遊園地に行こう!*真保裕一

  • 2016/07/24(日) 20:42:52

遊園地に行こう!
遊園地に行こう!
posted with amazlet at 16.07.24
真保 裕一
講談社
売り上げランキング: 68,113

明日も仕事に行くための、勇気と熱狂ここにあります!

感動を巻き起こせ!
大ヒット『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』
累計25万部突破「行こう!」シリーズ、待望の第3弾

奇跡の復活をとげた遊園地ファンタシア・パーク
夢を抱けない僕たちの前に、魔女が現れた――

真保裕一・作家生活25周年記念作品
読めば元気が出てくる痛快お仕事ミステリー


遊園地の裏舞台の、努力と根性の物語かと思ったのだが、さにあらず。パーク愛とも言える熱意に動かされるアルバイトたちのパフォーマンスの良さや、そこにたどり着くまでの葛藤も描かれていて、愉しめるのだが、それ以外の裏事情や、そもそもの遊園地の成り立ちにまで遡った問題点も露わにされ、事件も起こる。ただ、ミステリ部分の動機づけにいささか無理やり感がなくもない。その理由でここまでやるか?という気がしてしまうのは、ちょっぴりもったいない印象である。とは言え、一生懸命な若者たちの姿は気持ちが好いと思わされる一冊である。

ローカル線で行こう!*真保裕一

  • 2013/11/05(火) 16:51:47

ローカル線で行こう!ローカル線で行こう!
(2013/02/13)
真保 裕一

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ベストセラー『デパートへ行こう!』に続く、感涙必死の再生物語、第2弾!
県下最大のお荷物といわれる赤字ローカル線、もりはら鉄道は、廃線の瀬戸際に立たされていた。再生を図るため、前社長が白羽の矢を立てたのは……なんと新幹線のカリスマ・アテンダント。篠宮亜佐美。三十一歳、独身。
「この鉄道の経営は、素人以下です」「お金がないなら、智恵を出すのよ!」
県庁から送り込まれた鵜沢哲夫以下、もり鉄社員は戸惑うばかり。しかし、亜佐美は社長に就任するや、規格外のアイデアを連発し、鉄道と沿線の町はにわかに活気づいていく。一方、時を同じくして、列車妨害、駅の放火、台風による崖崩れと、数々の事件が亜佐美たちを襲う。そんな中、社員すべての希望をかけた「もり鉄フェスティバル」の日がやってくるが……。
赤字鉄道の再生は? 寂れた沿線の町おこしは? そして、不穏な事件の真相は? もり鉄に明日はあるのか?
読めば元気の出てくる、痛快鉄道再生ストーリー!!


初めは、どこかで聞いたようなお話し?という印象もあったが、不穏な事件も絡め、ミステリ風味もつけて、さらに地下で秘密裏に行われているよからぬ画策をも絡めて、ただのローカル線再生物語とはひと味違ったものに仕立てられている。ほんとうにそんなことが起こり得るかとか、個人でそこまでやれるものかとか、都合のいい部分はなくはないが、それでもやはり町ぐるみでこうして元気になっていく姿を見るのはうれしいものである。これからいよいよもり鉄の真価が問われることになるのだろう。応援したくなる一冊である。

正義をふりかざす君へ*新保裕一

  • 2013/07/19(金) 17:03:58

正義をふりかざす君へ正義をふりかざす君へ
(2013/06/11)
真保裕一

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地元紙の記者だった不破勝彦は、神永美里と結婚し、義父の仕事を助けるべくホテル業へ転身する。が、やがてホテルは不祥事を起こし義父は失脚、妻との不和も重なり、彼は故郷から逃げ出した。七年後―彼は帰りたくない故郷へと戻る。元妻の不倫相手を救うために。問題を起こしたホテルを、正義の名のもとに攻撃した新聞社。そのトップに就任したのは、高校の先輩である大瀧丈一郎だった。ホテルは彼の傘下に吸収され、不破を恨む者たちが次々と現れる。そして、ついに魔の手が彼を襲う―!「正義」の意味を問い直す、渾身の長篇ミステリー!!


