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もういちど*畠中恵

  • 2021/09/30(木) 13:00:09


わ、若だんなの御身に、かつてない事件が!?不思議な十ヶ月間の幕開けだ!
酔っ払った龍神たちが、隅田川の水をかき回して、長崎屋の舟をひっくり返したってぇ! 水に落ちた若だんなは200年ぶりの天の星の代替わりに巻き込まれて……。「しゃばけ」シリーズ第20弾!


今回は、一太郎リフレッシュの巻、と言えるだろうか。相変わらずとんでもない事態に巻き込まれてはいるのだが、いつもの離れで元気に寝付く若だんなではなく、赤子からすくすくと元気いっぱい、いたずらや無鉄砲を楽しみながら、ぐんぐんと元の歳まで育っていく。どうかこのまま健康で、と祈るが、すんなりとそういうことにはなりそうもないところが切なくもある。だが、以前通り、ではないのではないかという一縷の望みもまだ捨ててはいない。次作からは、少しずつ変わっていくのではないだろうか。ぜひそうあってほしいものである。不思議な体験を長崎屋の面々と共に楽しんだシリーズである。

カード師*中村文則

  • 2021/09/27(月) 16:40:21


占いを信じていない占い師であり、違法カジノのディーラーでもある僕に舞い込んだ、ある組織からの指令。それは冷酷な資産家の顧問占い師となることだった──。国内外から新作を待望される著者が描き切った、理不尽を超えるための強き光。新たな代表作、誕生!


カードゲームには全くと言っていいほど疎いので、その部分では愉しめなかった印象であり、カードの配分や駆け引きの妙を愉しむにはいささか力不足だった気がするが、この世の理不尽はたっぷり味わえた。めくられたカード一枚で、その後の人生がひっくり返ったり、微妙に進路がずれ、途方もないことに巻き込まれ、大幅に人生が変わったり。信じるか信じないか、選ぶか選ばないか。人生は一瞬一瞬の選択の積み重ねでできており、一旦選んだら取り返しがつかず、意図せずに選ばされたとしても抗えないという理不尽さも受け容れて生きていかなければならない。絶望しかないとしか思えない前途に、僅かな希望を見出せるかどうかが、生き続けられるかどうかの分かれ目なのかもしれない。胸の中をひっかきまわされるような一冊だった。

ミラーワールド*椰月美智子

  • 2021/09/24(金) 16:28:26


『明日の食卓』著者が本当に描きたかった、心にささる男女反転物語。

「だからいつまで経っても、しょうもない女社会がなくならないのよ」
「男がお茶を汲むという古い考えはもうやめたほうがいい」
女が外で稼いで、男は家を守る。それが当たり前となった男女反転世界。池ヶ谷良夫は学童保育で働きながら主夫をこなし、中林進は勤務医の妻と中学生の娘と息子のために尽くし、澄田隆司は妻の実家に婿入りし義父とともに理容室を営んでいた。それぞれが息苦しく理不尽を抱きながら、妻と子を支えようと毎日奮闘してきた。そんななか、ある生徒が塾帰りの夜道で何者かに襲われてしまう……。

「日々男女格差を見聞きしながら、ずっと考えていた物語です。そんなふうに思わない世の中になることを切望して書きました」――椰月美智子


男女の立場が反転している世界が描かれているのだが、なんとも言えない気持ち悪さが先に立った。なぜだろうと考えてみたのだが、女性の描かれ方がヒステリックというか、単視点的という感じで、女性が優位に立つ世界の利点が全くと言っていいほど描かれていないせいではないかと思い至った。女性が上に立ち、社会の指導的立場の多数になって、より繊細な対応ができるような世界が描かれていれば、見方も違ったかもしれないが、この描かれ方だと、女性が上に立つ世界にはなってほしくないとしか思えない。優位に立つとこうなってしまうだろうという著者の視点なのだろうか。本当の意味で、男女それぞれが本来持つ能力や特性を生かして共生できる社会になってくれればいい、と切実に思わされる一冊でもあった。

