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オリーブ*吉永南央

  • 2010/06/27(日) 16:35:21

オリーブオリーブ
(2010/02)
吉永 南央

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街中で喪服姿の妻を見かけ不審を抱いた慎一は、弔われた故人の名が、結婚前の妻と同じ「斉藤響子」だったことを知る。葬儀の翌日、彼女は姿を消した。慎一は響子の跡をたどろうとするが、手がかりは持ち去られるか処分され、唯一の肉親である母親とも連絡が取れない。さらに、そもそも二人の婚姻届すら提出されていなかったことが判明する。彼女は何者だったのか、そして何の目的で慎一と結婚したのか―。(『オリーブ』)。


表題作のほか、「カナカナの庭で」 「指」 「不在」 「欠けた月の夜に」

逆転劇をみているような五編である。満ち足りていたのにある日裏切りを知る。信じあっていると信じていたのに信じられていなかった事実を突きつけられる、ある日を境に愛だと思っていたものが損得にとって変わる。そんな衝撃を味わう一冊である。そうであるのに、読後感がさほど悪くないのは、逆転劇で暗い場所に立たされた者が落ち込んだきりでいないからだろうか。それとも、他人の不幸を密の味と感じる読み手の性格の悪さゆえだろうか。