ママの友達*新津きよみ

  • 2007/10/31(水) 18:39:53


ママの友達ママの友達
(2007/03/20)
新津 きよみ

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突然届いた中学時代の交換日記が、四十代のいまを変えていく
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四十代の主婦・野島典子は、反抗的になってきた中学二年の娘・美咲との関係に
悩んでいた。そんな典子のもとに、ある日差出人不明で届いた中学時代の交換
日記。送り主は、メンバー四人の中でリーダー格だった長谷川淳子かと思われた
が、淳子は一週間ほど前に殺されていた。そのことをニュースで知り、驚く典
子。音信不通だった残りのふたり----すでに孫がいる等々力久美子と、幼い娘
を持つシングルマザーの藍川明美----の人生も、日記をきっかけに大きく動き
出す。
女性の人生に起こる様々な事件をサスペンスタッチで描き出す、感動の書き下ろ
し長編!


タイトルから受けるほのぼのとした感じとは裏腹に、物語はなにやら不穏な幕開けである。典子の元に届けられた「交換日記在中」と書かれた封筒に送り主の名はなく、宛名も定規を当てて書かれたような文字なのだった。中身は確かに典子が中学生のころ四人で回していた交換日記のノートだったのだが・・・。
突然届いた三十年前の交換日記は、典子に中学生のころのことを思い出させただけではなく、現在中学二年の娘・美咲についての悩みにまで強く意識するきっかけになる。三十年間交流が途絶えていた間、四人はそれぞれにさまざまなものを抱えながら生きていて、想いは日記をきっかけにして過去と現在を微妙に揺らす。
誰からもうらやまれる優等生だったハセジュンが殺された事件の意味というか位置づけにはもう少し重みがあってもいいような気はするが、それもひとつの人生なのだと言えばそうなのだろう。女・四十五歳の立ち位置の微妙な不安定さがよく表わされた一冊だと思う。

少女には向かない職業*桜庭一樹

  • 2007/10/31(水) 07:00:31


少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)
(2005/09/22)
桜庭 一樹

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中学2年生の1年間で、あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した-。これは、ふたりの少女の、血の噴き出すような闘いの記録。痛切なストーリーが胸を抉る衝撃作。


中学二年生の少女――しかも煩雑な都会ではなく下関に近い島に住む少女――が主人公である。胸に抱えるものがあったとしても、人ごみの中に逃げることはできない。美しく静かな島で一対一で向き合わなければならないのである。他人とも、そして自分とも。
命のはかなさに気づかされ、ときとして激しいバトルモードに捉われたりもするが、表面上は違和感なく周りに溶け込んでいる葵。言わなければならないことをどんどん裡に溜め込み発酵させ続けていた葵。そんなときに静香と出会ってしまったのである。
ふたりの少女の闘いでもあり、自分自身との闘いでもあるが、なによりも救いを求める切実な叫びが痛いほどに満ちている一冊だった。

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カカオ80%の夏*永井するみ

  • 2007/10/30(火) 18:57:59


カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)
(2007/04)
永井 するみ

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私は、三浦凪、17歳。好きなものは、カカオ80%のチョコレートとミステリー。苦手なことは、群れることと甘えること。
夏休みに、クラスメートの雪絵が、書き置きを残して姿を消した。おとなしくて、ボランティアに打ち込むマジメな雪絵が、いったいどうして…?カレでもできたのか?気乗りはしないけれど、私は調査に乗り出した。ひと夏のきらきらした瞬間を封じ込めた、おしゃれなハードボイルド・ミステリー。


大学の助教授で公私共に忙しい母との二人暮らし――いわゆる母子家庭――の凪は、クラスメイトと群れることもなくある意味自立した女の子である。ある日、そんな凪に、それほど親しいとはいえない真面目なクラスメイトの雪絵が洋服を買うのに付き合って欲しいと声をかけ、凪は雪絵に洋服を見立ててあげたのだった。それからほどなく、雪絵は「一週間くらいで戻ります。合宿にでも参加するんだと思ってください、心配しないで」という書置きを残して行方不明になる。

