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信長の原理*垣根涼介

  • 2018/11/09(金) 12:58:21

信長の原理
信長の原理
posted with amazlet at 18.11.09
垣根 涼介
KADOKAWA (2018-08-31)
売り上げランキング: 4,500

吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった―どんなに兵団を鍛え上げても、能力を落とす者が必ず出てくる。そんな中、蟻の行列を見かけた信長は、ある試みを行う。結果、恐れていたことが実証された。神仏などいるはずもないが、確かに“この世を支配する何事かの原理”は存在する。やがて案の定、家臣で働きが鈍る者、織田家を裏切る者までが続出し始める。天下統一を目前にして、信長は改めて気づいた。いま最も良い働きを見せる羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益。あの法則によれば、最後にはこの五人からも一人、おれを裏切る者が出るはずだ―。


歴史小説であって歴史小説ではない、壮大な人間観察と分析の書である。信長という不世出の人間が、愛されたいという思いを深奥に抱えながらも、いたって合理的に癖の強い者たちを束ねてのし上がってきたかが、手に取るようにわかって興味深い。奇行の奥に隠れた冷徹な観察眼と、洞察力、そして物事の心理を見極め、そのことについて考え続ける集中力こそが、信長を天下統一の一歩手前までに至らしめた原動力ではないだろうか。そばにいる者はたまったものではないが、ある意味魅力的な人物であることも間違いない。普遍的な命題が語られている一冊のようにも思われる

迷子の王様--君たちに明日はない5*垣根涼介

  • 2014/06/11(水) 17:02:43

迷子の王様: 君たちに明日はない5迷子の王様: 君たちに明日はない5
(2014/05/22)
垣根 涼介

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迷い続け、悩み抜いたからこそ、やって来る明日がある。大ヒットシリーズ、堂々完結! 一時代を築いた優良企業にも、容赦なく不況が襲いかかる。凄腕リストラ請負人・村上真介のターゲットになったのは、大手家電メーカー、老舗化粧品ブランド、地域密着型の書店チェーン……そして、ついには真介自身!? 逆境の中でこそ見えてくる仕事の価値、働く意味を問い、絶大な支持を得るお仕事小説、感動のフィナーレ!


表題作のほか、「トーキョー・イーストサイド」 「さざなみの王国」 「オン・ザ・ビーチ」

リストラ請負人・村上真介シリーズ最終章である。今作では、被面接者に対する真介の悩みや葛藤ではなく、リストラされる側の人物それぞれの境遇や胸の裡がつぶさに描かれているのが印象的である。さらに、とうとう真介自身も次のステージをどう生きるかを考えなくてはならない状況になり、心の動きがより興味深くもある。サブタイトルは「君たちに明日はない」だが、それぞれがちゃんと自分の明日を選び取っているのが救いでもある。真介と陽子の明日がどうなるのかも気になるところだし、終わってしまうのが残念なシリーズである。

光秀の定理(レンマ)*垣根涼介

  • 2013/10/25(金) 13:21:02

光秀の定理 (単行本)光秀の定理 (単行本)
(2013/08/30)
垣根 涼介

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永禄3(1560)年、京の街角で三人の男が出会った。食い詰めた兵法者・新九郎。辻博打を生業とする謎の坊主・愚息。そして十兵衛…名家の出ながら落魄し、その再起を図ろうとする明智光秀その人であった。この小さな出逢いが、その後の歴史の大きな流れを形作ってゆく。光秀はなぜ織田信長に破格の待遇で取り立てられ、瞬く間に軍団随一の武将となり得たのか。彼の青春と光芒を高らかなリズムで刻み、乱世の本質を鮮やかに焙り出す新感覚の歴史小説!!


