極上のおやつ

  • 2008/11/29(土) 16:55:34

極上のおやつ極上のおやつ
(2007/11/22)
松任谷 由実/本上 まなみ/深澤 里奈/藤田 千恵子

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ほっこりとした優しさのあるクグロフ、
まるで宇宙からきた未知のお菓子のようなチーズもち、
お日さまの下でくるくる回りたくなるおいしさのブリオッシュ、
「………!!」声にならないマカロン…

などなど、『アンアン』人気連載でおなじみの
松任谷由実さん、本上まなみさん、深澤里奈さん、藤田千恵子さんが
おやつへのこだわりを綴ります。
都内の老舗から、山の修道院まで。
家族経営のお店から、世界的なパティシエのショップまで。
あちこちでみつけた"極上"を、おしゃれな写真とともにご堪能ください。
そしてお取り寄せにも対応の情報つきで、充実のおやつライフをあなたにも。


どのページを開いても、うっとりしあわせ気分になってしまう一冊です。
それぞれのお好みの一端が少しわかったような気分にもなれるのが嬉しくもあって。
人気高級店のおやつから、素材にこだわったもの、そして手軽に買うことのできる袋菓子まで、ジャンルもいろいろなのがまたたのしいです。

タイム屋文庫*朝倉かすみ

  • 2008/11/28(金) 18:26:10

タイム屋文庫タイム屋文庫
(2008/05/22)
朝倉 かすみ

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時をまたいで仕掛けた
あの、恋のつづき。

亡くなった祖母の思い出がたっぷり染み込む家で、突然の思いつきで始めた「タイム屋文庫」。タイムトラベル専門の貸本屋というそのアイデアは、実はかつて置き去りにしてしまった恋のつづき。そこで彼女は、たった一人の客を待つつもりだったのだが……。
考えなしで抜け作の三十女が、心機一転をはかって繰り広げるロマンチックストーリー。どこか懐かしくて温かい、何度でも味わえる傑作です。
(すでにあちこちで噂になっている「タイム屋文庫」。その訳は本書にてどうぞお確かめください。きっと訪ねたくなりますよ)


舞台は小樽、それだけですでに情緒的な心持ちになる。しかも、柊子が十六歳の日に失くした恋のその後に出会うためだけに始めた貸し本屋に置かれているのは、タイムトラベルを扱う本や、DVDやCDばかりなのである。そしてお店は、ツボミさんという進取の気風に富んだおばあちゃんが住んでいた家をそのまま活かしていて、はじめて訪れてもなんとはなしに懐かしさを覚える空間なのだった。
主人公が抜け作の柊子であるゆえなのか、タイム屋文庫のレトロ感がそうさせるのか、物語り全体が夢とうつつを曖昧にいったりきたりしているような陶酔感に包まれているのが心地好い一冊である。

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いっちばん*畠中恵

  • 2008/11/26(水) 13:15:18

いっちばんいっちばん
(2008/07)
畠中 恵

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摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に寝込んでいる若だんな。身体じゃなくて気持ちが鬱いでいる…。誰が一番若だんなを喜ばせられるか、ひとつ勝負といこうじゃないか。大人気「しゃばけ」シリーズ第7弾。


表題作のほか、「いっぷく」 「天狗の使い魔」 「餡子は甘いか」 「ひなのちよがみ」

病弱さは相変わらずの若だんな・一太郎である。兄やたちの過保護ぶりも相変わらず。
そんななか、廻船問屋兼薬種問屋・長崎屋の跡取りとしての自覚と、役に立てない不甲斐なさも日に日に大きくなる一太郎なのだった。
一太郎がいつものようにせっせと寝込んでいる奥の間に集まる妖たちが、なんとか一太郎の気鬱を吹き飛ばそうと、あれこれ考えをめぐらす様が、今回も心温まる。
それにしても、今作でも天狗に攫われ、狐と天狗と狛犬の諍いに巻き込まれたりと、(毎回思うことだが)健康な者よりもよっぽど難儀なことに巻き込まれる率が高いのは、やはりその生まれつきのせいだろうか。

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不連続の世界*恩田陸

  • 2008/11/24(月) 20:27:39

不連続の世界不連続の世界
(2008/07)
恩田 陸

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音楽ディレクター塚崎多聞のフランス人の妻ジャンヌが突然、里帰りし、そのまま音信不通になって、そろそろ1年になろうとしていた…。「月の裏側」の塚崎多聞、再登場。詩情と旅情あふれる、恩田陸版「怖い話」。