凪が、特に仲良しというわけでもない雪絵のことを心配したのは、洋服を買ったときの微かな違和感のようなものや、元来のミステリ好きの気質がそうさせたのかもしれない。十七歳の少女・凪が探偵役をすることになる経緯にも無理がなく、その後の行動にも自然に結びついている。
群れるのが苦手な凪だが、友人とのつながりを拒んでいるわけではなく、雪絵や、雪絵探しの途中でネットを通じて出会った少女たちとのつながりを心地好くも感じているのが十七歳の素直な気持ちの表れのようでほほえましい。他人との関係を築くのが上手くない、といわれる近頃の若者たち。なにかのために、誰かのために、心を砕く仲間がいるということの心強さを感じさせてくれる物語でもある。ズィードのマスターと凪のこれからも気になるところである。
カカオ80%のほろ苦さと、それでもやはりチョコレートとしての甘さとを併せ持つ一冊である。

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天狗風*宮部みゆき

  • 2007/10/29(月) 17:27:18


天狗風―霊験お初捕物控〈2〉 (講談社文庫)天狗風―霊験お初捕物控〈2〉 (講談社文庫)
(2001/09)
宮部 みゆき

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一陣の風が吹いたとき、嫁入り前の娘が次々と神隠しに―。不思議な力をもつお初は、算学の道場に通う右京之介とともに、忽然と姿を消した娘たちの行方を追うことになった。ところが闇に響く謎の声や観音様の姿を借りたもののけに翻弄され、調べは難航する。『震える岩』につづく“霊験お初捕物控”第二弾。


畠中恵氏の「しゃばけ」シリーズの妖とは趣を異にして、こちらはおどろおどろしいもののけである。美しさだけをよりどころとして生き、しかし生を全うできなかった女の未練が生み出した怨念が天狗となって、美しい娘たちの心のすきまに忍び入り、さらっていくのである。なんとも血なまぐさい神隠しである。
常人には見えないものが見えるという不思議な力を持つお初が、南町奉行所に勤める吟味方与力を父に持つのに算学を学ぶ右京之介やお初の兄の六蔵親分に連なる人々の助けを借りて事に当る顛末がこの物語である。
お初の娘らしさと気丈さ、自らの力を奢ることなく恐れすぎることなく事件の解決に役立てる姿は、まことに健気で潔い。事件の関係者とのやり取りも情にあふれていて心温まるし、右京之介とのこれからにも明るい兆しが見えるようでうれしくなる。

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ワーキング・ホリデー*坂木司

  • 2007/10/27(土) 13:54:06


ワーキング・ホリデーワーキング・ホリデー
(2007/06)
坂木 司

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息子と過ごすために、ホストから「ハチさん便」ドライバーへ。正義感の強い元ヤンキー父とおばちゃん臭い少年のハートフルな物語。


ホストをしている大和のところに突然やってきた小学五年の男の子・進。しかも、大和が自分の父親だと言う。身に覚えのないわけではない大和は、渋々ながら夏休みを進と過ごすことになる。それと同時に、ホストクラブのおかまママ・ジャスミンの計らいでハニービー・エクスプレス(通称ハチさん便)という宅配便会社で働くことになったのだった。
ハチさん便の同僚やお客さん、進とその友だちなどさまざまな人たちを巻き込むひと夏は、誰にとっても"熱い"夏になったのだった。
ありがちで泣かせる設定なのだが、そこが――というかそれだからこそ――イイのである。大和のだらしなさも、進のおばさんぽさも、ジャスミンママの計らいも、雪夜とナナのお節介も。どれもが絶妙で、ほろりとさせられるのである。大和が汗だくで引くハニービー・キャリー(実はリアカー)にもし町なかでであったら、思わず冷たい缶ジュースを差し出してしまいそうである。

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もっと、わたしを*平安寿子

  • 2007/10/26(金) 18:22:40


もっと、わたしを (幻冬舎文庫)もっと、わたしを (幻冬舎文庫)
(2006/08)
平 安寿子

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口べた堅太り優柔不断。お世辞にもモテるとは言えない真佐彦がトイレに監禁されたのは、なんと彼女に二股がバレたから。ドアの外で二人の女が言い争うド修羅場の中、いつしか真佐彦は「自分が求められている」幸せを感じ始めて―。イケてない五人五様の人生を、優しさとユーモアで描き出す、著者真骨頂の傑作リレー小説。


「いけないあなた」「ノー・プロブレム」「なりゆきくん」「愛はちょっとだけ」「涙を飾って」という、どうしてこの人にスポットライトを当てたのだろうと思わせられる五人を主人公にする連作短編集。