B(ビリヤード)ハナブサへようこそ*内山純

  • 2021/09/22(水) 18:44:03


僕――中央(あたりあきら)――は、大学院に通いながら、元世界チャンプ・英雄一郎先生が経営する、良く言えばレトロな「ビリヤードハナブサ」でアルバイトをしている。 ビリヤードは奥が深く、理論的なゲームだ。そのせいか、常連客たちはいつも議論しながらプレーしている。いや、最近はプレーそっちのけで各人が巻き込まれた事件について議論していることもしばしばだ。今も、常連客の一人が会社で起きた不審死の話を始めてしまった。いいのかな、球を撞いてくれないと店の売り上げにならないのだが。気を揉みながらみんなの推理に耳を傾けていると、僕にある閃きが……。 この店には今日もまた不思議な事件が持ち込まれ、推理談義に花が咲く――。 第24回鮎川賞受賞作。


ビリヤードをキーにした安楽椅子探偵ミステリと言ってもいい物語である。探偵役の中央(あたりあきら)は、事件現場に足を運ぶこともあるので、厳密にいえば安楽椅子探偵ではないかもしれないが。ビリヤード用語を殺人事件のキーワードと絡めたり、ビリヤードのゲームを見ながら、事件解決のヒントを閃いたりと、ビリヤードなしには語れない物語でもある。ビリヤードハナブサに集まる常連客達のやり取りを聞きながら、謎を解いた中くんが、関係者にある問いかけをし、その答えによって真犯人に辿り着くという趣向が新鮮である。どんな問いかけがなされたのかを想像するのも興味深い。個性の強い登場人物たちのキャラも大体わかったので、さらなる事件解決も見たいと思わされる一冊である。

探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます*東川篤哉

  • 2021/09/20(月) 18:29:48


勤め先のスーパーをクビになり、地元・武蔵新城で
『なんでも屋タチバナ』を始めた俺、橘良太。
三十一歳。独身。長所、特になし。特技は寝ること。
最近は、隣駅の溝ノ口に住む名探偵一家の主・綾羅木孝三郎がお得意様。
娘の綾羅木有紗の子守役を仰せつかっている。
しかしこの有紗、10歳にして名探偵を気取っており、
俺が依頼された事件にことごとく首を突っ込みたがる。

そんなある日、孝三郎の代わりに有紗と高橋さん一家の奥多摩バーベキューに
付き添っていたら、なんと溺死体に遭遇してしまい……! ?

美少女探偵×ヘタレ三十路男による
爆笑必至のユーモア・ミステリー


今回はほんとうに泣かなかったな、アリサちゃん。そして、良太との上下関係もしっかりと定着し、もはやすっかり名探偵と役に立たない助手、という感じである。でも、いくら名探偵とは言え、10歳の女の子、公の場では大人がいないと発言の信憑性も危ういということで、かろうじて良太も役に立つ、というものである。とは言え、助手・良太、謎解きに自ら役立てられるかどうかは別として、結構な確率で、いいヒントに行きあたっているのも確かで、それがアリサの役に立っているとも言えるのである。なんともまどろっこしい。まだまだ溝口界隈、熱そうなので、次も愉しみなシリーズである。

もどかしいほど静かなオルゴール店*瀧羽麻子

  • 2021/09/18(土) 06:58:14


「耳利きの職人が、お客様にぴったりの音楽をおすすめします」
ここは、お客様の心に流れる曲を、世界でたったひとつのオルゴールに仕立ててくれる、不思議なお店。
"小さな箱"に入っているのは、大好きな曲と、大切な記憶……。

北の小さな町にあった『ありえないほどうるさいオルゴール店』が、最果ての南の島で、リニューアルオープンしました!
今回も、7つの物語が奏でる美しいメロディーに載せて、やさしい涙をお届けします。