歴史小説は苦手な部類に入るのだが、著者の歴史小説ということで興味津々でページを開いた。これは、歴史小説ではあるが、いままである歴史小説とはひと味違った角度から描かれた物語だった。出会い、人間としての在りよう、物事の考え方、真理、そんな諸々が光秀という戦国武将を通して描かれているように思う。そして、出てくる人々が魅力的で、立場が全く違うとしても、お互いを認め合って生きているように見えるのもとても好ましい。ひとりの人間として、何をよりどころに生きるか、そんなことをも考えさせられる一冊である。

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真夏の島に咲く花は*垣根涼介

  • 2013/05/05(日) 16:44:30

真夏の島に咲く花は真夏の島に咲く花は
(2006/10/13)
垣根 涼介

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この島には、今までの人生で知らなかったものが、絶対にある―。2000年のフィジークーデターで人種の違う四人の若者は、何を見つけたのか。日本から両親と移住してきた良昭、ガソリンスタンドで働くフィジアン・チョネ、父のお土産物屋を手伝うインド人・サティー、ワーキング・ビザでフィジーに来た茜。「地上の楽園」を探し始めた男女の青春群像。


単一民族の島国である日本に暮らしていると、民族同士の根深い確執に思いを致すことがなかなかない――最近はそうも言っていられないこともある――が、南海の島国では先住民と、諸々の事情で移り住んできた他民族とのひと言では括れない確執が厳然と存在するのである。ほとんど観光地としての認識しかないフィジーの日々に、それぞれの民族の気質や思惑、積年の思いが影を落とす哀しみが、明るすぎる南の太陽のもとで、やるせなさをいや増すのである。誰もがしあわせを求め、楽園を求めているのに、何かを他人のせいにして諦めてしまっているような、倦怠感のような哀しみが胸に残る一冊である。

狛犬ジョンの軌跡*垣根涼介

  • 2013/02/21(木) 19:49:52

狛犬ジョンの軌跡狛犬ジョンの軌跡
(2012/12/15)
垣根 涼介

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太刀川要は、深夜、山のなかをドライブ中に黒い大きな犬をはねてしまう。あわてて犬のもとにかけよると、車との接触でできたとは思えない大きな切り傷からの出血で、半死半生の状態だった。動物病院での治療の甲斐あって黒犬は助かったのだが、ペットたちが激しく怯えて困っている、と獣医から連絡が入る―。こいつはいったい何者なんだ?あんな時間にあんな場所で、いったい何をしていたのか?奇妙な共同生活を始めた要と黒犬を待ち受ける現実とは―。


タイトルを一見して、どんな物語だろう、と思いつつ読み始めたが、タイトル通りの物語であった。建築設計士の太刀川と大きな黒犬の物語。ただ普通でないのは、黒犬の正体である。奇想天外な設定なのだが、なぜか心情はとてもよく解り、このまま何事もなく太刀川とジョンと名づけられた黒犬が、仲好く暮らしていければいいのに、と応援したくなる。だがやはりそう簡単なことではないのだった。面白くなかったわけではないが、著者の意図――狛犬の復讐心を描きたかったのか、犬と人間の心の通い合いを描きたかったのか、警察の捜査力の素晴らしさを言いたかったのか、などなど…――が、もうひとつよく判らなかったのが残念な一冊でもある。

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勝ち逃げの女王--君たちに明日はない4*垣根涼介

  • 2012/06/24(日) 14:14:04

勝ち逃げの女王: 君たちに明日はない4勝ち逃げの女王: 君たちに明日はない4
(2012/05/22)
垣根 涼介

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どんなに時代が悪くても、仕事のデキる奴はいる──大ヒット痛快お仕事小説第四弾! 業績の悪さを、景気のせいにしていませんか? リストラ請負人・村上真介が、そんなサラリーマンの甘えをぶった斬る! 今回のターゲットは“団塊の世代”の定年組から、バブルを謳歌した40代、そして「ロスジェネ」世代まで。様々な時代を生きる彼らにとっての仕事とは? そして人生とは……読めば元気がわいてくる大ヒットシリーズ最新刊。


表題作のほか、「ノー・エクスキューズ」 「永遠のディーバ」 「リヴ・フォー・トゥデイ」

真介のリストラ請負人という仕事もすっかり馴染みのものとなった今作であるが、いままでとはいささか趣が違い、ただ辞めさせるだけではなく、引き留め、他部署への転籍を促すという役割も担うことになる。労働基準法違反にならないように、話の誘導の仕方にも技が要る。そんな事情もあってか、真介の面接を受ける面々の個性も際立っているように思われる。辞めさせる側、辞めさせられる側、元リストラ組、どのキャラクターも味があっていい。一生懸命に自分の人生を生きているのがよくわかり、思わず背筋を伸ばしてしまうような一冊である。次も愉しみ。

