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鍵穴ラビリンス*江坂遊
- 2016/01/05(火) 16:46:33
ご存知ですか? 物語は圧縮すると結晶になるのです。ここに収められたのは56の短い物語。一つ一つは小さく、だけど、それぞれがキラキラ輝いています。ほら、鍵穴からそっとのぞくと、そこには目もくらむラビリンスが! 伝説のショートショート作家・星新一氏の遺志を継ぐ、稀代の異才・江坂遊、ノベルスについに登場!!
これぞショートショートである。さらっと描かれている世界が、とてつもなく怖かったり、背筋が凍るようだったり。ほのぼのさせてくれるのかと思いきや、ラストですとんと落とされたり。この短さの中によくぞこれだけの要素が入るものだと感心させられる。まさに、ショートショートのエッセンスがぎゅぎゅっと詰まった一冊である。
きまぐれラボ*江坂遊
- 2015/12/11(金) 07:34:45
“きまぐれ研究所”からおかしなロボットや驚きの発明品が次々登場。子どもが読んでも大人が読んでも理屈抜きに面白い、奇想とユーモアのつまった新作ショートショート集。
テントコロ博士が発明する奇想天外なものの数々に、弟子のネギ君、カモ君がいちいち感心し、実験に協力して不思議で愉しい光景を見せてくれる。情けない結果になったり、ほのぼのとした心地にさせられたり、いろいろだが、こんなものがあったらいいのになぁ、というだれもが抱く夢を叶えてくれているようで、文句なく愉しめる。ひとつひとつは小さな物語だが、想像が無限に広がる一冊でもある。
チョコ★ド*江坂遊
- 2015/12/09(水) 18:36:20
夢のかけらがキラキラひかり、驚きの灯がチカチカまたたく―そんな異次元にあなたをいざなうチョコっとドリーミーな32の物語。小さな物語に独自の新しい世界を切り拓く、珠玉のショートショート集。
ちょっぴりホラーな始まりでも、なにやら哀しい感じでも、最後まで読むと、ちょっぴりしあわせ気分になれるのがとてもいい。いつでも、どこでも、どこからでも読める手軽さもいい。短いながら旨味がぎゅっと詰まった一冊である。
プリズン・トリック*遠藤武文
- 2010/01/10(日) 21:17:25
![]() | プリズン・トリック (2009/08/07) 遠藤 武文 商品詳細を見る |
刑務所で密室殺人―乱歩賞史上最強トリック
交通刑務所で発見された前へ倣え姿の遺体。
現場は密室――逃走した受刑者を追う県警が知る意外な事実。
選考委員・東野圭吾氏も仰天の第55回江戸川乱歩賞受賞作
交通刑務所内で殺人事件が起こった。被害者の傍らに残された犯行声明のメモによって、当初警察も騙されかけたが、実は加害者が被害者と入れ替わって脱走していたのだった。しかも、犯人とされる人物は、まったく別の場所で寝たきり状態であり、真犯人は誰なのかまったく判らなくなってしまったのである。
視点がたびたび替わり、時間もいきつもどりつするので、慣れるまでにいささか戸惑うが、そこに仕掛けもあったりするので読者もうかうかしていられない。真相に近づくに連れて、ドキドキハラハラも高まるのだが、結末は想像の範囲内でもある。あの人物が真犯人であることで、物語の中で死に至った多くの人たちが一瞬にして哀れになった。後味はあまりよくない一冊だった。
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