大きなガジュマルの木の根方にあるので「ガジュマルの店」と呼ばれる店で開業したのは、オルゴール店だった。普通の既製品のオルゴールももちろん売っているが、その人の心のなかに流れる曲を、店主が聴き取ってオルゴールを作ることもできるという。そんな店を訪れる人々が抱えるさまざまな屈託を、オルゴールの音色が穏やかに解きほぐしていく。スポットライトは店主に当てられるわけではなく、店を訪れる人々を照らし、爪先を向ける方向を示唆してくれる。結果が読者にゆだねられることも多いが、そこがまた心地好いところでもある。まだまだ続きがありそうでわくわくするシリーズである。

それでも世界は回っている 1*吉田篤弘

  • 2021/09/15(水) 07:36:45


「奇妙な惑星」博物館の保管室に勤務する十四歳のオリオ。
師匠のベルダさんと二人、世の中のあらゆるものを記録し保管すべく作業に勤しんでいた。
そんなある日、ベルダさんが死んだ。
自殺か、病気か、事件か。
原因がわからぬまま、オリオは保管室の責任者を引き継ぐことになる。
ところが――。
ベルダさんが記録に使用していた万年筆のインク、〈六番目のブルー〉の在庫がない。
あれなくして記録作業はできない。
幻のインクを求めるオリオの旅が始まった。


舞台も設定も、登場人物たちひとりひとりも、「一般的」とは言いかねる個性を持っている。だからこそ芽生え育った世界なのだろう。時間も距離も、常識にはとらわれず、それでもなお、人間の思考性は保たれている印象で、そこにそこはかとない安定感も見いだせる気がする。全体的な揺らぎをつなぎとめているもの、とでも言えばいいのか。著者の物語には、さまざまな意味での旅を感じることが多いが、本書の登場人物たちの旅は、まだまだ始まったばかりという感じである。これからどこへ連れて行ってくれるのか愉しみな一冊である。

のっけから失礼します*三浦しをん

  • 2021/09/13(月) 16:29:03


雑誌「BAILA」での連載に、紀州パンダ紀行など、とっておきの書き下ろし5本を加えた「構想5年!」(著者談)の超大作(?)エッセイ集。
タクシーで運転手さんと繰り広げられる面白トーク、漫画や三代目J Soul Brothers への熱き想い、家族との心温まるエピソード……。
ありふれた日常がこんなにも笑い(ときどきほろっと)に包まれているなんて!
当代きっての人気作家、三浦しをんワールドが炸裂する、抱腹絶倒の1冊。


思った通りというか、想像以上に曲者のエッセイである。著者の筆致はもちろんのこと、その暮らしぶりにも、ある種ポリシーと言ってしまってもいいような個性があって、個人的に共感できる部分はさほど多くないのだが、何となく納得させられながら引き込まれていく感じが不思議である。基本的に小説家のエッセイは苦手なのだが、これは、小説を邪魔しないエッセイと言えるかもしれない。音読はしにくい一冊である。

明日は結婚式*小路幸也

  • 2021/09/09(木) 16:08:24


覚えていますか? あの日のことを――。
家族で過ごす最後の夜、あなたに伝えたい想いがあります。
心に染みる感動の物語。

人生は、たくさんの人との繋がりで彩られていくんだね――。
明日に挙式を控えた、信用金庫勤めの井東春香と、パン屋の息子でデザイナーの細井真平。ごくごく普通に暮らす二人が、偶然の出会いから愛を育み夫婦になる。家族で過ごす最後の夜、春香の両親と弟、そして祖母には、それぞれに伝えたい想いがあった。一方、新しい家族を迎える細井家でも、実の母を早くに亡くした真平に、今だからこそ話しておきたいことがあり……。
結婚前夜を、当人たちとその家族の視点から紡ぐ感動の物語。


