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鳴風荘事件*綾辻行人

  • 2007/11/22(木) 19:40:45


鳴風荘事件 殺人方程式II (講談社文庫)鳴風荘事件 殺人方程式II (講談社文庫)
(2006/03/15)
綾辻 行人

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奇天烈な洋館に集まった人々は目を疑った。六年前に殺された女流作家そっくりに、その妹が変貌していたのだ。そして姉の事件と同じ月蝕の晩、惨劇が彼女を襲う。"不思議な力"を持っているという黒髪を切られる手口も酷似してーー。必要な手掛かりをすべて提示して「読者へ挑戦」する新本格ミステリの白眉!


明日香井響と明日香井叶の一卵性双生児シリーズ第二弾。
叶の妻・深雪が十年前に埋めたタイムカプセルを掘り出す約束を果たしに当時の美術部顧問・青柳の自宅を訪れ、美術部の仲間たちと再会したところから事件は始まる。
物語ではその前に、叶と深雪のなれそめが明かされている。
鳴風荘の見取り図はじめ、各人のデータが随所に示され、ラストには「読者への挑戦」も用意されている。これぞ本格、というお膳立てである。
個人データを見た時点で、引っからずにはいられなかった人物が結局のところ犯人だったが、その動機にはまったく思い至らなかった。
この物語も舞台は館であるが、著者の館シリーズのようないかにもというようなおどろおどろしさはなく、軽やかとも言えるかもしれない。




はじまり

プロローグ
「どうしようもない」
女は冷たく云った。腰よりも長く伸ばした見事な黒髪が、まるでそれ自体が生を持つものであるかのように妖しく揺れ動いた。
「可哀想だけれど、私にはどうしようもないの。ただ分ってしまうだけ、見えてしまうだけ、。あなたの身の破滅が」

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