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青い水族館の惨劇*川田弥一郎

  • 2010/01/31(日) 08:36:30

青い水族館の惨劇青い水族館の惨劇
(1996/08)
川田 弥一郎

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魚が浮き上がった水槽は深海よりも青く染まっていた。何者かが水槽に硫酸銅を投入したのだ。静岡市近郊駿河湾沿いに建つアフロディテ水族館で不審事が続発。その犯人ではと飼育係の日向純子が推理した同僚の小早川卓造は、アンボイナという毒貝の中毒で倒れた。犯罪か事故か?なぜか事件の存在は伏せられ数日後、復帰したばかりの小早川が死体で発見された!殺人の真相と連続したトラブルの関連は?そして水族館を取り巻く悪意の正体は何者か?怒りとともに謎を追う純子の眼前で、また新たな殺人が起きた…。生命の神秘と知的興奮に満ちた水族館を舞台に、乱歩賞作家が贈る長編本格推理。


アフロディテ水族館で、次々に起こる不穏な事件。果たしてすべての犯人は同一人物なのだろうか。そしてその目的は?水族館の舞台裏を見学しながらミステリも愉しめ、得した気分の一冊である。ただ、真犯人とその動機は、いささか拍子抜けの感もなくはないのが残念である。

水曜日の神さま*角田光代

  • 2010/01/28(木) 07:08:31

水曜日の神さま水曜日の神さま
(2009/06)
角田 光代

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「旅をすれば小説が書ける」と信じて10年。ところがある日、小説が書けなくなった。さあ、どうする?!書くこと、旅すること。


三つのパートに分かれている。最初のパートでは主に、旅する心象のようなものが綴られ、第二のパートでは、旅先の風景や現象がより具体的に描かれている。最後のパートには、実際に出向く旅以外の心の旅のようなものも綴られている。
自分自身、旅行にさほど興味がないということもあり、「Ⅰ」よりは「Ⅱ」、「Ⅱ」よりは「Ⅲ」を面白く読んだ。ただ、やはりエッセイよりも小説の方が好きだと、改めて思った。

brother sun 早坂家のこと*小路幸也

  • 2010/01/24(日) 17:08:24

brother sun 早坂家のことbrother sun 早坂家のこと
(2009/08/26)
小路幸也

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早坂家の三姉妹、それぞれが感じている、家族の姿。ちゃぶ台を囲みながらそれぞれの思いが一つになったとき、本当の家族の姿が見えてくる。考えたり悩んだり、苦しかったりするけれど、それぞれが補いながら暮らしている。「東京バンドワゴン」シリーズを始め、様々な家族を描いてきた著者が三姉妹を通し描く、新しい家族のカタチ。


早坂家の三姉妹、あんず、なつめ、かりんそれぞれのこと。父と再婚した年若い妻・真里奈さん、息子の陽ちゃん。そして、20年近くその存在すら知らなかった父の兄である伯父さんと父との過去の出来事。さまざまな問題が絡みあい、さん姉妹それぞれの人間関係とも絡まって、運命的な夏になる。
早坂家にとっては、まさに大揺れなのだが、家族の信頼関係の強さが揺らぎや不安を感じさせない。信じ、信じられることの強さが物語中から伝わってくる一冊である。
エピローグで、一瞬不穏な空気が漂うが、強い味方が増えた早坂家なら乗り越えられると信じられる。

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川のある街--伊勢湾台風物語--*清水義範

  • 2010/01/22(金) 17:04:02

川のある街 伊勢湾台風物語川のある街 伊勢湾台風物語
(2009/11/12)
清水 義範

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名古屋市出身の作家・清水義範氏が伊勢湾台風の体験を基に書いた、中日新聞好評連載小説を単行本化。
名古屋市中心部を流れる堀川を主な舞台に、庶民の暮らし、伊勢湾台風との闘いを人間味あふれるタッチで描いています。主人公は小学4年生の丹羽正太、同級生伊藤良一とそれぞれの家族、担任教師池上玲子、消防署員猪飼真一ら街に暮らす人々。名古屋市出身の清水さんの体験が基になっているだけに、当時の生活感や価値観がたくみに著されています。名古屋弁がふんだんに用いられているほか、名古屋空襲、名古屋城再建の話も盛り込まれています。


名古屋出身の写真家・浅井慎平氏が、名古屋開府四百年を記念して映画を作る際、タイトル案を考えたことで、原作も、と乞われて書いたという経緯があるそうである。
現在の堀川をなんとか綺麗にしようと市役所の職員が地元の老人たちに助言を求める冒頭の場面から、昭和34年の伊勢湾台風の前後まで一気に時を遡り、通りぬけた台風の凄まじさと人の温もりを描いて、最後にまた元の場面に戻ったときには、言い知れぬ感慨に包まれた。街を愛する心、その街に住む人々を愛する心があたたかい一冊である。

