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みみずくの日々好日*五木寛之

  • 2005/01/31(月) 09:19:58

☆☆☆・・


 ロシア語に「フェイエトン」という言葉があるそうだ。
 雑録、とか、雑文とか訳されるらしいが、
 私が書くものはエッセイというより、このフェイエトンという
 言いかたがぴったりくるように思う。

                       (著者あとがきより)


五木さんの周りで起こる出来事、思うこと、出会った人たちのこと、さまざまなことが、つれづれに語られている。
すわり心地のよいソファでゆったりと寛ぎながら、美味しい珈琲でもいただきながらお話を伺っているような、解きほぐされ感を味わえる。
いつも どこか恥ずかしそうに、照れくさそうにご自分のことを語られるのが 一層親しみを持ててうれしい。

さまよう刃*東野圭吾

  • 2005/01/30(日) 09:18:02

☆☆☆☆・



 裁く権利は誰にあるのか?
 読者は彼の行動に同意できるのか、それとも・・・・・

 不良少年たちに蹂躙され死体となった娘の復讐のために、
 父は仲間の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」として
 マスコミにもセンセーショナルに取り上げられる。
 世間の考えは賛否が大きく分かれ、
 警察内部でも父親に対する同情論が密かに持ち上がった。
 はたして犯人を裁く権利は遺族にあるのか?
 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ
 人々の心を揺さぶる復讐行の結末は・・・・・。

                           (帯より)


身近な者が事件の被害者になってしまったとき、その心情には察するに余りあるものがある。しかもその犯人が未成年者であったとしたらどうだろう。将来ある者の人権のためという名目の元、憎んでも憎みきれない犯人は、「檻」という名の保護膜に包まれてしまうのである。警察の手に渡る前に自ら復讐を果たしたいと切望する家族の願いは人間として当然の心の叫びだと思う。
一般論としての正義を語るだけではいられなかった和佳子の揺れ動く気持ちが、読者にいちばん近かったのではないだろうか。

最後の方で、「あれ?いつ?どこで?どうやって?」と
疑問を抱くことがあったが、やはり ただでは終わらせない東野流のひねりが加えられてあって、やりきれなさの中にほんの少し溜飲を下げた思いがある。

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奪取*真保裕一

  • 2005/01/28(金) 09:16:22

☆☆☆・・


 偽札造り――それは究極のだましのゲーム。
 新境地を開くハイテク犯罪小説、ノンストップ1400枚。

                           (帯より)


国家を揺るがす大罪である偽札造りの物語なのであるが、その動機や壮大なプランと集中力を見せつけられるうち、自然に「上手くいけ~!」と祈りながら読んでしまった。
この通りやってみる人が出てくるのではないかと思わせるほど 私には詳しく偽札造りの行程が書かれているように思えるが、そう簡単にできるものではないのだろう。

もうひとつ感心したのは、黒服の似合うある種の職業の方々の面子への拘りの激しさである。この方々に一度睨まれると、戸籍を替えようと顔貌を変えようと、決して逃げ延びることはできないようである。恐ろしい。

偽札に関わる攻防を緊張して読み進んだのだが、エピローグでは見事にその緊張も解け、なんと最後には笑わせてもいただけた。なるほどそうだったのか。ふふ。

ランドマーク*吉田修一

  • 2005/01/25(火) 09:13:53

☆☆☆・・


さいたま新都心=大宮に建設中の地上35階建ての捩じれるビル
O-miya スパイラルにそれぞれ別の立場で関わる 犬飼と隼人を軸に語られる。

ビルの捩じれは、そのまま人の世の不条理や人間関係の捩じれを象徴的に表わしているのだろうか。
我慢して我慢して我慢しつづけた後で臨界点を超えて爆発しそうになるような不安感をも与えられる一冊である。

パーク・ライフ*吉田修一

  • 2005/01/25(火) 09:11:53

☆☆☆・・


 芥川賞受賞作
 他人だから、恋がはじまる。
 東京のド真ん中「日比谷公園」を舞台に、
 男と女の“今”をリアルに描いた最高傑作!

