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蒲生邸事件*宮部みゆき

  • 2007/05/04(金) 16:55:50

☆☆☆☆・

蒲生邸事件 蒲生邸事件
宮部 みゆき (2000/10)
文藝春秋

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予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和十一年。雪降りしきる帝都・東京では、いままさに二・二六事件が起きようとしていた―。大胆な着想で挑んだ著者会心の日本SF大賞受賞長篇。


現代から二・二六事件のまさにその日にタイムトリップした高校生・尾崎孝史が語る物語なのだが、主人公が孝史かと問われると そうだと断言するのをためらう気持ちもある。なぜなら、孝史が時間旅行した先の昭和十一年の登場人物たちがみなそれぞれに主役たり得る要素を持っているのである。SFでもあり、ミステリの味付けもあり、ロマンスの香りも微かに漂い、そして 活きた歴史でもあるこの物語には考えさせられるものが多くありすぎる。

時間――歴史と言い換えてもいいかもしれないが――というもののイメージは、多少の横道はあっても一本の道のようなものだという気が漠然としていたのだが、この物語を読んだあとは、トレーシングペーパーのようにうっすらと下が透けて見える薄いものが幾層にも重ねられたような感じかもしれないとも思う。過去と現在とは無関係ではなく、薄紙一枚くらいの距離感で繋がっているのかもしれない。

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