追想五断章*米澤穂信

  • 2010/01/21(木) 07:18:26

追想五断章追想五断章
(2009/08)
米澤 穂信

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古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。二十二年前のその夜何があったのか?幾重にも隠された真相は?米澤穂信が初めて「青春去りし後の人間」を描く最新長編。


  

  序章  わたしの夢
  第一章  奇蹟の娘
  第二章  転生の地
  第三章  小碑伝来
  第四章  アントワープの銃声
  第五章  彼自身の断章
  第六章  暗い隧道
  第七章  追想五断章
  終章  雪の花


亡き父の五編のリドルストーリーを探し出して欲しい、という北里可南子の依頼により、古書店の居候である菅生芳光は動き出すのだが、依頼の奥にある事々が次々と明るみに出、22年前の未解決事件の可南子と父・叶黒白(筆名)の真実にまで光を当てることになるのだった。
別に用意されたリドルストーリーの結末の一行。その裏に書かれたタイトル。娘の知らない父の若かりし頃。挟みこまれたリドルストーリー。次の展開を早く知りたくてページを捲る手が止まらない一冊だった。

ぬるい男と浮いてる女*平安寿子

  • 2010/01/19(火) 16:45:19

ぬるい男と浮いてる女ぬるい男と浮いてる女
(2009/10)
平 安寿子

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草食系男子、“アラ還”おひとりさま、不思議ちゃん女子…こういうヘンな人たち、いますよね。見てるだけなら面白い、でも近くにいるとちょっと困る。


「長い目で見て」 「ブルーブラックな彼女」 「滅亡に向かって」 「浮いてる女」 「ぬるい男」 「えれくとり子」

たしかに、あまり身近にいると面倒が多いかもしれない主人公たちではある。だが、なぜか憎めない。彼らはみな、その人らしさで成り立っており、意識するとしないとに関わらず、その人なりの規範に沿って生きているように見える。悪意はなく、世間に大きな害をなすこともない。人と同じでなくともいいじゃないか、と思わせてくれる人たちなのである。居心地のいい読書タイムを与えてくれる一冊だった。

静かにしなさい、でないと*朝倉かすみ

  • 2010/01/17(日) 16:43:29

静かにしなさい、でないと静かにしなさい、でないと
(2009/09)
朝倉 かすみ

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自作自演の子犬救出劇を同級生に目撃され、転落していく美少女。カード破産しながらもロハス生活を実践しつづけるカップル。短命の家系に生まれた夫の「ぽっくり」を恐れる中年初婚夫婦etc…「わたし」という容れ物の限界に翻弄される人たちの、哀しくも可笑しい自意識を描いた傑作。


「内海さんの経験」 「どう考えても火夫」 「静かにしなさい」 「いつぞや、中華飯店で」 「素晴らしいわたしたち」 「やっこさんがいっぱい」 「ちがいますか」

内容紹介の「哀しくも可笑しい自意識」というのが言い得て妙である。どの物語でも目につくのは劣等感。そして、それに気づかない振りをして高みをみつめる、あるいは認めてしまって「でも」と言い訳をする。形はさまざまだが、自分というものをあるがままで認められない人間の哀しさが詰め込まれた一冊である。人間らしいと言えばこれ以上ないほど人間らしいが、その自縛を解いたらもっと楽に生きられるのに、と思わされもする。

   

 ●内海さんは東京に行った。

 ●断っておくが、始めたのは守彦の方だ。

 ●メロンをひと玉ぶらさげて、あの子の家に向かっている。

 ●度会朔子は大きなまちに、昼、着いた。

 ●インテリアは北欧っぽくしたい、ということで私たちの意見が一致した。
 
 ●山崎夫妻が港町に引っ越してきた。

 ●これでも、ひとを見る目はあるほうです。


それぞれの物語の始まりである。なんとなく味わい深い始まり方である。

左手に告げるなかれ*渡辺容子

  • 2010/01/16(土) 16:48:41

左手に告げるなかれ左手に告げるなかれ
(1996/09)
渡辺 容子

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スーパーの万引捕捉に賭ける女性保安士が巻き込まれた殺人事件!不倫相手の妻が殺され、容疑者リストに「私」の名が…。右腕の傷にかけられた疑惑は、みずからの手で払いのけなければならない。第42回江戸川乱歩賞受賞作。


  