恋愛下手の冴えない男がモテてしまったり、目の覚めるようなイイ男が敬遠されたり、セクシーな美女が恋愛をあきらめていたり・・・と、なにやら主人公の人選からして興味深い。そして、ともすれば嫌味になったり僻みっぽくなったりしがちな素材を、極々普通の精神構造として描くことで知らず知らずに読者を共感させてしまうところはさすがお見事としか言いようがない。
ゆるい連作で、前話の登場人物の事情があとで判ったり、意外な一面を垣間見られたりするのも絶妙な味付けである。そして、主人公以外の登場人物もキャラクターがしっかり描きこまれて生き生きしているのがすばらしい。
文庫版の解説は、奥田英朗氏が書いているが、すべての女流作家を敵に回すようなあの発言で後々お困りではないのか・・・と要らぬ心配をしてしまう。

烏金*西條奈加

  • 2007/10/24(水) 18:18:53


烏金烏金
(2007/07)
西條 奈加

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婆さんが溜め込んだ金、いただくぜ!
因業な金貸し婆・お吟のもとで押しかけ居候を始めた浅吉。職がないという浅吉
は、金貸し業の手伝いを申し出た。浅吉は、新しい発想で次々と焦げ付いた借金
をきれいにし、貧乏人たちを助けつつ利益を上げていく。
しかし浅吉には実は秘密の目的があり、大金を手に入れるために素性を偽ってお
吟に近づいたのだった。
お吟はまるで烏(からす)のように、溜め込んだ金をどこかに隠している。
はたして浅吉は、大金をせしめることができるのか?
浅吉の相棒・烏の勘左も大活躍。
今までにない痛快時代エンターテインメント小説、誕生!!


「烏金」は、明鳥のカァで借り、夕方のカァで返すからこう呼ばれる。要するに、資金に余裕のない小商人が、朝仕入れ用の金を借り、夕方にその日の売り上げから金と利息を返すのである。利は薄いが、貸し倒れなどは少ないらしい。

ひょんなことから金貸しのお吟婆さんを助けることになった浅吉は、そのままお吟の家に住み込ませてもらい、金貸しの手伝いをすることになったのだが、数日前からお吟の家の辛夷の木にいる烏の勘左の存在といい、なにやら仔細ありげである。浅吉はいったい何を企んでいるのか・・・・・?
ただではすまない気配を漂わせ、それでもお吟と金を借りた者、両者のためになるようにとあれこれ走り回り算段する浅吉の姿は、根っからの悪人とも思えない。
人情の機微というよりは、人と人との腹を括ったかかわりの強さと、浅吉の知恵の巧みさで、次は誰の暮らしをどんな風に立ち行かせるのだろう・・・という愉しみで先へ先へと読み進んだ。人の縁(えにし)の力強さと報恩にあふれた一冊だった。

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やってられない月曜日*柴田よしき

  • 2007/10/22(月) 20:56:52


やってられない月曜日やってられない月曜日
(2007/08)
柴田 よしき

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私、高遠寧々、28歳。実はコネ入社だけど、いちおう大手出版社経理部勤務。彼氏なんていなくても、気の合う同僚もいるし、お気楽な一人暮らしを満喫中。でも、そんな平凡な日々にも、不倫、パワハラ、社内イジメなどなど、いろんな事件は潜んでて―。「やってられない」本音満載のワーキングガール・ストーリー。


連作形式の物語。
「やってられない月曜日」「誰にもないしょの火曜日」「とびきりさびしい水曜日」「甘くてしょっぱい木曜日」「それでもうれしい金曜日」「命かけます、週末です。」「またまた、やってられない月曜日~エピローグ」

経理の仕事は結構好きだと思っているが、コネ入社がコンプレックスになっていてどうしても突っ張ったりしてしまう寧々。でも、週末にはNゲージ用の1/150の建物を作ることに生きがいを感じている。同期で、やはりコネ入社の弥々とは、趣味の違いを認めつついい距離感で仲がいい。
軸は、ワーキングガールの物語なのだが、それぞれの曜日にまつわる話の中には小さな謎も配されていて、それなりの答えがちゃんと出されるのもスパイスになっていて愉しい。
華やかなわけでも、特別なわけでもない30前の女の子の日々なのだが、美しく書かれすぎていない日常に共感が持てると思う人はきっと多いだろう。

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はぐれ牡丹*山本一力

  • 2007/10/21(日) 14:05:57


はぐれ牡丹 (時代小説文庫)はぐれ牡丹 (時代小説文庫)
(2005/06)
山本 一力

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一乃は夫・鉄幹と四歳になる幹太郎と三人、深川冬木町の裏店に暮らしている。日本橋両替商の跡取り娘であった彼女は、かけ落ちして鉄幹と一緒になったが、貧しくとも幸福な日々を送っていた。そんなある日、一乃がにせ一分金を見つける。一方同じ裏店のおあきが人さらいにあってしまう。一乃たちは、おあきを助けるために立ち上がるが…。助け合い、明るくたくましく生きる市井の人々を情感こめて描く長篇時代小説の傑作。


