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あかね空*山本一力

  • 2007/07/03(火) 17:09:00

☆☆☆☆・

あかね空 あかね空
山本 一力 (2001/10)
文藝春秋

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京から江戸に下った豆腐職人・永吉一家二代の有為転変に、かけがえのない家族の絆を描く入魂の書き下ろし時代長篇。


江戸の長屋や職人の暮らしようが興味深い一冊である。そして、夫婦・親子・兄弟・長屋の住人たち・得意先・同業者など、毎日の暮らしに否応なしにかかわる人たちとの心の通い合いや意地の張り合いなどがつぶさに描かれていて惹きこまれる。
はじめにテレビドラマのように目に見える事実が描かれ、あとから――思い出語りだったり 他人への説明であったりと状況はそのときどきで違うが――そのときの事情や心情が明かされ、そうだったのかと納得させられる。それも、別の場で別の人物の立場で語られると、同じ出来事にもまた別の想いが織り込まれていたりして、人が生きていくことの一筋縄でいかないさまがもどかしくもあり愛しくもなる。
根っこのところに他人を思いやる心がしっかりとあることがこちらの気持ちをもあたためてくれる。

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