  第一章  氷のバラ
  第二章  不審者
  第三章  生贄
  第四章  誘い水
  第五章  審判


警備会社の万引きジーメンである八木薔子は、かつての不倫相手の妻が殺害された事件で刑事の訪問を受けた。容疑を晴らすためには、自分で真犯人を見つけるほかないと思った薔子は、休憩時間に自分なりの捜査を始めたのだが、本来の仕事に集中できず、検挙率がガクッと落ちた。薔子のボスである坂東指令長は、そんな薔子を事件現場に近い店に配置転換させ、捜査に便宜を計ってくれるのだった。この坂東指令長が、仕事の上でも人間的にもカッコイイ女性なのである。このまま万引きジーメン物語を読み続けたいと思わせるほどである。本筋の事件は、別物と思われていた事件との思わぬ関連も明らかになり、大事になりそうな予感を孕んでくるが、最終章ではあっけなく様相を変える。
薔子の捜査にはできすぎ感が否めないし、どんでん返しというほどの醍醐味には欠けるように思うが、物事の見え方が、先入観によって変わるものだということはよくわかった。

脇役スタンド・バイ・ミー*沢村凛

  • 2010/01/13(水) 16:50:54

脇役スタンド・バイ・ミー脇役スタンド・バイ・ミー
(2009/04)
沢村 凜

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鳥になりたいと祈る老女。彼女に何をしてあげられるだろうか…穏やかに暮らす“主役”の生活に忍びこむ、ミステリアスな“脇役”たち。騒音とともに消えた女、真夜中に廃屋でひとり眠る少女、前世を占えると告げる美女―すべての謎が解決したとき、あなたの胸に浮かび上がる“脇役”の本当の姿とは?いつもは主人公のあなたも、他人の人生では、脇役。傍らに立ち、手を差し伸べるか、あるいは―。再読必至の連作ミステリー。


 

  第一話  鳥類憧憬
  第二話  迷ったときは
  第三話  聴覚の逆襲
  第四話  裏土間
  第五話  人事マン
  第六話  前世の因縁
  最終話  脇役の不在


どうやら同じ街を舞台とする連作らしい、と判るのは、警察官・脇田さんの存在が共通しているからである。脇田さんに相談に乗ってもらい、あるいは腑に落ちない思いを解決してもらった別々の人たち・別々な事件の連作である。どの物語も、解き明かされてみれば納得でき、当時者たちも脇田さんの存在によって穏やかな気持ちで終えることができたはずである。それだけならば、「いい人脇田さん」で済んでしまうのだが、最終話でそれぞれの物語の登場人物が顔を揃え多ところで判明した事実がいちばんのミステリである。知りたいような知りたくないような、そんな一冊である。

トイレのポツポツ*原宏一

  • 2010/01/12(火) 13:56:31

トイレのポツポツトイレのポツポツ
(2009/02)
原 宏一

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会社は、あなたに誠実ですか。あなたは、仕事に誠実ですか。派遣社員が部長に命じられ、全部員に送信した1通のメール。すべてはそこから始まった…!?中堅食品会社の内実を描く連作小説。


表題作のほか、「ムカチョー」 「虹色のパレット」 「カチューシャ」 「ラブホ出勤」 「チェンイー」という六話の連作物語。

中堅食品会社鴨之木製麺工業を舞台に繰り広げられる騒動を描いた一冊。
工場からの叩き上げ・田布勢部長が、派遣社員の白石さんに「トイレのポツポツ」に関する社内メールを出させたことがきっかけとなって、鴨之木製麺の膿があちこちからぶくぶくと噴き出しはじめるのだ。出世と保身、理想と現実、効率と真面目さ、そして誠意。会社というひとつの社会のさまざまな面を見ることができて興味深い。
なによりも、「トイレのポツポツ」にこんなに深い意味があったことに驚かされると同時に、深く頷かされるのだった。

プリズン・トリック*遠藤武文

  • 2010/01/10(日) 21:17:25

プリズン・トリックプリズン・トリック
(2009/08/07)
遠藤 武文

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刑務所で密室殺人―乱歩賞史上最強トリック

交通刑務所で発見された前へ倣え姿の遺体。
現場は密室――逃走した受刑者を追う県警が知る意外な事実。
選考委員・東野圭吾氏も仰天の第55回江戸川乱歩賞受賞作


交通刑務所内で殺人事件が起こった。被害者の傍らに残された犯行声明のメモによって、当初警察も騙されかけたが、実は加害者が被害者と入れ替わって脱走していたのだった。しかも、犯人とされる人物は、まったく別の場所で寝たきり状態であり、真犯人は誰なのかまったく判らなくなってしまったのである。
視点がたびたび替わり、時間もいきつもどりつするので、慣れるまでにいささか戸惑うが、そこに仕掛けもあったりするので読者もうかうかしていられない。真相に近づくに連れて、ドキドキハラハラも高まるのだが、結末は想像の範囲内でもある。あの人物が真犯人であることで、物語の中で死に至った多くの人たちが一瞬にして哀れになった。後味はあまりよくない一冊だった。