一乃・鉄幹・幹太郎一家の貧しいながらもしあわせな暮らし、貧乏長屋の人たちの「お互い様」の心と人情の機微が、しあわせというものの本来の姿を思い出させてくれて胸にあたたかい。
しかし、それとは別に、すぐ近くではきな臭いことが起こりつつあり、いや応もなく一乃たちも巻き込まれていくのだった。

日本橋の大店のお嬢様だった一乃の持ち前の明るさと一本気、そして思うことを頭の中に仕舞っておけないおおらかさで次々と口にする思い付きを、寺子屋の教師もしている鉄幹が誰にもわかりやすく整理して話すところには、この夫婦の円満の秘訣が伺えるようだった。
そして、その一乃の一見とんでもないように思われるインスピレーションのおかげで、事件のあらましが一本の線につながり、一乃(の魅力)に呼び寄せられた人々の情の通った働きで、見事事件も解決を見るのである。
家族、近隣、親子の人情話と活劇の要素とを併せ持ったような痛快な一冊である。

ハードボイルド・エッグ*荻原浩

  • 2007/10/19(金) 17:14:17


ハードボイルド・エッグハードボイルド・エッグ
(1999/10)
荻原 浩

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中学の頃にフィリップ・マーロウのようなクールな探偵になることを心に決め、とうとう脱サラして事務所を開いた私。だが、来る依頼は動物の捜索ばかり。おまけにとんでもない婆さんを秘書に雇うはめになり…。
たっぷり笑える。1回泣ける。ワンダフルなミステリー。


ハードボイルド探偵・最上俊平シリーズ第一弾であるこの作品の魅力はなんといっても秘書募集のチラシを見てスナップ写真入りの履歴書を送ってきて採用された片桐綾の魅力と、綾と俊平の絡みである。この絡み方がなんとも大人っぽくて味わい深い。綾、なかなかやるのである。
動物探しの便利やもどきに間違われそうな最上俊平の探偵稼業の方も、スリルとサスペンスに満ち満ちていて、思わず知らず苦笑を浮かべてしまう箇所多数。解かれてみれば結構切ない事実でもある。
そしてまた綾、引き際までなんと切なく格好好いことか。泣けるのである。
シリーズ第二弾で、秘書との絡みが少ないのも、最上俊平、綾との日々を未だに引きずっているからかもしれない。(再読)

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三面記事小説*角田光代

  • 2007/10/18(木) 10:47:24


三面記事小説三面記事小説
(2007/09)
角田 光代

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バリケードのような家に住む姉夫婦、妻殺害をネットで依頼した愛人の心の軌跡…。誰もが滑り落ちるかもしれない記事の向こうの世界。現実がうみおとした6つの日常のまぼろしを、鮮やかに描いた小説集。


「愛の巣」「ゆうべの花火」「彼方の城」「永遠の花園」「赤い筆箱」「光の川」という、新聞の三面記事から生まれた短編集。

それぞれの物語の扉、タイトルのうしろに、うっすらと見えるのは物語の元になった実際の新聞記事である。作品自体はまったくのフィクションなのだが、元記事には記憶にあるものも多いので、ひょっとしたら実際はこんな風だったのかもしれないとふと思わせられるものがある。
淡々と事実だけが書かれた新聞記事を、普段は他人事として読み捨ててしまいがちだが、これらの物語を読むと、記事の奥から、当事者たちの真実を聞いてほしいと訴える顔が見えてくるような気さえするのである。

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0の殺人*我孫子武丸

  • 2007/10/17(水) 13:09:08


0の殺人 (講談社文庫)0の殺人 (講談社文庫)
(1992/09)
我孫子 武丸

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容疑者リストつき異色の新本格推理。
冒頭で明かされた容疑者たちのなかからあなたは真犯人を突きとめられますか?

