残虐記*桐野夏生

  • 2006/03/31(金) 17:20:18

☆☆☆・・



誘拐。監禁。謎の一年間。
そして、25年後の「真実」。

暗くて狭いアパートの一室。
汚れた作業着の若い男。
女の子が一人――。

失踪した作家が残した原稿。
そこには、25年前の少女誘拐・監禁事件の、自分が被害者であったという驚くべき事実が記してあった。
奔流のように溢れ出した記憶。
誘拐犯と被害者だけが知る「真実」とは・・・・・。
  ――帯より


物語は、失踪した作家の夫から 担当編集者に宛てられた手紙からはじまる。
そして、作家がその編集者に渡すように指示するポストイットガ貼られた原稿へと進んでいくのであるが、その原稿の冒頭には、服役を終えて出所してきた25年前の誘拐・監禁事件の犯人から作家の元に届いた手紙が載せられている。

想像を絶する出来事に目も耳も心さえ塞いで生きてきた作家の元に この手紙が届いたことで彼女の記憶は堰を切ったように溢れ出し、書かずにいられないほど突き動かされたのだろう。真相は犯人と被害者にしか共有できないとは言え、次第に事件の本質が解き明かされてゆくのである。しかし、原稿を残した作家の行方も安否も相変わらず知れないままなのである。
彼女は何を思い、どこへ行ったのだろうか。行き先には必然性があるはずだと思うのだが、物語ではそれは明かされてはいない。主人公のいま現在の生の気持ちはまったく判りようがないという珍しい物語である。作家自身が出てきたら、もしかするとまったく別の物語りになるのかもしれない。などとさえ思ってしまう。

窓*乃南アサ

  • 2006/03/30(木) 17:49:34

☆☆☆・・



ほんの一歩、踏み出せば、疑われずに済んだのに・・・・・。
高校3年生の麻里子の揺れ動く心に宿る大きな不安。
新直木賞作家による書下ろし長編サスペンス。

西麻里子は聴覚障害のある高校三年生。
両親はすでにないが、結婚間近の姉、脱サラの兄、兄の親友の新聞記者・有作らに囲まれ、暮らしている。
ある日、レストランで毒入りジュース事件が発生。容疑者の一人に、麻里子と同じ障害を持つ直久という少年がいるらしい。
  ――帯より


『鍵』の一年後の物語である。
兄・俊太郎とも普通に接し、兄の友人・有作は麻里子のなかでますますその存在を大きくしているそんな折、レストランで起こった同窓会毒入りジュース事件の容疑者と疑われたのは同じ高校三年の聴覚障害を持つ少年だった。
みんなから置いてきぼりにされているような疎外感を強くしていた麻里子は、その少年がちゃんとゆっくり話を聞いてもらえているのかどうかが気になり、有作に頼んで彼に会わせてもらったのだったが。

歌野晶午さんを想わせるような思い込みの怖さを巧みに突いた展開は、あとで思い返せばすとんと腑に落ちるばかりである。
心の窓を開けて、困難を次々に乗り越えて大人になってゆく麻里子の姿をもっと見たい。
1996年にこの作品は書かれているので、もうとっくに続編が出ているのだろうか。

『恐怖の報酬』日記*恩田陸

  • 2006/03/30(木) 17:29:47

☆☆☆・・



酩酊混乱紀行
イギリス・アイルランド

タイトル――サブタイトルも含め――でも判るとおり、旅日記である。
旅日記であるのは間違いがないのだが、旅先そのもののことだけを書き連ねたものではないのである。そして、直接的な旅先の地のこと以外のことが面白い。
脚注にはいまこのときにはまったく関係なく見える著者の感想や、印象が書かれていたり、大嫌いな≪あの乗り物≫のことがかなりの部分に渡っていたり。
観光案内になるような旅日記とはまったく違うが、著者の次の作品に繋がるだろう、そして この旅のあとですでに繋がっている、イメージを共に見られた心持になれたことだけでもとても嬉しかった。

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北緯四十三度の神話*浅倉卓弥

  • 2006/03/29(水) 20:10:28

☆☆☆・・



心の雪解けは必ず訪れる。
雪国を舞台に姉妹の心の成長と和解を描いた感動の物語。

雪深い町で育った桜庭菜穂子、和貴子姉妹。姉の菜穂子は地元の大学に進学し、そのまま大学の助手を、妹・和貴子は東京の大学を卒業後、故郷に戻り、ラジオ局でDJをしている。姉が中学時代に淡い思いを抱いていたクラスメート・樫村と和貴子が婚約したことを発端に二人の心の溝は広がっていったが――。
  ――帯より