地方都市の市長選に絡み、利権にしがみつく者、正義をふりかざす者、利用される者、だまされる者、無邪気に信じる者など、人々の在りようがクローズアップされる。正義の名の下であれば何をしても許されるのか。そしてそれは罪に問われることはないのか。誰を信じていいのかさえ分からない中、勝彦は結局何のために思い出したくない過去と向き合わなければならなかったのか。真実が明るみに出たときの驚愕と脱力感は言いようがないものだった。正義とはなにか、信義とは、真実とは何かを考えさせられる一冊である。

デパートへ行こう!*真保裕一

  • 2010/08/15(日) 10:18:07

デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)
(2009/08/26)
真保 裕一

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所持金143円、全てを失った男は、深夜のデパートにうずくまっていた。そこは男にとつて、家族との幸せな記憶がいっぱい詰まった、大切な場所だった。が、その夜、誰もいないはずの店内の暗がりから、次々と人の気配が立ち上がってきて―。一条の光を求めてデパートに集まった人々が、一夜の騒動を巻き起こす。名作『ホワイトアウト』を超える、緊張感あふれる大展開。


この著者にして珍しくのどかな物語?とタイトルからは想像したのだが、のどかどころか物騒で騒々しいこと甚だしい物語だった。閉店後の夜の老舗デパートに、不穏な動機を持った複数の人間がそれぞれの思惑を抱いて潜み、そこに若社長追い落としの陰謀やほかのデパートとの買収合戦も絡んで、警備員や社長当人までをも巻き込んだドタバタ活劇の様相をも見せる。かつて夢の国だったデパートという場所に対するそれぞれの思い入れが切なくも熱い。そして、初めはばらばらだった侵入者たちがポツリポツリと暗闇のなかで出会いはじめ、少しずつ心が繋がっていくのもなかなか面白い。性別も年代も動機もさまざまだが、デパートの持つ場の力で繋がっているように思われる一冊だった。

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最愛*真保裕一

  • 2007/07/04(水) 17:12:52

☆☆☆・・

最愛 最愛
真保 裕一 (2007/01/19)
新潮社

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十八年間音信不通だった姉が、意識不明で救急病院に搬送された。重傷の火傷、頭部の銃創。それは婚姻届を出した翌日の出来事だった。しかも、姉が選んだ最愛の夫は、かつて人を殺めた男だという……。姉の不審な預金通帳、噛み合わない事実。逃げる男と追う男。「姉さん、あなたはいったい何をしていたんだ……」慟哭の恋愛長編。


冒頭の幸福感にあふれたシーンから一転、両親の事故死によって別々に育ち、ある事情で長い間音信不通に等しかった姉・千賀子の重態の報せ。その後の畳み掛けるような状況説明・・・・・。この辺りまではとてもテンポがよく、次の展開に興味津々だったのだが、弟・悟郎が経緯を調べ始め 次々と過去のあれこれが明るみに出されるにつれて、段々と都合のよさばかりが目立ってきたような気がする。なんとなく完全燃焼できなかったような中途半端な読後感である。

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盗聴*真保裕一

  • 2006/07/28(金) 19:14:43

☆☆☆・・

盗聴 盗聴
真保 裕一 (1994/05)
講談社

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違法電波から聞こえてきた殺人現場の音。 [狩り]に出た盗聴器ハンターが都会の夜を駆ける。  ――帯より 


表題作のほか、再会・漏水・タンデム・私に向かない職業。
どの物語も、途中まではごく普通の事件とその謎解きとして進んでいくのだが、あるときふっと視点が変化すると、そこにはまったく別の風景が広がっているのである。 その視点が変化する瞬間に主人公と一緒に背筋がゾクッとするのである。 五つの物語の五つの一捻りが絶妙である。

ストロボ*真保裕一

  • 2006/03/20(月) 20:21:31

☆☆☆・・



閃光が灼きつけたせつない記憶
いまも疼く5つのシーン
50歳のカメラマン喜多川の脳裏によみがえる熱き日々
  ――帯より

キャリアも積んだ。名声も得た。
だが、俺に何が残されたというのか――。
過ぎ去った時、遠い出会い、苦しい別れ。
女流写真家と暗室で愛を交わした四〇代、
先輩を凌駕しつつ、若手の台頭に焦りを抱いた三〇代、
病床の少女を撮って飛躍した二〇代、
そして学生時代を卒業した、あの日。

時間のフィルムを巻き戻し、人生の光と影をあぶりだす名編。
  ――見返しより


見返しの文章からもわかるように、時計は逆に回っている。
目次に記された章も第五章からはじまっているのである。

第五章  遺影  ・・・五十歳
第四章  暗室  ・・・四十二歳
第三章  ストロボ  ・・・三十七歳
第二章  一瞬  ・・・三十一歳
第一章  卒業写真  ・・・二十二歳


という具合である。
カメラマン喜多川の五十歳の現在から物語ははじまる。
こういう構成になっているので、五十歳の現在は華々しく成功しているか 散々に失敗しているかどちらかかと思いきや、どちらにも当てはまらない中途半端なカメラマン生活である。
読み進むにつれて、喜多川の現在に繋がる出来事がどんどん明かされていくのだが、時間を逆走している読者にはわかるがそのときの喜多川自身にはわからないことが多々あり、もどかしく思うこともある。過去に遡るからこそ見えてくるものも多くあり、人生のままならなさに身悶えする。

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防壁*真保裕一

  • 2006/03/12(日) 09:45:12

☆☆☆・・


狙撃犯 海難事故 不発弾 放火魔
危険に立ち向かう男たちがいる!

