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リトル・バイ・リトル*島本理生

  • 2007/10/15(月) 17:24:30


リトル・バイ・リトル (講談社文庫)リトル・バイ・リトル (講談社文庫)
(2006/01)
島本 理生

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ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校二年生の異父妹の女三人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父―。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第二十五回野間文芸新人賞受賞作。


なにか特別なことが書かれているわけではまったくない。ふみの取り立ててほかの人と違うところのない――家族構成という点では特筆すべきところはあるが――日常が淡々と語られているだけである。だがそれが、なんだか心地好いのだ。ぬるめのお湯にゆっくりと浸かっているような普段よりも心持ち躰が軽くなったような和み感に包まれるのである。
自分自身の身の置きどころをまだ上手く見つけられていないふみが、人とのかかわりを語ることで少しずつ自らの輪郭を作っているような、ゆっくり一歩ずつだが前へ進んでいる手応えを感じられ、急ぐことなんか何もないじゃないか と思わせてくれる一冊だった。

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