真っ白い雪の上に広がる青い空が似合う熱く静かな物語。
早くに事故で両親を亡くし、年子の姉妹は祖父母と共に暮らすことになった。姉の菜穂子が聞いた最後の母の言葉は「菜穂ちゃん、和貴ちゃんの子と頼むわね」というもので、菜穂子は無意識のうちにこの言葉に縛られてもいたのかもしれない。
現在の菜穂子の目から見た菜穂子と和貴子のこと、和貴子が持っているラジオ番組の様子が交互に描かれ、そして所々に両親が生きていた頃のことが差し挟まれる。
女同士だからこそ、ほとんど歳の変わらない女同士で しかも姉妹だからこその苦しさやりきれなさと、なくてはならない存在として認め合っているお互いを 最後には解きほぐし確認しあえたのだから、彼女たちはもう決して離れないだろう。たとえ遠く離れて暮らしたとしても。

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猫丸先輩の推測*倉知淳

  • 2006/03/29(水) 08:01:47

☆☆☆・・



『病気、至急連絡されたし』手を替え品を替え、毎夜届けられる不審な電報、花見の場所取りを命じられた孤独な新入社員を襲う数々の理不尽な試練、商店街起死回生の大イベントに忍びよる妨害工作の影・・・・・。
年齢不詳、神出鬼没、掴みどころのないほのぼの系、猫丸先輩の鋭い推理が、すべてを明らかにする・・・・・?  ――裏表紙より


猫丸先輩、すっかりシリーズ化していますね。
上に揚げた裏表紙の内容紹介を見てもわかるように、この最後の「・・・・・?」が猫丸先輩シリーズのすべてを表しているような気がする、といったら言いすぎだろうか。
猫丸先輩は面白いこと――もちろん謎を含む――が大好きで、事件を解決しようとか、犯人を捕まえようとかいう気は毛頭なく、ただ目の前にある面白い謎に自分なりの答えを見つけて納得したいだけなのである。
今回も、どうしてこうもいろんなところに現われるのかと思うほどあちこちのさまざまなシチュエーションに姿を現わし、頼まれもしないのに勝手に謎を解いて満足しているのだった。お節介と言えなくもない場合も多々あるのだが、それでも邪険にされずいつのまにか頼りにされているのは、ひとえにその容貌とキャラクターに負うものだろう。
これからの猫丸先輩の予測できない行動が愉しみである。

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温かなお皿*江國香織

  • 2006/03/28(火) 12:42:02

☆☆☆・・

12の短編集。
朱塗りの三段重・ラプンツェルたち・子供たちの晩餐・晴れた空の下で・さくらんぼパイ・藤島さんの来る日・緑色のギンガムクロス・南ヶ原団地A号棟・ねぎを刻む・コスモスの咲く庭・冬の日、防衛庁にて・とくべつな早朝。

タイトルをこうして並べてみるだけで、あれこれ違った手ざわりの物語なのだろうと想像できる。
そしてたしかにそのとおり、いろんなシチュエーションのいろんな物語なのである。
ただ、どの物語も 読み終えるときゅんと切なくなる。何を自分だけの宝ものにするか、自分の大切なものをどうやって大切にするか、なんていうことをちょっぴり想わされてみたりするのである。

リビング*重松清

  • 2006/03/28(火) 07:17:38

☆☆☆・・



シンプルイズベストが信条の 共に働く子どもを持たない夫婦と、となりに引越してきた 何につけても真っ直ぐ正しい奥さんの一家との心の軋轢(?)を描いた『となりの花園』を軸に、さまざまな生き様を描いた短編集。
軸となる『となりの花園』では、非難されるはずのない正しさで生きる奥さんの違和感がとても胸を苦しくさせる。正しく生きることは正しいのだが、正しいことはすべてではない。そしてそれは、シンプルイズベストの夫婦にもいえることであり、彼らも少しずつ変化していく。それはとても人間らしくて好もしくみえる。
そのほかの物語も、どれもただならぬ人生の物語なのだが、どこかに光が差している。
母がいつも呟いていた呪文のような『ミナナミナナヤミ』の謎が解けたときには、張りつめていた苦しさがゆるゆるとほどけて哀しみになった。

犯罪の回送*松本清張

  • 2006/03/27(月) 17:10:24

☆☆☆・・



北海道北裏市の春田市長が港湾工事の陳情に来た東京で他殺体で発見される。ちょうどその折、港湾工事反対派である野党の早川も急に上京しており、しかもその行動には謎の部分が多くあったのだった。
この事件を担当することになった警視庁の田代警部等は被害者や関係者の行動をコツコツと地道に調べ、春田市長が見つかった現場とははるか遠くはなれた地に事件の真相を見出すのだった。

アイドルのような探偵が活躍するわけでも、安楽椅子探偵が推理だけで真相を言い当てるわけでもない、地味で地道な捜査と聞き込みに終始する物語であるが、田代警部の普通なら通り過ぎてしまうほどのほんの僅かな違和感を 違和感として見逃さないことが、天啓ともいえる閃きに繋がるのだろう。派手さはないが、これぞ推理小説 といった感じの重厚感がある。

