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星を賣る店*クラフト・エヴィング商會

  • 2014/02/14(金) 13:02:48

星を賣る店星を賣る店
(2014/01/27)
クラフト・エヴィング商會

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この展覧会はうそかまことか――。クラフト・エヴィング商會の棚おろし的展覧会公式図録。文学、デザイン、アートを軽々と渡り歩く同商會の魅力と新たな世界が満喫できる約3年ぶりの新刊。


本書を読むに先駆けて、世田谷文学館で催されている「棚卸展覧会」を拝見してきたので、なおさら愛着深く読ませていただいた。あるようで存在せず、ないようで実在するあれこれが、入り交じりつつ整然と並べられている様は、二次元でも三次元でも圧巻である。展覧会でも、ひとつひとつ手に取って、裏返したり包み紙を剥いたり、蓋を開けて中を覗いたりしたくなる衝動を抑えるのが大変だったが、本書を開いて、またそのときの気分を思い出してしまった。巻末の「お客さまの声」にひと言を寄せられた著名人のみなさんも、クラフト・エヴィング商會の不思議な力に吸い寄せられているのがありありと感じられて、思わず頬が緩んでしまう。この次はどんな旅をさせてくれるのだろうと期待が膨らむ一冊でもある。

らくだこぶ書房|21世紀古書目録*クラフト・エヴィング商會

  • 2011/05/29(日) 17:22:21

らくだこぶ書房21世紀古書目録らくだこぶ書房21世紀古書目録
(2000/12)
クラフト・エヴィング商會、坂本 真典 他

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ある日、未来の古書目録が届いた。半信半疑で注文してみると、摩訶不思議な本が次々と目の前に現れた。想像力と創造力を駆使して、書物の世界に遊ぶ、空前絶後の奇書。


2052年のらくだこぶ書房から1999年のクラフト・エヴィング商會に宛てて「SAND MAIL」という砂にまみれた荷物が届いたことがすべてのはじまりだった。開けてみると、2000年から50年の間に刊行された(2052年からみた)古書の目録だった。一か月に一度、一冊ずつ注文ができるという。そうして気長に取り寄せた未来の古書の書映や解説を一冊にまとめたのが本書である。
なんという奇想天外な着想だろう。まだ見ぬ古書が取り寄せられるなんて。そして最後の最後にさらにぞくぞくするような仕掛けが用意されているのである。これはもうたまらない。子どものころにタイムマシンで未来にいくことを想像したときのぞくぞく感を久しぶりに味わったような一冊である。

おかしな本棚*クラフト・エヴィング商會

  • 2011/05/23(月) 16:54:49

おかしな本棚おかしな本棚
(2011/04/20)
クラフト・エヴィング商會

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多くの本好きやデザイナーが注目するクラフト・エヴィング商會、6年振りの描き下ろし。不可思議な本をつくり続ける同商會の書庫を初公開! 「頭を真っ白にするための本棚」「波打ち際の本棚」「金曜日の夜の本棚」……書棚の写真を眺めているだけでも楽しく、本文を読むと実物を手に取りたくなる、そんな古今東西の奇書・稀書・偽書がたっぷり。創作の秘密が垣間見られる異色のブックガイド。
本棚についての、本棚をめぐる、本棚のあれこれを考える本。背中が語るとっておきの本の話。


大好きなクラフト・エヴィング商會のとてもとても興味深い本棚の本である。魅力的な名前をつけられた魅力的な本棚の写真と、その本棚にまつわるあれこれがしたためられている。とはいえ、本棚に並んだ本の解説というわけではなく、言ってみれば著者の思い入れ語りのようなものであり、それがまたたまらない。食い入るように見入ってしまう一冊である。

テーブルの上のファーブル*クラフト・エヴィング商會

  • 2008/02/02(土) 17:08:21

テーブルの上のファーブルテーブルの上のファーブル
(2004/05/26)
クラフト・エヴィング商會、坂本 真典 他

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すべては机上の空論から、すなわちテーブルの上から始まってゆきます。空に昼月、机上に昼酒。酔いがまわったら、昼寝もまたよし。雑誌のようで、絵本のようで、雑誌でも絵本でもない。あたらしい本のスタイル。


とても愉しい趣向の一冊である。いままさにこの本が作られている現場に立ち会っているかのようで、さりげないながら一気に惹きこまれてしまう。すべてはテーブルからはじまるのではないかと本気で思い込んでしまいそうである。
「こだわり」と「適当」の匙加減も絶妙で風味高い逸品である。
フジモトマサル氏のイラストと、坂本真典氏の写真がさらにすばらしさを増している。

 #ファーブルは「fable(寓話)」のこと。

アナ・トレントの鞄*クラフト・エヴィング商會

  • 2008/02/02(土) 16:58:03

アナ・トレントの鞄アナ・トレントの鞄
(2005/07/22)
クラフト・エヴィング商會

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遠くから見つめていたものが、いまなら手に入るかもしれない。かくして時空を超えた仕入れの旅が始まる-。旅先から届いた品々は全34品。探し求めたすべて一点かぎりの商品を洒落た写真と文で紹介する架空カタログ。


架空カタログと承知していて、架空カタログにしか見えないのだが、それでもどこかの誰かが手にしていてひっそりと愛しげに眺めているような気がしてしまうのは、言葉に添えられている坂本真典氏の写真のすばらしさによるところも大きいだろう。
カタログに載せられているものの選ばれ方、扱われ方はまさにクラフト・エヴィング商會であり、小さくて大きい、遠くて近い、不思議な感覚に包まれるのである。

