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風に顔をあげて*平安寿子

  • 2008/02/04(月) 13:01:30

風に顔をあげて風に顔をあげて
(2007/12)
平 安寿子

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野球場のビール売り、ファストフードの店員、スタンドの給油係、量販店の販売員、ファミレスやコンビニの店員などなど……。風実(ふみ)は自称「プロのフリーター」の25歳。でも球場のバイトに来た高校生から「私が25になったら、結婚してるか自分の店もって忙しくしてるか、どちらかだな」と言われ大ショック! 25歳で定職がないなんて、いかにもモテない? 能なし?ミジメって感じ? ボーイフレンドの英一はボクサーの卵。せっかく夢を追いかけていたのに、年下に強烈なパンチを食らって自信喪失。もうボクシングはあきらめる、なんて言い出す始末。やりきれない思いを38歳で部長昇進を果たしたサラリーマンの友達・小池さんに愚痴る日々。そんな不安定な風実の元に、18歳の弟の幹(かん)が転がり込んできた。その原因は……「お母さんにゲイだってカミングアウトしたら怒っちゃって」だって?! そして、せっかく昇進した小池さんにも、思ってもみなかった予想外の毎日が……?! ままならない日常を、精一杯全力で駆け抜ける風実の姿を鮮やかに描く、すべての世代が共感せずにはいられない傑作長編!


「三十怖い病」 「向かい風の日」 「おっと、あぶない」 「スタートライン」
連作短編集のようにも読めるし、ひとつの物語としても読める。

立ち止まって自分を見つめることで、人は大人になっていくのだなぁと、風実をみていて思った。若さだけでがむしゃらに愉しくやっていたころには考えもしなかった自分のこと、この先の生き方のこと。それに目を向けるようになった風実の苦悩はそこから始まるのだが、実はその時点ですでにステップの一段目に上っているのではないだろうか。
気楽そうに見えるフリーター暮らしをしながらも、人との関係をないがしろにしていない風実の在りようには好感が持てる。好きな人と、友人と、弟と、職場の人たちと、飲み友達と、母と、父と。たくさんの人とのかかわりが飾らず率直に描かれていて好もしい。
自分が他人になにをしてあげたいか、ということの大切さ。目当てができるということは希望ができるということなのだということもラストを明るくしている。




はじまり

       1 三十怖い病

          1

 その昔、二十五歳は女の分岐点だった。
 歴史をひもとけば、ときは二十世紀、ところは東洋の島国、ニッポン。かの国で生まれ育った女性には、その名も結婚適齢期という賞味期限が設けられており、そのリミットが二十五歳。
 であるからして、二十五を過ぎると「婚期を逃した」「嫁き遅れ」の「オールドミス」で、売れ残りのクリスマスケーキにたとえられた。つまり、残っているのは買い手市場で叩き売りされる運命だけ――。




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「風に顔をあげて」平安寿子

風に顔をあげて(2007/12)平 安寿子商品詳細を見る 二十五なら、女の子でなぜ悪いと言い張れる。でも、三十で女の子はまずいよなあ。主人公は二...

  • From: しんちゃんの買い物帳 |
  • 2008/02/22(金) 19:47:25

風に顔をあげて 平安寿子

装丁は高柳雅人。装画はヒロミチイト。書き下ろし。 主人公の織原風実(ふみ)は25歳でフリーター。定まらない仕事や年齢、曖昧な恋人・英一に将来の不安を抱く日々。ゲイとバレた弟・幹が家出してきて…。 喜んだり凹んだ

  • From: 粋な提案 |
  • 2008/02/28(木) 04:03:05

「風に顔をあげて」 の感想 その?

◆  表紙のヒロミチイトさんの装画がいい。 買い物袋を抱えて階段を上っていく、ヒロインらしい女性の後姿が、この作品に似合う。 弟の...

  • From: こじつけ☆読書ろく |
  • 2008/03/23(日) 15:33:37

この記事に対するコメント

平フェチ

平フェチの私としては、この本をレヴューしてあるブログに次々書きこみをし、まだ読んでいない人には次々紹介している日々です。
いままでとは、すこし路線変更しているような作品なのですが、ホモの弟・幹と彼が尊敬する藤本さんが実にかっこいい。若かったら、そのままホモ路線を走ってしまいそう・・・なくらい。
こりあとすぐに平さんのヒミツを書いた「セ・シ・ボン」を読んで、その創作のヒミツというよりなぜ彼女が書く小説の登場人物がかくも魅力的なのか、が少しだけわかりました。

  • 投稿者: チョロ
  • 2008/02/04(月) 16:48:57
  • [編集]

藤本さん、できた人でしたね。

『セ・シ・ボン』も
予約に空きができたらすぐに予約したいと思っています。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/02/04(月) 19:06:41
  • [編集]

こんばんは。
こういうダメな人たちの物語は大好きです。
なんか人ごととは思えないぐらい共感しました。
久しぶりに平さんを読みましたが、もっと読みたくなりました。

  • 投稿者: しんちゃん
  • 2008/02/22(金) 19:56:32
  • [編集]

平さん、なかなかいいですよね。

ほんとうに他人事とは思えなくて、のめりこみます。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/02/22(金) 20:11:35
  • [編集]

いろんな人たちとの出会いがあっていい影響を受けた風実の成長、よかったです。
読後は、勇気づけられたような気もしました。

  • 投稿者: 藍色
  • 2008/02/28(木) 03:50:52
  • [編集]

ラストは、自分のことのように勇気づけられましたね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/02/28(木) 06:33:00
  • [編集]

25歳ってわたしの歳から見たら「若い!まだまだいける!!」と思うけど、当の本人は割と焦ってるもんなんだなぁ…と知りました。わたしもまだまだもがきあがいてる身ですが、いつかちゃんと風に顔をあげて歩いていきたいです^^

  • 投稿者: まみみ
  • 2008/03/05(水) 19:19:51
  • [編集]

ちょうど微妙な年齢なのかもしれないなぁ・・とも思いますねぇ。25歳。
通り過ぎてみれば、まだまだたくさんの可能性があるのがわかるけれど
本人にしてみればどんどん閉ざされていくような思いになるのでしょうね。

風実も目当てを見つけかけているようで、自分の事のようにうれしく思いました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/03/06(木) 06:34:08
  • [編集]

平さん!

ふらっとさん こんにちは。

久々に、平さんの本を読みました。

カラッとした軽いノリの以前の作品の印象ですが
今回は、笑える場面と共に「生きる」ことを直球で
描いている感じがしました。
読後感が、とても良いなぁと思いました。

  • 投稿者: 本命くじら
  • 2008/03/23(日) 15:31:43
  • [編集]

おっしゃるとおり
読後感が良い一冊でした。
さわやかな風が吹きぬけるような心地がしました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/03/23(日) 16:18:09
  • [編集]

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