恋するために生まれた

  • 2006/03/26(日) 17:02:00

☆☆☆・・



辻仁成さんと江國香織さんによる六章。

大人になって、本当によかったって思う。
大人じゃないと、恋はできないから。
     江國

恋が愛に変わっても、恋のような愛をしていたい。
     辻                     
  ――見返しより


無償の愛に近い 恋愛感情貫にした友情を培っていらっしゃるというお二人の恋や愛についてのあれこれである。
同じ命題について、辻さん江國さんが交互に自分の想いを、あるときは相手に反対し、またあるときは共鳴しつつ語っていて興味深い。
辻さんの文章も、小説よりは違和感なく読めたように思う。
そして江國作品が生まれる土壌は、自分がこの人に恋をしたいと思う人に恋してその腕のなかにすっぽり抱かれているからなのだとわかった。

いつも旅のなか*角田光代

  • 2006/03/25(土) 17:48:27

☆☆☆・・



角田さん旅のエッセイ。
カバーの写真を見るだけでもうどんな旅をしているのかがよくわかる。光と影の具合がなんとも絶妙。
カバーとなかの数章の写真は山口昌弘氏の撮影だが、ほとんどは角田さんご自身が切り取った一瞬なのも興味深い。まさに角田目線といったところか。
いつまでも旅慣れないといいながら、機会があればひとり旅に出かけてゆくのは、心底旅が――旅先のさまざまな土地にいる自分自身がかもしれない――好きなのだろうとうかがい知れる。
観光名所を巡るミーハー旅ではなく、彼女の旅はその土地その土地を躰で知ることを求める旅のような気がする。頭で拒否することなく、土地土地の空気や匂いに足の先からそっと浸り、最後にはどっぷりと肩まで浸かるような旅なのだと思う。
旅慣れないことこそが、角田流旅の極意なのかもしれない。

きいろいゾウ*西加奈子

  • 2006/03/24(金) 17:35:51

☆☆☆☆・



武辜歩=ムコさんと 妻利愛子=ツマさんという夫婦の物語。

そのままタイトルになっている物語中の絵本『きいろいゾウ』は、病気でさびしい思いをしている女の子のもとへ太陽みたいに大きな月の粉を浴びて黄色くなった空を飛べるゾウがやってきて、ひと晩だけ一緒に遊んでくれるお話。
ツマさんは心臓が人よりも小さく、子どもの頃一年間病院暮らしをしたことがあり、そのときに黄色いゾウと出会ったことがあり、ムコさんは子どもの頃この絵本を読んだことがあったのだった。お互いにそのことは知らないのだが。
動物や植物とおしゃべりができたり、見えないものを見たりするツマさんは、月の満ち欠けにもとても影響を受けている。あまりにも大きな満月に自分を持て余していたツマさんに、これから月は欠けてゆくから大丈夫だと声をかけたのがムコさんで、それがふたりの出会いだった。
あまりにもお互いを必要としてしまったツマさんとムコさんだったので、いつしかそこにいるお互いに安心できず、そこにいなくなる大切な人のことばかり思うようになり 伝えたいことを上手く伝えられなくなってゆくのだったが...。

相手に伝えたいことが溢れるほどあるのに なにひとつ言葉にできない、どうしてもなにも伝えられないもどかしさ。こんなにも大切な人なのに、いつかどこかへ行ってしまうのではないかというさみしさ。相手に頼り切って安心しきって生きていることの心許なさ。そんな愛すればこその目の前が真っ暗になってひとりぼっちになる感じが胸に迫ってせつなくなる。
自分にとってのきいろいゾウは誰なのか、それがわかって安心したとしても、きいろいゾウ自身もまた自分のさみしさを抱えていることに気づかされるのだ。

目次の次に並べられている「必要なもの。」はムコさんにとって生きていくための宝もののようなものなのだろう。
そして、物語の最後に再び並べられている「必要なもの。」の最後には、この世でいちばん大切なものが ひときわ大きくつけ加えられているのだった。

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バスジャック*三崎亜記

  • 2006/03/23(木) 17:13:32

☆☆☆・・



表題作のほか、二階扉をつけてください・しあわせな光・二人の記憶・雨降る夜に・動物園・送りの夏。
短編集とも掌編集ともいえない少し長めのものからたった3ページのものまで、長さも持ち味も違う7編の物語である。

