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孔雀狂想曲*北森鴻

  • 2008/02/01(金) 07:10:09

孔雀狂想曲孔雀狂想曲
(2001/10)
北森 鴻

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骨董店・雅蘭堂には、様々なものが、人々のいろいろな思いをいっぱいにつめて集まってくる。店主・越名集治が、価値ある「モノ」を通じ、人間の欲望や闇を描き出す8つの短編ミステリー。


表題作のほか、「ベトナム ジッポー・1967」 「ジャンクカメラ・キッズ」 「古九谷焼幻化」 「キリコ・キリコ」 「幻・風景」 「根付け供養」 「人形転生」

冬狐堂シリーズの『狐闇』にも重要な役どころで登場した雅蘭堂の越名集治が主役の物語である。舞台はやはり骨董の世界。細い目でいつも眠っているようだといわれる越名の真実を感じ取る直感とでもいうような才が燻銀のように味わい深い物語たちでもある。
押しかけアルバイターの女子高生・長坂安積――冒頭の物語で危うく万引き反になるところだったのだ――と越名の無意味なようで結構的を射た掛け合いもたのしい。




はじまり

       「ベトナム ジッポー・1967」

         (一)


 眠っているようだと、いわれることがよくある。
 わたし自身もわたしの店も、である。
 眠り猫のように目が細いのは親の遺伝子のせいであるし、わが愛すべき《趣味骨董・雅蘭堂》が、下北沢という絶好のロケーションにありながら暇なのは、少々駅から離れすぎているのと、完全なる住宅地の、しかもひどく目立たない路地の片隅にあるためであって、これはだれを責めることもできない。ましてや平日の午後、まだ早い時間ともなるとわたしの店を訪れる客など皆無といってよい。だからといって本当に眠っていていいのかと問い詰められると「違う」と答えるしかないのだが、とにかくその日、その時間にわたしは店の奥のレジスターの前で、白河夜船を漕いでいた。

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この記事に対するコメント

参考にさせていただきまして

読みました。初・北森鴻。
いつも参考にさせていただきながら読んでおります。
古物についての本なんて今まで読んだこと無かったので、そのものについて調べるところから始めてしまいました…。
(ライターの構造ってどうなってるの?的な…)

  • 投稿者: yuko
  • 2008/02/05(火) 15:28:41
  • [編集]

yukoさん、コメントありがとうございます。
参考にしていただいているなんて、とっても嬉しいです。

わたしも、古物・骨董の世界に接したのは北森作品が初めてでした。
骨董の勉強からはじめたら奥深すぎてたいへんですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/02/05(火) 18:57:54
  • [編集]

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