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メタボラ*桐野夏生

  • 2007/10/07(日) 08:45:21


メタボラ メタボラ
桐野 夏生 (2007/05)
朝日新聞社
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なぜ「僕」の記憶は失われたのか? 世界から搾取され、漂流するしかない若者は、日々の記憶を塗りかえる。破壊されつくした僕たちは「自分殺し」の旅に出る。孤独な魂の冒険を描く、まったく新しいロードフィクション。


いきなりなにかから逃げている場面で物語りは幕を開ける。何から逃げているのかは読者には判らず、次第に逃げている本人にも判っていないことが判ってくる。なぜなら「僕」は記憶を失っていたのだった。
逃げる途中で、同じく逃げてきた――といってもこちらは自分が誰かも何から逃げてきたかもはっきりしているが――昭光と出会い、行動を共にするうちに、新しい自分が一から形作られていき、同時に本当の自分の在り処を手探りするもどかしい日々が始まるのだった。
ふとしたきっかけで記憶の欠片をひとつ、またひとつと取り戻し始めても、そこには希望の光はなく、新しい自分と本来の自分との間で揺れ続ける「僕」なのだった。
主な舞台は沖縄だが、そう聞いて一般的に思い浮かべるようなのどかで南国的な鷹揚さとは無縁に物語りは繰り広げられているのだが、舞台が沖縄だからこその展開でもあるような気がする。
DV、ニート、劣悪な労働条件、ネットの集団自殺、などなど・・・。たくさんの要素が盛り込まれているが、何一つ解決したわけでもなく、却って泥沼にはまり込んでいくようでもある。
読後感は重いが、なぜか未来を想い描けるような心持ちにもなる一冊である。



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読書・映画・ドラマetc覚書
リトル・バイ・リトル

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メタボラ  桐野夏生

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  • From: 読書・映画・ドラマetc覚書(アメブロ版) |
  • 2007/10/25(木) 17:27:21

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  • From: リトル・バイ・リトル |
  • 2008/02/06(水) 15:35:10

この記事に対するコメント

ふらっとさん、こんにちは。
せっかくの沖縄なのに全く明るくなかったですね(笑)でも確かにコレが東京なら、「僕」はどこかで殺されたり、逆に犯罪者になったりと、もっと悪い方向に進むような気がします。

  • 投稿者: 爽
  • 2008/02/05(火) 16:23:27
  • [編集]

桐野さんらしい舞台の選択の仕方な気もしますね。
ぎすぎすしていない沖縄ならではの展開かもしれませんね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/02/05(火) 19:03:46
  • [編集]

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