うヒロインの孤独な戦い。

                           (帯より)


『ぼくのミステリな日常』の続編とも言える作品。
もちろん探偵役の主人公の名は 若竹七海。
箱根に行くロマンスカーの中で偶然出会った一ノ瀬妙子が自殺未遂事件を起こし、彼女から若竹七海の元へ手記が送られてきた。
物語の中に手記が入り込み、そのなかに更に別の人の手紙が織り込まれるという幾重にも重なった造りになっているので注意深く読み進まないとときどき現実からはなれて手記の中を歩き、煙に巻かれることになってしまう。
それも計算されたことであるのにあとになって気づくのだが。
≪何≫とは言葉にできない≪冷たいなにかが≫人を狂気に駆り立てるのだろうか。
探偵役・若竹七海はこの物語ではあまりに無力な役回りである。何か得るものがあったとすればそれは、力也の存在だろうか。

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ぼくのミステリな日常*若竹七海

  • 2005/06/20(月) 20:06:48

☆☆☆☆・
ぼくのミステリな日常

中堅どころの建設コンサルタント会社のOLで、仕事もあまり面白くないので そろそろ辞めようかと思っていた 若竹七海が、社内報の編集を任されたところから物語ははじまる。
毎月何か短篇でも載せてくれ、という依頼を受け、小説などを書いている先輩に頼むが、引き受けてもらえず、知り合いを紹介される。
その人が社内報向けに短篇を書いてくれる条件が、匿名にすること。
編集長・若竹七海自身も、短篇連載が完了するまで匿名作家の正体を知らされていないのである。

毎月の社内報の目次ページからはじまる月ごとの短篇は、実はひと連なりの事件になっているのであった。
なぜ匿名なのか? なぜ社内報なのか? 
最後になって、どんどん謎が解かれてゆくのが小気味よい。
しかも物語り終了後までまだある謎は続いているのである。

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悪いうさぎ*若竹七海

  • 2005/06/12(日) 13:59:36

☆☆☆・・
悪いうさぎ

葉村晶シリーズ。
物語の主役 契約探偵の葉村晶が、家出した女子高生を連れ戻せ、という依頼を受けたところから騒動は始まる。

女子高生の居場所へ乗り込んで連れ戻そうとして脇腹を指され、運良く命を落とさなかったくらいの傷を負う。
その後、その女子高生の友人が行方不明になり...と偶然とは思えないできごとが次から次へと起こる。

いままでの作品での物事に動じず、ちょっぴり少年チックな葉村晶像が崩された作品でもある。やはり 女の子なのである。
しかし葉村晶、打たれ強いというか、へこたれかけても立ち直りが早い。そこが魅力でもあるのだが、全身の力を抜ききってもたれかからせてあげたいと思ってしまう。ああ、あれが勘違いじゃなければよかったのに、と きっと読んだ人は思うだろう。

それにしても、タイトルの≪悪いうさぎ≫。
胸が悪くなる。

依頼人は死んだ*若竹七海

  • 2005/05/12(木) 21:10:00

☆☆☆・・



 わたしの調査に手加減はない
 女探偵・葉村晶のもとに持ちこまれる様々な事件。
 たとえば、市役所から突然送られてきたガンの通知・・・・・。
 その真相は、いつも少し切なく、少しこわい。
 あざやかなどんでん返しをあなたは見破れますか?

                        (帯より)


探偵事務所の契約社員・葉村晶が関わる事件の連作短編集。
関わった事件はとことん真実を追究しなければ気が済まない、という彼女の性格を見込んで、あるいは利用して、様々な謎解きの依頼がやってくる。
調査を依頼される事件など、まともで真っ直ぐなものなどないのは判っているが、それにしても ひと捻りもふた捻りも効いていて、現実にこんな事件に関わったら躰も心も疲れきってしまうのではないかと思う。
葉村晶というキャラクターは 一見探偵向きではなさそうなのだが、事件を呼び寄せているような気もする。
事件自体がどんなにシリアスでも、探偵事務所の面々のキャラによって救われている。

もりのへなそうる*わたなべ しげお

  • 2005/04/23(土) 20:34:44

☆☆☆☆・


児童書です。
わたなべ しげお・さく やまわき ゆりこ・え

5歳のてつたと 3歳のみつや、そして探検していた森で赤と黄のしましまの大きな卵から孵った不思議な生きもの≪へなそうる≫のお話。

てつたとみつやの兄弟が へなそうるに出遭ってもちっとも怖がらなかったのに、へなそうるがカニやおたまじゃくしを怖がったり。
兄弟が自分達が持ってきたおにぎりやドーナツやチューインガムなどをへなそうるに分けてあげるところや、なんにも知らないへなそうるに 自分なりに知っていることを教えてあげる二人の様子はとても微笑ましくて 思わず笑みが浮かんでしまいます。

一日遊び終わって夕方になり、兄弟が家に帰るときに へなそうるが木の幹にからだを隠して淋しそうに見送る姿に鼻の奥がつんとします。

自転車いっぱい花かごにして*渡辺一枝

  • 2005/04/08(金) 18:17:28

☆☆☆・・
自転車いっぱい花かごにして

生活の場近くにひっそりと咲く、旅の途中の車窓から眺めた、旅先の知らない土地を歩き回ってみつけた野の花たちのあれこれを、ご自分やご家族のことをさりげなく織り込みながら綴った一冊です。
もちろん主役は可憐な野の花たちなのだけれど、食べものや、なにより和名の色がとてもたくさんでてきていて、その微妙な色の表情の描かれ方をもじっくりと愉しんで読み終えました。

製造迷夢*若竹七海

  • 2005/03/16(水) 14:02:43

☆☆☆・・
製造迷夢

 憎悪、殺意、怨念がものに宿る
 人の心が読めるって しんどい!
 過去透視能力のある少女と刑事のコンビが遭遇する奇妙な犯罪。

                        (帯より)


表題作の他、天国の花の香り・逃亡の街・光明凱歌・寵愛。

ものに宿る残留思念を触れることによって読み取る能力を持った少女 美潮と 眉に唾をつけながらも彼女に助けられている刑事 一条の関係が、一作ごとに少しずつ変わっていく様も これらの物語を連作としてより楽しませる要素になっているだろう。
一条刑事の上司、西村のキャラクターも結構気に入っている。

古書店アゼリアの死体*若竹七海

  • 2004/12/06(月) 07:59:11

☆☆☆・・



さまざまな不幸を立て続けに体験し、海に向かって大声で「バカヤロー」と叫んで憂さを晴らすために、相澤真琴は葉崎市の海岸にたどり着いたのだった。
ところが憂さを晴らしたと思ったのも束の間、真琴はそこで身元不明の死体を発見してしまう。
この物語は そこから妙な具合に展開してゆくのである。

前作『ヴィラ・マグノリアの殺人』でも登場し、犯人を見つけ出した駒持警部補が今回も 事件を担当している。
地域の名士である前田家の人々の泥沼化した関係や人物描写の見事さはもちろんだが、この駒持警部補の一見切れ者とは見えないのだが 目のつけどころの確かさや推理の的確さは控えめに描かれていながらも惹かれるものがある。

一度足を踏み入れたらずぶずぶと沈みこみそうな泥沼が描かれているにもかかわらず、そこはかとなく爽やかな読後感が残る一冊である。

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