ふちなしのかがみ*辻村深月

  • 2010/01/08(金) 17:14:29

ふちなしのかがみふちなしのかがみ
(2009/07/01)
辻村 深月

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ひややかな恐怖が胸に迫る―青春ミステリの気鋭が初めて封印を破った現代の怪談!おまじないや占い、だれもが知っていた「花子さん」。夢中で話した「学校の七不思議」、おそるおそる試した「コックリさん」。やくそくをやぶったひとは、だぁれ?その向こう側は、決して覗いてはいけない―。


表題作のほか、「踊り場の花子」 「ブランコをこぐ足」 「おとうさん、したいがあるよ」 「八月の天変地異」

現代の怪談という惹句がこの一冊をよく表わしている。ラストに向かうほどに心が騒ぎ、様相が一変する瞬間は、背筋が寒くなる。驚愕のどんでん返しとか、ほのぼのとしたどんでん返し、というのではなく、哀しい大逆転という感じで、読後はやるせなくさせられる物語が多かった。

どこかの街の片隅で*赤井三尋

  • 2010/01/06(水) 09:54:13

どこかの街の片隅でどこかの街の片隅で
(2008/05/16)
赤井 三尋

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捻りのきいた短篇10編による推理作品集。 街の片隅で、ひっそりと暮らす人々に、ある日、忍び寄る、ほんの小さなボタンの掛け違いが、人を狂わせ、事件を引き起こす。人生の痛みと苦みを描く掌編10編。


「老猿の改心」 「遊園地の一齣」 「クリーン・スタッフの憧憬」 「紙ヒコーキの一齣」 「三十年後」 「アリバイの一齣」 「青の告白」 「善意の一齣」 「花曇り」 「誘拐の一齣」

どれも短い物語なのだが、登場人物が息づいている印象である。タイトルのとおり、どこかの街の片隅でひっそりと生きている人の姿が過不足なく描かれていて好感が持てる。しかもラストでがらっと景色を変えるような趣向が施され、ますます面白くなっている。手軽に読めるが、味わいのある一冊である。

このあいだ東京でね*青木淳悟

  • 2010/01/03(日) 16:55:11

このあいだ東京でねこのあいだ東京でね
(2009/02)
青木 淳悟

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マンションの募集広告、江戸時代の旧町名、道路標識と交通法規、猫たちの生態、そして大手検索サイトの「ストリートビュー」機能まで。都市にまつわる無数のことばの積み重ねから、懐かしく驚きに満ちた街の姿が立ちのぼる。青木ワールドを堪能できる色とりどりの作品集、全8篇。


表題作のほか、「さようなら、またいつか」 「TOKYO SMART DRIVER」 「障壁」 「夜の目撃談」 「ワンス・アポン・ア・タイム」 「日付の数だけ言葉が」 「東京か、埼玉-家と創作ノートと注釈」

青木淳悟という作家の傾向が何冊か読んで少しずつわかってきた。あることをあるがまま描写しながら、白地図に少しずつ色付けをし、最終的に街図を作り上げるように一冊にまとめあげると言えばいいだろうか。本作も、さながら東京の街レポートといった趣で、人物の内面や心理描写といった部分には重きは置かれず、街の部分部分にかわるがわるスポットライトを当てていき、東京という街をライトアップしている。おそらく評価も好みも分かれる作家であろうと思われる。わたし個人としては、いささか苦手、と言わざるを得ない。

いい子は家で*青木淳悟

  • 2010/01/02(土) 07:58:32

いい子は家でいい子は家で
(2007/05)
青木 淳悟

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女ともだちのマンションに通う次男。その靴を洗うことに執着する母。仕事をやめ「ひさしぶりに殺し合いをしようぜ」と、ゲームコントローラーを握る兄。父の耳の穴からは得体の知れないものが飛び出して―。いま、最も注目を集める気鋭が拓く、家族小説の新しい地平。


内容紹介には、「家族小説」とあるが、これはほんとうに家族小説なのだろうか、とはてなマークが飛び散る一冊である。ある家族が描写されているのは確かである。だがそこからは、家族のあたたかさとか家族愛とかいったものは微塵も感じられず、偏執狂的な匂いすら漂ってくるのである。死かもそれがあながち妄想とも言い切れないところに苛立たされたりするのである。この母親は自分だ、と多くの母親がおそらく苛立ちや腹立ち、あるいは空しさと共に思うに違いない。同じように、父親や息子も何かを思うのだろう。人は、真実をいい当てられると腹が立つ、という意味で、腹立たしい一冊でもある。