防壁 警視庁警護課SP
相棒[バディ] 海上保安庁特殊救難隊員
昔日 陸上自衛隊不発弾処理隊員
余炎 消防士

一瞬の魔――危険と隣り合わせで働くプロフェッショナルの勘を狂わす、ほんのわずかな疑惑と動揺!
  ――帯より


命の危険と隣り合わせで働くとき、共に働く仲間同士の信頼関係は譲れないものである。それが一瞬でも揺らいだとき、危険は広く世間をも巻き込む怖れがあるのだ。
しかし、磐石の信頼関係は永久不滅のものではない。人間は弱いものなのだ。疑いを抱かせる者を憎み、同時に疑いを抱く自分を責め、苦しむのだ。
そして、忘れられがちだが、現場で命をかける男たちの影には 身を案じながら待つ身の女たちがいるのである。その苦悩も、忘れられがちであるが故に辛く哀しいものなのだと、思い知らされる。

奇跡の人*真保裕一

  • 2005/04/04(月) 18:13:31

☆☆☆・・


 圧倒的な人間愛にあふれた生命の鼓動。
 交通事故。八年間にわたる入院生活。
 そして、全てを包み込んでくれた母の死。
 幾多の苦難を乗りこえて、克巳はゼロから出発する。
 空白の時間に埋もれたもう一人の自分を探すために。
 新生面を切り拓いた待望の特別書き下ろし最新作!

                      (帯より)


自分が間違いなく自分であると確信するためには、自分を取り巻く人々への揺るぎない信頼が不可欠なものなのだと、痛切に思った。
自分がただ一人そこに存在しても、それだけでは自分として成り立っていないのだと。

交通事故で絶望的な怪我を追い、奇跡的に生還したにもかかわらず、事故以前の記憶がまるっきり失われ――それは、その時点で一度死に、新たに生まれ変わったような状態だった――自分が本当は誰なのかを追い求める克巳を止めることは誰にもできないのだ。

事故以前の自分と、現在ある自分との板ばさみになって悩む彼を見ていると、そうまでして知る必要があるのか、と切なくなるが、周囲の態度に疑いを抱いてしまった彼は、突き進むしかなかったのだろう。

「奇跡の人」と呼ばれた彼は、最後にはもう一度「奇跡の人」と呼ばれる日のために闘うことになる。
それはしあわせなのだろうか。この物語で誰がしあわせになったのだろうか。

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奪取*真保裕一

  • 2005/01/28(金) 09:16:22

☆☆☆・・


 偽札造り――それは究極のだましのゲーム。
 新境地を開くハイテク犯罪小説、ノンストップ1400枚。

                           (帯より)


国家を揺るがす大罪である偽札造りの物語なのであるが、その動機や壮大なプランと集中力を見せつけられるうち、自然に「上手くいけ~!」と祈りながら読んでしまった。
この通りやってみる人が出てくるのではないかと思わせるほど 私には詳しく偽札造りの行程が書かれているように思えるが、そう簡単にできるものではないのだろう。

もうひとつ感心したのは、黒服の似合うある種の職業の方々の面子への拘りの激しさである。この方々に一度睨まれると、戸籍を替えようと顔貌を変えようと、決して逃げ延びることはできないようである。恐ろしい。

偽札に関わる攻防を緊張して読み進んだのだが、エピローグでは見事にその緊張も解け、なんと最後には笑わせてもいただけた。なるほどそうだったのか。ふふ。

発火点*真保裕一

  • 2004/12/19(日) 08:12:53

☆☆☆・・


 12歳のあの日、父が殺され、少年時代の夏が終わった。
 人生を変えた殺人。胸に迫る衝撃の真相。
 なぜ友の心に殺意の炎が燃え上がったのか?

                           (帯より)

12歳の夏に父を殺された杉本敦也が、「父を殺された少年」としてではなく「杉本敦也」として歩き出せるようになるまでの物語。

傍から見れば敦也は、常に拗ねたような可愛げのない態度で人に馴染もうとせず、自分勝手で堪え性のない奴、に見えたかもしれない。ある時期までは 確かにそんな生き方をしていたのだから仕方がない。
物事は往々にして気づくことから始まるのではないだろうか。
気づけなかったことは、通り過ぎるだけで、始まりもしないうちに無関係になっていくのだ。
気づけなかった頃の敦也は確かに、自分の手の中にあるものよりも他人が持っているものの方が良く思え、不満ばかり抱えている弱い人間だった。
しかし、気づけた時から彼の目に映る景色はおそらく違ってきたのだ。気づけなかったことで失ったものは多いが、失ったことに、そして失ったものの大切さに気づくことができて、彼は初めて自分のために生きることができるようになったのだ。