                            (帯より)

村上龍氏の芥川賞時の選評が言い得て妙なので引いておく。
 「何かが常にはじまろうとしているが、まだ何もはじまっていない」
 という、現代に特有の居心地の悪さと、不気味なユーモアと、
 ほんのわずかな、あるのかどうかさえはっきりしない希望のようなものを
 獲得することに成功している。


霞ヶ関駅で不意に止まってしまった地下鉄の窓から見える「臓器移植ネットワーク」の広告を見て先に降りた先輩に話し掛けるつもりで見知らぬ女に声をかけてしまうところからこの物語ははじまる。
同じ駅で降り、違う出口から地上に出た男女は、日比谷公園でふたたび出会う。


仕事中毒とも言われる日本人の、仕事をしていない時間の取り立ててなんと言うこともないありようを、技巧を凝らすでもなくなんということもないように描いて妙である。
村上龍氏の言われるとおり、そこはかとなく居心地が悪く、不気味でありながら、なぜか心を解いてしまいたくなる安心感をも抱かせる。

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I'm sorry,mama.*桐野夏生

  • 2005/01/23(日) 09:10:10

☆☆☆・・




 かつて女であった怪物たちへ、そして、
 これから怪物になる女たちへ捧ぐ、衝撃の問題作!

                           (帯より)


父も、母さえもわからずに娼館で育ったアイ子。戸籍さえなく、学齢になっても学校へやろうと考えてくれる人は誰もいなかった。
そんな彼女が辿った人生の恐ろしく悲しい物語である。

アイ子のしてきたことは 人の心を持たない悪魔のように恐ろしいことには違いないが、人の心を持てないようになってしまったのはアイ子のせいだけではないだろう。
親――特に生物としての繋がりが目に見える母親――の存在を確かに感じることは、人が人として生きてゆく上に欠くべからざるものなのだということを哀しいまでに思わせられる。
アイ子は悪魔のような加害者であると同時に、抵抗する術を持たない捨て猫のような被害者でもあるのだろう。

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アキハバラ@DEEP*石田衣良

  • 2005/01/22(土) 09:08:22

☆☆☆☆・

アキハバラ@DEEP アキハバラ@DEEP
石田 衣良 (2006/09)
文藝春秋

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 未来に変身!  裏アキハバラ電脳戦争

 コスプレ喫茶のアイドル・不潔恐怖症のWebデザイナー・
 中卒の天才プログラマー・・・・・。
 病気のおたく青年たちが、裏アキハバラで出会ったとき、
 ネットの世界に革命を起こすeビジネスが始まった!


                           (帯より)


ひとりずつだと何もできない 能力はあるが社会システムに適応できないおたく青年たちが、ネットの悩み相談サイトを通じて出逢ったことがそもそもこの物語の種となったのである。

語るのは彼らが後に生み出した電脳世界の人格を持ったAI(人工知能)なのだ。彼は、21世紀初頭に出逢い、アキハバラ@DEEPというIT会社を興したおたく青年たちを≪父たちと母≫と呼ぶ。

アキハバラというITの先端を行きながら なにか特別な雰囲気を持つ街とそこに吸い寄せられるように集まる独特の匂いを持つ若者たち、というイメージからは想像もできないほど 読後感は爽やかである。

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天使の梯子*村山由佳

  • 2005/01/20(木) 09:07:03

☆☆☆☆・



『天使の卵』のいわば続編。

あれから10年たった歩太と夏姫と・・・そして、慎一。
10年の間縛られ縛っていたものから解き放たれることができたのは 想う力のおかげだった。
歩太が春妃を想い、夏姫が歩太を想い、慎一が夏姫を想い、夏姫が慎一を想う力。
そしてお互いがお互いを認め必要とする気持ちの持つ力が 10年の間止めていた時を動かすのに役立ったのだ。きっと。
からだの奥深くで凍りついた涙が そのあたたかな力で一気に溶かされ溢れ出したのだ。
この始まりは 明日へとつづく始まりになるのだ。

