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千年樹*荻原浩

  • 2007/04/08(日) 14:08:38

☆☆☆☆・

千年樹 千年樹
荻原 浩 (2007/03)
集英社

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木はすべてを見ていた。
ある町に、千年の時を生き続ける一本のくすの巨樹があった。千年という長い時間を生き続ける一本の巨樹の生と、その脇で繰り返される人間達の生と死のドラマが、時代を超えて交錯する。


不思議な感覚に包まれる物語である。
主役は樹齢千年と言われる「くす」の巨樹。だがもちろん、主役の「くす」はただそこにあるだけであり、物語として描かれているのは その木の周りで 時代を超えて人を替えて行われる人々の営みなのである。いつの時代にも繰り返される愚かしさや身勝手さをくすの樹はすべて見せられ、時どきの人々の喜びや悲しみ、憂いや恨みを吸い取ってどんどん枝葉を繁らせているようにも思える。
長大なスパンの定点観測のようでもあり、人間の小ささを嗤う大きな何者かの目のようでもある。ふといま自分が立っている足元をみつめてしまうような一冊だった。

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千年樹 荻原浩

装丁は松田行正+日向麻梨子。「小説すばる」2003年12月号~2006年12月号掲載に加筆修正の短編集。・萌芽:襲われて妻子と共に逃げる国司の公惟。いじめから自殺を計る星雅也。・瓶詰の約束:太平洋戦争下の誠次の宝物

  • From: 粋な提案 |
  • 2007/05/17(木) 12:48:31

千年樹 荻原浩著。

どなたかのブログでよさそうな感触を得たので借りてみました。 うんうん、結構好き。冒頭の、部下?の謀反によってアキレス腱を切られ、妻子と共に山中に置き去りにされた国司、公惟。幼子を背負い、せめてこの子だけでも、とその思い虚しくくすの木の下で息途絶えた。 そ...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2007/11/01(木) 23:49:43

荻原浩【千年樹】

中学生の雅也は、悪質ないじめに堪えかねて自殺を考える。大きな木の枝にロープをかけたとき、どこからか歌が聞こえてきた。子供の声だ。 ...

  • From: ぱんどらの本箱 |
  • 2008/03/17(月) 13:10:15

(書評)千年樹

著者:荻原浩 千年樹(2007/03)荻原 浩商品詳細を見る 街の高台。神社のほとりに立つ一本の木。長きときを生きる一本の巨樹。その周囲では、...

  • From: 新・たこの感想文 |
  • 2008/05/10(土) 23:09:36

この記事に対するコメント

>ふらっとさん
「長大なスパンの定点観測」う~ん、ほんとにそうですね。こういうふらっとさんの一つの言葉の力に、いつもやられてしまいます。
素敵ですわ・・。眩暈、私も感じました。自分の視点が、さだまらないような気にさせてくれる、樹でしたね♪

  • 投稿者: ERI
  • 2007/05/07(月) 01:47:21
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このあとしばらく別の読書にもこのくらくら感の波紋が広がってしまったほどでした。
『となりのトトロ』の楠も仲間かもしれませんねぇ^^*

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/05/07(月) 06:58:23
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「みずうみ」に関連として書かれてたので、ちょっと気になってました。
長大なスケールに酔いました。
そういえば稚児装束を着た子どもが時々現れてました。
あれは、やっぱり樹の精だったのでしょうか?。

  • 投稿者: 藍色
  • 2007/05/17(木) 12:43:01
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作家さんにとっては
不本意な読まれ方かもしれないとは思いながらも
ゆらゆらと二作の間を揺れながら読んでしまいました。
千年の間さまざまなことを見て吸い込んできたくすの巨樹には、いろんな人々の魂が宿っているのかもしれませんね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/05/17(木) 13:03:52
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荻原さんがお初だったのですが、たくさん出てるんですね。そこかしこで見かけてたタイトル!この人だったのか~と嬉しい発見でした。
ようやく着手です。にしても稚児装束・・・怖かったんですけど。
精なんですか。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2007/11/01(木) 23:58:57
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荻原さん、これからどんどん愉しめるなんて、うらやましいです。
いろんな荻原さんを満喫してくださいね。

古いものは、ただ古いというだけではなくて、いろんな時代のいろんなものを見て吸い取って蓄えているのかもしれないなぁ・・・なんて思わせられました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/11/02(金) 07:00:32
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