「木守り男」 「悪魔を憐れむ歌」 「幻影キネマ」 「砂丘ピクニック」 「夜明けのガスパール」

私の初読み恩田作品で、ちょっと苦手だった『月の裏側』で魅力的だった多聞さんが主人公の短編集である。やはり魅力的な多聞さんである。誰にでも開かれているのに、深いところでは閉じていて手の内を見せない、いささかとらえどころのないような魅力である。そんな彼が、見聞きする不思議でちょっと怖い話に筋道を与える物語たち。
と思っていたら、最後の話で裏表がひっくり返されたような心地である。いままで見えていたものが、裏返ってまったく違った景色のもとに放り出されたような心許なさである。そうだったのか・・・。

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店じまい*石田千

  • 2008/11/23(日) 16:42:56

店じまい店じまい
(2008/09)
石田 千

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どこにでもあった、あの風景
 手芸屋、文房具店、銭湯、自転車屋......あなたの町にもきっとあった、あの店この店。本書は、日常のふとした瞬間に顔を出す懐かしい不在の光景を、瑞々しい感性と言葉でつづったエッセイ集。
 「聖橋口の改札を出てすぐ、立ち食いそばやからの店つづきあたりで、待ちあわせることが多い。ここのマスターのハイボールは、天下一品だぜ。そう誘われ、連れていってもらったバーも、そのならびにあった。[......]一階はカウンターだけ、天井のひくい二階にはテーブルがあった。顔なじみのひとと行くときは、一階に肩をならべ、そうでないときは、注文してからあがった。のぼる手間を遠慮して、コップ持って行きますというと、いいからあがってな。あごをしゃくりあげられた。」
 個性的な店主たちとのやりとりや、おっかない店番の犬、店に着くまでの散歩道--それぞれが短編小説さながらの記憶のかけらたちは、気がつけば、読者にとってもまた、何度も立ち返ることのできる場所となる。「ひとそろいの湯」「ふとんやの犬」「われない割れもの」「願かけどうふ」「提灯千秋楽」「あかい鼻緒」他、全二十七編。


さりげない日常語りに織り込まれた「店じまい」のうちそとの景色のあれこれである。もちろん仕舞われるのだからさみしさはあるのだが、しんみり振り返って思いを致すというよりも、「店じまい」の顛末やその後に励まされるように見つめる著者の目が感じられて、清々しい。
出会ったばかりの店じまいは残念でもあるが、仕舞われる前に出会えたしあわせでもあるのかもしれない。

虚栄の肖像*北森鴻

  • 2008/11/21(金) 18:23:09

虚栄の肖像虚栄の肖像
(2008/09)
北森 鴻

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墓前での奇妙な花宴で依頼されたのは、肖像画の修復。報酬は、桜を活けた古備前というが…。表題作ほか全3篇を収録した、ミステリー連作短篇集。花師と絵画修復師、2つの顔を持つ佐月恭壱シリーズ第2弾。


表題作のほか、「葡萄と乳房」 「秘画師遺聞」。

『深淵のガランス』の続編である。
銀座で花師を営み、その一方で絵画修復師としても名を馳せる佐月恭壱(さつき きょういち)の元には、曰くつきの依頼がたびたび舞いこむ。それも偶然を装って巧まれたりもするのである。佐月の腕の確かさの証でもあるのだが、そのたびに佐月は怪しげな成り行きに巻き込まれることにもなるのである。読者としては、その巻き込まれ方が面白いともいえるのだが。
前作で登場した、朱健民・明花親子、前畑善次郎、若槻らに加え、今作では、佐月が大切に思う人がキーパーソンとして登場し、珍しく佐月の心を揺らすのも見所である。
人の思惑が一枚の絵の中に封じ込められている様は、芸術作品というよりも、人間の煩悩の縮図を見るようにも思えてくるのである。

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カイシャデイズ*山本幸久

  • 2008/11/19(水) 17:05:51

カイシャデイズカイシャデイズ
(2008/07)
山本 幸久

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「女神の呼び名」 「魔のトライアングル」 「夢破れて」 「いつもおひとり様」 「バームクーヘン」 「ガウディでよろしく」 「スナイパーとヒロコ」 「社員教育ABC」 という八つの連作短編集。