物語の冒頭に置かれた<作者からの注意>に、驚くべきことに、奇妙極まりない殺人劇の容疑者たち4人のリストが公開されている!この大胆かつ破天荒な作者の挑戦に、果してあなたは犯人を突きとめられるか?ご存知、速水警部補と推理マニアの弟と妹が活躍する、異色の傑作長編推理。


最後まで読んでタイトルの意味に納得。そういうことだったのか、と妙に嬉しくなる。
速水三兄弟シリーズの二作目に当るということを知らず、一作目『8の殺人』は未読なのでそちらも読んでみたい。
警視庁捜査一課の警部補である長男の恭三が、喫茶店のマスターの次男・慎二と妹のいちおに相談を持ちかけ、手足となって捜査した結果を持ち帰って謎解きをしてもらう、といういわば安楽椅子探偵物語+αといった物語である。なにやら立場が逆転しているのに、恭三自信もなんとも思っていないのが、さすが兄弟といっていいのか悪いのか・・・。
事件自体は殺伐としているのだが、三兄弟のおかげでユーモラスに仕上がっている。

パートタイム・パートナー*平安寿子

  • 2007/10/16(火) 17:03:21


パートタイム・パートナー (光文社文庫)パートタイム・パートナー (光文社文庫)
(2005/01/12)
平 安寿子

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「話し相手が欲しいとき、ひとりぼっちでいたくない、あなたに。パートタイム・パートナーは、お望みのときに、ビッグスマイルをお届けします」就職しても長続きしない進藤晶生。女の子の相手をするのだけは得意技。先輩に勧められ、デート屋を開業してはみたものの……。
 年齢にかかわりなく揺れ動く女性心理を、巧みなストーリーの中に鮮やかに描き出す一冊。


晶生のキャラクターをすんなり受け入れられれば、さわやかで切なく女性に安らぎのひと時を与えてくれる素敵なデート屋稼業を応援したくなるだろうし、晶生に上手く寄り添えなければ、28歳にもなってそれでいいのか、と疑問を投げかけたくなるだろう。
ちょっとしたことでどちらにもなり得るような揺らぎのようなものが感じられる一冊だった。
全面的にいいとは言えないのだが、かと言って悪くもない。ちょうど晶生の立場のような読後感。

リトル・バイ・リトル*島本理生

  • 2007/10/15(月) 17:24:30


リトル・バイ・リトル (講談社文庫)リトル・バイ・リトル (講談社文庫)
(2006/01)
島本 理生

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ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校二年生の異父妹の女三人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父―。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第二十五回野間文芸新人賞受賞作。


なにか特別なことが書かれているわけではまったくない。ふみの取り立ててほかの人と違うところのない――家族構成という点では特筆すべきところはあるが――日常が淡々と語られているだけである。だがそれが、なんだか心地好いのだ。ぬるめのお湯にゆっくりと浸かっているような普段よりも心持ち躰が軽くなったような和み感に包まれるのである。
自分自身の身の置きどころをまだ上手く見つけられていないふみが、人とのかかわりを語ることで少しずつ自らの輪郭を作っているような、ゆっくり一歩ずつだが前へ進んでいる手応えを感じられ、急ぐことなんか何もないじゃないか と思わせてくれる一冊だった。

シュガーレス・ラヴ*山本文緒

  • 2007/10/14(日) 19:45:15


シュガーレス・ラヴ (集英社文庫)シュガーレス・ラヴ (集英社文庫)
(2000/06)
山本 文緒

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短時間、正座しただけで骨折する「骨粗鬆症」。美人と言われてトイレにも立てなくなる「便秘」。恋人からの電話を待って夜も眠れない「睡眠障害」。月に一度、些細なことで苛々する女の「生理痛」。フードコーディネーターを突然、襲う「味覚異常」…。恋が、仕事が、家庭が、女たちの心と体を蝕んでゆく。現代女性をとりまくストレス・シンドロームと、それに立ち向かい、再生する姿を描く10話。


「彼女の冷蔵庫――骨粗鬆症」「ご清潔な不倫――アトピー性皮膚炎」「鑑賞用美人――便秘」「いるか療法――突発性難聴」「ねむらぬテレフォン――睡眠障害」「月も見ていない――生理痛」「夏の空色――アルコール依存症」「秤の上の小さな子供――肥満」「過剰愛情失調症――自律神経失調症」「シュガーレス・ラヴ――味覚異常」

物語はそれぞれ病――といっても、すぐに生死にかかわるようなものではない――に絡めた話になっていて、新鮮な設定である。
直接命にかかわらない病気ほど、本人の苦しみと周りの人びとの認識がずれているものもないのだと思わされる。
そして病んだ人が主人公なのだが、どの物語もラストにはほのかな光が見えるのがほっとさせてくれる。