結婚式前夜、それぞれが実家で家族水入らずで過ごす最後の夜が、家族それぞれの目線で描かれてた物語。思いもよらないところで繋がっていたり、不思議な縁を感じたり、これまで歩いてきた道のりのしあわせと、これから歩み出す道のあたたかさを感じられる。平坦なばかりではない道程かもしれないが、この家族に育てられ、これからも周りにいると思えば、何があっても何とか先に進めるだろう。感慨深くはあるが、普通の一日でもある結婚式前夜が静かに描かれた一冊である。

グッバイ・イエロー・ブリック・ロード*小路幸也

  • 2021/09/07(火) 16:30:58


古書店を営む四世代の大家族が活躍する、人気の「東京バンドワゴンシリーズ」第16弾。
4年ぶりの番外長編の舞台は、藍子とマードックが暮らすイギリス!

失われた絵と、あなたを取り戻すために――。
高校を卒業したばかりの堀田研人が率いるバンド〈TOKYO BANDWAGON〉が、ひょんなことからイギリスのスタジオでフルアルバムのレコーディングを行うことになった。我南人の引率で、藍子とマードックが暮らす家を訪れた一行。しかし、滞在中にマードックの姿が消えて……!? 東京の堀田家と現地の仲間たち総動員で、不可解な「誘拐」と「美術品盗難」の謎に迫る。

堀田家の「LOVE」は国境を越えて。大人気シリーズ第16弾!


今回は番外編ということで、東京下町を飛び出して、舞台はなんとイギリス。とは言え、サチさんは、一瞬でイギリスと堀田家を行ったり来たりできるので、両方の様子がわかる(タブレットやPCで繋がってはいるが)。さらに今回は、サチさんのことが見えて話せる人物が登場し、かなり活躍してしまうので、ちょっとこれはいいのだろうか、と思ってしまったりもする。TOKYO BANDWAGON の高校生三人組も結構大人な対応をしているが、研人のため口は父親の我南人譲りだろうか(それとも英語だから?ちょっぴり気にはなる)。マードックさんが事件に巻き込まれ、そこから発展してかなり大きなことになっていくのだが、「LOVEだねぇ」のパワーで丸く収めてしまうのがこの人たちである。現実にはあり得ない設定ではあるが、善人以外出てこないこのシリーズならではの展開だろう。堀田家の朝食風景が見られなかったのが残念な一冊でもある。

君と歩いた青春 駐在日記*小路幸也

  • 2021/09/04(土) 16:30:25


「祈りなんていう非科学的なものが、誰かを救うこともあるんです」

昭和五十二年。元刑事・蓑島周平と元医者・花の夫婦の駐在生活も三年経ち、すっかり村の一員に。だが相変わらず雉子宮には、事件の種はつきないようで――。
冬 水曜日の雪解けは、勘当者
病気で倒れた村長さん。そこに勘当された娘が戻ってきた!

春 月曜日の来訪者は、スキャンダル
世間が芸能スキャンダルに沸く中、村に自称小説家の男が表れて……

夏 日曜日の幽霊は、放浪者
山で度々起きるお化け騒ぎ。その悲しき真相は……

秋 木曜日の謎は、埋蔵金
村に埋蔵金発掘のテレビが! でもそこにはとんでもないものが埋まっていた……。

家族の絆と人の優しさが胸を打つ。「東京バンドワゴン」シリーズ著者による大好評短編シリーズ第三弾。


日々のどかで、事件など何も起こらなさそうに思える雉子宮の駐在所が舞台の物語である。自然豊かでのどかなのは確かなのだが、これが結構事件が起こる。外から持ち込まれたり、お家騒動もどきだったり、昔の因縁がらみだったりと、さまざまではあるが、元刑事の駐在・周平さんの人を見る目と勘の鋭さに、妻の花さんの医師の目も加わり、その人脈の豊かさも助けとなって、八方良しの解決に導いてしまうのは、人徳とも言えるだろう。雉子宮の安寧にかなり貢献しているのは間違いない。村の人もみんないい人たちで、誰もが役に立ちたいと思って行動しているのが伝わってくる。若い人たちが、新しいことを考え始めているようなので、どんな風に変わっていくかも愉しみなシリーズである。

探偵少女アリサの事件簿*東川篤哉

  • 2021/09/03(金) 07:38:43


名探偵は小学生! ?
天才探偵少女とヘタレ三十男の迷コンビが難事件に挑む!
東川篤哉、最新ユーモア・ミステリ!