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さよなら*森青花

  • 2005/01/19(水) 09:05:42

☆☆☆・・


死んでもからだがミイラ化するとこころはしばらくこの世に留まっていられるのだとか。

一人暮らしの95歳の嘉兵衛は、足を挫いたまま動けなくなり餓死した。誰にも気づかれないままミイラ化した嘉兵衛は からだから抜け出した心が自由に飛びまわれることを発見する。

『天国の本屋』と『幽霊人命救助隊』をミックスさせたような感じ・・だろうか。

からだが死んでからの一年弱が、「生きた」実感が最も強い、という嘉兵衛がちょっぴり哀しい。

日輪*永田紅

  • 2005/01/19(水) 09:04:14

☆☆☆・・
日輪―永田紅歌集

永田紅(ながたこう)さんの第一歌集。

中学一年生で『塔』短歌会に入会した頃から 二十代前半までの歌が納められている。

実験室や実験道具の名前が出てくる歌も多く、理系と文系の交差点が鮮やかで興味深くもある。



 両岸が離れていかぬために橋を架けると思う試験終わりて

 耳も尾も白くなりたり死ぬときに冷たいというより色が退くこと

 しずもりていつもひとことたらざれば私は他人にたどりつけない

 どこに行けば君に会えるということがない風の昼橋が眩しい

 プールには雨降りながら雨にのみ体は濡れてゆくここちする

 いつからが夏だというのではないのだし私の夏は明日からにしよう

立ち往生のすすめ

  • 2005/01/18(火) 09:02:41

☆☆☆・・


水上勉・永六輔・灰谷健次郎・倉本聰・筑紫哲也の五氏が語る。

 あなたを解き放ち、他者をいとおしくさせる道がここにある。
 当代きっての書き手、語りべの迫真、洒脱の五「楽」論。

                           (帯より)


灰谷健次郎著『天の瞳』の小瀬倫太郎のモデルになった杉本昌弘さんが興した倫書房の記念すべき最初の出版物がこの一冊なのである。
それだけでもう読みたくてたまらなくなった。

個性的な五氏のそれぞれの立ち往生が語られ飛んでいっては戻ってきつつ全体でひとつの丸い輪になるような、そんな穏やかな心持ちになれるような一冊。

回廊亭の殺人*東野圭吾

  • 2005/01/17(月) 09:01:05

☆☆☆・・
回廊亭の殺人

 一代で財を成した一ヶ原高顕が死んだ。妻子を持たない高顕の
 莫大な遺産の相続にあたって、生前彼が残した遺言書が
 一族の前で公開されることになった。
 一族は高顕がオーナーだった“回廊亭”と呼ばれる旅館に
 集められた。さらに、一族の他に、本間菊代という老婆が
 関係者という形で、回廊亭に招待されていた。だが、菊代の
 真の目的は別なところにあった!

                    (裏表紙 あらすじの一部)

読者には多くの手掛かりが初めから与えられている。
登場人物も殺人現場も限られている。
そんな中でも犯人探しやトリック破りの興味を削がないのは さすが東野さんである。
若い女性が変装だけで老婆に成りすますというのは 現実的にはどうかと思わないではないが、その違和感までももしかすると計算されているのかもしれない。

約束*石田衣良

  • 2005/01/16(日) 08:59:09

☆☆☆☆・




 かけがえのないものを失くしても、
 いつか人生に帰るときがくる――。
 喪失によって止まった時間が、ふたたび流れ出すときを描く、
 “バック・トゥ・ライフ”――珠玉のセブン・ストーリーズ。
  
                           (帯より)


