陸王*池井戸潤

  • 2017/02/02(木) 12:48:27

陸王
陸王
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池井戸 潤
集英社
売り上げランキング: 1,249

勝利を、信じろ――。
足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。

埼玉県行田市にある「こはぜ屋」は、百年の歴史を有する老舗足袋業者だ。といっても、その実態は従業員二十名の零細企業で、業績はジリ貧。社長の宮沢は、銀行から融資を引き出すのにも苦労する日々を送っていた。そんなある日、宮沢はふとしたことから新たな事業計画を思いつく。長年培ってきた足袋業者のノウハウを生かしたランニングシューズを開発してはどうか。
社内にプロジェクトチームを立ち上げ、開発に着手する宮沢。しかし、その前には様々な障壁が立ちはだかる。資金難、素材探し、困難を極めるソール(靴底)開発、大手シューズメーカーの妨害――。
チームワーク、ものづくりへの情熱、そして仲間との熱い結びつきで難局に立ち向かっていく零細企業・こはぜ屋。はたして、彼らに未来はあるのか?


『下町ロケット』と同系列の弱小企業物語である。同じようなカタルシスを得られるだろうことは、読む前から容易に想像ができ、読み始めても、ストーリー展開はたやすく思い描けるのだが、それでも、知らず知らずのうちにこはぜ屋に肩入れし、いつかはアトランティスを見返してやるぞ、と思いながら読んでいる。そして物事はすべて人と人とのつながりであり、縁があった人との関係をどれだけ大切にするかということが、将来の展開にまでつながっていくことを思い知らされる。詰まるところは「人」なのだなあと、嬉しく、胸が温まる心地である。600ページ弱のボリュームを感じさせない面白さの一冊である。

架空通貨*池井戸潤

  • 2016/07/15(金) 19:10:24

架空通貨 (講談社文庫)
池井戸 潤
講談社
売り上げランキング: 6,628

女子高生・麻紀の父が経営する会社が破綻した――。かつて商社マンだった社会科教師の辛島は、その真相を確かめるべく麻紀とともに動き出した。やがて、2人がたどり着いたのは、「円」以上に力を持った闇のカネによって、人や企業、銀行までもが支配された街だった。
江戸川乱歩賞受賞第1作『M1』を改題


商社マンから教師に転身した辛島が、父の会社の窮地に悩む、教え子の麻紀の相談に乗るうちに、ただならぬからくりに気づき、昔の人間関係をも頼りながら、裏のからくりに迫っていく。田神亜鉛という会社で成り立っているような田神町で起こっている事態の深刻さは、留まるところを知らず、ワンマン社長の安房正純の目論見と、彼に恨みを持つ者たちの復讐劇がもつれ合った混沌は、目が離せない。ハッピーエンドというわけではないが、膿は出し切った感はあり、あしたは暗くはないかもしれないと思わせてくれる一冊だった。

下町ロケット2 ガウディ計画*池井戸潤

  • 2016/04/16(土) 08:51:58

下町ロケット2 ガウディ計画
池井戸 潤
小学館 (2015-11-05)
売り上げランキング: 1,587

ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年――。
大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。
量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、
NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペの話が持ち上がる。
そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。
「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。
しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、中小企業である佃製作所に
とってあまりにもリスクが大きい。苦悩の末に佃が出した決断は・・・・・・。
医療界に蔓延る様々な問題点や、地位や名誉に群がる者たちの妨害が立ち塞がるなか、佃製作所の新たな挑戦が始まった。


下町ロケットの続編、佃製作所は医療分野に進出する。ドラマを観てしまったあとなので、キャラクタがドラマに引っ張られるのは仕方がないが、結末がわかっていても、何かあるたびにどきどきするのは、やはり文章と構成力の力だろう。仲間の離脱や情報漏えい疑惑に悩まされる中で、それでも地道に製品の開発に心血を注ぐ社員たちのモチベーションは、金儲けや名誉ではなく、子どもたちに明るい笑顔を取り戻したいという一心で、まさに佃魂だろう。それにしても、ドラマのラストの小泉孝太郎さんの登場はなんだったのだろうと、本作のラストを読んで、いまさらながらに不思議である。まだまだ佃製作所の次の挑戦が見たい一冊である。

銀翼のイカロス*池井戸潤

  • 2014/08/26(火) 21:05:47

銀翼のイカロス銀翼のイカロス
(2014/08/01)
池井戸 潤

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半沢直樹シリーズ第4弾、今度の相手は巨大権力!
新たな敵にも倍返し! !

頭取命令で経営再建中の帝国航空を任された半沢は、
500 億円もの債権放棄を求める再生タスクフォースと激突する。
政治家との対立、立ちはだかる宿敵、行内の派閥争い
――プライドを賭け戦う半沢に勝ち目はあるのか?