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ないもの、あります*クラフト・エヴィング商會

  • 2005/09/02(金) 13:31:25

☆☆☆・・



 よく耳にはするけれど一度として見たことのないものたち、
 あります。
 堪忍袋の緒、転ばぬ先の杖、左うちわ、舌鼓、
 あります。
 巻末には、赤瀬川源平氏書き下ろしエッセイ『とりあえずビールでいいのか』
 あります。
                      (表紙より)


ないものを売る店の物語。それこそほんとうに、よく耳にはするものの、一度として目にしたことのないものたちが、お行儀よく棚に並んでいる。
本文ももちろん、ないものを語って妙なのだが、本文の最後に載せられているカタログの絵と説明が絶品である。ここには落ちがつまっている。
次はどんな≪ないもの≫をリクエストしてやろうか、と考えてみたくなる。

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すぐそこの遠い場所*クラフト・エヴィング商會

  • 2005/08/04(木) 17:05:23

☆☆☆・・



 「この事典はね。見るたびに中身が変わってゆくのだよ。」
 クラフト・エヴィング商會の先代、吉田傳次郎がそう言い残した一冊の書物
 「アゾット辞典」。傳次郎の孫であり、現在のクラフト・エヴィング商會の主人が、
 書棚の隅から、この不思議な書物を見つけてきた。
 遊星オペラ劇場、星屑膏薬、夕方だけに走る小さな列車、エコー・ハンティング、
 ガルガンチュワの涙という蒸留酒、雲母でできた本、忘却事象閲覧塔・・・・・。
 アゾットには、謂れも始まりもわからないたくさんの事や物がつまっている。
 茫洋とした霧のなかにあるかのような、なつかしい場所アゾットの、
 永遠に未完の事典。つづきは読者の方それぞれに書いてほしくて、
 まずは一冊、お届けします。
               (見返しより)


『クラウド・コレクター/雲をつかむような話』とは姉妹作になる。
アゾットとは世界のことであり、世界とはすべてのことである。
事典とは、知っていることの欠片を書き記し、世界を思い描くことができるように手助けするものである。らしい。
出てくる事や物の価値観や定義や在り方は、ことごとくわたしたちが見知っているものとは違うのだが、なぜか違和感も不信感もなく納得させられてしまう。
遠くのことだと思っているとすぐ近く、自分の裡のことのようだったりしてドキリとさせられたりもする。
それぞれのアゾット=世界を、読者がそれぞれ胸の裡に描くことがこの永遠に未完の事典の存在意義なのかもしれない。

じつは、わたくしこういうものです*クラフト・エヴィング商會

  • 2005/04/30(土) 20:42:51

☆☆☆☆・


18人の仕事師が、それぞれ自分の仕事についての想いを語る。
坂本真典さんの写真とともに愉しむ、大人の絵本風な一冊。

その職業とは、こんなもの。

月光密売人*秒針音楽師*果実鑑定士*三色巻紙配達人*時間管理人*チョッキ食堂*沈黙先生*選択士*地暦測量士*白シャツ工房*バリトン・カフェ*冷水塔守*ひらめきランプ交換人*二代目・アイロン・マスター*コルク・レスキュー隊*警鐘人*哲学的白紙商*シチュー当番

読んでいるうちに、ほんとうにどこかでひっそりとこんな仕事をしている人がいるかもしれない、という心持ちになってくる。どの仕事も、大げさでなく、ささやかにほのぼのとしているのが好い。そして、どの仕事師も、祖父母や両親がささやかに続けていた仕事振りを尊敬し、引き継いで続けているのが脈々と流れる誇りにつながっているように思えて胸に染みる。

巻末で、物語に登場した18人の仕事師のほんとうの名前や職業が明かされているのも不思議な面白さがある。小川洋子さんが、冷水塔守として登場しているのも興味深い。

大人の遊び心満載の一冊である。

クラウド・コレクター[手帖版]*クラフト・エヴィング商會

  • 2005/03/06(日) 13:46:50

☆☆☆・・


雲をつかむような話   吉田浩美と吉田篤弘の手による

 クラフト・エヴィング商會の先代である祖父が愛用していた
 古い皮トランク。その底から古ぼけた手帳が出てきた。
 そこには、不思議な国アゾットに関する、驚くべき旅行記が記されていた。
 読み進むうちに、孫に当たる三代目は、奇妙な物の数々に出会うことになる。
 得体の知れない機械、判読不能の書物やポスター、
 奇妙な譜面や小箱、そして酒の空壜らしきもの。
 壮大なスケールの冒険ファンタジー。
 1995年単行本版に加筆し、イラスト満載の<手帖版>。

                       (文庫裏表紙より)


望永遠鏡のなかに見える背中を追いかけて始まった旅の日記である。
さまざまな符牒あり、さまざまな暗示あり、そしてそれぞれにさまざまな解釈がされてゆく。
解き明かされてゆくたびに、はっきりし、なおかつ形を失うかのような謎たちなのだが、いつもいつでも人はこれらの謎を解くことを求めずにはいられないのだろう。

最も近くて最も遠く、果てしなく遠いが隣り合わせにある何かに 人はいつかたどり着くことができるのだろうか。

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