あとがきで 表題作は池田小学校の事件をきっかけにして出来上がったものであり、生き残った子どもたちにエールを送り、なくなった子どもたちの魂を鎮めるために、自分になにかできないかと真剣に考えた末に生まれたものなのである。

7つの物語のどれもが深く傷つき 動きを止めた時間を 流れ出させるあたたかさを描いて妙である。
涙なしには読めない一冊だ。

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ショートカット*柴崎友香

  • 2005/01/15(土) 08:57:39

☆☆☆・・


表題作の他、やさしさ・パーティー・ポラロイドという4つの物語。

今まで読んだ柴崎さんの作品の底に流れる危うさは何なのだろう、と考えてみた。
この本を読んで、それが少しわかったような気がする。
いまここで楽しくやっている自分がいて、それはそれで自分なのだけれど、ふっと意識が遠くへ飛ぶ瞬間、本物の自分はその飛んだ先にもっと確かな存在として生きているような心地がして、ここにいる自分の実態があやふやに思えてしまうような感じ。
違う次元に生きている本物の自分と、今ここにいる自分の間を自分の中身だけがふらふら危うい感じで行き来しているような。
不思議だけれど懐かしい空気感に包まれる。

邂逅の森*熊谷達也

  • 2005/01/15(土) 08:55:56

☆☆☆・・


 第131回直木賞受賞!
 奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。
 俊英が送る感動の物語

                           (帯より)


物語は大正の初めの 山形県の深い山から始まる。
主人公の松橋富治はマタギ――山で獣を狩る猟師――なのである。

厳しい掟を守りながら厳しい山奥で狩をするマタギには、マタギにしかわからない厳しさと愉悦、そして何より誇りがあった。

訳ありで追われるように村を出てからも、富治の人生は獲物を待ち、追い、そして撃つようにしてつづいているように思える。それはおそらく、マタギとしての誇りのなせる業なのであろう。

物語最後巨大熊との勝負では、躰はぼろぼろになったが、心は満たされきっていたことだろう。

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春、バーニーズで*吉田修一

  • 2005/01/12(水) 08:54:30

☆☆☆☆・
春、バーニーズで

日常は、さしたる不自由も差し障りもなく 機嫌よく笑いながら流れているように見えるが、その流れはときに激しかったり渦巻いたり澱んだりしているのだ。それはきっと確かなことだろう。

そして人は、さまざまな違った要素の縄を幾筋も撚り合せたようにしてできている。
ある一面を見てすべてを推し量ることなど不可能なのだ。
だから人は誰でも一筋縄では行かないものなのだ。

他の作品も読んでみたい。

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幸福な食卓*瀬尾まいこ

  • 2005/01/12(水) 08:53:10

☆☆☆☆・



キラキラと眩しいくらい幸福そうな朝食風景。
でもすぐに、深い哀しみと隣り合わせにいることがわかる。

登場人物のひとりひとりが それぞれ充分に自分勝手で、
なのにみんながお互いを大切に思いあっている。

しあわせで、いちばん不幸で、哀しくて、泣きたくて、けれどやっぱり幸福な物語。

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すべての怒りは水のごとくに*灰谷健次郎

  • 2005/01/10(月) 08:51:39

☆☆☆・・


 怒りを怒りとしてではなく、
 すべての怒りを海にそそぐ水のごとくに、
 未来を見すえて語ったその静けさが、
 わたしたちの胸を深く、そして強くたたく。

                           (帯より)


新聞・雑誌等に寄せたものをまとめた一冊である。
著者が人間のほんとうのやさしさや、ありようについて、思うところ・影響を受けたことごとを書き綴っている。
「すべてのものに神が宿る」という自然崇拝の心を万人が抱くことができたなら、この世にないがしろにされるべきものはなにもなくなり、差別とも諍いとも遠い世界も夢ではないかもしれない。命を粗末にしないことが身に染みるなら、家庭教育も 学校教育も自ずから変わってくることだろう。

