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ROUTE 134*吉野万理子

  • 2007/12/09(日) 20:43:03


ROUTE134ROUTE134
(2007/08/30)
吉野 万理子

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東京で業務委託の編集者をしている33歳の青山悠里(ゆり)は、担当しているイラストレーターのモンキー間中の引越し先の葉山へ打ち合わせのためにやってきた。実は葉山は悠里が小学校五年から中学三年までを過ごした場所だった。しかも忘れたいのに忘れられない出来事のあった・・・・・。
国道134号線沿いに感じのいいカフェを見つけ、近づいてみると「ROUTE 134」という店名だったので思わず入ってしまう。悠里は中学のころ杉山清貴のファンだったのだ。するとあろうことかその店のマスターはかつての同級生で、いちばん会いたくなかった夕樹だったのだ。
現在のROUTE 134で繰り広がられる人間関係と、そのなかに在って悠里がときにたち戻ってしまう過去の出来事とが交錯しながら物語りは進み、悠里の屈託のわけがなかなか明かされないのでもどかしさを感じるころにぽつりぽつりと中学時代のことが語られ、彼女の屈託が腑に落ちるのである。
飾り気のないさらりとした言葉で書かれた物語は、必要以上の装飾がない分ストレートに胸に響き、悠里やROUTE 134に集う人々の心に自然と読者を寄り添わせる。ただひとり、夕樹だけが最後の最後まで想いを外に漏らさないのだが、最後にその言葉が聞けてよかった。
大人も子どもも、ここぞというときにはきっちりと言葉にして主張しなければいけないのだなぁと、このひとつの物語のなかのいろいろな人から教わったような心地がする。




はじまり

       第一章 西海岸通り

 真正面に葉山御用邸が見えてきた。その三叉路を左に折れて、国道一三四号線はゆるく弧を描いて海に向かっていく。坂を上りきる直前の停留所で、悠里はバスを降りた。
 道路を隔てて反対側にあるだだっ広い駐車場は、崖っぷちにある。ここから見ると、青空にせり出しているようだ。十一月の平日は、さすがに観光客が少なくて、車はちらほらと停まっている程度だった。




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粋な提案

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ROUTE134 吉野万理子

装幀は松昭教。 青山悠里は業務委託の編集者。担当作家との打合せで中学生の頃いじめに遭った葉山に。偶然入った国道134号線沿いのカフェ『ROUTE134』(ルート134)のマスターは当事憧れ、行き違った同級生の向井

  • From: 粋な提案 |
  • 2007/12/27(木) 18:07:32

この記事に対するコメント

読んでる途中、このふたりの過去に何があったのか、とても気になりました。
ここぞという時の自己主張、大事ですよね(できてませんけど、汗)。
明るいラストが心地よかったです。

  • 投稿者: 藍色
  • 2007/12/27(木) 18:07:11
  • [編集]

そうですよね。
なかなか経緯が明かされなくて、はてなマークがいっぱいでした。
自己主張、大切なのは判っていても、実はわたしも苦手です。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/12/27(木) 20:38:58
  • [編集]

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