二階に 役に立つとは思えない扉をつけることを推奨される町の物語や、失った過去のぬくもりが見える窓の物語や、一緒にいるはずの二人の記憶が少しずつぶれてゆく物語や、芸術性まで帯びてしまいそうなバスジャックの物語や、雨が降る夜だけ現われる図書館の物語や、予算が足りないのに珍しい動物を展示したい動物園の物語や、大切な人との永遠の別れをゆっくりゆっくり行う人たちの物語である。
物語にはひとつとして共通点などないのだが、現実からほんの少しだけズレた軸の上にある感じがどの物語からも漂い出してくる。
『となり町戦争』の三崎亜記さんの手に成るものだと改めて納得する。

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エンド・ゲーム*恩田陸

  • 2006/03/22(水) 17:12:02

☆☆☆☆・



常野物語。
いままでの常野一族の物語とは少しばかり趣向が違っている。
一族の者同士 不文律を破って結婚し、子どもまでもうけ、一族と距離を置いて暮らしている一家が描かれている。とはいっても、父親はある日おばあさんに連れて行かれてしまい、長い間失踪中である。妻は、夫が≪裏返された≫かもしれないと思い、またあるときは単なる浮気で娘と自分は捨てられたのだと考えている。自分をどちらの立場に置いておきたいのかが自分でも計りかねているかのようにも見えるのだ。
娘の時子が大学を卒業する歳になり、周囲の≪あれ≫の目に怯えながらも母子ふたりの暮らしに慣れたころ、事態は急展開することになるのだった。

オセロの白と黒をひっくり返すように、裏返したり裏返されたりしながら常野の一族は生きてきた。望んだわけでもないのにどうしようもなく抗えない力を持ってしまったことから逃げもせずこれまでやってきたことが――確かにやってきた事実は消えはしないのだが――空洞を覗くように虚しくなるなんて。
オセロの駒がみな灰色になって裏返しても裏返されても勝負がつかないような空虚な心持ちになる。このラストはしあわせにつづくのだろうか、それともまた思いもしない泥沼へとつづくのだろうか。

墜ちていく僕たち*森博嗣

  • 2006/03/21(火) 17:40:46

☆☆☆・・



墜ちていく僕たち・舞い上がる俺たち・どうしようもない私たち・どうしたの、君たち・そこはかとなく怪しい人たち、という5つの連作短編集。
タイトルはまさに森さんという感じ。そして、キーワードは「インスタントラーメン」。カップ麺ではなく、煮て食べる方の。
こんなもので繋がる短編集がまさかあるとは思わなかった、というのが正直な感想である。しかも、食べると性別が逆転するインスタントラーメンだなんて!
でも、このインスタントラーメンはどうしてこのそれぞれの部屋にあったのだろうか。そこも繋がっていたらもっとわくわく感が増したかもしれない。

ストロボ*真保裕一

  • 2006/03/20(月) 20:21:31

☆☆☆・・



閃光が灼きつけたせつない記憶
いまも疼く5つのシーン
50歳のカメラマン喜多川の脳裏によみがえる熱き日々
  ――帯より

キャリアも積んだ。名声も得た。
だが、俺に何が残されたというのか――。
過ぎ去った時、遠い出会い、苦しい別れ。
女流写真家と暗室で愛を交わした四〇代、
先輩を凌駕しつつ、若手の台頭に焦りを抱いた三〇代、
病床の少女を撮って飛躍した二〇代、
そして学生時代を卒業した、あの日。

時間のフィルムを巻き戻し、人生の光と影をあぶりだす名編。
  ――見返しより


見返しの文章からもわかるように、時計は逆に回っている。
目次に記された章も第五章からはじまっているのである。

第五章  遺影  ・・・五十歳
第四章  暗室  ・・・四十二歳
第三章  ストロボ  ・・・三十七歳
第二章  一瞬  ・・・三十一歳
第一章  卒業写真  ・・・二十二歳


という具合である。
カメラマン喜多川の五十歳の現在から物語ははじまる。
こういう構成になっているので、五十歳の現在は華々しく成功しているか 散々に失敗しているかどちらかかと思いきや、どちらにも当てはまらない中途半端なカメラマン生活である。
読み進むにつれて、喜多川の現在に繋がる出来事がどんどん明かされていくのだが、時間を逆走している読者にはわかるがそのときの喜多川自身にはわからないことが多々あり、もどかしく思うこともある。過去に遡るからこそ見えてくるものも多くあり、人生のままならなさに身悶えする。