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人生教習所*垣根涼介

  • 2011/10/30(日) 14:27:29

人生教習所 (2011-09-30T00:00:00.000)人生教習所 (2011-09-30T00:00:00.000)
(2011/09/30)
垣根 涼介

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ひきこもりの休学中東大生、南米へ逃亡していた元ヤクザ、何をやってもダメな女性フリーライターなど―人生に落ちこぼれた人間たちが目にした「人間再生セミナー 小笠原塾」の募集広告。錚々たる団体・企業が後援し、最終合格者には100%就職斡旋。一体、主催者の目的は何なのか?遙かなる小笠原諸島で、彼らを待ち受けていたのは、自分たちが知らなかった日本と世界、そして美しい自然。今、彼らの中の「なにか」が変わりはじめた…。清々しい読後感へと誘う物語。


ひと言で言ってしまえば、人生の落ちこぼれたちが、「人間再生セミナー」によって自分の生き方を見直して再出発する、という物語である。お約束どおり、初めはけん制し合っていたメンバーが次第に歩み寄り、胸のうちをある程度さらけ出して連帯感を抱くまでになる、という筋でもある。だが、それだけにまとめてしまえない枝葉や隙間のあれこれ、メンバーそれぞれの人となりやそれまで生きてきた感興に由来する挙動など、些細な部分にこそ面白みがたっぷり詰まっているのである。ひと言で落ちこぼれと言っても、さまざまな落ちこぼれ方であり、セミナーへの参加動機も人それぞれである。人間の多面性を思わされもする。小笠原の風景や歴史、住民たちの様子と併せて、とても興味深い一冊だった。

月は怒らない*垣根涼介

  • 2011/09/17(土) 16:41:56

月は怒らない月は怒らない
(2011/06/03)
垣根 涼介

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梶原33歳●仕事は多重債務者の借財の整理。謄本の代理人申請のために訪れた市役所の戸籍係の女を一目見た瞬間、声を失った。弘樹20歳●バーで女がチンピラに絡まれて目の前で転んだ。助け起こした瞬間、女の顔に釘付けになった。和田34歳●勤務先の交番の前の市役所に自転車で通う女。既婚者のくせに俺はいつもその女を探している――。化粧もしない。服も地味。美人でもないその女・恭子に3人の男たちは、どうしようもなく魅かれていく。一方恭子は男たちの求愛を受け、3人と付き合い始める。接点のない3人だが、それぞれに思う、恭子は不思議な女だ。決してモノを欲しがらない。故郷や家族のことは話さない。会っている時間以外のことは未知。でも魅かれる。理由は何だ、いったいこの女の過去には何があるのか……。3人の男たちの視点を通して、恭子というなぞの女の正体が焙り出されていく。人と人との繋がりの意味を問う著者渾身の挑戦作


三谷恭子という女のことがとにかくよくわからなくて、次のページでは何かわかるかも、という思いで読み進む。彼女のスタンスや価値観、人との関わりのありようがどうにも胸にすとんと落ちないのである。彼女と関わる三人の男たちもおそらく大なり小なりそうだったのではないだろうか。彼らの目を通して描かれる恭子像からは、親しくなっても決して侵すことのできない他人との距離感が感じとれる。井の頭公園のベンチで日曜日ごとに顔を合わせる記憶障害の老人は、そんな恭子の屈託を結果的に解きほぐしてくれたのだろう。恭子の選択と選ばれた者・捨てられた者の反応も興味深い。底知れない深い傷と踏み込み過ぎない深い愛を感じられる一冊である。

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ボーダー*垣根涼介

  • 2011/07/01(金) 17:23:05

ボーダー―ヒートアイランド〈4〉ボーダー―ヒートアイランド〈4〉
(2010/04)
垣根 涼介

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渋谷でのあの事件から3年。チームを解散し、別の道を歩み始めていたアキとカオル。ところがある日、カオルは級友の慎一郎が見に行ったイベントの話を聞いて愕然とする。それはファイトパーティーを模したもので、あろうことか主催者は“雅”の名を騙っていたのだ。自分たちの過去が暴かれることを恐れ、カオルはアキに接触するが―。