今作は、相手が大きい。ナショナルフラッグキャリアである帝国航空の再生タスクフォースに、半沢直樹が立ち向かうのである。しかし、そこは半沢、相手が小さかろうが大きかろうがスタンスは変わらない。「やられたらやり返す、倍返しだ」である。帝国航空の破綻に、合併して東京中央銀行になる前の東京第一銀行時代のうやむやにされた不良債権がらみの事情が、政界とも緊密に絡み合って事を厄介にしているのだが、そこが逆転のキーポイントでもあるのである。出向待ちの部署とも言われる検査課の富岡が、今回は半沢を大いに助けてくれる。同期や周りの人間を巻き込み、助けられて事を成すのは、相変わらずの半沢流であり、胸がすく心地である。ただ勝手な話だが、中小企業の味方の半沢直樹の方が、個人的にはスカッとする度合いが高いようにも思う。中野渡頭取退任後の東京中央銀行と半沢の行方もぜひ見届けたいと思わされるシリーズである。

MIST*池井戸潤

  • 2014/07/27(日) 08:29:43

MIST(ミスト)MIST(ミスト)
(2002/11)
池井戸 潤

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「守りたい、この町を」高原の集落に侵入した“霧”のような連続殺人犯。受けてたつは唯ひとりの警察官・上松五郎巡査疾る!江戸川乱歩賞作家の最高傑作。


よく知っている著者の作品とは趣を異にするパニックサスペンスである。五年前、東京で起きた「中野の霧事件」の再来のような凄惨な殺人事件が、巡査がひとりしかいない紫野という集落で立て続けに起こる。中野の霧と同じ犯人なのか……。平和な集落が一転、恐怖に包まれる不穏さ、身近な人を疑わざるを得ないやりきれなさ、そしてすぐそこまで迫る魔の手。真犯人が判らないもどかしさと恐ろしさが満ち満ちている。そして何と真犯人は……。恐るべし幼児体験、という一冊である。

ようこそ、わが家へ*池井戸潤

  • 2013/10/05(土) 17:02:21

ようこそ、わが家へ (小学館文庫)ようこそ、わが家へ (小学館文庫)
(2013/07/05)
池井戸 潤

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真面目なだけが取り柄の会社員・倉田太一は、ある夏の日、駅のホームで割り込み男を注意した。すると、その日から倉田家に対する嫌がらせが相次ぐようになる。花壇は踏み荒らされ、郵便ポストには瀕死のネコが投げ込まれた。さらに、車は傷つけられ、部屋からは盗聴器まで見つかった。執拗に続く攻撃から穏やかな日常を取り戻すべく、一家はストーカーとの対決を決意する。一方、出向先のナカノ電子部品でも、倉田は営業部長に不正の疑惑を抱いたことから窮地へと追い込まれていく。直木賞作家が“身近に潜む恐怖”を描く文庫オリジナル長編。


大好評だったドラマ「半沢直樹」で銀行から出向させられた近藤が半沢のキャラになったような倉田が主人公である。そんな倉田が仕事帰りの代々木駅で、人を押し退けて電車に乗ろうとした男を注意したことから、あとをつけられ、自宅にまで嫌がらせを受けるようになる。会社人としての倉田と、家庭を守る夫や父としての倉田が並行して描かれているのがいままでにない趣向である。そこに息子がらみの別の思惑も合わさって、恐ろしさが増している。家庭でも会社でも、倉田は周りの助けを借りながら事を解決していくのはいつもの池井戸流である。著者の作品なので、着地点の予想はつくのだが、それでもなおハラハラドキドキ愉しめる一冊である。

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果つる底なき*池井戸潤

  • 2013/05/10(金) 17:06:19

果つる底なき果つる底なき
(1998/09)
池井戸 潤

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元三菱銀行員の大型新人(35歳)が内幕を抉る新しい金融サスペンスの誕生!
第44回江戸川乱歩賞受賞作!
債権回収を担当していた同僚が死んだ。謎の言葉と、不正の疑惑を残して。彼の妻は、かつて「私」の恋人だった……。先端企業への融資をめぐる大銀行の闇に、私は1人、挑む。


1998年の作品である。だがもうすでに池井戸節全開である。ただ、いまよりも人はたくさん死んでいて、それが信じられないような理由で、許せないしやるせない。内部に――銀行的に言えば――反逆者のような者がいなければ、すべてがうやむやにされて闇に葬られていくのかと思うと、憤りが治まらなくもある。かなりの誇張があることを願わずにいられない一冊である。

仇敵*池井戸潤

  • 2013/02/09(土) 21:50:32

仇敵仇敵
(2003/01)
池井戸 潤

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大手都市銀行の次長職から地方銀行の庶務行員となった恋窪商太郎。駐車場の整理とフロア案内の傍ら、融資に悩む後輩社員へアドバイスする…そんな日々に、以前より「人間らしさ」を取り戻した恋窪だったが―。「正義」を求めたばかりに組織を弾き出された男が、大銀行の闇に再び立ち向かう!メガバンクの内幕と、地方銀行の実情を描ききる銀行ミステリーの傑作。