ココスペースという、店舗や商業施設などのリニューアルを請け負う会社の――というよりも、そこで働く人々の物語である。営業や、設計担当、現場担当、事務などさまざまな職種の人がいるからなのかココスペースにそういう人材が集まるからなのか、キャラクターもバラエティに富んでいる。そして、初めのうち一人ひとりを見ていると、頼りなさそうだったり、少々難ありかと思われたりしていたメンバーたちが、それぞれに他者との関わりの中で立派に自分の仕事をしている――あるいはできるようになるのがわかってきて、身内の会社でもあるかのように喜んでしまったりもするのである。
決して大手ではなく、採用を決める経緯もかなりいい加減ではあるが、こんなこぢんまりとしてそれぞれの資質が活かされる会社に就職できたらしあわせだろうな、と思うのだった。
ココスペースの毎日を、もっともっと見たいものである。

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気をつけ、礼。*重松清

  • 2008/11/16(日) 16:39:21

気をつけ、礼。気をつけ、礼。
(2008/08)
重松 清

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センセ、オトナには、なして先生がおらんのでしょう。僕はあの頃の先生より歳をとった。それでも、先生はずっと僕の先生だった…。人生で最初に出会う大人、教師との、ほろ苦く、温かい思い出が蘇る感動短篇集。


表題作のほか、「白髪のニール」 「ドロップスは神さまの涙」 「マティスのビンタ」 「にんじん」 「泣くな赤鬼」

どの物語も、教師と生徒の関係を描いたものだが、その関係のありようはさまざまである。担任だったり、保健室の先生だったり、教科担当の先生だったり、部活の顧問だったり。また、リアルタイムだったり、過去を振り返っていたり、大人になって再会したり。状況もさまざまである。
ただ共通しているのは、そこに流れる明るいだけではない雰囲気である。それぞれに、なんらかの負の感情が流れる物語なのである。そして、その部分に揺さぶられるものがあるのも確かである。
人間の弱さや残酷さ、やりきれなさややさしさなど、さまざまな感情を刺激されるような気がする。
いちばん印象深かったのは「にんじん」だった。

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金の言いまつがい

  • 2008/11/14(金) 21:08:28

金の言いまつがい (ほぼ日ブックス)金の言いまつがい (ほぼ日ブックス)
(2006/11/30)
ほぼ日刊イトイ新聞祖父江 慎

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「煮よう煮豆」「マソリンガンタン」など、愉快な「言いまつがい」をたっぷりご堪能あれ。さあ、いまっさいらせ! ウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』に寄せられたメールから、より面白い「言いまつがい」を厳選して収録。


これはもう何も言うことはないですね。
ただ、人前で読むときには覚悟がいるのでご注意を!
くすっ、ふふ、あは、がはは・・・と、一度ツボにはまると止まらなくなるのが困ります。

アイスクリン強し*畠中恵

  • 2008/11/13(木) 17:22:30

アイスクリン強しアイスクリン強し
(2008/10/21)
畠中 恵

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スイーツ文明開化は酸いも甘いも運んでくる 西洋菓子屋を起こした皆川真次郎が、愉快な仲間・元幕臣「若様組」の警官達と、日々起こる数々の騒動に大奮闘。スイーツに拠せて描く文明開化・明治の青春。


表題作のほか、「チヨコレイト甘し」 「シユウクリーム危うし」 「ゼリケーキ儚し」 「ワッフルス熱し」

明治という時代になって二十年以上経った東京が舞台。銀座や築地の居留地にはここが日本かと思うような洋風の建物が立ち並び、外国人が普通に街を行き交うようにはなったが、人々はまだまだ江戸を引きずっている。そんな時代を生きる若者たちの姿を、居留地育ちの西洋菓子職人・皆川真次郎を軸に描かれている。真次郎の作る西洋菓子が物語に織り込まれているのもたのしげである。ただ、菓子と物語の関連性はさほど強いものではなく、そのことがちょっぴり残念でもあった。
真次郎と沙羅のこれからもぜひ見せていただきたいものである。