ヒートアイランドシリーズ四作目。
やっとカオルのその後がわかって嬉しい。Amazonの書評では散々な言われようだが、さらに続編を期待する身としては必要な物語であると思う。なにより往年の――と言うにはふたりとも若すぎるが――アキとカオル、そして雅の一夜限りの復活が懐かしかった。『午前三時のルースター』の中西慎一郎にも思いがけない場所でまた会えたし、中西兄妹が意外なところで絡んできたのもなかなかよかった。ただ、柿沢と桃井が、いくら一度くらい顔を見られたからといって素性を突き止められることはないとはいえ、人目につきすぎているのがいささか気になるところではある。これから何かまずいことに巻き込まれそうな予感がするのである。続編があれば、の話だが。次につながる一冊だと思っていいのだろうか。

サウダージ*垣根涼介

  • 2011/06/19(日) 14:25:23

サウダージサウダージ
(2004/08/05)
垣根 涼介

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故郷を忘れ、過去を消した。誰にも打ち明けなかった。かつての仕事仲間からも追放された。一人になった。そんなときに出会った。コロンビアから来た金髪の出稼ぎ売春婦、DD。わがままで、金に汚い。道ばたに十円でも落ちているとすぐに拾おうとする。気分屋で、アタマも悪い。どうしようもない。そんな女に、何故かおれは惹かれてゆく。引き摺られてゆく。大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の三冠に輝く気鋭が放つクライム・ノヴェルの金字塔。


ヒートアイランドシリーズ三作目。柿沢・桃井・アキというよりも、柿沢のかつての仲間――束の間で追放されたが――関根(耕一)が主役の物語である。前半は耕一の生い立ちのせいにしたひねくれた自堕落振りにうんざりし、読み進むのが苦痛だったが、後半その耕一に持ちかけられた仕事に関わる場面になってくると次第に面白さが増してくる。アキに訪れた人を愛する人間らしい揺れと柿沢の相変わらずぶれのない冷酷無非との対比もなかなかいい。耕一がDDとの関係にどう決着をつけるのか、アキが和子とどんな関係を築こうとするのか、そして仕事に対する姿勢にどう影響するのか、興味深い点も多い。耕一が障害になりそうな予感は初めからあり、まったく否定はできないが、予想に反して見せられた男気にはいささか彼を見直しもした。それにしてもやはり報われない生業であることだ、と思わされる一冊である。

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ギャングスター・レッスン*垣根涼介

  • 2011/06/14(火) 07:29:10

ギャングスター・レッスンギャングスター・レッスン
(2004/06/20)
垣根 涼介

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渋谷時代、百人を擁するチームのヘッドだったアキは、チーム解散後、海外放浪を経て帰国。犯罪プロフェッショナルへの参加を決意する。そんな彼を、あらゆるクライム・テクニックを習得するための過酷な試練が待ち受けていた!大薮春彦賞・吉川英治文学新人賞・日本推理作家協会賞受賞!三冠に輝くホープが放つ、受賞第一作。


前作『ヒート アイランド』は柿沢・桃井とアキとの出会い編、といったところだったようである。今作では柿沢・桃井チームに仲間入りしたアキを筋金入りのギャングにするための過酷なレッスンの模様が描かれている。裏街道を行くギャングではあるが、プロであることの厳しさがひしひしと伝わってくる厳しさであり、たいていのことはこなせるようになったアキだが、最後に若さと経験不足ゆえの詰めの甘さが、チーム全体をとんでもない窮地に陥らせる辺りが手に汗握る綱渡り的見せ場である。アキの成長がたのしみになってしまう一冊である。

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ヒート アイランド*垣根涼介

  • 2011/06/11(土) 13:26:58

ヒートアイランドヒートアイランド
(2001/07)
垣根 涼介

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渋谷を根城にファイトパーティーを主宰し、トップにのし上がったストリートギャング雅。頭のアキとカオルは、ある日仲間が持ち帰った大金を見て驚愕する。その金は、ヤクザが経営する非合法カジノから、三人組の男たちが強奪したものだった。金の行方を追う強奪犯とヤクザ。絶体絶命の状況を脱するためにアキとカオルが立てた作戦とは。