幻色江戸ごよみ*宮部みゆき

  • 2007/10/14(日) 08:56:08


幻色江戸ごよみ (新潮文庫)幻色江戸ごよみ (新潮文庫)
(1998/08)
宮部 みゆき

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盆市で大工が拾った迷子の男の子。迷子札を頼りに家を訪ねると、父親は火事ですでに亡く、そこにいた子は母と共に行方知れずだが、迷子の子とは違うという…(「まひごのしるべ」)。不器量で大女のお信が、評判の美男子に見そめられた。その理由とは、あら恐ろしや…(「器量のぞみ」)。下町の人情と怪異を四季折々にたどる12編。切なく、心暖まる、ミヤベ・ワールドの新境地。


「鬼子母火」「紅の玉」「春花秋燈」「器量のぞみ」「庄助の夜着」「まひごのしるべ」「だるま猫」「小袖の手」「首吊り御本尊」「神無月」「侘び助の花」「紙吹雪」の十二編。

江戸の風物や人情の機微、ちょっとした日常の謎解きを愉しみながらも、切ないことこの上ない物語たちである。なぜなら、謎が解かれたからといってハッピーエンドが待っているわけではなく、さらに切ないその後が容易に想い描けてしまうような物語が多いのである。だが、現実というのは往々にしてそういうものかもしれない。そしてそれが余計に切なさを煽る理由でもあるのだろう。
物語の語られ方はどこか小粋で、人情味にあふれている。それも切なさのひとつのわけかもしれない。

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悪人*吉田修一

  • 2007/10/12(金) 16:56:17


悪人悪人
(2007/04)
吉田 修一

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なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。


ひとつの殺人事件を巡り、当事者や関係者がそれぞれの立場で事件――あるいは事件の当事者たち――について語るという手法で、外側から中心に向かって事件の本質を見極めようとする作品である。ただ、見極めようとすればするほど、いったいこの殺人事件はなんだったのだろうか、という疑問も湧いてくるのである。どうして石橋佳乃は殺されなければならなかったのか、犯人はどうして彼女を殺してしまったのか。そして・・・・・悪人はいったい誰だったのか・・・・・。
事実としての事件の真相が露わになっても、読者の気持ちはまるですっきりせず、かえって割り切れないもやもや感じ包まれるのである。人間の弱さ、淋しさ、踏み外した一歩の大きさをいやでも思わされるのである。

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絲的メイソウ* 絲山秋子

  • 2007/10/11(木) 13:52:55


絲的メイソウ絲的メイソウ
(2006/07/22)
絲山 秋子

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迷走、瞑想? 生きることは、ジグザグだ。ああ、人生はなんてジグザグにしか進まない! 「袋小路」からジグザグへ、いつもあちこちに本気で立ち寄り続 けて考えた、そして感じた。絲山秋子、初のエッセイ集。今の時代に鈍感でいることはできない。


ここまで言い切っちゃっていいんだろうか(!?)というくらい小気味いい書き振りである。読むと「メイソウ」がカタカナであるわけがわかるような気がする。紹介文にもあるとおり、迷走でもあり瞑想でもあるのだ――妄想も混ざっているかもしれない。これからもツルまず群馬を愛する 絲山さんであり続けていただきたいと思う。

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ひとかげ*よしもとばなな

  • 2007/10/10(水) 17:07:45

ひとかげ ひとかげ
よしもと ばなな (2006/09)
幻冬舎

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「私の、私の聖堂を、取りもどさなくては。」過去のつらい体験にとらわれ、心に傷を抱えながら愛しあう二人。深い闇で起きた、たくましい生命の復活を描く、「祈り」の物語。14年ぶり。進化したとかげの誕生。


主人公たちの職業意識の甘さなど、十四年を経て納得できないことごとがあり、書き直された『とかげ』のリメイク作品である。うしろに『とかげ』も併せて収録されている。
比べて読むとたしかに著者の伝えたいことがより細やかに描かれ、わかりやすくなっていると思う。
ただ仕方のないことだろうが、『とかげ』をすでに読んでいると、自分の罰し方とか人とのかかわり方とか、さまざまな点で印象は前作よりも薄くなるのも否めない。

銃とチョコレート*乙一

  • 2007/10/09(火) 19:18:29

銃とチョコレート (ミステリーランド) 銃とチョコレート (ミステリーランド)
乙一 (2006/05/31)
講談社

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少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた【GODIVA】の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「【GODIVA】カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。


