カカオ80%の夏*永井するみ

  • 2007/10/30(火) 18:57:59


カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)
(2007/04)
永井 するみ

商品詳細を見る

私は、三浦凪、17歳。好きなものは、カカオ80%のチョコレートとミステリー。苦手なことは、群れることと甘えること。
夏休みに、クラスメートの雪絵が、書き置きを残して姿を消した。おとなしくて、ボランティアに打ち込むマジメな雪絵が、いったいどうして…?カレでもできたのか?気乗りはしないけれど、私は調査に乗り出した。ひと夏のきらきらした瞬間を封じ込めた、おしゃれなハードボイルド・ミステリー。


大学の助教授で公私共に忙しい母との二人暮らし――いわゆる母子家庭――の凪は、クラスメイトと群れることもなくある意味自立した女の子である。ある日、そんな凪に、それほど親しいとはいえない真面目なクラスメイトの雪絵が洋服を買うのに付き合って欲しいと声をかけ、凪は雪絵に洋服を見立ててあげたのだった。それからほどなく、雪絵は「一週間くらいで戻ります。合宿にでも参加するんだと思ってください、心配しないで」という書置きを残して行方不明になる。

凪が、特に仲良しというわけでもない雪絵のことを心配したのは、洋服を買ったときの微かな違和感のようなものや、元来のミステリ好きの気質がそうさせたのかもしれない。十七歳の少女・凪が探偵役をすることになる経緯にも無理がなく、その後の行動にも自然に結びついている。
群れるのが苦手な凪だが、友人とのつながりを拒んでいるわけではなく、雪絵や、雪絵探しの途中でネットを通じて出会った少女たちとのつながりを心地好くも感じているのが十七歳の素直な気持ちの表れのようでほほえましい。他人との関係を築くのが上手くない、といわれる近頃の若者たち。なにかのために、誰かのために、心を砕く仲間がいるということの心強さを感じさせてくれる物語でもある。ズィードのマスターと凪のこれからも気になるところである。
カカオ80%のほろ苦さと、それでもやはりチョコレートとしての甘さとを併せ持つ一冊である。



V
V

TB
粋な提案

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カカオ80%の夏 永井するみ

装画は松尾たいこ。ブックデザインは守先正。理論社ミステリーYA!シリーズ。 主人公で語り手の私:三浦凪は群れること甘えることが苦手な高校2年生。夏休み、おとなしい福祉学科志望のクラスメート、笠原雪絵が書き置きを残

  • From: 粋な提案 |
  • 2007/11/08(木) 16:33:20

この記事に対するコメント

友達を必要としないようにみえて、
少しずつ人との関わりを学んでいく凪の成長が微笑ましかったです。
物語、ほろ苦さと甘さとを兼ね備えていましたね。

  • 投稿者: 藍色
  • 2007/11/08(木) 16:32:59
  • [編集]

凪が突っ張ったままの女の子じゃなくてよかったです。
少しずつ同世代の人間関係を広げていくのをもっと見守りたいですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/11/08(木) 18:23:14
  • [編集]

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する