就職先のスーパーを誤発注した大量のオイルサーディーンとともにクビになり、
地元で「なんでも屋タチバナ」を始めた、俺、橘良太。 三十一歳、独身、趣味は
ナシ、特技は寝ること。そんな平凡な三十男の俺にある日、子守り依頼が舞い込んだ。
報酬につられて出かけた豪邸で待ちかまえていたのは、ロリータ服の美少女。
わずか十歳にして自らを探偵と信じる無垢で無謀な少女、綾羅木有紗だった――。

「ねぇ、おじさん、あたしのこと、ナメてんじゃないの?」

なんでも屋の良太の前に現れた、探偵を名乗る十歳の美少女•有紗。
有紗に殺人鬼の濡れ衣を着せられた良太は、事件を一緒に調べることになって……。

天才探偵少女とヘタレ三十男の迷コンビが難事件に挑む、
東川篤哉、最新ユーモア・ミステリ!


両親ともに名(?)探偵の10歳の少女・綾羅木有紗と、冴えない三十男の橘良太という凸凹コンビの探偵物語である。「4」と「千」を見間違えたせいで、スーパーをクビになり、成り行きでナンデモ屋になった良太のもとに舞い込む依頼がきっかけで、事件に巻き込まれ、依頼者の娘として知り合ったアリサに引きずりまわされる格好で、いつの間にか探偵助手のようになっているのである。舞台は南武線・武蔵新城、溝の口辺り。絶妙なローカル加減で、舞台設定も人物設定も面白い。事件も、子どもが首を突っ込むにしては結構シビアで、日常の謎でありながら、殺人事件もじゃんじゃん起こる。すでにコンビで活動している体になっているので、次が愉しみなシリーズである。

スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 子ども食堂と家族のおみそ汁*友井羊

  • 2021/09/01(水) 16:23:16


累計40万部突破の大人気シリーズ、最新刊!
早朝にひっそり営業しているスープ屋「しずく」では、
シェフ・麻野が美味しい日替わりスープを提供し、お客の悩みを優しく解決してくれる。
ある日、評判を聞きつけ相談にやってきた青年・省吾は、麻野のスープと頭脳に惚れこみ、
自身が協力している子ども食堂に麻野もぜひ来てほしいと言い出した。
子ども食堂「はぐみ」にやってきた麻野と「しずく」常連客のOL・理恵は、
そこに通う女子中学生の家庭の悩みを見抜き、あっという間に解決してみせる。
感嘆する省吾だったが、麻野の推理はそれだけでは終わらず、
省吾が秘密を隠していると指摘した。
観念した省吾は、麻野に近づいた真の目的を打ち明ける。


今回は、心が重たくなるような話が多かった。子ども食堂がらみの、子どもとその家族の問題や、麻野の母親との問題など、他人がどこまで立ち入っていいのか、判断に迷うような出来事ばかりで、今回の謎解きはすべてうまくいったように見えるが、いつもこうはいかないだろうと思わされることも多かった。麻野と母との確執は、まだまだ解決はされないだろうと思われるが、小さいながら一歩進んだとは言えるだろう。露ちゃんの心を曇らせることが、このところ多い印象なので、次はカラッと明るい謎解きを希望したい。とはいえ、スープはいつも心がこもって丁寧で、麻野シェフが、朝も昼も夜もひとりで取り仕切っているのが心配になるほどである。次も愉しみなシリーズである。