児童書。
子どもたちの憧れの的である探偵・ロイズの扱いといい、残虐シーンといい。子ども向けの物語としては異例とも言える要素がかなりたくさん出てくる。大人向けの小説ならばスパイスとなるようなあれこれも、子どもたちにとってはどうなのだろうか、といささか疑問を感じる一冊だった。

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小袖日記*柴田よしき

  • 2007/10/09(火) 11:01:56


小袖日記 小袖日記
柴田 よしき (2007/04)
文藝春秋
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不倫に破れて自暴自棄になっていたあたしは、平安時代にタイムスリップし、『源氏物語』を執筆中の香子さまの片腕として働くことに…。平安の世も、現代も、女は哀しくて強い―。「夕顔」「末摘花」「葵」「明石」「若紫」をめぐる物語。


平成の現代で不倫に破れて自棄になったあたしは「死んでやる」と思い夜の公園にいるときに雷に打たれた。意識を取り戻すと、そこは元いた公園ではなく、平安の世らしかった。しかもあたしは小袖という女房の躰に入り込んでしまったらしい・・・。

現代の女性と源氏物語をリンクさせたSF物語とでも言うのだろうか。奇抜なアイデアが軽やかで愉しい。しかも現代女性であるあたしが、源氏物語を綴る紫式部の助手的存在だというのだから、源氏物語の裏側をのぞき見るような面白さも加わって興味をそそられる一冊だった。

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シャドウ*道尾秀介

  • 2007/10/08(月) 13:15:17

シャドウ (ミステリ・フロンティア)シャドウ (ミステリ・フロンティア)
(2006/09/30)
道尾 秀介

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人間は、死んだらどうなるの?―いなくなるのよ―いなくなって、どうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、鳳介の母はこの世を去った。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?話題作『向日葵の咲かない夏』の俊英が新たに放つ巧緻な傑作。


母の死後、次々と起こる重すぎる出来事、そしてたびたび目の前に現れるあるよくないイメージ。小学五年生の凰介は、踏み込んではいけない思いに捉われながらも父を亜紀を守るために動く。
次々と明らかになる事実――あるいはその時点では事実と思われる事柄――はことごとく重く禍々しくて、何を信じたらいいのか、どこに向かって行くのか、深い霧の中を手探りで歩くような心もとなさである。新たな事柄が目の前に提示されても、それが希望へとつながらない虚無感に包まれるのである。なんとやりきれない物語だろう。
凰介の「信じる」気持ちと「守りたい」と思う心が唯一で最大の救いだろう。

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メタボラ*桐野夏生

  • 2007/10/07(日) 08:45:21


メタボラ メタボラ
桐野 夏生 (2007/05)
朝日新聞社
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なぜ「僕」の記憶は失われたのか? 世界から搾取され、漂流するしかない若者は、日々の記憶を塗りかえる。破壊されつくした僕たちは「自分殺し」の旅に出る。孤独な魂の冒険を描く、まったく新しいロードフィクション。


いきなりなにかから逃げている場面で物語りは幕を開ける。何から逃げているのかは読者には判らず、次第に逃げている本人にも判っていないことが判ってくる。なぜなら「僕」は記憶を失っていたのだった。
逃げる途中で、同じく逃げてきた――といってもこちらは自分が誰かも何から逃げてきたかもはっきりしているが――昭光と出会い、行動を共にするうちに、新しい自分が一から形作られていき、同時に本当の自分の在り処を手探りするもどかしい日々が始まるのだった。
ふとしたきっかけで記憶の欠片をひとつ、またひとつと取り戻し始めても、そこには希望の光はなく、新しい自分と本来の自分との間で揺れ続ける「僕」なのだった。
主な舞台は沖縄だが、そう聞いて一般的に思い浮かべるようなのどかで南国的な鷹揚さとは無縁に物語りは繰り広げられているのだが、舞台が沖縄だからこその展開でもあるような気がする。
DV、ニート、劣悪な労働条件、ネットの集団自殺、などなど・・・。たくさんの要素が盛り込まれているが、何一つ解決したわけでもなく、却って泥沼にはまり込んでいくようでもある。
読後感は重いが、なぜか未来を想い描けるような心持ちにもなる一冊である。

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遊戯*藤原伊織

  • 2007/10/04(木) 19:39:13

遊戯 遊戯
藤原 伊織 (2007/07)
講談社

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追悼・藤原伊織。最後の謎。作家は何を企んでいたのか。著者が闘病中も書き続けた表題作と、遺作となった中編「オルゴール」を収録。ネット上の対戦ゲームで出会った男と女。正体不明の男に監視されながら、2人は奇妙に繋がり合っていく。