バイオレンス系はどうにも苦手で、初めの内は読み進めるのに苦労したが、アキとカオルの頭脳戦の様相を呈しはじめる後半は手に汗を握りながら読んだ。とても19歳とは思えない判断力、戦闘能力、リーダーシップを持つアキ。戦い向きではないが管理能力と胆力を持つカオル。使い方によっては途轍もない力を持つ二人なのに、界隈では力を持つとは言え、所詮町のチンピラ止まりにしておくのはもったいない。暴力シーンや荒んだ少年たちの姿を見るのはいささか苦だが、続編も追ってみようと思わせる一冊である。

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午前三時のルースター*垣根涼介

  • 2011/05/28(土) 13:44:08

午前三時のルースター午前三時のルースター
(2000/04)
垣根 涼介

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旅行代理店勤務の俺は失踪した父親を探す少年に同行しベトナムを訪れる。現地の娼婦や運転手の協力で俺達が知った切ない真実とは


ジュエリー・ナカニシの娘婿である父が失踪し、その後ベトナムでビデオに写った父を見た息子・慎一郎は、高校進学のご褒美としてベトナムへいかせてもらう約束を祖父から取り付けた。プライベートな添乗員として白羽の矢が立ったのが旅行代理店勤務の長瀬だった。ちゃっかり同行することになった長瀬の友人源内と三人でベトナムに着いたとたん、前途が多難なことを重い知らされる。ホテルやガイドの予約がすべて何者かによってキャンセルされていたのだった。
現地で運転手やガイド役を探す長瀬の手腕がまず見事である。結局最後まで彼らに助けられたとも言える。追いつ追われつのカーチェイスもあり、追っ手をかわす作戦の妙もあり、また中西家のお家事情も絡み、なかなか愉しめる一冊である。

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張り込み姫-君たちに明日はない3*垣根涼介

  • 2010/09/28(火) 16:44:35

張り込み姫 君たちに明日はない 3張り込み姫 君たちに明日はない 3
(2010/01/15)
垣根 涼介

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リストラ請負人・村上真介参上! テレビドラマ化の人気シリーズ最新刊!

企業のリストラを代行する会社に勤める真介の仕事は、クビ切り面接官。「人間にとって、仕事とは何か──」たとえどんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、真介はこの仕事にやりがいを感じている。今回のターゲットは、英会話学校、旅行会社、自動車業界、そして出版社だが……。働くあなたに元気をくれる傑作人間ドラマ。


今回も、リストラしなければならない企業側の思いとリストラされる側の思いの交錯が興味深かった。ことに職を失うということに直面したときのその仕事に対する考え方や我が身の振り方に対する思案は身につまされるものがある。そしてシリーズの主人公でありながらも各話では脇役的立場でもあるリストラ請負人の村上真介の人間性も薄っぺらくなくていい。年上の恋人陽子の愛情ゆえの辛い評価もなかなかである。そして今回、真介のアシスタントの美女・川田にいままでに見られなかった焦点が当てられる場面もあって、次の展開を期待させられもする。

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借金取りの王子*垣根涼介

  • 2008/09/26(金) 14:17:26

借金取りの王子借金取りの王子
(2007/09)
垣根 涼介

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村上真介はリストラを請負う会社に勤めるサラリーマン。昨日はデパート、今日はサラ金、明日は生保に乗り込んで、泣かれたり、殴られたり。相性バッチリの恋人陽子は恐ろしく気の強い女で、すんなり結婚とはいかないし、真介の前には難題山積み。だけど明日は来る――。他人事でないリストラ話に思わず涙。働く人必読の面白小説!


「File1. 二億円の女」 「File2. 女難の相」 「File3. 借金取りの王子」 「File4. 山里の娘」 「File5. 人にやさしく」

リストラ請負会社社員・村上真介シリーズの二作目(『君たちに明日はない』の続編)。
一作目で登場人物のキャラクターは掴めているので、読者もすんなりとリストラのための面接に臨むことができる。そして、リストラといっても、企業の事情によってさまざまなのだと改めて知る。面接のあとで描かれるそれぞれの被面接者の事情が切実で、思いもよらない事実がわかったりして興味をそそられる。
村上と恋人陽子の関係が、ちょっぴり危ういか、とやきもきさせらる場面もあったが・・・・・。
女性に関する村上のあの自信はどこからくるのだろう。もう少し格好悪くてもいいのでは、と思わなくもない。
つづきをもっと読みたい。

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