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ひまわりの祝祭*藤原伊織

  • 2006/03/19(日) 17:41:59

☆☆☆・・



表紙にファン・ゴッホ(ファンまでつけるのが正確なのだとか)の「ひまわり」が乗っているので、それに関係する物語なのだろうとは思って読みはじめたのだが、物語り半ばの200ページを過ぎる頃まで何がどう関係してこれほどハードなストーリーが展開されているのかが判らない。主人公・秋山秋二に突然のように降りかかる災厄の原因の見当が皆目つかないもどかしさと早く核心に触れてくれ、という欲求で半分まで読み進むと、後半 いきなり加速し、二転三転しつつ真実に迫る、という感じである。
行動を見張られていたり、出会いを仕組まれたり、激しい銃撃戦があったりする割には 物語全体に漂う印象は静かである。不思議だが、これは秋山のキャラクターの成せる技でもあるのかもしれない。
物語がはじまったときにはすでに亡くなっている秋山の妻・英子の想いがいつもどんなときにも秋山に寄り添っているのが切なくもある。ラブストーリーと言ってもいいかもしれない。

うしろ姿*志水辰夫

  • 2006/03/17(金) 17:05:26

☆☆☆・・

人生の終着が見えてきたとき、人は何を思うのか・・・・・。
あるいは望まない道に引き込まれ、
あるいはすすんで荒波の中へ、
片隅で生きてきた人間の哀しさ、たくましさを、独特の筆致で描ききる。
  ――帯より


トマト・香典・むらさきの花・もう来ない・ひょーぅ!・雪景色・もどり道、の7編からなる短編集。
どの物語の主人公も、決して平穏とは言えない人生を生きてきて、そろそろそれも終盤に差し掛かかろうかという年代である。
険しい山を登ってきて、7合目辺りで一時立ち止まって息をつき、来し方に視線を巡らして道程を振り返るように、これまでの人生を振り返り、さまざまな場面に想いを馳せるのである。そんな男のうしろ姿はなんと味わい深いのだろう。

十字路のあるところ

  • 2006/03/16(木) 21:04:37

☆☆☆・・



物語あり。
クラフト・エヴィング商會の作家と写真家が街を歩いて拾いあげた六つの絵巻

「夜を拾うんだ」
先生は事あるごとにそう言っていた。
「ピアノから黒い鍵盤だけ拾うみたいに」
そうした言葉が、黒砂糖を丸ごとのみこんだように、いまも僕の腹の中にある。
あんな人はもう二度と現われない。
  ――帯より


吉田篤弘さんの文と、坂本真典さんの写真で語られる街の話。
六つの物語のあとに、まるでその物語の舞台のような写真が数点 配される、という構成になっているのだが、実際はどちらが先にあったのだろう。
十字路・影・水、といった存在するのだが 取り立てて意識されないようなあれこれを、街の重要な要素としてひとつひとつ浮かび上がらせているのが興味深く、気づかされることも多い。
十字路とは、すべての出発点であると同時に、あらゆるものの帰結点でもあるという なにやら魔法のような、しかし考えてみれば当然のような不思議な感覚に包まれる。

沖で待つ*絲山秋子

  • 2006/03/16(木) 17:31:25

☆☆☆・・



芥川賞受賞作
すべての働くひとに――
同期入社の太っちゃんが死んだ。
約束を果たすべく、彼の部屋にしのびこむ私。
仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く傑作。

「悪いな」
震えながら太っちゃんが言いました。
「惚れても無駄だよ」
私が言うと太っちゃんは口の端だけで笑ったようでした。
「現場行ったらしゃきっとしなよ。今は寝てりゃいいんだから」
仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。
同期ってそんなものじゃないかと思っていました。(本文より)
  ――帯より


表題作のほか、勤労感謝の日。

帯の「すべての働くひとに――」っていうのは、どちらの作品にもちょっと当てはまらない気がするし、すべての同期生がこうかというと、それも違う気がしてしまう。
こういう関係ももちろんあるだろうし、同期に限らず職場にこういう関係の人がいたら励みになるし 心安らかにいられるだろうなと それは思う。
でも、やはり一緒に働いていた奥さんの立場で考えたら、少しやるせなくもなるのだ。幽霊になってまで自分ではなく同期のところに現われるなんて。
それでも「沖で待つ」というフレーズの哀しいほどの大きさには参ったというしかない。

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うつくしい子ども*石田衣良

  • 2006/03/16(木) 12:42:35

☆☆☆・・



弟はなぜ殺したんだろう?
13歳の弟は猟奇殺人犯!?
14歳の〈ぼく〉の孤独な闘いが始まった。
今を生きる子どもたちの光と影をみずみずしく描く問題作!
  ――帯より


科学学園都市として知られるニュータウン東野市夢見山で小学3年の女児が行方不明になり、間もなく奥ノ山の自然保護課の用具小屋で惨たらしい死体で見つかった。
そしてあろうことか身柄を確保された犯人は13歳の中学生だった。

夢見山中学2年の三村幹生を語り手とする章と朝風新聞の記者・山崎を語り手とする章がほぼ交互に繰り返される。
幹生の章では、世間の目やマスコミの報道に翻弄される犯人の兄としての幹生と友人たちとの関係や、犯人である弟の心の動きを探る過程が描写され、山崎の章では、警察の動きや記者としての葛藤が描かれる。そして二つが次第に重なりラストへと上っていくのである。