遊戯、帰路、侵入、陽光、回流、と進んできた連作はここで途切れている。いやでも興味をそそられる導入部を終え、これから謎がひとつひとつ解き明かされていこうというところで幕は下ろされてしまったのだ。この先にどんな物語が続くのかは、読者それぞれが想像するしかないのである。著者の頭の中には、いったいどんなストーリーが眠っていたのだろう。知り得ないだけに切実に知りたくもある。残念としか言えない。

6時間後に君は死ぬ*高野和明

  • 2007/10/03(水) 18:08:04

6時間後に君は死ぬ 6時間後に君は死ぬ
高野 和明 (2007/05/11)
講談社

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回りつづける運命の時計未来を賭けた戦いが始まる!
稀代のストーリーテラーが放つ、緊迫のカウントダウン・ミステリー
運命の岐路に迷う時、1人の予言者が現れる。
「6時間後に君は死ぬ」。街で出会った見知らぬ青年に予言をされた美緒。信じられるのは誰なのか。「運命」を変えることはできるのか。
未来は決まってなんかいない 明日を信じて、進むだけ


表題作のほか、『時の魔法使い」「恋をしてはいけない日」「ドールハウスのダンサー」「3時間後に僕は死ぬ」「エピローグ 未来の日記帳」

他人のビジョン(未来)を視ることのできる山葉圭史と、彼とかかわる人々の連作短編集。
表題作は連作の一話目なのだが、この時点では連作だとはわからなくて、ありがちなサスペンスという印象だった。だが、二話目を読み進むうちに連作だということがわかってくると、圭史の魅力ともあいまって次第に物語にも深みが出てくるのである。思わず応援したくなったり、胸にじんわりとあたたかいものが広がる心地がしたり、圭史が心理学を専攻する学生(院生)だということもあるのかもしれないが、心の凝りが解きほぐされていくような心地好さに包まれた。

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夜明けの街で*東野圭吾

  • 2007/10/03(水) 10:29:32

夜明けの街で夜明けの街で
(2007/07)
東野 圭吾

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渡部の働く会社に、派遣社員の仲西秋葉がやって来たのは、去年のお盆休み明けだった。僕の目には若く見えたが、彼女は31歳だった。その後、僕らの距離は急速に縮まり、ついに越えてはならない境界線を越えてしまう。しかし、秋葉の家庭は複雑な事情を抱えていた。両親は離婚し、母親は自殺。彼女の横浜の実家では、15年前、父の愛人が殺されるという事件まで起こっていた。殺人現場に倒れていた秋葉は真犯人の容疑をかけられながらも、沈黙を貫いてきた。犯罪者かもしれない女性と不倫の恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。果たして秋葉は罪を犯したのか。まもなく、事件は時効を迎えようとしていた・・・。


東野氏に対しては期待値が高いので、いささか期待はずれといったところである。
「不倫する奴なんて馬鹿だ」と常々思っていた男がずるずるとなだれ落ちるように絵に描いたような不倫に陥っていく過程は、まぁまぁ判りやすいとは言えるが、渡部が秋葉に惹かれたこと自体がよく解らなくもある。
ラストのどんでん返しが多少ミステリらしくもあったが、どの登場人物にも感情移入できず、物語のその後がどう展開したとしても泥沼でしかありえないのも救いがない。
「不倫する奴なんで馬鹿だ」というだけの一冊だったような・・・。

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やっとかめ探偵団危うし*清水義範

  • 2007/10/02(火) 07:12:38


やっとかめ探偵団危うし やっとかめ探偵団危うし
清水 義範 (1989/12)
光文社

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駄菓子屋「ことぶき屋」の女主人、波川まつ尾婆ちゃん以下、老年探偵団一行は、老人会で健康ランドへ。わーええとこだぎゃあ、とひと風呂浴び、早速カラオケ大会。だが、好奇心の塊のような婆ちゃんたちは、館内探検に乗り出し、そこで目を開いたまま死んでいる老婆を発見した。名古屋を愛する著者の好評シリーズ第2弾。


今回は、まつ尾婆ちゃん、芝浦かねよ婆ちゃんに調査を任せっ放しにせず自らでかけていって聞き込みをしている。仲間が死体の第一発見者になったということもあり、並々ならぬ入れ込みようが伺えるのである。
それにしても、まつ尾の慧眼には唸らされる。年の功を別にしても、人の心の機微を知り尽くしているといった風な人情味あふれる推理が魅力的である。