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いっぺんさん*朱川湊人

  • 2007/12/17(月) 17:26:13


いっぺんさん (いっぺんさん)いっぺんさん (いっぺんさん)
(2007/08/17)
朱川 湊人

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いっぺんしか願いを叶えない神様を探しに友人と山に向った少年は神様を見つけることができるのか、
そして、その後友人に起きた悲しい出来事に対してとった少年の行動とは……。
感動の作品「いっぺんさん」はじめ、鳥のおみくじの手伝いをする少年と鳥使いの老人、
ヤマガラのチュンスケとの交流を描く「小さなふしぎ」、田舎に帰った作家が海岸で出会った女の因縁話「磯幽霊」など、
ノスタルジーと恐怖が融和した朱川ワールド八編。


表題作のほか、「コドモノクニ」 「小さなふしぎ」 「逆井水」 「蛇霊憑き」 「山から来るもの」 「磯幽霊」 「八十八姫」

ノスタルジーと恐怖の融和。まさに内容紹介にあるとおりの物語たちである。恐怖の淵から身を乗り出していて 何者かに引きずり込まれるような、底知れない恐ろしさをも感じさせられる。帰ってこない子ども、幸せとは程遠い結末。しかしラストへと向かうまでの物語は決して特別なものではなく、懐かしさすら覚えるような景色を見せるのだ。だからこそよけいに背筋が寒くなるのかもしれない。
読んだ者の心の隙間に入り込み、うしろめたさを隠そうとすると柔らかいところに刺さってくるような、不思議な怖さの一冊である。





はじまり

       1

 きっと、今はもうないだろう――三十年近い昔、友だちのしーちゃんと一緒に、山道を自転車で何時間も走って尋ねていった、あの祠は。
 校庭の隅の百葉箱より小さいそれは、昼間でも薄暗い森の中に、ただひっそりとあった。繁った木々に半分飲まれかけていて、しーちゃんが目ざとく見つけなければ、私たちは気づかずに通り過ぎてしまっていただろう。




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粋な提案

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いっぺんさん 朱川湊人

装画は宇野信哉。装丁は坂川栄治+永井亜矢子(坂川事務所)。初出は月刊J-novel。短編集。 表題作。どんな願いもいっぺんだけ叶えてくれる神様を探す2人の少年。語り手のうっちんと友だちのしーちゃん。願い事を叶えた神様

  • From: 粋な提案 |
  • 2008/01/17(木) 03:13:52

この記事に対するコメント

怖いだけでなく、懐かしさやあたたかさも感じられて
不思議な印象の短編集でした。

  • 投稿者: 藍色
  • 2008/01/17(木) 03:13:18
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どれもハッピーエンドとは程遠いのだけれど
印象深い物語でしたね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/01/17(木) 06:52:30
  • [編集]

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