ラビュリントスの日々*坂井修一

  • 2005/01/10(月) 08:50:00

☆☆☆・・


二十歳から二十七歳にかけて詠まれた歌を編んだ第一歌集。

内側に向かう思考、熱さを冷たい膜の内側に閉じ込めたように見える静かさ、揺れ、を感じさせられる歌たちである。


 言ひ終へて言ひきらざるを悲しみぬ冬の江戸川ただにみなぎる

 明暗のいづれともなき生ならむしづかな霜を雀は踏みぬ

 心底ゆ言ひしことばに違はねどまことかうそか吾も知らぬなり

 ハ長調よりの変位のみだらなる愉しさへ日々君をいざなふ

最悪*奥田英朗

  • 2005/01/09(日) 08:48:12

☆☆☆・・


 秀逸な群像劇にして、胸に迫る感動。
 作家性を如何なく発揮した傑作
 第13回直木賞受賞!!!

                         (文庫帯より)

『最悪』以外にタイトルのつけようがない、というのがまず第一の感想である。
小さな町工場の社長・銀行員の女性・パチンコ屋に入り浸り日銭を稼ぐ若者、同じ町で生きているこの三人の逃げ出したいこともあるがささやかな喜びもある生活が並行して描かれていき、あるところで突然とんでもない接点を持つのである。
それぞれの人物の思考と行動が、抗いようもなく裏へ裏へと迷いこんでいく過程は、読んでいても息苦しくなる。
ほんの少しだけゆっくり考える時間があれば、≪悪≫にはなっても≪最悪≫にまでは至らないのかもしれない。

てのひらの闇*藤原伊織

  • 2005/01/05(水) 08:46:34

☆☆☆☆・


 2人の男の道を決定づけたのは、生放送中のスタジオで発せられた、
 不用意な、しかし致命的な一言だった。
 20年後、その決着をつける時が訪れ、1人は自死を、
 1人は闘うことを選んだ。

                           (帯より)


男には自分の身を滅ぼしても守ろうとするものがあった。
そしてその男の想いを見届けたいと思う男がいた。

生まれとか育ちとか職業とか地位とかいうものではとても判断できない人間の価値というものを考えさせられる。
この物語の登場人物の中で一番のクズは最も地位の高い人物であろう。
この物語の中では端役であったとしても その背後にある人生を思わずにはいられない。核の部分に光るものを持った人物が多く、それ故の身の処し方の哀しさもぬぐえない。
藤原作品は、お腹の底にずしっと溜まる。

青空のむこう*アレックス・シアラー

  • 2005/01/02(日) 08:44:37

☆☆☆・・


 青空のむこうから、ひとりの少年が降りてきた。
 やり残したことがあるから・・・

                         (見返しより)


交通事故で突然命を落とし、死者の国へ行った少年・ハリーが主人公の物語。

死者の国は、傾いた太陽は傾いたまま沈まず、ずっと黄と赤と金の混じりあった美しい夕焼けのままで、喜びも辛さもない。どこに向かうのか、何をするのかもわからないのだが、どうやらほとんどの人は<彼方の青い空>へ向かっているようなのだ。
そこへは、生きているうちにやり残したことがあると行けないのだ。
そしてハリーには、やり残したことがあるのだった。

自分がいなくなった後のこの世に束の間戻ってきたハリーが見たものは、自分が欠けても少しの問題もなく動いている世界、そして 癒せない悲しみをもてあまし、沈んだ顔をして毎日を暮らしている家族。
ハリーがありったけの思いを込めてしたことは・・・。

失って初めてありがたさがわかることのなんとたくさんあることか。
きっと誰でもがハリーのように思いを遂げられるわけではないだろう。
やり残しをひとつでもすくなくすることが生きているものの務めなのかもしれない。
この世を幽霊だらけにしないためにも。