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富士日記 上・中・下*武田百合子

  • 2007/08/18(土) 08:54:31

☆☆☆☆・

富士日記〈上〉 (中公文庫) 富士日記〈上〉 (中公文庫)
武田 百合子 (1997/04)
中央公論社

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夫武田泰淳と過ごした富士山麓での十三年間の一瞬一瞬の生を、澄明な眼と無垢の心で克明にとらえ天衣無縫の文体でうつし出す、思索的文学者と天性の芸術者とのめずらしい組み合せのユニークな日記。昭和52年度田村俊子賞受賞作。


富士日記〈中〉 (中公文庫) 富士日記〈中〉 (中公文庫)
武田 百合子 (1997/05)
中央公論社

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並はずれて奇抜で誰も思い及ばぬ発想のなかで、事物の核心をすべて喝破する、いわば生まれながらの天性の無垢な芸術者が、一瞬一瞬の生を澄明な感性でとらえ、また昭和期を代表する質実な生活をあますところなく克明に記録する。


富士日記〈下〉 (中公文庫) 富士日記〈下〉 (中公文庫)
武田 百合子 (1997/06)
中央公論社

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夫武田泰淳の取材旅行に同行したり口述筆記をしたりする傍ら、特異の発想と感受と表現の絶妙なハーモニーをもって、日々の暮らしの中の生を鮮明に浮き彫りにし、森羅万象や世事万端を貫く洞察により事物の本質を衝く白眉の日記。


そもそも、公開することをまったく念頭におかずに書かれた極私的な日記である。書くことは苦手だという著者が、その日食べたものや心に留まったことを書き付けておけばいいのだ と、夫・泰淳に勧められて始めたことなのである。そして夫のアドバイスどおりに、その日の買い物や食べたものがそのまま書き付けられていて、言ってみればただの覚書なのだが、不思議なことにそれに留まらずにさまざまなことを想わせてくれるのである。
見たまま思ったままが綴られているので、ときに残酷だったり差別的だったりもし、それがまた生きた人間臭さを感じさせてくれる。この人は、ここで確かに喜び、憤り、愛し、愛されて生きているのだ、ということが手に触れられそうな現実感を持ってくる。
読むほどに味わい深さがより深まる一冊である。

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