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首都直下地震*柘植久慶

  • 2008/11/12(水) 13:25:18

首都直下地震“震度7” (PHP文庫)首都直下地震“震度7” (PHP文庫)
(2006/01)
柘植 久慶

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「東京大空襲どころじゃない。やられている範囲が桁外れだ!」 深夜の震源地を飛ぶ偵察機の搭乗員が叫んだ。眼下の火災は旋風となって急速に燃え広がり、上空では火柱が1本と化して周囲の空間を焼き尽くしている――。
平成XX年2月冬、東京湾北部を震源とするマグニチュード8.1<震度7強>の猛烈な地震が首都東京を直撃した。耐震性が高いとされた住宅・マンションが倒壊し、道路を塞ぐ大量の自動車事故が導火線となって、炎は際限なく広がっていく。都心では大量の帰宅困難者が発生し、脱出を試みる避難民が次々と炎に飲み込まれる。死者15万人、行方不明者10万人、死傷者の合計は100万人。今まさに時を超えて、関東大震災と同じかそれ以上の災禍が繰り返されようとしている。
本書は、政府の予想数字を遥かに上回る、未曾有の大震災をシュミレートした衝撃の近未来ノベル。東京はこの衝撃<インパクト>に耐えられるか!?
文庫書き下ろし。


真冬の帰宅ラッシュ時、そして夕飯の準備で火を使う時間、しかも、江戸時代までは海だったところを埋め立ててできた地盤の弱い場所を震源とする巨大地震が発生した。場所も季節も時間帯も最悪を選んで起きたような大地震である。
首都東京のさまざまな場所の地震発生直前からその瞬間の状況が実況中継のように描かれていて、震えあがる。関東大震災時と違い、自動車事故やそこから派生する火災によって、幹線道路は防火壁の役割をなさず、それどころか火災をさらに広げる原因にさえなっている。消火活動も救護活動も不可能に近い。
普段からの備えと、心がまえ、そのときの咄嗟の判断力の有無がまさに生死を分けるのだということがよく判る。
自分のこととして、真剣に考えなければならないことだと改めて思わされる。

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ミッキーマウスの憂鬱*松岡圭祐

  • 2008/11/09(日) 16:43:21

ミッキーマウスの憂鬱ミッキーマウスの憂鬱
(2005/03/23)
松岡 圭祐

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史上初ディズニーランド青春小説
ようこそ裏舞台(バックステージ)へ!
東京ディズニーランドのバイトになった21歳の若者。
友情、トラブル、純愛……。様々な出来事を通じ、やがて裏方の意義や誇りに目覚めていく。
秘密のベールに包まれた巨大テーマパークの〈バックステージ〉で働く人々の3日間を描く、感動の青春成長小説。


冒頭からなにやら頼りない感じの後藤君・21歳。ディズニーランドの準社員候補である。夢と冒険の楽園の裏舞台で、夢見たり、落胆したり、憤ったり、発奮したりの三日間の物語である。
頼りなくて場の空気を読むのが得意とは言えないように見える後藤君の、たった三日間の行動にしては、いささかできすぎのような気もしないではないが、楽園の夢を壊すことなく愉しめる一冊でもあった。

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銀河不動産の超越*森博嗣

  • 2008/11/08(土) 16:50:55

銀河不動産の超越銀河不動産の超越
(2008/05)
森 博嗣

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“毎日が気怠い”省電力青年・高橋君の人生は、銀河不動産に入社して一変した。次々に訪れる変わった客、ついには運命の女性までが現れ…。奇妙な「館」、衝撃の連続。究極の森エンターテインメント。


表題作のほか、「銀河不動産の勉強」 「銀河不動産の煩悩」 「銀河不動産の危惧」 「銀河不動産の忌避」 「銀河不動産の柔軟」 「銀河不動産の捕捉」 「銀河不動産の羅針」

地元の国立大学にどういうわけか受かり、卒業を控えた就職活動はことごとく失敗し、最後の最後でなければ誰も行かない、と言われた「銀河不動産」に就職することになった高橋君の物語である。
高橋君、躰の半分が蒟蒻に占領されたように日々疲れており、どうにもこうにもやる気が出ない青年なのだが、何とか銀河不動産の日々の業務をこなしていくうちに、一風変わった出会いを経験するのである・・・・・。

主人公があふれるエネルギーとは無縁なので、物語はゆるく進むのだが、出会う人々、起こる出来事はどちらかと言うと刺激的である。それも高橋君の人徳ゆえかもしれない。奇妙な状態の数々を、一瞬いぶかしみながらもさほど重大に受け止めもせず受け容れてしまう高橋君が、親しみ深く、可笑しくもある。
こんな人生もしあわせかもしれないと、ちょっぴり羨ましくもあるが、高橋君だからこそのしあわせなのだろう。