『うつくしい子ども』というタイトルのなんと皮肉なことだろう。
姿形の美しさ、親の言うことをよく聞きすくすくと健やかに真っ直ぐ育っている美しさ。そしてその美しさの仮面に隠された闇の顔。
起きてしまったことの残虐さとその動機の儚さとのギャップには胸を塞がれる思いがするが、兄として、揺れることはあっても何とかして弟の心に寄り添おうとする(姿形の美しくない)幹生の行動の勇気には胸を打たれる。

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白い家の殺人*歌野晶午

  • 2006/03/14(火) 17:43:00

☆☆☆・・



八ヶ岳山麓にある猪狩家の別荘で不可解な惨劇が相ついだ。17歳の静香は密室でシャンデリアから逆さづりで殺され、母親は足跡ひとつない新雪の中、絞死体で発見された。静香の家庭教師・徹のSOSで駆けつけた名探偵・信濃がたどりついた無惨な真相とは!?
衝撃の処女作「長い家の殺人」に続く渾身の第二弾!
  ――文庫裏表紙より


信濃譲二シリーズの二作目。
またまた名探偵・信濃の登場は物語り半ばを過ぎた頃である。今回は、最後の最後に真犯人の告白(?)を聞くまで 信濃自身も動機を掴みかねていて、謎解きは些か歯切れが悪い幕切れとなっていて、市之瀬徹を消化不良気味にするのだが、それさえも著者の企みのひとつだったのである。
動機は哀しく、事件は惨たらしく、後味は決していいとは言えない。

日曜の夜は出たくない*倉知淳

  • 2006/03/13(月) 21:14:50

☆☆☆☆・

日曜の夜は出たくない 日曜の夜は出たくない
倉知 淳 (1994/01)
東京創元社

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孤独な空中散歩者が空から落下した、としか思えない墜落死体!
一六三人の観客の前で、毒殺された俳優・・・・・!?
気のいい恋人が、ひょっとして日曜の切り裂き魔か?
不可能状況下の事件の数々を、難なく解決する奇妙な青年。
ユーモアとペーソスと、そして愛に溢れた連作推理の傑作!!
  ――帯より


表題作のほか、空中散歩者の最期・約束・海に棲む河童・一六三人の目撃者・寄生虫館の殺人・生首幽霊。
そして最後に、<誰にも解析できないであろうメッセージ>と<蛇足――あるいは真夜中の電話>。

なんとこれは、『競作 五十円玉二十枚の謎』の一般公募部門で若竹賞を受賞された 佐々木淳さんのデビュー作なのである。
そして、そのときに探偵役として登場した猫丸先輩が そのときの姿のままで探偵役として登場するのである。
ひとつひとつの物語は とても不可思議にはじまり、猫丸先輩が登場し 謎が解かれると「なぁるほど」とスッキリした気分になれる。そんな物語が七編。
「あぁ、面白かった」と、そこで本を閉じてしまっても充分愉しめる。
だがしかし、そこからが著者が本来やりたかったことなのだろう。こういう騙され方は大歓迎である。しかも、ラストの一文でまたまた「えっ!?」と思わせられるのだから...。

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防壁*真保裕一

  • 2006/03/12(日) 09:45:12

☆☆☆・・


狙撃犯 海難事故 不発弾 放火魔
危険に立ち向かう男たちがいる!

防壁 警視庁警護課SP
相棒[バディ] 海上保安庁特殊救難隊員
昔日 陸上自衛隊不発弾処理隊員
余炎 消防士

一瞬の魔――危険と隣り合わせで働くプロフェッショナルの勘を狂わす、ほんのわずかな疑惑と動揺!
  ――帯より


命の危険と隣り合わせで働くとき、共に働く仲間同士の信頼関係は譲れないものである。それが一瞬でも揺らいだとき、危険は広く世間をも巻き込む怖れがあるのだ。
しかし、磐石の信頼関係は永久不滅のものではない。人間は弱いものなのだ。疑いを抱かせる者を憎み、同時に疑いを抱く自分を責め、苦しむのだ。
そして、忘れられがちだが、現場で命をかける男たちの影には 身を案じながら待つ身の女たちがいるのである。その苦悩も、忘れられがちであるが故に辛く哀しいものなのだと、思い知らされる。

おとなの小論文教室。*山田ズーニー

  • 2006/03/11(土) 17:33:06

☆☆☆・・



あなたの言葉が聞きたい。
ひと言でもいい、わきあがってくる想いを、言葉にして伝えてほしい。

ビリビリくるリアル感に引き込まれて読んでいくと、あなたも何か表現したくなる!
「考える」習慣がついてくる!
「おとなの小論文教室。」は、自分の頭で考え、自分の想いを、自分の言葉で表現したいという人に、「考える」機会と勇気、小さな技術を提供する、まったく新しい読み物です。
  ――帯より