善悪が判りやすく、お約束のような勧善懲悪だが、そこがいい。いわれなき汚名を着せられて大銀行を追われ、地銀の庶務行員に甘んじている恋窪商太郎が、探偵役となって銀行がらみの事件を解き明かし、結果的に仇敵を追いつめるという設定には、おそらく誰もがカタルシスを感じるのではないだろうか。そしてそれを可能にするのは、やはり人脈なのである。池井戸作品では、毎回人脈のありがたみとパワーを見せつけられ、百人力を得た心地になる。恋窪の後継者がどんどん育ってくれるといいと願ってしまう一冊である。

七つの会議*池井戸潤

  • 2013/01/12(土) 13:53:51

七つの会議七つの会議
(2012/11/02)
池井戸 潤

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トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。だが、そこには誰も知らない秘密があった。筋書きのない会議がいま、始まる―。“働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。


善人と悪人が初めからはっきり判ってしまう水戸黄門的な物語もそれはそれで違う愉しみがあって面白いのだが、本作は、悪い奴と思った人がさらに別の人物の意志で動かされていたり、と会社人間の悲哀と罪とも言うべき、会社と個人の葛藤の様がより面白い物語だったように思う。どこからが間違いだったのか、諸悪の根源は誰なのか、はっきりと突き詰めるのが難しい、そのときどきのちょっとした判断ミスや義理や隙が、積もり積もって大変なことになっていく様は、組織とその中の人の資質が問われているようで空恐ろしくなる。いつもに増してページを繰る手が止まらない一冊だった。

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ロスジェネの逆襲*池井戸潤

  • 2012/08/24(金) 19:49:35

ロスジェネの逆襲ロスジェネの逆襲
(2012/06/29)
池井戸 潤

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人事が怖くてサラリーマンが務まるか!
人気の「オレバブ」シリーズ第3弾となる『ロスジェネの逆襲』は、バブル世代の主人公が飛ばされた証券子会社が舞台。親会社から受けた嫌がらせや人事での圧力は、知恵と勇気で倍返し。ロスジェネ世代の部下とともに、周囲をあっと言わせる秘策に出る。
エンタテインメント企業小説の傑作!


池井戸さんやっぱり面白い。冒頭では、バブル世代とロスジェネ世代の確執物語かと思わせて、実はロスジェネ世代にエールを送る物語でもあるのだ。読者はもとより、物語の中にも半沢シンパがまた増えた。半沢がここまでやれるのは、信頼できる仲間や部下、そして信頼し合える関係を築いてきた顧客の存在によるところも大きい。ひとりでがむしゃらに主張したとしても、いつも正義が勝つとは限らないのである。人を大切に思う半沢ならではの活躍なのだと思う。今回もスカッとする一冊だった。

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ルーズヴェルト・ゲーム*池井戸潤

  • 2012/03/25(日) 20:22:47

ルーズヴェルト・ゲームルーズヴェルト・ゲーム
(2012/02/22)
池井戸 潤

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「一番おもしろい試合は、8対7だ」野球を愛したルーズヴェルト大統領は、そう語った。監督に見捨てられ、主力選手をも失ったかつての名門、青島製作所野球部。創部以来の危機に、野球部長の三上が招いたのは、挫折を経験したひとりの男だった。一方、社長に抜擢されて間もない細川は、折しもの不況に立ち向かうため、聖域なきリストラを命じる。廃部か存続か。繁栄か衰退か。人生を賭した男達の戦いがここに始まる。


池井戸節全開である。おおよその展開は予想できても、お約束のように用意されているシナリオに胸のすく心地を味わい、カタルシスを得るのが池井戸作品の醍醐味であろう。今回も、開発力に自信を持つ青島製作所と、営業力が強みの大手・ミツワ電器との合併話と青島製作所野球部の廃部問題、高校野球時代の不幸な因縁話を軸に、人事の妙や、社員の矜持、愛社精神などを絡めて、絶妙な物語になっている。野球部の命運が気になるところだが、最後の最後でそうきたか、という展開である。志眞社長、カッコイイ。ページを繰る手が止まらない一冊である。

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不祥事*池井戸潤

  • 2012/01/14(土) 17:12:52

不祥事不祥事
(2004/08)
池井戸 潤

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事務処理に問題を抱える支店を訪れて指導し解決に導く、臨店指導。若くしてその大役に抜擢された花咲舞は、銀行内部の不正を見て見ぬふりなどできないタイプ。独特の慣習と歪んだ企業倫理に支配されたメガバンクを「浄化」すべく、舞は今日も悪辣な支店長を、自己保身しか考えぬダメ行員を、叱り飛ばす! 張り飛ばす! 痛快! 新しい銀行ミステリーの誕生!