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MONEY*清水義範

  • 2008/11/07(金) 13:23:04

MONEYMONEY
(2004/02/17)
清水 義範

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やっぱりお金が欲しい! 「東隆文の窃盗 8,600,000」「的場大悟の無限連鎖講 6,700」など、お金にまつわる8つのミステリーを収録する。『問題小説』掲載を単行本化。


「東隆文の窃盗 8,60.000」 「的場大悟の無限連鎖講 6,700」 「重松衣子の万引き 3,480」 「桜田ナオの援助交際 50,000」 「ミスターXの誘拐 2,800,000」 「轟政嗣の借金 5,460,000」 「森本鉄太のおれおれ詐欺 10,000」 「東隆文の強盗 10,400,000」

さまざまな個人的な理由でお金に欲が眩んだ人々が、道徳倫理に外れた方法でお金を手にする――あるいは手にしようとする――連作物語である。
多くが、金額の多寡はそれぞれだが、まんまとお金を手に入れ、なんの咎めも受けずにいるのは、著者のどんな意図によるものだろう。それだけが少しばかり腑に落ちなくもある。

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密室は眠れないパズル*氷川透

  • 2008/11/06(木) 13:54:02

密室は眠れないパズル密室は眠れないパズル
(2000/06)
氷川 透

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エレベーターの前で胸を刺された男は「常務に、いきなり刺された」と、犯人を名指しして絶命した。“殺人犯”は、エレベーターで無人の最上階へ向かうところを目撃される。電話は不通、扉も開かない。ビル内には犯人を含めて九人だけ。犯人はなぜ逃げようとせず、とどまっているのか―。やがて最上階のエレベーターは下降を始めた。そして扉が開く。そこには、背中を刺され、血まみれで息絶えた常務が倒れていた。―いったい誰が、いかなる方法で殺したのか。常務が犯人ではなかったのか。積み重ね、研ぎすました論理の果てに行く着くのは八人の中の一人。新鋭が読者に挑戦する正統派長編本格推理。


著者が出会った事件の経緯を小説にする、という形式である。なので、著者=氷川透が登場し、最終的には探偵役も務める。
犯人は、割と早い時期からなんとなく目星がついてしまったが、さまざまな可能性を提示し、ひとつずつ潰していく過程が面白かったし、犯人自身にそれを認めさせるための氷川の謎解き場面も、自信がありそうななさそうな微妙なスタンスが好ましかった。

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Friends

  • 2008/11/04(火) 18:44:40

Friends―恋愛アンソロジー (祥伝社文庫)Friends―恋愛アンソロジー (祥伝社文庫)
(2005/08)
安達 千夏江國 香織

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いちばん近くの場所にいるのに、恋人にはなれない。そんな、友だち以上、恋人未満の男女関係のせつなさを、江國香織、谷村志穂、島村洋子ら9人の注目作家が描く。『LOVERS』に続く恋愛アンソロジー第二弾。


  江國香織  ザーサイの思い出

  谷村志穂  青い空のダイブ

  島村洋子  KISS

  下川香苗  迷い蝶

  前川麻子  恋する、ふたり

  安達千夏  鳥籠の戸は開いています

  倉本由布  恋愛小説を私に

  横森理香  Chocolate

  唯川恵  彼女の躓き


恋愛の要素がまったく絡まないわけではないが、描かれているのは恋愛ではない。タイトルのとおり友だちであり、しかもその形はものすごくさまざまである。
好みで言えば、「鳥籠の戸は開いています」のふたりの関係が好きかもしれない。そして「彼女の躓き」はいささか後味が悪かった。

光と影の誘惑*貫井徳郎

  • 2008/11/02(日) 16:37:59

光と影の誘惑光と影の誘惑
(1998/08)
貫井 徳郎

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出版社/著者からの内容紹介
銀行の現金輸送を襲え。目標金額は一億──。巧妙に仕組んだ強奪計画は、成功したかにみえたのだが……。男たちの野望と裏切りを描く表題作を含む、珠玉のミステリー中編4編。


表題作のほか、「長く孤独な誘拐」 「二十四羽の目撃者」 「我が母の教えたまいし歌」

貫井徳郎である。当然どんでん返しを予想し、構えて読み始めるが、いつからかどこからか物語自体の面白さに惹きこまれ、すっかり騙されている。くるりとひっくり返されてみてはじめて、はてどこで・・・?と思い返してみると、言葉遣いや設定の巧みさに改めて気づかされるのである。

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