まるで鉛筆のように、その身を削って教える先生がいる。
本気ってのは、ほんとに強い。  糸井重里


「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載されたコラムの単行本化である。
小論文教室、と銘打っているが、これは 四角四面の表面上のお勉強ではない。自分の心の奥深くを見つめなおす入口であるとも言えるのではないだろうか。
「一人称」のない借り物の自分でいるうちは、自己表現などできるわけがないということが、押し付けではなく自然に入り込んできて実感される。
書けなくなりそうである。まったく。

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笑う招き猫*山本幸久

  • 2006/03/09(木) 17:39:01

☆☆☆☆・



女・独身・28歳。大学の同級生だったふたりが漫才師を目指した。
コンビ名は「アカコとヒトミ」。
ヒトミは180cmという長身で十年来の付きあいの愛車である自転車のレッドバロンで都内どこへでも行ってしまう貧乏人である。片やアカコはというと、150cmの身長のくせに60kgという体重の持ち主で、血の繋がらない祖母の頼子さんとふたりでお邸に住んでいる。
こんな凸凹コンビのような彼女たちは、漫才を愛して止まないふたり組みなのだった。

お笑いというのは、当たり前のことだが人を笑わせるのが仕事なわけである。そのために自分たちは決して日々笑ってなどいられないのだ。当然とわかっていながら見えないためについ忘れがちになる裏側を目の前に開かれた心地がする。とはいっても、「アカコとヒトミ」の出世物語でも、芸人の舞台裏話でもない。芸人「アカコとヒトミ」としてのアカコとヒトミと、人としてのアカコとヒトミの関係・絆が厭味なく描かれている。ラスト近くでは胸にぐっときて涙が出そうになった。

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LOVERS

  • 2006/03/08(水) 17:29:06

☆☆☆・・

あなたは今、恋してますか?
初恋、片想い、結婚前提の恋、不倫の恋、そして理想の恋・・・・・。男女の心は揺れ、迷い、動く。

時代の空気を鋭敏に感じ取る9人の作家が、恋人たちの現在(いま)を描いた、珠玉の恋愛アンソロジー。
  ――帯より


江國香織『ほんものの白い鳩』
川上弘美『横倒し厳禁』
谷村志穂『キャメルのコートを私に』
安達千夏『ウェイト・オア・ノット』
島村洋子『七夕の春』
下川香苗『聖セバスティアヌスの掌』
倉本由布『水の匣』
横森理香『旅猫』
唯川恵『プラチナ・リング』

江國さんのきっぱりと潔いのにとろんとした感じに久しぶりに触れて、「あぁ、やっぱり江國さんだ」と思う。
そして川上さんである。桃の缶詰に書かれたこんな硬い注意書きがこんな風に展開するなんて。
江國・川上で、ぐぐっと惹きつけられて次に進むと、ちょっと固く感じてしまうのはわたしだけだろうか。並び順によって印象は変わったかもしれないと、つい思ってしまう。
江國・川上・唯川作品はもちろんよかったが、真中に配された島村さんの物語も哀しいのだがとてもあたたかくて好きだった。

死体を買う男*歌野晶午

  • 2006/03/07(火) 17:35:22

☆☆☆・・



萩原朔太郎が大のミステリー好きだったことをごぞんじでしょうか。ポーやドイルの耽読に飽き足らず、探偵小説論を発表し、「前橋S倶楽部探偵本部」なるものを結成していたといいますから、そのマニア度は相当なものです。そして彼の友人の中に江戸川乱歩という男がいました。
尖鋭の詩人と当代一の探偵作家。二人はどこで遊び、どんな会話を交わしたのでしょう。
では、タイムマシンに乗って、二人の行動を確かめにいくことにしましょう。
  ――新書見返し「著者の言葉」より


自分の才能に限界を感じて引退した作家・細見辰時は、ある日ミステリ雑誌に江戸川乱歩を思わせる作品を見つける。懇意にしている編集者に問うと、新人作家の持ち込み作品だという。そこで、その新人作家に会い、この作品を手がけるいきさつを聞き出すことにしたのだったが...。

新人作家・西崎が書く『白骨鬼』は、警察官だった彼の祖父が実際に体験した事件を書き付けてあったものを ほとんどそのまま下敷きにして、祖父の部分を江戸川乱歩と萩原朔太郎に置き換えたような作品だった。
この『白骨鬼』と、細見と西崎の現在のやり取りが章ごとに交互に書かれているのである。乱歩の時代にタイムとリップしたかと思うと、現代の細見の歯切れの悪い苦悩の姿に戻ってくるのである。
事件に関する乱歩と朔太郎の推理も組み立てては壊れることを幾度も繰り返し、現実においても思いもかけない結末が待っているのだった。
著者は、過去の事件の真相に迫る醍醐味や、乱歩と朔太郎の絶妙なコンビについての興味ともに、いかにして読者の目を欺くかにその力を注いだと思われる。それが後の『葉桜の季節に君を思うということ』にまで通じているのだろう。