まさに「痛快!」である。人呼んで「狂咲」こと花咲舞が、多少場の空気を無視した正義漢ぶりで、病んだ銀行の悪弊を片っ端から投げた押していくのである。と書くと、舞のことをどんな豪傑かと思われるかもしれないが、うら若き乙女であり、仕事に誇りを持った優秀な銀行員なのである。なんてカッコよすぎるのだろう。思わず惚れてしまいそうなほどである。それに引き換え舞と相馬――という先輩と組んでいるのである――にやり込められる保身しか頭にないような男どものなんと情けないことか。舞と一緒にいると相馬がぼんやりしたただのおじさんに見えてしまいがちだが、彼の懐の深さもなかなかのものである。舞の言動にいつもひやひやしてはいるが、適切なサポートで彼女を引き立ててもいるのである。舞ばかり目立っているが、いいコンビである。小気味の好いキャラクターをまたひとり見つけた一冊である。

金融探偵*池井戸潤

  • 2011/11/29(火) 14:12:48

金融探偵金融探偵
(2004/06/20)
池井戸 潤

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雨の昼下がり、大原次郎は和装の女性を車で跳ねてしまう。急いで病院に運ぶが、女性の身元がわからない…。融資の専門家が、経験と知識を生かしてミステリアスな怪事件に挑む金融ミステリー。


「銀行はやめたけど」 「プラスチックス」 「眼」 「誰のノート?」 「藤村の家計簿」 「人事を尽くして」 「常連客」

銀行をリストラされて求職中の大原次郎が、思わぬ成り行きから金融に関する調査を専門にする「金融探偵」を始めることになった。求職活動をしながらの探偵仕事ではあるが、銀行員時代に培った知恵や知識を総動員し、アパートの大家の娘や、同じようにリストラされた元同僚、大家に紹介されて常連になった鍼灸治療院の院長ら、周りの人たちの手にも助けられて依頼を解決していく。次郎の人柄や脇を固めるキャラクターのよさもあり、もっと読みたくなる一冊である。

かばん屋の相続*池井戸潤

  • 2011/10/04(火) 17:02:29

かばん屋の相続 (文春文庫)かばん屋の相続 (文春文庫)
(2011/04/08)
池井戸 潤

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池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに?表題作他五編収録。


表題作のほか、「十年目のクリスマス」 「セールストーク」 「手形の行方」 「芥のごとく」 「妻の元カレ」

どの物語も、銀行と中小企業の関係を描いたものである。銀行員や企業が違っても、両者にとって生き残るかやられるかの駆け引きであり、だがそれだけではない思い入れや熱い思いがあることが見て取れる。それぞれの感情の機微や立場による葛藤、そして真剣さが伝わってくる一冊である。

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オレたち花のバブル組*池井戸潤

  • 2011/09/28(水) 20:12:09

オレたち花のバブル組オレたち花のバブル組
(2008/06/13)
池井戸 潤

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東京中央銀行営業第二部次長の半沢は、巨額損失を出した老舗のホテルの再建を押し付けられる。おまけに、近々、金融庁検査が入るという噂が。金融庁には、史上最強の“ボスキャラ”が、手ぐすねひいて待ち構えている。一方、出向先で、執拗ないびりにあう近藤。また、精神のバランスを崩してしまうのか……。空前絶後の貧乏くじをひいた男たち。そのはずれくじを当りに変えるのは自分次第。絶対に負けられない男たちの闘いの結末は?!

前作の「オレたちバブル入行組」から、責任もピンチもパワーアップして帰ってきました。連載時とは結末もキャラクターもがらりと変わり、ほろ苦さも加わったバブル組をお楽しみください。

すべての働く人にエールをおくる等身大サラリーマン小説


前作につづき、半沢節炸裂である。佳境に入った時の言葉遣いが相変わらず好きにはなれないのだが、それが半沢のキャラクターなのだと思い切ることにする。バブル入行組の同期たちの力も借り、銀行にとっての厄介の種であり、被害者のようでもある伊勢島ホテルの社長に意気を買われ、金融庁のオネエ言葉の担当者には徹底的に嫌われる。だが半沢は、苦境に立たされるほどに銀行員魂が燃え上がるようであり、次はどんな証拠を見つけ出してどんな風に追い詰めるのかと、はらはらどきどきしながら見守るのである。味方につけると頼もしいが、敵に回すと途方もなく厄介な人物ということだろう。半沢の妻の花さんの金融庁に対する啖呵もなかなかのもので、拍手したくなった。それぞれの道を歩んでいるバブル入行組だが、これからどうなっていくのだろう、と興味が尽きない。さらにつづきを読みたくなる一冊である。