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はぐれ牡丹*山本一力

  • 2007/10/21(日) 14:05:57


はぐれ牡丹 (時代小説文庫)はぐれ牡丹 (時代小説文庫)
(2005/06)
山本 一力

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一乃は夫・鉄幹と四歳になる幹太郎と三人、深川冬木町の裏店に暮らしている。日本橋両替商の跡取り娘であった彼女は、かけ落ちして鉄幹と一緒になったが、貧しくとも幸福な日々を送っていた。そんなある日、一乃がにせ一分金を見つける。一方同じ裏店のおあきが人さらいにあってしまう。一乃たちは、おあきを助けるために立ち上がるが…。助け合い、明るくたくましく生きる市井の人々を情感こめて描く長篇時代小説の傑作。


一乃・鉄幹・幹太郎一家の貧しいながらもしあわせな暮らし、貧乏長屋の人たちの「お互い様」の心と人情の機微が、しあわせというものの本来の姿を思い出させてくれて胸にあたたかい。
しかし、それとは別に、すぐ近くではきな臭いことが起こりつつあり、いや応もなく一乃たちも巻き込まれていくのだった。

日本橋の大店のお嬢様だった一乃の持ち前の明るさと一本気、そして思うことを頭の中に仕舞っておけないおおらかさで次々と口にする思い付きを、寺子屋の教師もしている鉄幹が誰にもわかりやすく整理して話すところには、この夫婦の円満の秘訣が伺えるようだった。
そして、その一乃の一見とんでもないように思われるインスピレーションのおかげで、事件のあらましが一本の線につながり、一乃(の魅力)に呼び寄せられた人々の情の通った働きで、見事事件も解決を見るのである。
家族、近隣、親子の人情話と活劇の要素とを併せ持ったような痛快な一冊である。

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