フィフティ・フィフティ*唯川恵

  • 2006/03/06(月) 21:18:37

☆☆☆・・



彼女の嫌いな彼女


23歳、OL、独身の千絵と、33歳、OL、独身の瑞子が一章ずつ交代で語る。
同じ会社同じ部署の先輩後輩として日々顔をあわせているふたりの胸の裡を それぞれの章で吐き出す、のかと思いきや、部長の出世争いに巻き込まれることに。

女の敵は女、とはよく言われることだが、お局OLは 自分が通り過ぎてきた道を忘れ、若輩OLは 現在の若さに溺れ自分の行く末を見ることができずに互いに煙たがる。傍から眺める分には面白おかしくもあるが、当人たちにとっては毎日のストレス以外の何ものでもない。そんな女の戦いをも上手く利用した政略とも言えそうである。そして、ひとたび味方同志になると女はこうも強いのである。

わくらば日記*朱川湊人

  • 2006/03/06(月) 17:32:48

☆☆☆・・



姉さまの“あの力”は、人を救いもしましたが――。
人や物の記憶が“見える”不思議な力を持つ少女が出会った、五つの事件、様々な人々、そして人なればこその、深い喜びと哀しみ。

気鋭の直木賞作家が、ノスタルジーとともに現代人の忘れ物を届けます。

昭和三〇年代。当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人、貧しいながらも仲むつまじく過ごしておりました。姉さまは、抜けるように色が白く病弱で、私とは似ても似つかぬほど美しい人でしたが、私たちは、それは仲の良い姉妹でした。ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。それは、人であれ、物であれ、それらの記憶を読み取ってしまう力でした・・・・・。

小さな町を揺るがすひき逃げ事件、女子高生殺人事件、知り合いの逮捕騒動・・・・・
不思議な能力を持つ少女が浮かび上がらせる事件の真相や、悲喜こもごもの人間模様。現代人がいつのまにか忘れてしまった大切な何かが心に届く、心温まる連作短編集。
  ――帯より


語るのは、年取った和歌子。不思議な力をもつ姉さま・鈴音の妹であるワッコである。
東京タワーができた頃の東京下町で、彼女が姉さまとともに目の当たりにした出来事のあれこれを思い出しながら語るのである。
鈴音と書いて<りんね>という名をもつ姉の不思議な力は、人助けにもなったが、知らなくていいことまで知ってしまうこともあり、鈴音も悩むのだったが。

要所要所に教訓めいたことごとが散りばめられているのだが、それが説教臭くならず自然に心に染みてくるのは、姉さまや母さまに語らせる著者の妙技だろうか。
次に期待をもたせるような記述があちこちにあるのは、続編を想定してのことだろうか。いま、彼女たちのことをもっと知りたい思いである。

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長い家の殺人*歌野晶午

  • 2006/03/05(日) 17:37:13

☆☆☆・・



死体の消失と出現。夜歩く死者。浮遊する人魂。見えるわけのないものが映った写真。・・・・・想像を絶する怪事件が市之瀬徹の属するロックグループに続発した。死者が残した曲の暗号が解読され、奇怪な謎の数々が一挙に解明された時、この大胆な、コロンブスの卵にも比すべきトリックの仕掛け人に絶大なる拍手を!  ――文庫裏表紙より


歌野氏デビュー作である。そのいきさつは、巻末の<薦>で島田宗司氏によって書かれている。人生に於いて、めぐり合わせというのは侮れないと思わされるエピソードである。

トリックの大胆さや動機の馬鹿馬鹿しい短絡さは興味深かったのだが、この仕掛け、(森博嗣さんの書く)犀川助教授のような 何でもつい数を数えてしまうというような癖を持つ人にはまず通用しないし、犀川先生ほど極端でなくても、部屋名の覚えにくさから考えると、自分の部屋が何番目かということは結構みんな意識するのではないだろうか、と思ったりもする。
昭和63年、1988年の作品である。

先日読んだ『動く家の殺人』があの信濃譲二のシリーズ3作目だということで、1作目のこの作品を読んでみることにしたのだが、主役であるはずの信濃譲二は、物語の3分の2を過ぎるあたりまでまったく登場しないのだ(元メンバーということで名前だけは出てくるが)。そして、話を聞き、検証して犯人に辿り着いてしまうのである。単に謎解きが好きなのか、警察に対して一物あるのか、その辺の事情は語られていないが気になるところでもある。